商業理論の不備という問題

商学という分野があります。
経済の流通部門を対象に理論的に解明する学問です。卸、小売業が主な対象です。
なかでも解明が期待されているのは「小売業」であり、その舞台である『売り場』ですね。
売り場の構造はどうなっているか?
売り場の効率を高めるためにどうすればよいか? という経営課題に取り組むための基本知識が商学に求められます。

しかし、商学はその期待に応えることが出来ません。
なぜか?理論に不備があるからです。

どんな不備があるのか?
現実の商業のありかたを理論的に説明することが出来ない、という根本的な欠点ですね。

商学の専門家である三家英治先生の言葉です。
学問としての商業学も例論的な体系化は早くから試みられてきたが、昔からほとんど前進せず、いわば発展途上国にもなれない暗黒の大陸のど真ん中にある未開拓地のようなものであった”
三家英治著『要説 商業とは何か』晃洋書房1994


 商学が現実の商業の世界と向き合えないのは、『大店法』当時から全く改善されていない欠点、商学は当時も今も実在する店舗、業態を理論的に説明することが出来ません。
コンビニエンスストアとスーパーマーケットの違いを記述することは出来ますが、「両者は何故違うのか?」を説明することが出来ません。現実の商業、個々の店舗は何故、見られるような品ぞろえ、提供方法、売場環境にしつらえられているのか?
商学は説明することが出来ません。
と言うことは、個店、売り場の原理的な構想が理解されていないと言うこと、理解する必要が無い、という前提で理論が組み立てられているのです。
従って、大店法当時大問題であったスーパーマーケットなど大型店の主点に対する対策を求められても大型店の分析が出来ない、対応策が提案出来ない、ということがありました。

  このことは、大店法時代、大型店への対応を巡る取組の中で、商業経営者に『商売と理論は別もの』というように認識されました。以来、商店街活性化などで商学の研究者がその学説に基づいて取組を指導する、と言うことはほとんどありません。
中心市街地活性化基本計画の作成などに学識経験者として参加しても、議論をリードするために必要なアイデアはその理論からは導出出来ませんから、意見を求められても他の参加者と大同小異の意見しか述べることが出来ません。

商店街―中心市街地活性化ん9お取組の中で商学者の異見が求められ、尊重されることは無くなっています。
論壇に登場するのはもっぱら傍系の社会学方面の人たち、商学系の発言が乏しいのは,商学理論の\現実離れ』に由来するのかも知れません。

昨年は,中心市街地活性化基本計画が終了した44都市の結果について総務省が行政評価監視報告を公表しましたが、目標を達成した計画は皆無、取組の効果は発源していない、というものでした。総務相は、「原因の解明と対応策」を求めました。
ご承知のとおり。
この状況に意見を発表した商学系の学識経験者はあったでしょうか?

商店街活性化とその実現を目指す目標数値=歩行者通行量との関係を学問的に明らかにしている学者は無いと思います。
理論的に支持するわけでも無ければ批判もしない。するだけの理論的な展開が商学の理論には出来ないのです。

商学が社会的な使命を果たすためには理論構成の見直しが喫緊の課題。
『売買集中の原理』を基礎に措いている限り、商学が現実の商業、商店街活性化という問題の解決に貢献出来ることは無いと思います。

新しい『商学原論』の構築が必要になっています。
誰が取り組むのか?
我々は掲示板やツイッターなどで関連する言説を断片的に発表していますが、関係者の問題意識と交わっているかどうか・・・。

(※この稿は続きます

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