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所有と利用の分離

 ご承知のとおり、中心商店街再生研究会が提唱する商店街活性化策の最新版です。

提唱されているのは
①会社が土地を借り上げる
②建物を建てる
③テナントを募集する
④テナントの出し入れをもってマネジメントする
というビジネスです。

 会社=デヴェロッパーと置き換えると一目瞭然、これは郊外型SCの開設手法をまんま中心市街地で応用しようとするものですね。
デヴェロッパーの手法なら話は簡単、それが成立可能な前提条件まで全部分かっています。それらを踏まえて、この手法が中心市街地活性化策として妥当であるかどうかを検討しなければならない。
あれこれと賃貸借手続きを工夫するのはそれから先のことでしょう。中には「地代を顕在化させない」といった手法にしびれてやってみたくなる人がいるかも知れません。

 おっとどっこい、です。
郊外型SC的ビジネスが成立する条件は、だんだん細ってきておりまして、まず、テナントの争奪、借り手市場が続くことは明らかであり、つまり、SCはテナント候補企業群から選択されるポジションにあるということですね。
SCは「元気のあるテナント」を希望しますが、テナント側も「元気のあるSC」を選んで出店しようとする。一般的に、物件を既に構えているSCよりも、これから出店先を決定できるテナントの方が優位にある。
 テナントの出し入れもデヴェロッパーだけの特権というわけではなく、元気の無くなったSCからはテナントの方から出ていってしまう、ということもあるかも知れません。

 先日、イオン主宰のSCから三越が撤退を表明して話題になりましたが、劣化スパイラルに陥った、と判断すれば核店舗でさえもSCから撤退してしまう。

 そういうSCに「待ってました」と後継テナントが決まるわけもありませんから、「空洞化」が始まります。既に全国各地のSCで、テナントが入らないスペースをベニヤで囲うというパターンが続出していることは日頃見聞されているとおり、なにやら中心商店街空洞化のプロローグを見せられているような趣です。

 ということで。
「所有と利用の分離」が郊外型SCの手法の模倣だとすれば、その行き先もまた郊外型SCのそれに引き写しとなるのではないか?
空洞化からの脱出として大々的に取り組まれる「所有と利用の分離」ですが、劣化スパイラルに陥っている郊外型SCの二の舞になる可能性はけして低くはありません。
万一「二の舞」を舞うようなことになれば、その結果の悲惨は説明するまでもないと思います。

 問題は、「所有と利用の分離」に成功するかどうかではなく、その手法を用いて開設される商業集積が将来にわたって存続可能な条件を持っているか否か、ということでありまして、この重大な機能を「テナントの入れ換え」で済ませよう、済ますことが出来る、と考えているとしたらとんでもないことです。

 問題は「所有と利用の分離」よりもはるか手前、そもそもこれからの中心市街地に成立可能な商業集積とはどのような性格のものか、ということについてしっかり考えておかなければならない、という極々当たり前のことでありまして。
 そういう当たり前のことが検討された形跡が見えないのであります。

 どうも、施策を考える皆さんは未だに「大型商業施設コンプレックス」が抜けていないらしい。
 大型商業集積の外見と建設手法を学び、それを中心市街地に応用する、というのは、アーケード、カラー舗装、ポイントカード等々、これまでずうっと大型店の経営ノウハウを模倣してきた「活性化策」の延長上にあることが明らかであり、とするならばその命運もまた、それらの手法の命運をたどることになるのかも知れません。

 知ってか知らずか、百貨店の退出後の再利用に「待ってました」とばかりに「分離手法」で大型開発を計画する都市が多くなりそうな気配ですが、前後左右をよ~く考えてからにされることをお奨めします。

 それにしても。
いつまで経っても「はじめにハコありき」という思考から脱却出来ないようでは、商店街も中心市街地も、果ては都市そのものも将来はほとんど期待できません。

 所有と利用を分離して、ハコを新設する、という話の前に、中心市街地でどういう商売をしようというのか、どういう商売が成り立つのか、ということをしっかり突き詰めるのが先決ですが、肝心のそういう立場にいる人が「情報の必要」に思い至らず「たこつぼ」に入っていては・・・。

 ということで、中心市街地活性化話はたちまち首長さんの施政方針に直結します。

※当ブログの記事は、サイト「中心市街地活性化への道」中、【Daily Flash】から2,3日遅れて転記するものが多くなっています。
早く読みたい方は:サイトへどうぞ

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