「中小小売商業高度化事業」

 「中小小売商業高度化事業(以下「高度化事業」)」は、『整備改善・活性化法』ではじめて登場した、中心市街地活性化を考える上で欠かすことの出来ない概念(専門用語)ですが、その意味するところをどれだけの人が理解しているか、といいますと、さあ、どうでしょうか。

 少なくとも、これまでにWeb上に公開されている基本計画ではほとんど理解されていないように見受けられます。
これは大変なことでありまして、
○高度化事業を理解しないで、高度化事業を適切に計画することが出来るのか?
○高度化事業を理解せずに計画された高度化事業で中心市街地活性化を実現することが出来るのか?
という大変な疑問が生じるわけでありまして、これは本当に大変な問題なのですが、皆さん、大変な問題だ、ということは理解していますか?

 中心市街地活性化のスキームでは多くの「専門用語」が、定義しないままで使われています。特に商業関係の用語については、多くの場合、定義が行われていなかったり、定義されていても実態にそぐわなかったりしているため、スキームの構築にあたってはあらためて定義することが必要だったと思うのですが、「ショッピングモール」など定義抜きで使われており、このことが原因となって生じている混乱もあるようです。

 ということで、スキームを十全に使いこなすには、まずは専門用語を理解するという作業が必要です。多くの場合、定義されていないので、前後の文脈関係から理解する、という作業も必要になります。そうしますと否応なく「商業をどう理解しているか」ということが問われるわけですね。

 ここで取り上げるのは、「中小小売商業高度化事業」という用語です。初出は、『整備改善活性化法』です。
その意味するところは、(以下、「都市経営・入門編」過去記事から引用)
「中小小売商業高度化事業の趣旨」

*********** 元記事における引用 *************
『基本的な方針』第7章 (1)中小商業高度化事業
①趣旨
 中心市街地における中小小売業業の活性化のための取組が、従来、
1.個々の商店街ごとの活性化努力に止まり、複数の商店街による広域的な中小小売商業の発展に必ずしも結びついていないこと
2.もっぱら基盤整備などの周辺事業に止まり、中小小売商業としての競争力の根幹である業種揃え・店揃えの最適化に関する取組が不十分であったこと
3.街のさまざまな事業主体との連携が不足していたこと
などを踏まえ、商業者を取り巻く様々な関係者との連携の上に立った、意欲的な中小小売商業者による業種構成・店舗配置、基盤整備及びソフト事業を総合的に推進し、周辺地域への波及効果の認められる商店街等中商小売商業の高度化を通じた中心市街地のにぎわい回復に資する取組を戦略的かつ重点的に促進するものである。

*********** 元記事における引用終わり ***********

そもそも「中小小売商業高度化事業」とはどういう事業かといえば、
法第七条「定義」7 に定められている、
①商店街整備事業
②店舗集団化事業
③共同店舗等整備事業
などです。
参照:
空店舗などにも適用されます。

高度化事業とはこういう事業のことですから、
「中小小売商業の高度化」の目的を「商業機能の高度化」すなわち、
①高度化している消費購買行動への対応
②多様・激化している競争への対応
 というように、活性化を実現するために必要な努力の総合と考えれば、「中心市街地の商業の活性化=商業機能の高度化」は、法定の「中小小売商業高度化事業」の取り組みに終始するものでは無いことは明らかでしょう。

「中小小売商業高度化事業」は、「中心市街地の商業の活性化」という目的を達成する目標である「中心市街地の商業機能の高度化」を実現するための事業ミックスの一部を構成するものである、という位置づけです。
もちろん、どのような高度化事業をどのような仕様で実施するかは、中心市街地に実現を目指す「商業機能」によって規定されます。

 ここで述べられている「趣旨」を視点に高度化事業を構想するならば、必要な事業・取組の範囲は、高度化事業の範疇に止まるものではない、ということですね。

“意欲的な中小小売商業者による業種構成・店舗配置、基盤整備及びソフト事業を総合的に推進し、周辺地域への波及効果の認められる商店街等中小小売商業の高度化を通じた中心市街地のにぎわい回復に資する取組を戦略的かつ重点的に促進するものである”

「中小小売商業の高度化」は、高度化事業の手法、上記①~③を駆使して取り組む、業種構成・店舗配置の最適化、基盤整備、ソフト事業を総合的・一体的に展開・推進することで実現されるもの、高度化事業による施設整備はそのための手段です。

 目的は、高度化事業の計画・実施ではなく、「商店街等中小小売商業の高度化」であることをくれぐれもお忘れなく。

 人通りが増える、大型店を誘致する、あるいは街区の整備、共同施設の整備などなどに「つまみ食い」的に取り組めば「商店街等中小小売商業の高度化」が実現する、その方向に接近できる、というのは大きな誤解です。

法に定められた中小小売商業高度化事業は、
①高度化している消費購買行動への対応
②多様・激化している競争への対応
すなわち、様変わりしてるい経営環境において中心市街地の「商店街等中小小売商業」が活性化するための取組の総称としての「商店街等中小小売商業の高度化」への取組、事業ミックスの一環として位置づけられ、取り組まれないと所期の目的を達成することはできません。このことは声を大にして強調しておきますね。
 〈引用終わり〉

 「中小小売商業の高度化」と「中小小売商業高度化事業」の関係が理解されたでしょうか。
ちなみに引用したのは2006年8月の記事です。
基本計画作成の関係者(担当者・受託者)が『基本的な方針』をしっかり読み込み、「中小小売商業の高度化」と「中小小売商業高度化事業」の“区別と連関”を理解し、計画作成に反映させ、この計画をもとにTMO以下の組織が「業種揃え・店舗配置、基盤整備、ソフト事業」を一体的に推進することで「ショッピング行き先」としての中心市街地の再構築に取り組んでいれば、中心市街地の様相は今とは異なり、
①「総務省の行政評価」の内容が異なり
②「まちづくり三法」の改正内容が異なり
さらにいっそう「中心市街地における商店街等中小小売商業の高度化」を推進する方向で「紛れ」のない方向と方法が提示されることになったかも知れません。

 ということで、『基本計画』を作ってしまったところも、これから作る都市も、「中小小売商業の高度化」という文言の意味することについては、もう一度しっかり確認されたうえで、「何を為すべきか」あらためて構想することが必要だと思いますが、あなたはどう思われますか?

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