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中心市街地のテナントミックス

 中心市街地活性化、取り組みの特徴の一つは「専門用語」が定義無しで濫用されていることです。
問題領域が多岐に渡り関係者も多様な取り組みですから、各専門分野についてあらかじめ所要の知識を持った人ばかりが参加しているわけではありません。たとえば、都市計画系と商業系とでは使用している用語は同じでもその意味するところは全く違う、ということはいくらでもありそうです。
例えば「回遊」とか「吸引力」とか。

 基本計画の作成を牽引する専門家がスタート時点でまず最初に実現しなければならないのは、「専門用語の定義の共有」ですが、果たして実際の取り組みでこの作業が行われたでしょうか?
 ほとんど行われていません。その証拠に「基本計画」には「用語集」が付いていません。作成過程に参加していない人(特に商業者)にも配付、理解してもらわないと事業推進がうまく行きません。
本来なら、計画決定後、商店街・商業施設を対象に説明会を開く、計画書を配付する、といったことは当然やらなければならないことですが、行った都市は極めて限られているのではないでしょうか。商業者に説明しなくても実行できる事業だけが計画されている、ということでしょうか。

 今からでも遅くはない(遅かったとしても)ので、特に商店街の皆さんには「中心市街地・商業の活性化はこういう段取りで実現する」という説明会を開かれたら如何でしょうか。

 これから基本計画の作成に取り組まれるところは、ぜひ心掛けていただきたい。
その時、「これじゃぁ、おらっちには関係ない」などとそっぽを向かれないように。

 前置きが長くなりましたが、標題について。

 基本計画ではよく「テナントミックス」という言葉が使われています。もちろん定義抜き、です。

 文脈から判断すると、
①空店舗・空地を利用して
②欠業種・業態を誘致する 
ことらしいと分かります。

 テナントミックス=空店舗(出来れば空地にも)を欠業種・業態で埋めること、ですね。もちろん、右から左にこちらが寄贈する業種業態の出店希望が出てくることは難しいので、「だれでもいいから空店舗埋めて」ということになってしまったりする。

 いずれにしても、テナントミックスとは空店舗にテナントを誘致すること(つまり、テナントリーシング)、という意味で使われています。ここからテナントリーシング(SC)=ショッピングセンターのスキルということでSC経験者がタウンマネージャーに招聘されたりするわけです。

 テナントミックスの本当の意味は、
①商業集積が全体の業容で実現する「来店目的」を定義する
②②を実現する業容三点セットを構想する
③品揃え~売場揃え~テナント構成を計画する
④適格テナントを集め・配置する
⑤最適状態を維持する
ということです。
まあ、SC業界でどう定義されているかは知りませんが。

 中心市街地活性化の文脈で使われるとき、「テナントミックス」は“街ぐるみでの業種揃え・店揃えの最適化”であり、ここでいう「業種揃え・店揃え」とはとりもなおさず、「街ぐるみでの品揃え」のことです。わが商店街ではどのような類型のショッピングが可能か、ということ。

 つまり、機能が空洞化している商店街を「業種揃え・店揃えの最適化」に取り組むことで「ショッピングの場」として再構築する、というのが中心市街地・商業の活性化の目標ですね。
皆さん、耳にたこができているかも知れませんが、このことはしっかり覚えておいてください。
他の文脈で使われたらビビッとアンテナに響くくらいに。

 テナントミックスは、“空き店舗に商店街には無い業種の店を誘致する”とか、“一流ブランドショップを誘致する”などで実現できるほど簡単なことではありません。
上記①~⑤に取り組むことが「業種揃え・店揃えの最適化」であり、これを実現することで集積としてのターゲットに想定する消費購買行動に対する吸引力を創造し、同時に各個店の「売り上げ」を確保する基本条件を作ります。

 そのためには、『基本計画』段階で「中心市街地の商店街・商業施設が一体となって実現を目指す「商業機能コンプレックス」を定め、単位商店街・商業施設のあるべき姿を描き、既存の各個店が「テナントミックスの最適化」の取り組みに積極的に参加し、各個店の業容革新を通じて集積の業容構築に参加する、という仕組みを作らなければならない。

 これを実現しないと。
①中心市街地の集客力が構築できない
②劣化スパイラルは加速の一途
という結果が必ず起こります。

 余談ですが、当社が提案・提供している「商人塾」は、中心市街地、現状ありのままからスタートする「テナントミックス最適化の道」でもあるわけです。

 さて、新スキームをしっかり理解していれば「テナントミックス」とは“業種揃え・店揃えの最適化”のことであり、それは“売場揃え・アイテム揃え”につながり、既存各個店の「業容革新」に直結している、ということは「専門家」ならすぐ分かることです。
そうしますと、活性化の実現には既存各個店の「業容革新」が必須であり、もちろん、これは業績不振に苦しむ各個店の利害とも直結しています。

 『基本計画』のメイン課題=「テナントミックスの最適化」の取り組みにおける最重要課題は、まず「既存個店の業容革新」であるという問題意識を共有することです。
 そのためには、「テナントミックス」という専門用語の意味するところをきちんと理解し、かつ、その理解を関係者全員が共有していることが必要です。
 なにはさておき、計画作成に関わる人たちは「勉強」を重ねて理解を共有しておかないと、「知恵」が出てきません。知識の裏打ちの無い意見は「思いつき」の域を出ませんからね。
思いつきが悪いわけではありませんが、採用するについては理論・知識による「裏打ち作業」が必要です。

 長くなりましたが、中心市街地活性化のスキームにおける「テナントミックス」の意味と意義、あらためて確認してみました。「テナントミックス」をこれ以外の意味で使うときは、それなりに定義し、かつ、使用する意義を明らかにして関係者で共有しないと何のために専門用語を持ち出したのか分からなくなります。

 というところで基本計画作成済みの皆さんへご質問。
皆さんの『基本計画』、作成に参加しなかった人を含めて関係者に何が「共有」されていますか?

 前回の基本計画作成~実施プロセスで確保し、現在も活用していることがありますか?
それは何ですか?

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進化する売場研究会

  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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