スーパーマーケットと明治維新

スーパーマーケット(以下「SM」)は1930年代に米国で発明されました。グロサリーのチェーンストアに勤めていたマイケル・ケインという青年が、自社のグローサリーの売り上げをアップするために「家庭内食事の献立材料」をすべて品揃え、ワンストップで調達できる店舗として作りました。uikipedia参照

 SMが輸入されたのは50年代、高度成長期です。米国で絶頂期を迎えていたSMは商業関係者から時代の商業の担い手、流通革命の担い手として熱狂的に迎えられました。
商店街立地の中小小売店の店主や後継者が参入、「米国に学ぶ」大きな潮流が生まれました。
何しろ米国で大成功した業態、まずはこれをお手本として出来るだけ本家本元の売り場を再現することが成功への道。指導に当たったコンサルタントも米国詣でをしてはそのハウツウを「伝導」しました。その方法は、文字通り、「見よう見まね」。理由・目的は不問、ひたすら本家の売り場づくりを真似たのです。教科書も丸暗記、「考えるな丸暗記せよ」。

 講師に質問すると「人類4千年の商業の歴史の精髄は米国SMに体現されている。自分の頭と人類4千年の歴史、おまえはどちらを信頼するのか?」と恫喝されたそうですからね。きっと講師も丸暗記組、答えを持っていなかったのでしょう。

 ちなみにこういう教育訓練を受けて出世した人たちが今現在、各業界のトップに位置しています。同業他社の見よう見まねと差別化以外に革新的な店づくりが出てくる可能性は大変低い。銀座シックスなんか本当に業界の考えそうなこと、ですね。

 なぜ、SMが登場し、業態として確立したのか、GMSは、コンビニはどうか、ホームセンター、ディスカウントストア、バラエティストアは?
ショッピングセントター、モールはどうか?
業態論というか、業態の生成発展の理論的解明は行われていない。
これは商学系の研究者の責任。
各種業態、それぞれ最初は特定の個人がゼロからコンセプトを作り、業容を設計してつくり上げたものですが、日本に輸入されると、発明の経緯などはまるで興味なし、「これからの乗り物はこれだ」ということで一斉になびきました。ひたすら本家本元のあるがままを、理由も考えずに実行する。
創造性などは全く出る幕がない。

 ということで今日に至っているのわが国の小売商業界。
コンサルタントの多くはこの業界、時流に乗る=成功事例のマネをするという精神的風土からスピンアウトした人たちですから、その言動については、まあ、思い半ばを過ぎるものがありますね。

 この経緯によく似ているのが、明治開国の状況です。
近代以降の日本は「追いつき追い越せ」ということで欧米の「成功事例」の表層をなぞって現在に至っている。
そのスタートを担ったのは、各般にわたって招聘された御雇い外国人。
制度導入のプロジェクトを指導したのは御雇いさん達、我が先人たちはお雇いさんプロデュースのもと実行部隊を担いました。
御雇いの中には見よう見まねレベルに必死の弟子たちを心配してもっと基礎基本を学べぶようにと忠告した例もありましたが、眼前、目のくらむような成功事例を見れば、一日早くそれを入手したい、基礎理論なんか知ったこっちゃ無い、というわけですね。
これが官僚養成・帝國大学学風。官僚無謬論の淵源は比較衡量する対象の無かった御雇い言説無謬論かも。

 我が国で業界を問わず、一般論やコンセプト作成などが苦手な理由はこのあたりにあるのでは無いかと言うのが我々の見立て。
見よう見まね、カイゼンは得意になりました。

 ところで。
商店街活性化、空洞化し、放っておけば消滅する可能性が高い商店街をもう一度商業集積として再生する、という課題に取り組んだ事例は、外国にはありません。ガラガラポン・転用事例はたくさんありますが。
これは自分たちが「仮説―試行」で挑戦しなければならない課題ですが、雀百までなんとやら、やっぱり成功事例を求めて真似ようとするんですね。
成功していようがいまいが、知ったこっちゃ無い、先行している事例があればうちもやる、というのが商店街活性化の本流ですが、その淵源は結構深い(^_^)
 自分の頭で考える、ということを身につけないと商店街の再生は出来ませんよ。成功事例・モデルはありませんからね。

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追記

明治開国の文明開化とスーパーマーケット導入の経緯が似ていることを発見してビックリしました。
どちらもともかく先方の事例を絶対正しい〈真理〉であるかのように取り扱い、それに近い順に権威がある、という風土。

モデルが取り組んでいない新しい試みは、頭から間違っているとして否定されます。
こういう精神的な風土を乗り越えないと商店街活性化という欧米に前例の無い取組を〈真似〉では無く、自力でコンセプトを作り、実現のシナリオを描いて取り組見、実現することは出来ないと思います。実際に取り組むとそんなに難しいことでは無いのですが。

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