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商店街の数値目標

クオールエイドが各地で商店街の勉強会「商人塾」を受託運営をしていることはご承知ですね?
3時間×10回というコースを私が一人で担当します。


 商人塾にはたいていお菓子屋さんが参加されています。
共通しているところがありまして、年輩であること、後継者を修行に出していること、など。
 受講の動機も共通しており、繁盛再現という他の店主さんと共通する期待の他に、「息子が帰って来たとき、息子が主張するであろう新しい方針を理解するため」ということです。こういう動機が共通していることの背景にはお菓子屋さんたちの「勉強」に対する考え方があり、これは皆さんに是非参考にしていただきたいところですが、とりあえず今回は別の話題。


 今日のニュースは、息子が帰ってきて「〈店づくり〉をちゃっちゃと転換してしまった、正面衝突間違いなしのところ、商人塾で勉強していたため、息子の言うことがよく分かり、うまくいった」という人。
息子さんには私も一度会いましたが、なかなかの好青年でした。
この人が修業しながら「うちの店は如何にあるべきか」を考え続けている、一方、店では親父さんがその帰りを待ちながら夜遅くまで商人塾、イベント参加、組合活動のリーダーとがんばっておられる・・・。
という二年間がこの春、見事に実を結びました。大将の勝利、ですね。
 今年の商人塾には息子さんが参加することでしょう。


 と、塾頭である連合会の理事長さんからお知らせがありました。
理事長さんも大変嬉しそうでした。こういう話が伝わるとみんながいっそう盛り上がっていいですね。
 お菓子屋さんの同じようなケースは他の塾でもありまして、来年は別の街で同じような〈情⇔景〉が見られると思います。


さて、数値目標主義。


 中心市街地活性化、実現が遅れているのは目標が具体的で無かったからだ、という説があります。確かにおっしゃるとおりでありまして、「緑あふれる・・・」とか「歴史・文化・伝統を活かした・・・」といった抽象的な文言では「中心市街地活性化の一体的推進の目標」にはなりにくい。


 ところが、せっかくの「具体的目標を立てよう」という提言ですが、これが「活性化するには通行量の増大が必要だ」という先入観と結びつくとどうなるでしょうか?


 「具体的目標を立てる」ということが「通行量増大の目標を立てる」と言うことになり、さらに「目標管理~評価がしやすいように目標を数値化する」という考えが加わると、「年次ごとの通行者数」が中心市街地活性化の具体的な目標となってしまう。
 当サイトでは先にその実例を紹介しました。


 第一に、「具体的」と「数値」は違いますからね。


 「ショッピングモールを目指す」というのは中心市街地/商業街区を活性化するための「具体的な目標」ですが、「通りの通行量を○○人にする」というのは、「通行量を増やす」という目的にとっては確かに具体的な目標でしょうが、「中心市街地活性化」という目的にとってはどうでしょうか?


 目的が商店街活性化(新しい定義では活性化とは「機能増進&経済活力の向上」です)の場合、通行量を増やす、ということを直接の目的にするというアプローチでは本来の達成すべき目標に届かないと思います。


さらに言えば、通行量を増やすための仕掛けのモノ凄いこと。
○居住人口を増やす
○就業人口を増やす
○来街人口を増やす
○散策の仕掛けを増やす
○イベントを増やす・・・
その結果、通行量が増える・・・?
お望みどおり人口が増えたと仮定して、それがそのまま「通行量増大」につながるのか? 通行量こと来街者は何を求めて商店街にやってくると想定されているのか?
「来街目的」はなんでしょうか? 
人が歩けば「経済活力の向上」が実現する・・・?


 ということで。
数値目標を立てれば、それが即、中心市街地活性化の具体的な目標を立てたことになり、したがってその数値目標を達成すれば中心市街地活性化が達成される、というようなお話はお話のママで終わります。


 こういう流れは、どうして始まったかと言いますと、「人通りの多い街が元気のいい街だ」という「定義」からです。
その定義のきっかけになったのが佐世保市の中心商店街の状況。


 ご存じのとおり、平日でも・経済的に落ち込んでいても・お店でモノが売れていなくても・人通りはびっくりするするほど多い、ということから「日本一元気な街」と折り紙をつけられた佐世保市の中心商店街ですが、地元ではどのように評価されているか。
たとえばここなどに商店街の状況がいろいろと描かれています。
「日本一元気がいいからこのままでよい」という意見は地元でも少ないのではないでしょうか。


 私は具体的な目標は「ショッピングモール」でOK、問題は実現の手法に現実性があるかどうか、ということだと考えています。
どうしても数値目標にこだわるのなら、
①1年後に「売り上げが好転した」「商売の存続に希望が持てるようになった」という店主が○%増える 2年後、3年後とどんどん目標数値を上げていく、とか、
②2年後に空店舗率を○%まで下げる
といったものでないと活性化(機能が増進し経済活力が向上する)を評価する指標にはならないか?
目標を設定するのは、目的である「活性化」を実現するため、したがって設定される目標派、これを達成すれば目的が実現される、ということを疑問の余地無く明らかにしておかなければならない。
とフツーに思いますが、あなたは如何ですか?


 ちなみに、①、②などを数値目標にするのなら、上位目標は当然、「ショッピングモールとしての再構築」になるわけですが・・・。
もちろんこの目標は「中心市街地活性化」のうち「商業街区の活性化」という目的を実現するための「具体的な目標」です。


 申しあげたいのは、
①中心市街地活性化に向けて具体的な目標を立てることは必要だが、それは「活性化実現の方向と方法」を具体的に選択する、ということである。
②方向と方法抜きで抽象的な数値(通行量とか)を掲げて「この数字を達成することが活性化の実現である」「この数値を達成すれば全ては解決する」と言うようにだんだん短絡してしまうのは全然具体的・実践的なことではないのではないか。
ということです。


ということで、ここからが本論ですが(笑
数値目標主義の皆さんには、今日紹介したお菓子屋さんの事例などはなんの意味もないことでしょう。
人口もちろん増えませんし、通行量も目に見えて増えるわけではない。


 ところが実は。
後継者が帰ってきた、お店が変わった、という話はどんどん拡がっていきます。なにしろ「商人塾・おもてなしイベント」や地元新聞の報道などでその「業容」は再確認・再評価されていますから、話題になるしその伝播も早い。行ってみなくちゃ、という人が増えています。
腕に覚えの先代(といっても現役ですが)がGOサインを出した新・業容ですから、堪能客相の支持もバッチリでしょう。
ご祝儀来店や新規お試し来店やもちろん固定客も来店頻度が増す・・・。
ということでますます「商売繁盛」という可能性が高くなりました。


 注目していただきたいのは、この間、「人口はただの一人も増えていない」ということです。人口が増えなくてもきれいに成立する繁盛事例であり、現に起きている事実だということです。


 今すぐ取り組める・取り組みやすくて結果の出る・中心市街地活性化の方向と方法を実践した場合に起こる商店街の活性化=「経済力の向上」事例です。
人口増がすべてを解決する、という考えは、人口が増えない限り何をしても効果はない、という諦念と裏腹のことが多い。
想像力が貧困というか、想像力の使い方がマンネリ化しているというか・・・。


 このお店に新しく「お試し来店」して気に入り、お得意客になった人がある日隣のお店にも「お試し入店」したとします。
商店街に来た一人の人が二つのお店に入れば、来街者1が来店者2となる・・・。
入店数の多い人ほど「繰り返し来街」の可能性が高くなり、来街するごとに・・・、
と考えれば、これが商店街ならぬ「商業集積」の集積力です。


 人口は増えなくても(さらに言えば多少減少したとしても)お店・商店街が繁盛する方法はあるのだ、ということが得心されたことと思います。
小売店は「人口」相手、人口が多ければ街は繁盛すると思っている人は、是非、その実例を挙げていただきたい。
「数値目標」はそれからでも遅くはありません。


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