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“所有と利用の分離”は大難問

 まちづくり会社が当該街区の土地を一括借り上げ、所要の施設整備をした上でテナントリーシングをする、という手法ですね。
土地代が事業費に出てこない分、賃借料が下がりテナント募集がしやすい、というメリットがあるそうです。
土地を貸す側にとってのメリットは、従来は相対で貸借していたものを会社が一括借り上げ、かつ、賃借責任を負ってくれるということです。

 ご承知のとおり、目下高松市丸亀町商店街で成功裏に推進されています。ただし、現時点で成功しているのは現時点においてテナントはすべて埋まっている、という意味です。

 というのはほかでもありません。
スタート時点で満タンになっているテナントが、ずうっと満タンのままで行ければいいのですが、その保証はまったくありません。
もちろん、不採算レベルに陥ったテナントには退去してもらうことになりますが、問題はその後釜に据えるべきテナントが右から左へ調達できるだろうか、ということです。

 退出したテナントの後を埋める新しいテナントを調達できない、空きスペースが埋まらず商店街同様空洞化が始まっている、というのはすでに郊外の大型ショッピングセンターで普通に起きている事態です。
当初はコミュニティスペースに使うなど工夫していますが、どんどん増えてくるとどうしようもありません。ペンキを塗ったベニヤに「新テナント・comming soon」などと書いて、放置することになります。それを見て出店に応募するところがあるかどうか・・・。

 商店街の「所有と利用の分離」が劣化スパイラルに陥っている一部SCの轍を踏まないためには、計画段階で「業種揃え・店揃えの最適化」についての計画=テナントミックス計画を周到に立てておくことが必要です。

 ここでいうテナントミックスとは、具体的にどこを誘致するかという作業以前の話であって建設計画のことではありません。この事業に取り組むことで商店街に実現をめざすのは、どういう性格の商業集積なのか?、それは広域商圏における既存及び今後進出して来るであろう商業集積ととのような関係に位置するのか?
ということをしっかり定め、めざす商業集積を実現するために必要な「業種・店舗」を構想し、構想に合致する店舗・企業のリストを作り、テナントとしてリクルートする、という段取りになります。

 武運つたなく退出するテナントの後には、商業集積としての機能を実現していく上で、出ていった企業以上の力量を発揮してくれるテナントをリクルートしなければならない。
そういうテナントはきっと「引く手あまた」のはずですからおいそれとアナタの誘いに応じてくれるかどうか・・・。

 以上、簡単に見てきたとおり、「所有と利用の分離」を推進するまちづくり会社の仕事は、スタート時点でフルハウスにすることは当然ですが、さらに今後ずうっと引き続いて「商業集積としてのデスティネーション」を維持・拡充していく、という仕事があり、責任があるわけです。
もちろん、不採算に陥ったテナントが退出するのを手を拱いて見ているわけにはいきません。中にはこれでずうっと商店街で仲間だったお店もあることでしょうし。

 まちづくり会社は、構築したデスティネーションを不断に維持していくためには、テナント各社の「業容」の維持改善について適時適切な支援指導をしなければならない。
すなわち「落ちこぼれ」が生じないように不断の指導支援をしていく力量が必要であり、その力量はもちろん具体的な個々人によって担われるわけですから、まちづくり会社はしかるべき組織を構想し、しかるべき人材を確保しておかなければならない。事業着手以前の問題です。

 これは対象となる商業集積が街区であるか単一の施設であるかに関係なく、「所有と利用の分離」を掲げたとたん、まちづくり会社が担わなければならない運命であることに反論の余地はないと思います。

 如何ですか。
“所有と利用の分離”の採用を考える、といったとたん、この記事の冒頭からここまでの流れを一瞬のうちに思い浮かべ、かつ、局面ごとの基本的な課題とその処理についての基本が右から左へ、自分の脳内でスラスラとイメージできるようでないと、このモデルの採用は無理です。

 ちなみに、ショッピングセンターのテナントミックスも理論的にはかくあるべきなのですが、実状はお寒い限り、SCのテナントミックスマネジメントのスキルなどをあてにしているととんでもないことになってしまいます。

 ということですから、“不動産の所有と利用の分離”に取り組んでみたい人は、それなりの覚悟が必要ですよね、ということでありまして、転勤のあるサラリーマンさんが思いつきで企画できるような話ではないと言うことを分かっていただけたことと思いますが如何でしょうか。

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