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「経済活力の向上」の指標

 ご承知のとおり、新『中心市街地活性化法』では“中心市街地活性化とは、中心市街地における都市機能の増進と経済活力の向上である”と定義されています。
これは画期的なことです。『整備改善活性化法』では中心市街地活性化の定義は行われていませんでしたから。

 改正「法」に基づいて作成される『基本計画』では、中心市街地活性化の基本的な目標を決定し、さらに、数値目標にまで落とすことが求められています。ご承知のとおり。
皆さんの『基本計画』における目標は、どう決定されているのでしょうか。「あるべき目標」について考えてみましょう。

1. 基本的な目標」について。

 新「法」の枠組みで取り組むわけでから、基本的な目標は、「中心市街地活性化の目的」を承けて、ジャンル毎・計画期間中の達成目標を決定することになります。
が、目標を決定する前に整理しておくべきことがある。

2. 「都市機能の増進」と「経済活力の向上」の関係について

 ふたつが並立されていますが、そもそもこのふたつを区分して考えるのはなぜか?

 中心市街地所在の都市機能には、直接に経済活力に関わる①産業・経済的機能と、②非産業・経済的機能があります。
両者はどのような関係にあるのか?

 ②の機能もその発動によって、あるいは利用者の派生行動によって、①への波及が考えられます。
 「都市機能の増進」は②の拡充で実現し、「経済活力の向上」は①がになう、という静態的な区分は出来ませんし、また、都市機能とは②のことであって、①は含まない,というのもおかしな話です。
法定中心市街地所在の主要な都市機能の一つは「小売商業機能」であり、空洞化し・緊急に活性化しなければならない都市機能も「小売商業機能」だということを否定する人はいないでしょう。

3. 両者の関係

 「都市機能の増進」と「経済活力の向上」は中心市街地活性化の目的として並列されていますが、両者の関係はどう考えるべきか?
ということは、皆さんの『基本計画』ではこれまで全く考えられておりません。(考えましたか?)
このことについては本来なら、基本計画の冒頭、「中心市街地の活性化に関する基本的な方針」で明らかにしておかないと、指標~目標~数値目標を目的整合的に導き出すことが出来ません。
このあたり、プロのプランナーならぜったいに許されない、というかあり得るはずがないポカなんですが・・・。

※『基本計画』における「基本的な方針」は、それこそ活性化の成否を左右する重大事項ですが、既存認定基本計画では、「基本的な方針」は決定されていません。これはもう「プランニング能力の不備」が指摘されても起こるわけにはいきませんね。

4. 目的・目標達成を測る「目標数値」

 経済活力の向上という目的を達成する取り組みの指標として、何を立てるか?
達成の度合いを測る基準としてどのような目標を選択するか?
ということを決定するのは、すぐれて「理論」的な作業です。『基本方針』ではいろいろな「(数値化可能な)目標」が例示されていますが、それらがなぜ「目標」として適格か、ということは説明されていません。
“なぜ特定の目標の数値的上下が「経済活力の向上」実現の取り組みの結果を測定する指標になりうるのか”ということは、直感で決定できるとは限りません。
「経済活力」を定義し、その向上を図る指標を決定する、まずこのプロセスを論理的に導き出した上で、一定の期間における当該目標についての「達成数値」を決定する、という段取りになります。
これまでに認定された基本計画で掲げられている指標やその目標数値の決定に当たり、このような作業にきちんと取り組んでいる例は皆無だと思います。

5. 指標としての居住・通行量の増大

 「住む人・来る人を増やす」結果、増加するであろう通行量と、商店街の「経済活力の向上」とはどのような関係にあるのか?
なぜ、「通行量の増大」が商店街活性化のバロメーターになるのか? 「通行量」を目標として、達成数値を掲げている『基本計画』においてこのことを説明している例はないと思います。
プランニングに当たった人は、プランナーとしての適格を備えていたのか、疑問が生じるところです。

6.事 例
 
 一昨年でしたか、当社はWeb上に公開されていた某市のフィールド調査の結果を分析しました。
①商店街の通行量が減少傾向にあった
②非物販集客施設を設置したところ通行量は下げ止まり増加に転じた。
③しかし、商店街の景況は低落傾向は続いている。
という結果が報告されていました。

 公表されていた調査報告書を当社がさらに分析した結果、
①復旧した「通行量」の大部分は、非物販集客施設への訪問者である。
②買い物客は依然として減少傾向が続いている。
ということが分かりました。
 
 人通りが復旧すればとおりは賑わいまずが、それが「経済活力の向上」に直結するものではない、ということ。
「経済活力の向上」の指標として「通行量」は適切ではない、ということ
このふたつがフィールドワークで示されています。もっとも実施主体ではそこまで掘り下げた分析はされていませんでしたが・・・。

 商店街の通行量が減少しているということは、とりもなおさず、商店街に買い物の行き先としての魅力が劣化しているということです。
こういう情況に陥っている商店街が「あの手この手」をもって通行量の増大に取り組み、実現したからといって、増えた通行量が入店客・買い上げ客になってくれるということはありません。

 増えた通行量は、非物販施設をデスティネーションとする人たち、この人たちの「買い物行き先」は既に別のところに確保されており、だからこれまで商店街には来ていなかったわけですから、たまたま別の用事で機能劣化に陥っている商店街の各店舗、店先を通ったからと言って買い物する気になるはずがない。

 といったことは、目的~指標~数値目標を設定する時点で分かることです。分からないのは「想像力の貧困」。
中心市街地空洞化の真因はひょっとしたら「想像力の貧困」かも。

7.課 題

 「経済活力の向上」、何を指標とするか、というところに都市の「経営能力」、プランナーさんの「プランニング能力」の水準が現れます。
ここで間違うと“万事休す”となる可能性極大。
くれぐれもご留意あれ。
もちろん、当社との協働関係を確立されているところには何の不安もない個所ですが。

 新・『基本計画』、「第一号認定」に“右へならい”しすぎです。先行事例があるということは有り難いことですが、それは見よう見まねするためではなく、“この計画で本当に都市機能の増進と経済活力の向上が達成されるか?”という視点で批判的に検討し・その成果を自分たちの計画に活かすため、ですからね。

 「目標&数値目標」の考え方について、当社の考えを説明します。
【都市経営コーナー】
『中心市街地活性化・数値目標について』

※ ところで。
「中心市街地活性化」は遅ればせながら定義されましたが、「商店街活性化」の定義はどうでしょうか?
取り組みがスタートしておおかた30年は経っていると思いますが、「商店街活性化とは商店街の何がどうなることか」未だに定義されていない、というのは凄まじいことですね。

 もちろん『基本計画』の「商業の活性化」の項には、イの一番に書いておかなければならないことです。「都市機能の増進」と「経済活力の向上」を踏まえて定義してください。

当社の定義については、「サイト内検索」でどうぞ。

この情報、普及の価値あり、と思われたら
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