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中小小売商業高度化事業 (長文)

 中心市街地活性化基本計画ではよく計画されている「中小小売業業高度化事業」ですが、実際の基本計画をみますと、その意義、内容などについてほとんど理解されていないケースが少なくありません。活性化事業に取り組んでも成果が挙がらない理由の一つはここにありまして、基本概念についての理解を欠いたまま作成された基本計画が有効であるはずがない。
 今さらながらですが、高度化事業の意義について説明したいと思います。

1.問題の所在

 中心市街地活性化法の中心的課題は底意所在する商業機能の活性化であり、とりわけ、商店街群を一個のショッピングモールとして再構築すること、すなわち陳腐化し、劣化している商業機能を「高度化」させることです。

 『基本的な方針』では、中心市街地における商業の活性化のための事業を①中小小売商業高度化事業 ②特定商業施設等整備事業 ③その他 に区分されています。
これらを取り組みの柱として基本計画を立案するにあたって、間違いやすいのが「中小小売商業高度化事業」の意味するところ。

 最初に申しあげておきますが、これを間違うと言うことは「商業の活性化」という問題領域全体についてとんでもない「誤解」をしている、ということになりますからね。
問題を取り違えておいて正解を出す、というのはあり得ないことですから、「中小小売商業の高度化」を正しく理解し、正しく位置づけ、正しく取り組まないと「商業の活性化」に届くことは出来ません。

 まずは、『基本的な方針』第七章(P10~13)をあらためて熟読玩味してください。
何ですか、中には「基本的な方針」を読まず・理解せず・活用せずに基本計画を作ってしまった、というプランナーさんもいらっしゃるようです。
青森・富山以下、先行都市の「見よう見まね」というのは見られがち、両市の計画が「中小小売商業高度化事業」の的確な理解の上に作られているか否か、については皆さんそれぞれチェックしてみてください。

 なお、「先行事例」の視察に行かれる際は、『基本計画』において「中小小売商業高度化事業」がどのように説明され、位置づけられ、取り組みが計画されているか、ということをきっちりチェックしてからにしましょう。
そもそも、『基本計画』において、「高度化事業」の趣旨・位置づけについてしっかり説明が行われないような取り組みは「先行」の名に値しません。

 先行作成されている基本計画には「基本的な方針」を読み・かつ、これに基づいて作成されたとはとうてい評価できないものが結構あったりします。
どこの計画がそうだとは言いませんが。

 ということで、あらためて「中小小売商業高度化事業」について、基礎の基礎から確認したいと思います。

※この作業、「整備改善・活性化法」当時の計画作成に先立ってきちんとやっていれば、ひょっとしたら計画の見なおしは必要なかったかも知れません。
 それくらい大事な作業ですからそのつもりでおつきあいください。

※なお、基本計画が出来上がり、認定も終わったところは、『基本計画』を基本とする「行動計画」を作成することが必要です。
作り方についてはあらためて検討する機会を持ちたいと思いますが、すぐに必要だと感じている人は、当社宛申し出てください。
簡単、かつ、低コストで適切な行動計画を作成する方法を提供します。
ただし、まずはとりあえず、「中小小売商業高度化事業」の完全制覇にチャレンジましょう。


2.高度化事業の目的

 そもそも高度化事業の目的は何か?

 高度化事業スタート時点の問題意識は、
①商店街に立地する個店は、消費購買行動の受け皿としてよく機能している
②近年進出してきた大型店の影響を受けている
③事業機会を確保するには、協同によって「規模のメリット」を実現しなければならない
ということでした。高度化事業=共同施設事業、共同経済事業のスタートです。

 共同の取り組みで実現しようとしたことは何か?
大型店との競合対策のようですが、本当の意味するところは違います。高度化事業が対応しようとしたのは、「消費購買行動の高度化」です。

 これまで、既存商店街しか「買い物行き先」が提供されていない間、お客にとって「ショッピング行き先」とは商店街が提供している〈業容3(アソートメント アシスタンス アンビオンス)〉のことでした。
百貨店、SM、GMSなどの登場による新しい買い物の場の提供は、お客にこれまでの狭いショッピング体験とは大きく異なるショッピング環境をもたらしました。新しい「選択機会」が提供されたわけです。
ショッピング行き先を選択し、新しい経験を蓄積することでお客の生活・購買についての知識はふか深まり、消費購買行動は多様化しました。
つまり、消費購買行動は、商店街全盛時代と比較して格段に「高度化」したわけで、「高度化事業」は表見、「大規模商業対策」のようですが、本当は「高度化した顧客ニーズへの対応」でした。

 商店街にとって「大型店対策」とは、“それらの出店により高度化した顧客ニーズにどう対応するか”ということですからね。
高度化事業は、その中の「規模のメリット」という言葉で表現される課題への対応を意味しています。共同施設、共同サービス。
しかし、一番大切なことはそれらの整備を通じて実現を目指す「ショッピングの場」としての総合的な機能の充実です。

 つまり、狭義の高度化事業とは商店街が「ショッピングの場」としての充実を目指ず取り組みのうち、「サービス&施設」についての共同事業のことです。
それが成功するためには、広義の高度化すなわち「ショッピング行き先として具備すべき要件の高度化」を目指す取り組みが計画され、その一環としての共同施設・サービス事業の取り組みでなければならない。

 個店にとって、「ショッピング行き先」としての機能のうち、もっとも重要なのは「品揃え・売場揃え」であり、商業集積・商店街の場合は、「業種揃え・店揃え」です。
もちろん、これは「欠業種」の店を誘致する、ということではなく「高度化した顧客ニーズ」に対応する「集積の高度化」、「アイテム揃え・売場揃え」を実現するための「業種揃え・店揃え」でないと意味がありません。

 国の『基本的な方針』では「中小小売商業の競争力の根幹」として「業種揃え・店揃えの最適化」が提唱されていますが、これは中小小売商業の競争力というよりも「商業集積の競争力」といった方がより適切ではないでしょうか。
郊外型SCのモール部分の「競争力」はそこに出店しているテナント群の「業種揃え・店揃え」に掛かっています。

 お客から見た「業種揃え・店揃え」とは何を意味するのか?
考えてみましょう。


3.高度化事業の目的=OVSの提供

 だれでもそうだと思うのですが、自分に興味がないアイテムばかりが売られているお店に頻度高く出掛ける人はありません。
お店に出掛ける目的を考えれば明らかです。

 どうせ出掛けるなら、ショッピング(買い物・下見・冷やかし・暇つぶし)にあれこれ使えるショップが揃っている方が楽しく、行き甲斐もあるというものです。
業種揃え・店揃えは、どんな人・ニーズにも対応するお店があれこれと揃っている、欠けている業種など全くない、ということではありません。特性の客相から見て「ショッピング」の対象になるお店・売場がどう揃えられているかということですから、お間違いの無いように。
 ちなみに、このことを指摘しているのは、多分、当サイトだけのはずです。

 RSCのテナントミックスは「自生的」でありまして、「元気のいいショップ」を揃えて開店、経過で売り上げ低迷、改善できないショップはお引き取りを願う、後がまには「元気のいいショップ」を連れてくるというパターンですが、二つの前提条件がありまして。

その一 RSC固有の客相のお眼鏡にかなわないショップは業績が低落する

その二 後がまに座りたいショップがひしめいている

 この二つがRSCのテナントミックスマネジメントの基礎ですね。
①業績が基準に達しないテナントは撤退させ
②予備軍から適材を選択採用する
と、お手軽なマネジメントです。(このレベルがRSCのテナントミックスマネジメントです)

RSCの客相とは:
①パーソナルニーズについて
②はやりの匂いぎんぎんのアイテムを
③低価格&セルフで買いたい
という客相ですね。

 こういうお客から見て業容A3をピッタリ作り上げ・維持管理しているショップが「元気がいい」わけです。

 ちなみにRSCの戦略的環境は、この「元気のいいショップ」予備軍が払底しつつあること。ダメになったら取り替えればいいさ、という安易なテナントミックスマネジメントが通用しなくなる日が目の前です。
RSC間競争の決着は一方の空き店舗の発生~定着化=「空洞化」をもたらします。人工商店街、所詮は商店街と同じ末路をたどります。

 これを防ぐには、正真正銘のテナントミックスマネジメント、現存個店の業容A3の改革による「入れ換え無しのテナントミックス最適化」をマネジメントできるかどうか、今後RSC間の競争は、この“眼には見えないレベル”が主戦場になるはずです。

 話がそれました。

 中小小売商業の高度化とは、こういう話だということが納得されたでしょうか?
消費購買行動の向かう先は「ワンビジットショッピング」の充実度合いで決まる、高度化事業の目的はショッピングデスティネーションを充実させることにあり、中心市街地の場合、
その方向は:ラグジュアリィ、
実現の方法は:現存個店群の業容革新と空地空店舗の活用
ですね。

 これがいまどきの「小売商業高度化」の定義ですが、慣行的理論に呪縛されていては、いくら国の『基本的な方針』をながめても「高度化事業」の意味が分かりません。
 意味が分からないと「対策」も「解決策」もまともなものが出てくるはずがない。せいぜい、ハコを作り直してプランドショップを招聘する、ということくらいしか思いつけないわけですが、ブランドショップが陳腐化して撤退した後は何で埋めますか?
という話もセットで考えないと、中心市街地のショッピングモール話は出来ません。政令都市のなかには中心商店街はチェーンストアの抜け殻だらけという例もあります。

 「小売商業高度化」の意味するところが理解されると、高度化事業の取り組みがハコもの整備ではないことがよく分かります。ハコの整備と同時並行で現存個店群の業容A3の革新を実現しないことには、賑わいの創出など出来るはずがないのです。
ということが分かれば『基本計画』jに記載されている高度化事業への取り組み方も多少は違ってくるのではないでしょうか。

 当エントリー、活性化は適切な「理論」あってのものだねだ、ということがよく分かる話になったかと思いますが如何でしょうか。
中心市街地活性化に取り組んでいくために必要な理論をフルセットで提供しているのは、自慢者に阿が(笑、クオールエイド社だけだということ、あらためて確認してくださいね。

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  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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