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テナントミックスとテナントリーシング

 「テナントミックス」は、中心市街地の商業活性化に取り組むうえで必要な概念ですが、きちんと理解していないままで、中心市街地活性化という仕事に導入すると、大きな失敗をする可能性があります。あらためて当社の考えを整理してみましょう。

 ご承知のとおり、『整備改善活性化法』では“TMOが行う中心的業務は、一言でいえば中心市街地の商業地を一つのショッピングモールとして再構築しようということです”(中小企業庁『TMOマニュアルQ&A改訂版』平成12年 49ページ)とされていました。
このマニュアルによれば、「TMO構想」は、“中小小売商業高度化事業に関する総合的かつ基本的な構想であり、いわば中心市街地商業活性化の全体計画”(同25ページ)です。

 さて、この位置づけを踏まえますと、新『中心市街地活性化法』で計画すべき「中小小売商業高度化事業、特定商業施設等整備事業その他の中心市街地における商業の活性化のための事業及び措置」は、“中心市街地商業活性化の全体計画(以下、商業活性化計画」という)”として計画されなければならない。
まあ、当たり前のことですね。
 
 新『基本計画』において「商業の活性化のための事業及び措置」は「商業活性化計画」として計画されなければならない理由及び計画の内容については、新旧の『法』・『基本方針』をしっかり読み込んで、確認しておくことが必要ですから、この機会にあらためて基本文書を読破してください。

なお、当社サイトの【都市経営・入門編】で展開している記事も併読してください。
“中小商業者の競争力の根幹は「業種揃え・店揃え」つまり「集積としての品揃え」にある、高度化事業はこれを活性化するために取り組まれるのだ”ということについて、一点の迷いも無いようにしておくことが必要ですからね。

中心市街地の活性化
基本方針を読む

※特に、後者は8本のスレッドに渡る超ロング記事ですが、これを理解していないと、タウンマネジメント業務は始まりません。もちろん、読んで理解するためには「背景知識」というか「前提知識」というか、「小売商業」についての理論を装備しておくことが必要です。なかなか適切な理論が入手できないのが困ったことですが。

 ちなみに新「法」では、TMO構想及びTMOについての規定が無くなりました。
“規定が無くなったから今後の中心市街地活性化には不要だ”とはならないことは、上記の作業を待つまでもなく、これまで実務に携わってきた皆さんにとっては常識のはずですね。

 さて、前置きが長くなりましたが。

 中心市街地活性化のスキームにおいて「テナントミックス」はもちろん、「法」~「基本方針」という事業の枠組みにおいて理解します。
①「商業理論」におけるテナントミックス概念を理解したうえで、
②枠組みの文脈で概念を再構成する
わけです。
では、やってみましょう。

1.テナントミックスとは
 複数の業容の店舗によって構成される小売業容(ショッピングセンターその他)における、集積を構成するための概念。
商業集積の構成業務は次のように考えられます。
①集積のコンセプトを決定する
②コンセプトを実体化する業容(三点セット=売り場・サービス・環境)を構想する
③構想に基づく売り場の設計(ゾーニング、売り場単位など)
※売り場単位とは、集積の業容を実現する品揃え・売り場揃えのうち、「個店」に分担させる部分。集積全体の売り場は、売り場単位の集積として実現される
 「売り場単位」とは「テナントシート」のこと。
④テナントミックスビジョンの作成(集積の売り場構成のあるべき姿。これは「モザイク  画」であり、そのピースがテナントシートである。)
⑤テナントリーシング
 テナントシートに座らせるのにふさわしい実在の店舗(業容)をリストアップし、交渉し、集積に参加させる業務。

以上が一般的な商業集積における「テナント」概念です。
これを踏まえてテナントミックスという概念を「中心市街地の商業の活性化」すなわち「中心市街地の商業地を一つのショッピングモールとして再構築」する事業の手法として用いる場合は、
①中心市街地の商業地の「商業機能としてのコンセプト」を決定する
②コンセプトを実現するために必要な業容(三点セット)を構想する 
③業容構想に基づき、売り場構成を構想する・・・「テナントミックスビジョン」
④「テナントミックスビジョン」を a 既存個店の業容転換で実現するもの b 空き店舗、空き地などを利用して新しく集積に招聘する店舗に分担させる=リーシングで実現するもの に区分し、それぞれタイムテーブルに配置する・・・「テナントミックス計画」。
⑤計画の実施 

2.テナントリーシング

 中心市街地の場合、テナントリーシングとは、④のbの業務です。
 SCなどの場合は、集積の構築=テナントリーシングですが、中心市街地の場合はそれだけではありません。
もっと重要な「既存個店の業容転換」という業務があることをあらためて確認してください。中心市街地のテナントミックスは、「既存個店の業容転換」プラス「新規テナントのリーシング」で実現する、これが中心市街地の商業集積としての再構築の基本的な手法です。

 再構築はショッピングモールでいえば、「既存テナントの業容改革を含むリニューアル」ですね。
違うのは、既存テナント(中心市街地に立地している個店)群の業容転換ということ。
誰が主導するか、どういう手順で実現するか、大問題であり、当然『中心市街地商業活性化の全体計画』を立て、そのもとで取り組んでいくことになります。

商業集積間競争が常態となっている時代に、あらためて“「中心市街地の商業地」を買い物の場・ショッピングゾーンとして再構築する”と決心したとたん、このような作業内容&工程に取り組むことが「必然」として要請されるわけです。

 新しい『基本計画』では、「中心市街地の商業地を一個のショッピングモールとして再構築する」という基本目的のもと、テナントミックスビジョンを構想し、テナントミックスを「業容改革&リーシング」として計画し、推進していく、『商業活性化計画』がきっちり作成されていることが必要ですが、さて、皆さんの都市の取り組みではこのあたり、どう考えられているでしょうか。
この計画が無いと、『基本計画』の全体が単なる個別事業の寄せ集め、事業期間が終了しても個別事業の成否が個別に見えるだけで、肝心の中心市街地の活性化=都市機能の増進と経済活力の向上は影も形も見えないまま、ということになりかねません。

『中心市街地活性化基本計画』のキモは、「商業活性化の全体計画」がきっちり立てられているか否か、というところにあります。「法」以下の枠組み、当サイトの論考などもう一度検討し、確認してください。

ということで、複雑・広範な問題を一気に書きましたので、いろいろ疑問などもあろうかと思います。→【理論創発コーナー】へどうぞ。

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