「目標:通行量の増大」の本当の意味

知ったら恐ろしくなりますよ(^_^)

『中心市街地活性化基本計画』における「経済活力の向上」及び、『地域商店街活性化法』における「商店街活性化事業計画」では目標達成の数値目標として、『通行量の増大』を掲げる都市、商店街がほとんどです。(ちなみに中活法における「経済活力の向上のための事業及び措置」は商店街活性化のための事業です)

 『通行量の増加』とは、商店街の恒常的な通行量=買い回り客数の増加のことですが、ご承知のとおり、なかなか達成することができません。その理由についてはこれまで幾度と無く検討してきたので、今日は別の視点から「活性化策としての通行量の増大』を考えてみます。

  「通行量の増大」は、商店街活性化の目標として適切かどうか?

 「通行量の増大』を手段として実現を目指す『商店街活性化』とは商店街がどうなることか?

 商店街が活性化出来ないのは、【商店街活性化】が定義されていないから。
商店街を活性化する、といいながら「活性化」が定義されないまま【活性化策】がどこからともなく、というか、誰かが思いつきで取り組んだことが、成果も残っていないのに先例となって受け継がれ、伝搬して活性化策の【定番】になる、というお粗末な方法が罷り通っている。
改善するには、【商店街活性化とは街がどうなることか】きちんと定義し、定義した活性化を実現するために必要な事業群に順序よく取り組まなければならない。
第1番の仕事は、活性化の定義。

 中活法では、中心市街地の要件を三つ提示しています。
第1郷要件(集積要件)
  当該市街地に、相当数の小売商業者が集積し、及び都市機能が相当程度集積しており、 その存在している市町村の中心としての役割を果たしている市街地であること。

第2号要件(趨勢要件)
  当該市街地の土地利用及び商業活動の状況等からみて、機能的な都市活動の確保又 は経済活力の維持に支障を生じ、又は生ずるおそれがあると認められる市街地であるこ と。

第3号要件(効果波及要件)
当該市街地における都市機能の増進及び経済活力の向上を総合的かつ一体的に推進 することが、当該市街地の存在する市町村及びその周辺の地域の発展にとって有効かつ 適切であると認められること。

ちなみに中活法において【経済活力】とは、
『基本方針』の「経済活力の向上のための事業及び措置」:
“・・・① 中小小売商業高度化事業、②特定商業施設等整備事業、③民間中心市街地商業活性化事 業、④中心市街地特例通訳案内士育成等事業、⑤大規模小売店舗立地法の特例措置等で ある”
つまり商業等の活性化のための事業のことであり、経済活力とは、商業の活動に関わる概念です。
ここで阿蘇の定義にはふれませんが、気になるでしょうから、ブログ内検索をどうぞ。

 以上を援用して商店街活性化を定義すれば、
①維持に支障が生じている、または生じるおそれのある商店街に
②経済活力の向上を目指す事業及び措置を展開することで
③商業集積としての持続可能性を構築または維持すること
ですね。

 バリエーションは色々考えられますが、以下では『商店街活性化』を「衰退趨勢から脱却すること」、と簡潔に定義して検討を進めます。もちろん、脱却するには「商業集積としての再構築」が必要です。

 ここから本論。

商店街活性化=経済活力の向上を実現するための目標としての「通行量の増大」は、
通行量を増大すれば、商店街の商業集積としての持続可能性の再構築が実現出来る、
と考えて目標にされているわけですが、ここで視点を変えて「商業集積としての持続可能性」を考えてみましょう。
「商業集積としての持続可能性を持っている』とはどういうことでしょうか?

 商業集積が持続可能であるとは:
持続するために必要な収益が(将来にわたって)確保し続けられる見込みがあること。
が必要です。
必要な収益は、
①集積を維持するために必要なコストを賄い
②将来必要になる再投資の原資も確保できる
というレベルで確保しなければならない。

そのためには:
広域商圏において展開されている『集積間競争』の坩堝においてしかるべきポジションを確保し、維持し続けなければならない。
つまり、商店街を日常的なショッピング行き先とする得意客を維持し、拡大し続けなければならない。
そのためには何をなすべきか?
これが「商店街活性化」の本当の課題です。

商店街を活性化するには、
1.広域商圏において、他の集積、施設に比較して優位に立てる商業集積としてのポジションを発見し、コンセプトとして定義する
2.商店街全体の取組としてコンセプトの実現を目指す:業種揃え・店揃えの最適化を追求する。
という取組が不可欠です。

 この取組の中核を担うのが既存個店群が取り組む『売れる売り場づくり』。
取組方については、これもブログ内別記事を参照してください。
「売れる売り場づくり」
「キラリ輝く繁盛店づくり」
『お客に見える店づくり」など.。

「業種揃え・店揃えの最適化」は、『中活法』の『基本方針』に「中小小売商業の競争力の根幹」と位置づけられています。
商業集積間の競争が激しい現代において、標的とする消費購買行動から見て最適の『業種揃え・店揃え』を実現し、維持することは、商業集積にが存続するための最も重要な戦略―戦術ですから、「基本方針」が、中小商業の競争力の根幹』と位置づけるのも当然です。

 もちろんこれは一部で言われているように、「空地・空店舗を利用して不足している業種業態を誘致しよう」と言うことではなく、商店街を形成する各個店がそれぞれ商店街のコンセプトを分担する方向で店づくりを転換していくことを意味します。空地空店舗の活用はテナントミックス最適化の一環として取り組まれるべき。そうでないと、商業集積としての最大のメリット、個店とテナントミックスの相互作用、相乗効果が発揮できません。

  『もの余り・店あまり』が常態化しているなかで、商店街が持続可能な業績を確保し続けるためには、コンセプト主導の商業集積として再構築しなければならない。各個店は、環境の変化に応じて終わりの無い店づくりに挑戦し続けなければならない。
これが現代の流通業界全体の課題、すべての商業集積が取り組んでいる課題から商店街だけが免れることが出来る理由はありません。旧中活法のスキームのバックボーンもここにありました。

  そのためには、既存個店群は、消費購買行動の変化、競争の変化に対応して店づくりを変化させていく 『店づくり技術』を修得し、繁盛を実現し、維持するために業容を転換し続けなければならない。
旧中活法のスキームでTMOの任務とされていた「中心市街地所在の商店街や商業施設群を一個のショッピングモールに見立てて再構築する』というのはそういうことだったのです。
残念ながらこのスキームは成功しないままフェイドアウトし、現在、商店街活性化は、その目標を『通行量の増加』において取り組まれています。

「通行量の増加」は何を目的に取り組まれているのか?

 目的はいうまでも無く『商店街活性化』です。
通行量が増えると商店街は活性化する、何故そう言えるのか?
これが問題です。
実際に取り組んでいる人たちは、『通行量が増えると商店街が活性化する=持続可能な業績を挙げ続けることが出来るようになる』とする根拠を全く述べません。
根拠らしいことと言えば、
①増えた通行量を自店のお客に転化できるように各個店が努力する。
②努力が成功すれば、商店全体の業績が向上して街は活性化する
という程度のことですね。この二点を『暗黙の了解』として取り組まれてきた「通行量の増大」、本当に実現出来るでしょうか?

『通行量が個店のお客に転化する」これは実現するでしょうか?

通行量を増やすためには『住む人・来る人を増やさなければならない。
特に商店街が主体となって取り組むのは、『集客イベント』です。
日ごろ商店街に買い物に来ていない人たちまで広く対象を広げてイベントを開催、来街を訴求する。集まった人を商店街のお客にしようと、ということですが、果たして成功するでしょうか?
これは成功しません。なぜ明言できるか。

 集まってきた人のうち、商店街の得意客で無い人たちは、日ごろは商店街以外の集積・施設で買物をしています。商店街以外に立地する店舗の得意客です。
この人達が商店街の集客イベントに参加したからといって自動的に商店街の得意客になってくれる、ということはあり得ません。
従来の買物行き先から商店街の店舗に移行しなければならない理由は全く無い。
商店街が商業集積としてのテナントミックスの最適化に取り組み、各個店がその線に沿って店づくり転換に取り組んでいればべつですが、『通行量増大』でこと足りると考えている間は無理です。

店づくりを充実させる代わりに通行量の増加に取り組んでいる
のですから、来街者が「お試しでショッピングしてみよう」という気持をそそられるような、個店の業容、その他条件は何一つ整備されていません。
結局、イベントは楽しんでもらっても、本来の目的である『顧客の増加』は実現出来ない。

 通行量の増加とは、イベントへの参加者の増加ではなく、商業集積としての商店街へ買物目的で来街する人が増え、その人達が街区内でショッピングを楽しむために回遊する、その結果として通行量が増える、ということを狙っています。
この点、誤解のないように。
イベントを開催するのはイベントに人を集めるためではなく、イベント参加を契機に商店街を商業集積として再確認してもらい、『買物の場」として利用してもらう、得意客を増やすためです。
しかし、これは実現出来ません。

 上で検討したとおり、論理的に実現出来ず、また実際の取組で成功した事例もありません。
通りに人を集めることは出来ますが、集めた人を商店街のショッピング客、得意客にすることは出来ず、通行量増加策が商店街活性化=持続可能性の再構築に貢献することは不可能です。
特に、集客イベントの成功―商店街の買い物客の増加―恒常的にぎわいの実現、というシナリオは、実現することができません。

 何故か?
繰り返しになりますが、集客イベントに来た来街者を商店街のお客に転化するために必要な条件づくり =入って見たい、買ってみたくなる売り場が全く提供されたいないまま、集客イベントに来街した人に通りの各個店の業容を披露すれば、得意客になってもらえる、という着想が現実離れしていると言うほかありません。

 商店街が通行量の増大―得意客の増大を実現するには、広域郊外に多数立地しているショッピングモールをはじめ、多種多様な商業集積からお客を奪取しなければならない。それは消費購買行動がどの集積が購買目的にもっとも適しているか、ということをもって評価判断されること、商業施設はひたすら自分が標的とする消費購買行動にとって最適のショッピング条件を作り挙げ、アピールする以外にありません。
集積間競争という段階の競争は、ショッピング条件の充実度合いをめぐってお客の頭の中で行われるのです。

 もうハッキリしたと思います。
商店街活性化実現の目標として「通行量の増加」に取り組むことは、広域で展開されている『ショッピング行き先としての充実』を巡る競争に眼を閉じて、ショッピングとは無縁の一過性のイベント来街の増加に商店街の未来を託すという、ほとんど活性化実現の方向と方法について検討した形跡の感じられない取組です。

 一日も早く脱却して、本来あるべき『商店街活性化への道』を構築しなければならない。

商業集積間競争の現実、ショッピング条件の最適化を巡る集積間競争の真っ只中に『通行量を増やせば街は活性化する』という路線、取組で参入して、必要な顧客の増加を実現出来ると、と本当に信じて『通行量の増加』に取り組んでいるのですか?
商店街を空洞化させた各種商業集積との競争、『通行量の増加』で向こうのお客にこっちを向かせることが出来ますか?

  「通行量を増やせば商店街は活性化出来る」という、『通行量神話』の呪縛から、まずあなたの商店街が脱却、商業集積としての持続可能施うぃ再既往馳駆する、本来あるべき商店街活性化への道の可能性を実証し、大きく流れを変える挑戦に参加してください。

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    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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