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専門家を選定する基礎体力

 都市が直面している様々な問題の解決には専門家を招聘することが多く、中心市街地活性化の取り組みでは学識経験者・プランナー・タウンマネージャーなどの専門家が招聘されます。

 招聘する側が専門家に期待していることは何でしょうか?

 いうまでもなく、直面している問題の解決に貢献してくれること、ですね。具体的には、中心市街地・商店街活性化という問題について
①解決策の案出
②問題解決プロセス
という大別・二つの異なるレベルの作業についての支援です。

 招聘しようとする(orすでに招いている)専門家は、これらの作業について所要の支援を行えることが期待されています。必要な能力は、
①問題が起きている領域についての専門的な知識・技術 と
②②を活用して問題解決策を案出する能力 と
③関係者に問題解決策を売り込み、その気にさせる能力
に分けることが出来ます。

 一般化すると、①専門的な知識、②推理能力、③リーダーシップということですね。

 中心市街地・商店街活性化など「都市経営」上の問題の特徴は、
①利害関係者が多く、かつ、利害の内容が多様である
②関係者に共通する「価値」が前提として存在しない
ということで、これは企業やNPOなどの組織の場合と大きく異なるところです。このことを十分理解し、所要の措置を講じないままで企業経営や既存の商店街組織やNPOの経験者などが中心市街地活性化の音頭を取れるかというと、それは?です。

 さて、中心市街地活性化という問題情況では、関係者の利害の多様性ということから「合意形成」という難しい課題が存在するわけですが、これについても「専門家」の支援が期待されます。

 合意形成における専門家の仕事は、
①問題の定義を共有する
②解決策を決定する
③組織を編成する
という「合意形成の三段階」をリードすることですが、その前提となるのが「専門的な知識」です。

 上述したように、中心市街地活性化の支援者として招聘される専門家には、
①中心市街地活性化の実現に必要な知識・技術
②応用能力
③リーダーシップ
が必要ですが、なかでも「中心市街地活性化に必要な知識」については、装備しているだけではなく、必要により関係者にも修得させなければならない。
合意・統率の基盤ですからね。

 したがって、専門家は、
①知識技術を持っており かつ、
②それらを関係者に共有させるという仕事
が出来る能力を有していなければならない。

 特に、中心市街地・商業の活性化という問題領域では、
①従来から蓄積されてきた知識・技術・経験に基づく取り組みが成果を挙げられない
②問題情況は悪化するばかり
というなかでの取り組みが一般的であり、専門家の作業の量は相当なものになります。一から組み立てるのではコストパフォーマンスが成立しません。

 これが中心市街地・商業活性化における「専門家」が直面する状況です。
まあ、分かる人だけが分かっていることですが。さて、

 この状況において、専門家は何をしているか?

 ということが問題でありまして、だれにとっての問題かと言えば、もちろん、関係者全体にとっての喫緊の問題です。

 このところしょっちゅう取り上げているように、多くの都市の中心市街地・商店街活性化の取り組みは、「歩行者通行量」や「空店舗」という「対症療法的問題設定」に終始しています。

すなわち、
①歩行者が減っている・・・歩行者を増やそう
 居住者が減っている・・・マンションを建てよう
 来街者が減っている・・・来街目的を増やそう

②空地空店舗が増えている・空地空店舗を減らそう
 空地が増えている・・・・建物を建てよう
 空店舗が増えている・・・使用者を招聘しよう
という具合に「目に見えている情景」に反射的に対応しているわけです。

 つまり、何故通行量が減ったのか、何故空地空店舗が発生しているのか、という原因には遡及しない、現に目に見えていることだけに直接反応するという、つまり、脳内作業を伴わない「脊髄反射」的対応に終始しています。

 せっかく専門家を招聘しておきながらどうしてこういう羽目に陥っているのか?

①招聘した専門家の能力がそのレベルだった
②専門家が面倒くさがって、現場のレベルに合わせた
という可能性が考えられます。
どちらの場合も、専門家の仕事は、関係者の空気を読み「落としどころ」を作って提案するという役割で、専門家=発声者ですね。

 専門家が本来果たすべき役割を果たせないことのツケは、その原因が何であれ、やがては招聘した側に帰結するのでありまして、専門家はある日、現場を去ればそれでおしまい。
後は地元で取り繕う以外にありませんが、さて、気を取り直してもう一度トライできるでしょうか。トライするとしていったい何をどこからどうやり直したらよいものでしょうか。

 といった問題に各都市、これから否応なく直面していくことになるわけですが、フォローアップ作業などを見ますと、今さらながらに専門家の重要性、その選定の重要性が痛感されるのであります。
すなわち、専門家の選定に関わる都市側の基礎体力の程度が憂慮されるわけですが、皆さんのところは如何でしょうか。

 フォローアップ作業が一段落したこの時期、従来的な対症療法からの脱却が喫緊の課題であり、取り組みについてはさしあたり、現場常駐の専門家・タウンマネージャーさんあたりが言い出しっぺとなることが期待されますが、さて、実態は期待できるものでしょうか、どうでしょうか。

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