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計画の作り方

計画の作り方

2003年、ワークショップから
タウンマネージャーさんにプラニング業務には参考になるかも。

  TMOを担当する立場になった人がこれまで所属していた組織で計画立案業務に携わっていた人ばかりとは限りません。
また、これまで経験がある人でもTMOのように守備範囲、関係団体などが多岐多様な組織の場合、これまでの経験では押し進めることが出来ない、無視して進めるととんでもない結果を引き起こす、場合によっては立案者自らに危険(W が及ぶ、ということにも成りかねません。

 計画の作り方、とリわけTMOの場合について考えてみましょう。
その前に当サイトの計画策定業務に関する論考は一通りチェックしておいてください。
そのために「サイト内検索機能」があります。

■問題提起

 TMOレベルが担当する計画は、『基本計画』、『TMO構想』を受けて作成される、「実施計画」です。
これは2種に分けられる。

第1に、TMO構想に記載された事項の実施計画。
『基本計画』に頭出しした中小商業高度化事業のうち、特定の期間に実施するものについては、その実施時期、実施主体などが『TMO構想』において絞り込まれています。これらの事業の個々について『中小小売商業高度化事業実施計画』を策定する。
これは合意形成段階がクリアできれば計画策定自体はさして問題ありません。もちろん、当該高度化事業、この時期に取り組む根拠、全体への波及効果、採算性などシビアに検討しなければならないことはいくつもあります。これらについては、中心市街地の大型商業集積についての論考をチェックしてください。いくらか書いていると思います。

さて、このスレッドで問題にするのは、「高度化事業」=ハード事業以外の計画策定です。たとえば中心市街地所在の商業集積全体を一個のショッピングモールに見立てた場合の「テナントミックス計画」など。


■留意事項 
  TMOが作成を担当する(業務の事務窓口の場合も含む)計画の多くは、TMO事務局が直接その推進にあたることが出来ない事業の計画です。特にショッピングモールへの転換、まちぐるみ/個店の転換といった活性化の成否を左右する取り組みについては、TMOが直接自分の手で出来ることは限られています。

計画のほとんどは、TMO以外、とりわけ商店街組織をはじめとする商業者の取り組みに関わるものです。
他人の行動や経営、資産の命運を左右する計画をTMOが実施主体となって作っていくわけですから、企業の経営計画作りなどとは難しさが格段に違います。
このあたりのことをわきまえないままで基本計画やTMO構想などをのりとはさみで編集するというような迂闊な作り方をすると、総論賛成・各論反対ということで事業全体が行き詰まります。

そのころには担当者は異動しているかも知れませんが、肝心の活性化事業の方はうんと遅れ、かつ、関係者間に相互不信が生まれたりする。

■計画は机の上で作る

計画作りには現場感覚が必要、とはよく言われるところですが、私は標題の通り、計画は机の上でそれも一人の人間が作るものである、と考えています。
当社が受託する計画策定業務の原案はすべて私が一人で自室でパソコンに向かって作りあげたもの、現場で作ったものは一つもありません。

計画作成は「ここから先は実践段階」というところまで考え抜かれておくことが必要です。それも具体的に計画に関わってくる一人一人の個性・特徴を考えながら、所与の条件からスタートして計画が動き出し、成果が挙がっていく、というところまでを想像・シナリオ化することが必要になる。
さらにその背景には、中心市街地活性化に必要な様々な方位・レベルの知識・技術はもちろんですが、施策群などスキームについての知識も欠かすことが出来ません。

音楽に例えればあるオーケストラがあるホールで一回きり演奏するための楽曲の作曲、といったところでしょうか。
しかも楽団員は全員不慣れなので作曲作業の傍ら練習に立ち会い、さらに上演の暁には指揮をする、というのが中心市街地関係の計画策定担当者・プランナーに求められることです。

ちょっとずれましたが、計画は一人で机の上で作る、という常識とはいささか異なる計画策定の実態について、議論したい人は書き込んでください。


■会議は踊る 

基本計画の改訂という話が聞こえてくるようになりました。
早いところですと、作成以来5年、作成の背景となっている条件が大きく変化した、あるいは、事業組織の再編が必要になった、など事情はいろいろですが、共通しているのは「会議をすれば答えが出る」という思いこみ。
会議の構成も前回同様、肩書きで招集するいつものメンバー(W

日頃、活性化とは何か、街や個店がどうなることか、といった問題を考えたことはおろか、活性化を実現するにはそういう問題を自分たちで考えることから始めなければならない、ということさえ気付いていない人たちが、何人・何回集まっても「回答」は出ませんね。つまり、活性化に必要な「知恵」が出てくる根拠が作られない。

従って「回答」まがいは、
1.これまでの商店街単位の事業を全体に広げる
2.ショッピングセンターをまねてみる
3.他都市の事例をまねてみる
というところでまとめられることになります。

日頃問題意識皆無の参画者、いつかどこかで聞いたことのある「事業メニュー」や「大型ショッピングセンターもやっている」、「先進事例を参照」などという前置詞にころりといかれて判断停止。大勢という名の「その場の空気」が決定権を持つ。
全体の雰囲気を決定するのは計画に自分の事業の命運を賭ける商業者代表の皆さんですが、何しろ当て職、何しろ組合執行部ですから事態に適応した発言など出来るはずがありません。(だって、これまでそういう場で発言すべき内容を学んだこともなければ最低限の要件としての組合での議論も無いまんまでの会議参加ですからね)

かくて、基本的に前回の計画と同様、ショッピングモールへの転換への具体的な取り組みの計画も、それに代置されるなんらかの「一体的推進の目標」も掲げられない「基本計画」が出来上がって委員会の任務は完了・・・。

計画は会議では作れませんからね。
これは中心市街地活性化に限らず計画一般に言えること。
「計画は現場や会議では作らない、計画はプランナーの机上で作られる」

司馬遼太郎さんの小説には日本海海戦のおり、連合艦隊の作戦参謀が自室のベッドに寝転がり、焼いた大豆をポリポリしながら作戦計画を立案するシーンがありました。


■学級民主主義 

代ニッポンの義務教育では小学校で「学級自治会」といったものがありまして、テーマを出し、議論し、決定する、というパターンを刷り込まれます。

これ趣旨はなんだと思いますか。

学習ということを前提に考えれば、「組織の意志決定に自分の意見を反映させるための訓練」ということがあるはずです。つまり、ディベートですね。
ところが実際はどうか。

1.みんな平等、一人一票
2.どんな意見も平等に取り扱う
3.最終決定は多数決

ということだけを学習して卒業する。上級学校も実社会もその延長ですから、今や社会全体に学級民主主義が蔓延している。
とりわけ、地域経営に関する計画というように、今すぐ特定の誰かの直接利害に大きく関わる、ということが無い場合は顕著です。

その典型的な例の一つが「中心市街地活性化基本計画」ですね。

物事が学級民主主義で解決するなら専門家はいりません。
「中活法」関係のコンサルタントがほとんどいないのは、このことが影響しているのかも知れません。

計画改訂に向けて委員を委嘱された皆さんは、もう一度「自分は中心市街地活性化基本計画を議論するために必要な見識をいつどこで修得したか、そもそも必要な見識とはどのようなものか」ということをじっくり考えてみられるとよろしい。

議論の前に知識を修得しなければならない、ということがお分かりになるはず、行政の担当者も「今度こそ」と考えるならこのことに目をつぶって進めるわけにはいきません。


■「メタ」の仕事 

  第一にやらなければいけないことは、「計画策定事業」の計画を作ること。

{(計画を作る事業)の計画}を作ることがTMO(担当者)の最初の仕事です。これを作らないで「事業計画書だな、わかった、早速作ろう」と走り出すと、途中でとん挫する。
「計画案」は机上で作られるが、意志決定は会議で行われる。
意志決定に至る過程はきちんと計画され、かつ、意志決定に関わる皆さんに了解されていなければならない。

TMO計画の特徴は、意志決定参加者=事業推進者=自分の事業の命運を計画に賭ける人、ですからね。
このあたりを抜きにしていると、これまで通り、棚の一隅を占拠する「計画書」が出来上がるだけ。もちろん貴重な時間と引き替えに、ということになります。

では、「事業計画策定事業」の計画は如何にあるべきか?

■計画の構成 

日本海海戦のトピックを司馬遼太郎さんの小説から借用しましたが、「計画」についても作戦計画を考えてみましょう。

作戦計画の骨子

1.作戦の目的
2.敵の状況
3.味方の状況
4.作戦地域の環境与件
5.目的達成のシナリオ
6.各編成単位の行動
7.その他

とまあ、こういう具合ではないでしょうか。

一番大事なことは、「作戦の目的」を明確にすること、瞬時の判断が要求されることが多いわけですが、判断は作戦目的(上位計画及び前提となる事項を含む)を基準に行われることが肝要です。
作戦目的レベルで失敗、実戦も大敗したのが「ミッドウエー海戦」です。

余談はさておき、「作戦計画」を「中心市街地活性化計画」に置き換えてみますと、

1.作戦の目的=活性化の定義
2.敵の状況=顧客の変化・競争の変化
3.味方の状況=商業者の状況
4.作戦地域の環境与件=地域の商業環境
5.目的達成のシナリオ=これが計画の目玉
6.各編成単位の行動=街区・集積ごとに計画
7.その他=必須は理論研修・人材育成

如何でしょう、皆さんの「基本計画」、こういうことがきちんと入っていますか?

ちなみにシナリオとは、①所与の環境条件において、②手持ちの勢力資源を持って ③目的を達成するための方策 です。
作戦計画では、目的~状況分析(彼我の勢力判断も)~目的達成シナリオの妥当性が中心、これを各職種のプロがチェックする、という立て前になっていますが、中心市街地では誰がチェックしたんでしょうね。

というより、計画と目的、シナリオの関係が明確に意識されていなかった?
そもそも計画目的が実現する、実現しなければならない、という意欲が強かった訳でもない?
というところに決着したりして(W

■「活性化作戦」の難しさ? 

戦争と中心市街地活性化、机上で考えてどっちが難しいかと言えばそれは中心市街地活性化。

戦争の場合はプロがひしめいています。
装備、練度なども掌握、戦史・戦訓なども関係者に共有されている。上位部隊の作戦計画が示されればその遂行を分担する各構成単位の行動計画がトップダウンで作成される、という仕組みが出来ている。
それだけの背景知識が日頃から準備されているということで、常備軍の平常業務はこのために存在するわけです。

他方、中心市街地の活性化における「味方の状況」はといえば・・・

1.共同作戦に必要な背景知識の共有は皆無、構成単位(TMO推進協議会メンバー、TMO、各商店街組織など)はそれぞれ「見よう見まね」の知識を持って動く以外に方法がない。
 しかも「見よう見まね」理論の内部の整合性などチャックしたことは一度もないし、そもそもチェックしなければならないという問題意識も持ったことがない。

2.作戦目的は掲げられていない。「活性化計画」でありながら活性化とは何か、定義されていない。すなわち「目的」がないの作戦ですから各構成単位の行動もめちゃくちゃになる。

3.商業者の状況、理解していても打つ手が考えられていない。
 一言で言えば見よう見まね、成り行きで繁盛し、成り行きで衰退している、というのが全国商店街産業です。ここでいう「商店街産業」とは商店街のことだけではありません。メーカーから問屋、小売店に至る「消費財供給業」のチャネル全体を指しています。
つまり、これまでの消費財供給産業は「見よう見まね」だったというわけで、これは別に避難でも批判でもありませんから誤解なさらないよう。かっては見よう見まねプラスちょっとの工夫で十分繁盛できましたし、下手に「革新」などを心がける=リスクを負う必要は少なかったですからね。
 そういう環境にあっ商店街の皆さんが理論武装や技術革新に取り組まなければならないと言うことになっても即断即決、直ちに姿勢をあらためる、というのは難しいことのように思えるかも知れません。

4.購買行動の変化、競争条件の変化が把握されていない。
環境変化といえば、少子高齢化、情報化とお定まりのフレーズが列挙されているだけ、それらの変化が商業環境にどう影響するのか、ということが分からないと作戦は立てられません。
商業活性化にとってもっとも基本的な環境与件である「もの余り・店あまり」ということについて全く理解されていない。
どうやら皆さんのところでは平成15年においても「もの不足・店不足」という状態が続いているとお考えらしい。

5.活性化のシナリオ
ないないづくしの中での活性化、とてもシナリオなどはありません、というのがおおかたの基本計画の中味です。

6.構成単位の行動計画
したがって、上位目標もないまま、各単位ごとに「やりたい事業」を申請、やる気のあるところから(すなわち無目的の事業に賛成を取りつけた組合からということ)事業に着手、結果は着手する前から誰の目にも明か、という事業がスタートする・・・。

7.理論修得・人材育成
こうして「作戦計画」に置き換えてみますと一目瞭然、活性化を実現していくシナリオを作るための前提となる条件が何一つ検討されないまま計画が作られた、従って計画も活性化計画の名に値するようなレベルのものではなかった、ということが自動的な帰結になります。一読もせずに計画の至らなさが推測出来る(W

中心市街地活性化は何故難しいか?
これは簡単、地元の皆さんがよってたかって難しくしているから難しくなる(W
中心市街地活性化、環境与件は可能性を準備していますが、難しくしているのは「作戦本部」のせい(W

活性化するためには何が必要か、まずは考える、不足しているところを補う、というところから始めれば展望は出て来ます。
このことは、当社と提携・協働で取り組んでいる皆さんには実感できることだと思います。

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進化する売場研究会

  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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