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中心商店街再生の研究

 国では〈中心商店街再生研究会〉という組織が新設され、「中心商店街の再生」が研究されています。そろそろ成果が公開される頃でしょうか。

 “中心商店街の再生について研究する”今どきになってこういう調査研究にあたる組織が立ち上げられなければならないということ自体、大変な問題の所在を物語っておりまして、「法」のスキームが出来上がった後で「研究」が始まるとは、それでは、従来的スキームの改革・改善として提出された新しいスキームはなにに基づいて作られているのだろうか?ということですね。
もちろん、当社のようにあらかじめ理論を装備し、「中心市街地活性化という問題」を理解し、「活性化への道」という〈解決策〉を準備している場合は、それに合わせてスキームを活用して「計画」を作ればよいわけですから何の問題もありません。

 ところが実態としては、問題の理解と解決策を持たないまま、スキームに基づいて思いついた事業を羅列すれば「活性化計画」が出来上がる、それに取り組めばまちを活性化できる、という短絡的な思いこみに基づいて取り組まれる、という事例が多いわけですから、
①問題の理解 と
②解決策の案出 と
③取り組みの計画
三者のあるべき関係についてあらためて確認しておくことが必要ではないか、ということですね。
 ウェブ上でもいろいろな提言が行われていますが、それらの提言は、依って立つ理論が示されていません。
従来的な取り組みの改善を目指すものですが、基本的な問題の理解と解決策の関係が適切に理解されていないために、目的達成という本来の任務に適切に対応することが出来ていません。
といった問題は、内容が多岐に渡っており、当サイト全体が対応しているところです。ご承知のとおり。

 以上を踏まえて「調査研究」について。
 中小小売商業、商店街の振興に関する調査研究はこれまでも多く行われているはずですが、残念なことに、成果の蓄積が見られません。商業に関する〈専門用語〉の共有、定義の共有も実現していません。
 実際に陳腐化し「再生」が必要な商店街が現前するのですから、〈再生〉という課題を直視しながら「理論作業」を行えば、成果を得ることはそれほど難しいとも思われませんが・・。

 今回の研究会の成果は、ぜひ、「商店街再生」という問題の理解&解決に必要な〈専門用語〉の定義という作業にもしっかり取り組んでいただきたいものです。

 と、ここからが本論です。

 新『中心市街地活性化法』のスキームが発足して二年、早いところでは『基本計画』の作成~新しい取り組みが着手されて一周年を迎えています。
計画期間の2割が既に消費されたわけですが、果たして目標数値達成などの進捗状況などは如何でしょうか。

 うまく進捗していない、とか、数値目標は達成可能だが商店街の活性化という目的実現には結びつかないようだ・・、といった「中間結果」が見られたら、「目標の見直し」が必要かも知れません。もちろん、「目標の見直し」は事業体系の見直し・指導理論の見直しを意味するわけですが・・・。
これまでの取り組み、指導的な役割を担ってきた「商業理論」「都市計画理論」の中身が問われなければならない。

 折しも新『基本計画』第一号・青森市からは、取り組みの「中核事業」であった複合集客施設「アウガ」の物販部門の不振が伝えられています。
 これから対策が講じられるるわけですが、問題は、「対策」がどのレベルで考えられるか、ということです。

 中心市街地に集客力のある都市機能(施設)を整備することで、来街者を増やし、これを商店街に回遊させることで中活性化を実現する、という新スキームの基本シナリオは、今回はじめて登場したものではありません。

 旧スキーム当時から、このシナリオに基づく取り組みは、よく見られましたが、期待された成果は挙がりませんでした。(アウガ自体も整備されたのは旧基本計画において)
中心市街地に非物販集客施設(図書館とか)を整備した、数百万というオーダーで来駕者が増加したが、商店街への回遊は実現しなかった、という事例は多いのです。

 こういう結果は、“回遊とは何か、発生させるには何を為すべきか”という問題を解明しないまま、場当たり的に事業に突入することが原因で発生しているのですが・・・。
早急に対応策が講じようとされていますが、対策に先立ってこれまでの取り組みの総括が不可欠です。
さらに言えば、総括が適切な「問題」を探し当てるためには、理論的な総括が不可欠です。

 一般に「集客施設を整備することで回遊を創出し、活性化を達成する」というシナリオを描くなら、実行に移す前に「実効性」を確認しなければならない。

○〈回遊〉とは何か? なぜ起こるのか? を解明する。
すなわち、〈回遊〉について理解すること。
○「回遊を発生するには、何をしたらよいか?」
すなわち、「回遊」を実現する施策を考える。
 この二つの異なる性格の問題に〈解答〉を出すことが「理論」の役割です。〈解答〉が得られれば、従来的取り組みの至らなさが疑問・否定の余地無く現れます。

 「図書館を建てて人が集まれば商店街が活性化する」

 取り組みの失敗は、眼を凝らせばいくらでも見えるはずですが、どういうわけか関係各方面には「他者の失敗事例に学ぶ」というビヘイビアがありません。もっぱら「成功事例」ばかり珍重されるのですが、「勝ちに不思議あり」多くの場合、成功事例にはあなたのまちでは実現できそうもない様々な要因が複合的に作用しています。
それを無視して「○○に取り組めば商店街は活性化する」と短絡するのがある種の「失敗事例」に共通する「失敗の原因」です。

 ということで、こと、ここに至れば「調査・研究」のテーマは、あれこれの施策についての調査研究ではなく、
“これまでの取り組みはなぜ成功しなかったのか”
ということを解明する、というところにあるのではないか?
それも、ことここに至れば、アイから図の施策レベルの適否の評価に終始するのではなく、「ものの見方・考え方」つまり「方法論」レベルに遡って「成功しない理由」が追求されてもいいのではないか?

 活性化への取り組みの軌跡はそのまま「挫折の歴史」です。
毎回、「これまでの取り組みは○○だった」と皮相的な〈総括〉が行われ、次は「○○ではない方向」で新たな事業が導入され流、というパターンの繰り返し。
「問題の解明&解答の案出」という作業が自覚的・理論的に行われないため、問題の解明という段階を無視した・場当たり的・衝動的な取り組みが、手を変え・品を変えながら、ずうっと継続されているわけです。
〈失敗〉の教訓化も行われていません。

「これまでの取り組みはなぜ成功しなかったのか?」
商店街の再生について研究するというのなら、まずはこのことをきちんと〈理解〉し、その上で何を為すべきか、〈解答案出〉に取り組む、という「理論的アプローチ」をしないと期待されている成果を得ることは出来ない、と断定しなければならない。

 この問題を理論的に解明しないと、またしても「商店街を空洞化した犯人」探しに終始することになります。
またしても「真犯人」を名指しして「捕り物」に向かうことになるわけです。
今回、指名手配されている「真犯人」はどうやら地権者のようですが・・・。

 犯人だと思って捕まえてみたらどうも違うらしい、では本当の犯人はだれだ? というレベルで模中憶断、当てずっぽうで施策を考え・実行する、という「闇雲」的方法で取り組んでいる・取り組み方自体が問題だ、ということに早く気づいて、メタレベルで適切な方法を講じないと、また次の「真犯人捜し」に奔走することになりかねません。

 「地権者」の次に指名される犯人は、「テナント誘致に応じないナショナルチェーン」になるのでしょうか。
そうすると対策は、ナショナルチェーンを対象に「空き店舗活用事業」の補助金を使わせる・・・?
話はどんどんズレまくって行くわけですが・・・。

 再生研究会の研究テーマ・提案される方策が「所有と利用の分離の実現」レベルならば、理論的問題解決という課題については、個々の都市ごとに取り組まざるを得ないことになります。

 一周年を迎えた・迎えつつある中心市街地の課題は、
“これまでの取り組みはなぜ実っていないのか”
という現状を理論的に解明し、突破していく〈解答〉を案出するという「理論的」な問題に取り組むことです。
この作業を「よく分からない・出来そうもない」ということでサボったままで事を進めようとする都市は、失敗にさらに失敗を上乗せする、という従来的取り組みを継続することになります。

 関係者としては“そんなことはない”と確信したいところですが、その確信には根拠がありませんね。
他方、「失敗に失敗を重ねる」結果になるであろうことは、理論的・合理的に推察されるところです。

“これまでの取り組みはなぜ実っていないのか”
具体的な個々の事業に問題があったのではなく、それらの事業を「解答」として位置づける理論段階に問題があったのです。
このことについて真摯な反省をしたうえで、全体としての取り組みを再点検しなければならない、と思い当たった人は作業着手に先立ち、当社の支援を受けることを検討してください。
自力試行だけで「期待される成果」=取り組みについての「ものの見方・考え方」を「理論志向・解決志向」に転換することは容易ではありません。多分、時間掛かりすぎ。

□商店街主催の商人塾

 昨夜、佐賀市北水商店街(協)の第40回総会が開催され、takeoは20年度の主要事業に位置づけられている「繁盛店づくり」、商人塾について説明しました。
40周年といえば、組合の草分け的存在ですね。
商人塾の〈勉強〉は、「勉強と実践と交流」の〈三種混合〉です。
その一 〈勉 強〉
①問題情況を理解する
②直面する問題に解答を出す
その二 〈実 践〉
①〈解答〉に取り組む
②取り組む過程で発見される問題に取り組む
その三 〈交 流〉
①取り組み経験を交換する
②交換過程で新たな問題解決に取り組む

 ということで、“繁盛する売場が軒を連ねる”商店街の再生を目指す商店街が勉強しなければならない〈理論〉は、“活性化の推進に役に立ちそうな「知識」を増やすこと”ではなく、問題情況を理解する、解決すべき問題の解答を出す、という作業に密接に関わっています。
理論無しで状況を理解する、問題の解答を出す、ということは不可能だ、というレベルでの〈勉強〉です。

 大事なことは、問題解決に利用している「理論の性格」。
〈理論〉を用いて解答(解決のシナリオ)を作り、問題を解決しているのだということを自覚していない取り組みで用いられている〈理論〉には多くの場合、シナリオに「無理」があったりします。

 ということで、いまどき必要な「調査研究・勉強」とは、〈理解と解決〉のための理論を装備する、という課題に直結していないと、現下、中心市街地・商店街が入り込んでいる袋小路を脱出するという問題の解答にはなりません。
本当の問題を解決する「解答」の一つが、当社が提供する「商人塾」です。
商人塾的・理論的勉強を抜きにした「活性化への道」がどうして構想できると思うのか、ひとつ、じっくり考えてみていただきたい、と思う今日この頃、皆さん、当ブログの最近の論調との相性はいかがでしょうか。
  

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進化する売場研究会

  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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