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「理論武装」について(長文ご注意)

 「パラダイムの変換」という言葉の方がなじみのある人が多いかも知れませんね。
「理論武装」とは何か、なぜ必要か、どのように獲得すればよいのか、等々について述べてみたいと思います。
 言うまでもなく、「商店街活性化」に限らずマーケティング全般がうまく機能していないのは、「もの不足時代」の理論で「もの余り時代」の現実に対応しようとしているミスマッチが原因ではないか、というのが私の一貫した問題提起であり、そのことを前提にした理論の提唱です。

 人間は毎日、外部の状況についての情報を入手し、機会と危機を評価し、対応策を考える、というような作業をしています。これは、ビジネスに限ったことではなく、毎日の生活のあらゆる分野で私達がふつうに行っていることです。
 このような情報の収集や加工は、白紙の状態で行われるわけではありません。何の先入観も持たないという条件は、いわば生まれたての赤ん坊のようなものであり五感を通じて取り込まれる情報を理解することは、生来持っている「快-不快」判断以外は出来ない、ということを意味します。

 私たちは自分の脳内に、生まれて以来これまでに経験したことで作られている膨大な知識を持っています。これらの知識は、外界を理解するための道具であり、「理論」と考えることが出来ます。もちろん、この理論はこれまでの経験から得られた「仮説」であることが多いことは言うまでもありません。
 情報を理解するということは、新しい情報を既に持っている理論のなかに位置付ける、ということです。この「既に持っている理論」は先入見と呼ばれます。つまり先入見は一種の理論なのです。

 外界から得られたデータは、先在する理論(知識)と照合されて理解されます。
理解するとは常に新しい経験を古い理論で理解する、ということであり、これは自分が持っている仮説の範囲に新しい状況を押し込むことです。
 さらに言えば、外界を理解する、ということは外界に自分の理論を押しつける、ということだと言っても良いと思います。また、そのような作業で認識した外界への対応(問題の解決策の案出-実行)もまた、自分が持っている理論(先入見)に基づいて作られるということです。

 つまり、人間の環境に対する働きかけは、徹頭徹尾、その人が持っている知識.理論に依拠している、ということになるわけですが、考えてみるとこれは大変なことです。我々が自分の持っている理論の能力から離れることが出来ないとなると、さて、自分がいま持っている理論は、現在~将来の外界を理解する道具として適切だろうか、という問題が生じます。(ここから科学が生まれるわけですが、科学については個人サイドで考えていきます)

 私たちが持っている知識=理論はこれまでの人生において、さまざまな機会にさまざまなルートから入手したものですが、互いに矛盾していたり、関係する外界の一部しか説明できない不十分なものであったりします。
 また理解しなければならない対象が大きく変化したりすると、これまでの理論で理解し行動したのでは対応を誤る -期待した結果を得ることが出来ない― ということも有り得ます。

 理論は出来るだけ頻繁に点検し評価し改善したいものです。事実、私達は毎日のように自分の理論を訂正しながら生きている、といっても過言ではありません。

 以上を踏まえて、商店街活性化に関する理論 ―現に持っている知識― について考えてみましょう。

今日、商業関係で「理論」として流通しているのは、ほとんどが郊外型ショッピングセンターが存在しなかった時代の商業に関する知識をもとに作られています。
 例えば、「小売集積の顧客吸引理論」、ライリーやコンバースの仮説とは、ショッピングセンターが登場する前の、二つの都市間の地域からの買い回り商品の買い物行き先について確率的な予測を行う手法でした。仮説が経験的に成立した=使えたのはショッピングセンターが登場する以前の買い物行動に対してだけなのです。

 現在の購買行動を考えてみますと、
①最寄りの店が購買行き先であることから「最寄り品」と呼ばれる食料品や日用消耗品は、車立地のスーパーマーケットまで出かける。
③気にいるものが見つかるまでショップを巡回することから「買い回り品」と呼ばれた選好性の高い商品(ファッション)などは、行きつけのショップで気にいるものがなければ買うのをやめる=買い回らない、
という行動が多くなっています。

 このように、現在(つまり、もの余り、店あまりという環境)の商業環境は、従来(つまり、もの不足、店不足という時代)の理論では理解できないことが多くなっています。
むしろ、従来の理論では気づくことの出来ない変化が起こっている、といってもよいでしょう。(この変化に気づかないと、消費購買行動の変化に対応することが出来ません)

 環境は激変しているのに、環境を理解し・手を打つための道具である理論は昔のまま、ということではせっかく苦労して対応策を考え、実行しても効果を得ることは出来ません。例えば、店前通行量がお店の業績を左右したのは、もの不足時代のことです。この時代は歩いている人が全て「もの不足」であり機会があれば、いろんなものを買いたい・欲しいという人がほとんどでしたから、商店街の通行客=潜在顧客だったのです。

 もの余りとは、通行客のほとんどがものに不自由していない、という状況であり、通行客は自店の潜在顧客でも何でもありません。こういう時期に店前通行量を増やす=イベントなどで不特定多数の人を集めるという「もの不足時代」の理論で対策を講じても成果が挙がらないのは当然です。
 
 古い理論をその根拠について再検討しないまま、新しい事業の企画に利用し、計画を実行することは、古い理論の新しい現実への押しつけ、ということです。
「現実」はどんな理論を押しつけられてもけして文句は言いませんが、その結果は必ずその理論を用いた自分自身に戻ってきます。すなわち、期待していた成果は挙がらず、時間とコストが宙に消え、徒労だけが残ってしまいます。
多くの商店街がいままさに体験しつつあるところです。

 このような結果が起こるのは「理論」と現実のミスマッチ、無意識のうちに使っている理論が時代遅れになっている、ということに気付かないということが原因です。

 考えてみればこれは大変なことです。
あなたやあなたの商店街、あなたの都市だけではなく、日本中の商業関係者のほとんどが、知ってか知らずにかはともかく、時代遅れの理論で商店街活性化に取り組んでいるということを意味していますからね。
活性化が実現できないのも無理はないわけです。

 「理論」とは対象について私達が持っている知識の全体のことです。意識しているかどうかに関わらず、私達は既に持っている理論でしかものごとを見ることは出来ません。時代が変わったから、新しい理論が必要だ、ということは同じものごとを新しい理論で見なければ効果的な対応が出来なくなっている、と言うことですね。

 「理論武装」とは無意識のうちに行動の基準にしている理論・知識と、現在の商業環境をきちんと説明出来る整備された知識とを置き換えることを意味します。けして白紙の状態の頭に理論を植え付ける、というようなことではありません。不断に行っている理論の改善に意識的に取り組む仕事です。

 転換期には全ての人が、“理論武装しますか、それともこれからも古い時代の常識を現実に押しつけ、その結果としての失敗を甘受しますか? という問いを突きつけられています。

 私どもが提案しているのは、

 もはや従来の理論に固執する限り分野を問わず、いくら努力しても期待されている成果を挙げることは絶対に不可能である、最優先で取り組まなければならない課題は、理論武装=理論の置き換えである、違いますか?
ということです。

 くり返しますが、間違った理論を押しつけられたからといって現実は文句を言ったり悲鳴を上げたりはいたしません。ただその結果が間違った理論を押しつけた側に帰ってくる、ということです。

 古い理論と置き換える理論は新しければ何でもよい、というわけにはいきません。
さしあたり私が推薦できるのはもちろん当社の理論です。
他にはあまり見あたりませんしね。

※まとめ。

①白紙の状態・先入見無しでものごとを見ることは出来ない。
②ものごとを認識するとは、先入見の外界への押しつけである。
③問題解決には問題をきちんと理解・説明できる理論が必要である。
④転換期には古い時代の理論を新しい理論の置き換える仕事が必要である。

ということについて理解されたことと思います。
「理論武装」とはそういうことですね。

 当サイトが提唱している内容を理解するということは、単にこれまでの先入見とは一風変わった知識として、つけ加えるのではなくて、繁盛店づくり、中心市街地商店街活性化、都市経営などをはじめ、「経営」において直面する問題の解決を導く理論として採用する、ということでないと実効的な価値がありません。

 これまでの経験の中で蓄積している「商業」についての先入見を当サイトの主張と一々突き合わせ、矛盾・対立する部分があれば徹底的に吟味したうえで、あらためて選択し直す、当サイトの理論と置き換える、という取り組みが期待されています。

 関係者が無意識のうちに外界認識-問題解決に使っていた、未整理の知識の山、断片的な知識の集合と当サイトが提唱する理論とを置き換えるということは、どういうことでしょうか?

 それは、無意識のうちに使ってきたさまざまの知識を一つの「体系」のなかに位置付け、先入見を全体的に筋の通った体系に整理すること、つまり細切れのまま蓄積してきた知識を「新しい時代の見方」を基準に再編:再統合する、ということを意味しています。
 理論の置換とは、細切れ知識の寄せ集めを新しい視点で整理して体系化すること、付け加えではなく、整理して置き換えることだと言うことに留意していただきたい。

 考えなければならないことは、これからも見よう見まね・断片的な知識を頼りにやっていくつもりですか、それとも頑張って新しい理論と置き換えますか? ということです。

**************

以上、旧メルマガ『コンサルタントの眼』 No.40 2003/4/18 (Fri)より。


 クオールエイドの特徴は、現場のコンサルタントでありつつ「理論」レベルの仕事にも取り組んでいる、ということでしょうか。
仕事をする上で必要と考える知識・理論・技術がどこにも提供されていないため、やむを得ず。

 当サイト常連の皆さんは、好むと好まざるとに関わらず、「理論の交換」という問題に直面していおられるわけで、これに地元だけで取り組むのは大変です。着手まで、着手後、それぞれいろいろと「難所」が待ちかまえています。
当社のこれまでの業務は、活性化実現の支援であると同時に、「難所」との戦いでもありました。

 どちらかといえば「活性化の実現」への取り組みよりも「難所」の処理にあたって挫折する、ということのほうが多い。つまり、活性化が実現できないのは、それが難しいからではなく、関係各方面の「方向と方法」についての形成が難しいため。
その原因は「問題をどう理解するか」という入り口での合意形成が無かったこと、さらにいえば「問題の理解」という合意が必要だということが理解されていなかったため。
「理論の交換」につながる合意は予想以上に難しいのです。

 ということで。
新スキーム、基本計画に基づく取り組みの現状を考えつつ、昨日に引き続き「理論」についての繰り言を述べました。

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  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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