検証 青森「アウガ」ショック!

クオールエイド掲示板「都市経営」の過去記事。
検索にヒットしなくなっているため、こちらに再掲します。
投稿日 : 2009/02/18(Wed) 12:22:42

検証 青森「アウガ」ショック!

タイトルは雑誌『商業界』3月号の記事から。

 アウガの業容・業績もさることながら、青森市の中心市街地活性化にはいろいろな問題が浮上しています。
これから基本計画の作成に向かう都市及び認定計画の年次総括に取り組むところにとって同市の取り組みの軌跡を研究することは有意義だと思います。
もちろん、当事者である青森市の皆さんにとっては言わずもがなです。

 ただし、雑誌の記事はあまり感心できるものではありません。

端的に言って「中心市街地活性化」も「コンパクトシティ」も理解していないレベルです。

同市の中心市街地活性化をめぐっては
①アウガ・物販&非物販施設の経営問題及び中心市街地の「核」とし ての課題
②中心市街地活性化の現状と課題
③コンパクトシティと中心市街地活性化の区別と連関
といった問題があるわけで、これらをごっちゃにすると「船頭多くして船山に登る」ではありませんが、何が優先的な課題なのか、当面している個別課題の中心市街地活性化の取り組み全体におけるポジションはどこか、といった肝心のことについて思いが至らないまま、暗中蒙断・取り組みの挫折を繰り返すことになります。

 このテーマ、あらためて当コーナーでシビア・直截に検討します。関心のある方は、『商業界』3月号を準備してください。
明日の夜中からのスタートになると思います。

 今回はいつもにましての真剣勝負、ご期待ありたし。


2. 「アウガ」の債務問題を追う

雑誌『商業界』3月号より引用

*****************

青森「アウガ」ショック!
緊急リポート「中心市街地活性化基本計画認定1号青森コンパクトシティ構想の現在」

中心市街地活性化基本計画認定第一号の青森市。コンパクトシティ構想を掲げる同市の中核施設の一つが2001年1月開業の複合商業再開発ビル「アウガ」だ。当初見込み売り上げ52億円に対して初年度実績は23億円。06年
度は28億3千万円まで伸ばし、08年度も29億円を見込むが、重くのしかかる債務負担により、管理・運営する第3セクター青森駅前再開発ビル㈱は、経営計画の見なおしを迫られる。

の筆頭株主である青森市は債務23億円3千万円を約8億5千万円で買い取る債務譲渡、金融機関は差額を債権放棄することとなった。
地方再生、中心市街地活性化のモデルとして注目を集める青森市に何が起こっているのか。本特集では、アウガの現状をリポートし、他都市のまちづくり計画への影響を商業活性化の専門家が検証する。
***********引用終わり**************

 ということで、有名業界誌「商業界」が、青森市の中心市街地活性化の取組について、「緊急リポート」を載せました。

 まずはこのリポートを見ていきます。

 リポートは二本の記事で構成されています。

1.青森中心市街地活性化の中核アウガ債務問題を負う
・・・山本明文(流通ジャーナリスト)
2.アウガ経営問題の原因と全国のまちづくりに及ぼす影響
・・・神田邦夫(神田経営研究所所長)
です。

 では1から。(以下、皆さんは商業界3月号掲載の当該記事を読了されているという前提で書きますので、未読の人は是非準備してください。)

 
「アウガ」問題とは債務問題ではない!
 確かに債務の履行は経営にとって大きな問題ですが、当初立てた経営計画が実行されていれば起きなかった問題です。
当初の計画では売り上げ目標が52億円と設定していた、この目標を達成する経営・営業計画を立てて実務にはいってみたら、達成出来た売り上げは26億円だった・・・。

ということですから、「単体アウガ」の問題とは、

第一に、売り上げ52億はゼッタイに達成できないのか?
第二に、達成不可能だとすればどうしてこういう計画が承認されたのか。
ということでしょう。
もちろん、本当の問題は「単体・アウガ」の経営に止まるものではないことはいうまでもありません。このことは後で検討します。

 第一、第二の疑問については、専門家の分析を標榜しているわけですから、きっちりレポートしてもらいたいところですが、作業は皆無です。
レポーターさんが考えるところ、目下の経営課題は、現状の売り上げプラスαで黒字にすることだそうで、そのために金融機関に債権放棄をしてもらう、というのが「アウガ」問題らしい。

、第一のリポート(山本レポート)の内容は、「・・・またアウガの売り上げが当初52億円という計画に対し、約半分の水準に止まっ
ていることも不安を増大させた。
 だがそれがアウガの経営破綻につながるのか、さらにコンパクシティの危機を意味するかと言えば、批判する側、推進する側では真っ向から意見は食い違っている。
批判的見解については、111ページからの神田邦夫氏の文章に詳しいので、ここでは推進する側が、指摘された批判にどう答えているのかを見ていきたい」
ということで、全文、経営陣に対する取材に終始しています。

 「青森中心市街地活性化の中核アウガ債務問題を追う」というタイトルですが、内容は「アウガ経営陣、再建についてかく語りき」と言うところを一歩も出ておりません。
繰り返しますがレポーターの見解はほとんど無し。

 仕方がないので、こちらで補足します。

 青森市中心市街地活性化との関連でとらえると、アウガ問題とは、「青森市でも中心市街地でも商店街の空洞化はひどく、小売業の販売額は激減、人通りも少なく空店舗も目立っていた」という状況において、2001年、「中心市街地活性化のシンボルとしてオープンしたのが駅前の「フェスティバルシティ・アウガ」である」ということで、アウガは衰退の一途を辿る中心市街地の活性化を牽引する「中核施設・事業」として設置されたわけです。

 つまり、
①中心市街地特に商店街の空洞化が著しい、人通りも減っている
②活性化するためには集客核を新設し、
③新施設への来訪者に中心市街地(特に商店街)への回遊を促し
④商店街の業績向上を実現する
という「中心市街地・商店街活性化のシナリオ」の中核に位置づけられたのが、アウガだったはずです。

 レポートでは、この本来的な任務の達成状況について全く触れれていません。
これでは、単に駅前に商業ビルを建てたがうまくいっていない、というだけの話のようです。
アウガ建設の目的は、単体としての成功に止まらず、中心市街地活性化を牽引するというところに有ったのですから、分析は当然、この本来的任務の達成状況、すなわち、アウガは中心市街地活性化の実現にどのように機能しているか、ということが検証されなければならない。 


3. : 木を見て森を見ていない報告

> アウガ建設の目的は、単体としての成功に止まらず、中心市街地活性化を牽引するというところに有ったのですから、その分析は当然、この本来的任務の達成状況、すなわち、アウガは中心市街地活性化の実現にどのように機能しているか、ということが検証されなければならない。 

 「中心市街地の回遊拠点・集客拠点」?
一見なるほど、しかしよく考えてみると何のことかさっぱり分からない意義付けをして開設された集客施設、特に大型物販施設のほとんどが、所期の機能を果たすどころか単体としての業績も思うように上がらず、のたうち回っている・・・。

 中心市街地活性化を牽引・実現する戦略的事業と銘打って開設された全国ほとんどの都市の事業が陥っているアリ地獄です。
アリ地獄から脱出する方向と方法は、本来ならこれを提案指導した組織・個人があらためて提案すべきところかと思われますが、動きがありません。

 専門家としてこういう事例を検討するについては、少なくとも施設設置の目的とその達成状況にまったく言及しないというのはおかしいのではないか?
目的をきっちり確認しておかないと、「再建」の方向と方法が「施設単体」レベルに止まることになり、そうしますと、実は単体としての活性化も暗雲を払拭できない、ということになりかねません。

という話はあらためて展開しますが、このレポートで紹介されているアウガ関係者には、アウガ建設のそもそもの目的についての問題意識がきれいに抜け落ちています。
このことを指摘しないと、わざわざアウガ問題を全国に紹介する趣旨を達成できないのではないか?


4.: 木を見て森を見ていない経営

 このレポートから見えてくること。

 あくまでもレポートの取材が正確だということが前提ですが。

 アウガの現経営陣は、アウガ創建の目的をすっかり忘れて、単体としての再建に没頭しているようです。
もはや中心市街地活性化あるいはコンパクトシティ実現戦略においてアウガがになっているはずの役割などは雲散霧消しているのではないか?

 活性化が必要な中心市街地に単独立地して所期の業績を挙げ、かつ、中心市街地の集客・回遊の拠点になりうる、という機能を持った業態類型は、既存しておりません。
本来なら百貨店が宛てられるべきところ、現在の業容ではとても無理です。

 という状況において、思い立たれたアウガは、企画段階から新町商店街、駅ビルなどとの「ショッピングコンプレックス」を形成することを中心命題にしなければならなかった。
既存の商業機能との相乗効果を発揮する方向でアウガの業容は計画されるべきだったわけです。
新町への回遊を期待するなら、当然、アウガと新町の客相は重ならなければならないわけです。実際はどうか?

競合避止ということで、中高生をターゲットにする、という発想は中心市街地のショッピングコンプレックスという上位目標を欠落した生き残り策ですが、上位目標を無視して生き残れるほど中心市街地の問題情況は甘くないのではないでしょうか?

5.: Re: 木を見て森を見ていない経営

> 競合避止ということで、中高生をターゲットにする、という発想は中心市街地のショッピングコンプレックスという上位目標を欠落した生き残り策ですが、上位目標を無視して生き残れるほど中心市街地の問題情況は甘くないのではないでしょうか?

 テナントミックスの専門家と目されているショッピングセンター関係者にとって、テナントミックス=テナントの入れ換え=テナントリーシングのことですからね。
SCのテナントミックスとは「元気のいいテナントを集めること」以上でも以下でもありません。
したがって、SC経験者に中心市街地のテナントミックス=業種ぞろえ・品揃えの最適化 ―既存個店群の業容革新を含む― という課題の解決を期待するのはミスマッチ、問題が力量を大きく逸脱しています。
この人たちに出来ることは、不振テナントを「元気のいい企業」と入れ換えることですから、施設全体が劣化スパイラルに陥っているという状況においては出る幕がありません。
そういう施設にはいってくる「元気のいい企業」は無いですから。

 中心市街地のテナントミックスは、
①中心市街地=都心商業街区に自生している商業施設・集積群を②「都心型商業コンプレックス」という方向でまとめ、
③各集積・施設の活性化を「コンプレックスの機能を分担する」という方向で 計画する
④③に基づいて既存店舗群の業容革新に取り組むということで実現していきます。

 重要なことは、各下位機能が相乗効果を発現しうるあり方を構想し、実現を目指すこと。これはもちろんSC関係者の経験を超えた仕事です。
そういう仕事だということを理解していないと、必要な能力が生まれません。 


6.: 商業系コンサルタント

 中心市街地~商店街活性化というお仕事のお手伝いをお願いするに値するコンサルタントさんとは?
ご参考まで:
http://quolaid.blog13.fc2.com/blog-entry-428.html


7.: 表の顔での判断は危険

青森市の人口構造と消費能力を考慮すればアウガが赤字となるのは当然のことで、致命的なのはテナントがほとんど消費能力の
低い若年層に限定されたものだけしかなく、熟年層が足を運ぶ価値を見出すことは出来ていません。
施設全体を消費能力に合わせたバランスを取ることが再生の最初の条件のはずです。
このような事態になるまで放置したのは重大な問題です。責任を取るべきです。


8.: 「アウガ」経営問題と・・・

 では次に「アウガ経営問題の原因と全国のまちづくりに及ぼす影響」(神田経営研究所代表 神田邦夫)をば。

とりあえず、サブタイトルを見てみましょう。
○来館者600万人のアウガ売り上げ低迷・・・債務返済に苦境
○再開発におけるアウガの位置づけ・・コンパクトシティの中味
○中心市街地活性化基本計画認定の状況・・・認定67件
○今後の中心市街地活性化への影響・・・金融機関は逃げ腰に
○コンパクトシティの現状と課題・・・甘い見通しの事業計画
○コンパクトシティ実現に必要なこと・・・人集めより客集め

 この人の頭のなかでは、
①中心市街地活性化とはコンパクトシティ実現の取り組みのことである。
②アウガは、衰退化した新町商店街に賑わいを取り戻すために、建てられた。
③が、“ふたを開けてみると”売り上げが当初計画の半分しか挙げられなかった。
④経営計画は根本的に見直すべきだが、その動きがない。
ということで、
⑤“金を稼ぐことの難しさを理解していない首長と「店はお客のためにある」
 ということを考えつかない第3セクター経営陣がアウガ危機の最大の要因だ
 と私は考えます。
というこだそうです。

 突っ込むのもORZですが、そもそもの建設目的だった「新町商店街の賑わいを取り戻す”ことはどうなったのか?
という問題については、まったく触れられておりません。
これはどういうことか?
たしかに、商業施設としてのアウガ単体の経営も重要ですが、建設の目的である「新町商店街に賑わいを取り戻す」という使命の方はどうなったのか、

アウガのお陰で新町は賑わいを取り戻したのか?
もし、そうであればアウガの経営再建には大義名分がありますが、商店街への回遊は起こらなかった、単体としての経営は不振続き、ということであればことは「経営計画の見なおし」で済む話ではありません。

 基本計画の妥当性が問われなければならない。

 この点について、まったく取り上げることが出来ない論者は、ホントに中心市街地活性化という問題をちゃんと理解しているのだろうか?
という疑問が起こります。

 もちろん、彼は問題を誤解しています。

9.: コンパクトシティの予備知識

 とりあえず、当社の見解をば。この程度は理解しておかないと話になりません。
http://www.quolaid.com/library/tkforum05/tkf034.htm

 コンパクトシティ>中心市街地であり、中心市街地≒都心商業街区だということを理解しておかないと話にならない。
もちろん、「法」&「基本的な方針」以下、スキームはしっかり抑えておかなければならないのは当然のことですが、レポートされている神田さんがそのあたりについてどういう状況にあるのかは、レポートを一読すれば明白です。

10.: せっかくの機会ですから

>  コンパクトシティ>中心市街地であり、中心市街地≒都心商業街区だということを理解しておかないと話にならない。

 コンパクトシティは、中心市街地だけではなく都市全体がこれから進むべき方向、都市経営の全体の計画~実践の基準となるコンセプトです。郊外も新たに合併した地域も含めて「コンパクトシティ」的施策が講じられ、その結果としてどこに住んでいるかを問わず、都市住民の生活福祉の向上、所得機会の確保が実現されていかなければならない。
一部「流動性」を持っている人たちを中心市街地に転居させて通行量を増やし、商店街で買い物してもらう、などという落語的な発想はコンパクトシティとは無縁です。

> もちろん、「法」&「基本的な方針」以下、スキームはしっかり抑えておかなければならないのは当然のことですが、レポートされている神田さんがそのあたりについてどういう状況にあるのかは、レポートを一読すれば明白です。

神田さんに限らず、中心市街地活性化の枕詞にコンパクトシティを使っている人たちは、中心市街地活性化もコンパクトシティも理解していない人が多い。
遡及すれば、「商店街近代化計画」とか「商店街活性化構想」当時から商店街活性化とは商店街の何がどうなることか、という目的抜きの計画・構想ばかりでした。その背後には、それではダメだ、と指摘してくれるはずの「商業理論」が不在という深刻な条件がありました。
今も続いているわけですが。

中心市街地活性化とか商店街活性化に関わっている専門家、当社を除けば「理論装備の必要性」を提唱している人は「ゼロ」ですが、この情況をどう判断すべきか?
理論無しでは「法」も「基本的な方向」も、少なくとも「商業の活性化」方面に関する限り、まったく読み解けないのですが・・・。

 専門家の責任は重大ですが特にプランナーさんたち。
基本計画の出来映えをみますと、仮にもシンクタンクを標榜している組織でプランニング業務をになっている人たちがこんなことでいいのか、とガックリです。
書記係として雇っただけ、という擁護論も聞こえますが、プランナーたるもの、実効あるプランがものに出来てナンボ、書記を務めながらでも言うべきことは言わなければならない。
シンクタンクの看板を背負って登場しているわけであり、基本計画の良し悪しはアッという間に「中心市街地の実相」として現れる。

 地方の時代、地方分権という言葉が飛び交っておりますが、地方都市の計画といえばシンクタンクの独擅場でしょうから、時代は変わっても計画立案をサポートするプランナーさんたちの力量が「基本計画」レベルだとすると、これは大変です。
ホンキで都市経営を指向する都市は、「プランニング能力」をみずから確保することを考えなければならない。

11.: 中心市街地とは

>>  コンパクトシティ>中心市街地であり、中心市街地≒都心商業街区だ
ということを理解しておかないと話にならない。

 中心市街地活性化法において、中心市街地とは都市中心部の商業街区のことを意味する。
ここを間違うととんでもないことになりますからくれぐれもご注意あれ。

都市中心部とは:郊外化が進展する以前、都市機能の多くが集積されていた地域のこと。行政・教育・保健・文化など多様な都市機能が集積している。
その一部は郊外に移転している場合が多い。

「法」にいう中心市街地とは、都市中心部のなかでも「商業機能」が集積している街区一帯を意味している。
「法」にいう中心市街地とはけして都市中心部のことではない。

 何故そう言えるか?
「法」第二条の定義を熟読せよ。
一号要件は、中心市街地が都市中心部のうち、「商業街区」特有の条件を示している。商業機能が集積し、その中にその他の都市機能も立地している、というのが商業街区の特徴である。

行政・教育・保健・文化など都市によってはそれぞれの機能に特化された街区が存在するが、それらが中心部にあるからということで、中心市街地の区域に編入しても、これらの街区の「都市機能の増進」という課題への体系的な取り組みにおいて「法」の施策メニューで使えるものはありません。

 「法」の空間的な守備範囲は、あくまでも商業街区だということをキモに銘じておくこと。
この程度のスキームでコンパクトシティの実現を目指すとか、都市中心部全体の都市機能の増進を目指す、などと考えるのは、目的と道具の関係がよく分かっていないことを自白しているに等しい。

 都市中心部の住宅政策は、「中心市街地活性化」の文脈ではなく、都市全体の住宅・生活環境政策のなかで論じられるべきことですからね。商店街施策の一環程度の扱いで計画するのは、双方にとってベターではない結果になることが懸念されるところです。


12. 「アウガ」経営問題

>  では次に「アウガ経営問題の原因と全国のまちづくりに及ぼす影響」(神田経営研究所代表 神田邦夫)をば。

 というタイトルであれば、当然、アウガの経営の現状についての検討が期待されますが、ストアクリニックは全くなし。
目標52億・実績28億という現状は何が原因で起きているのか?
改善するには何が必要か?
というあたりは提言して欲しいところです。

 集客核として設置されたアウガの現状は、何が原因で起きたのか、の解明と、現状を打破するために取り組むべき課題についての提案が無いと、青森市の現状への支援とならないことはもとより、雑誌掲載の目的である(影響必至とされる)
「全国の中心市街地活性化」への助言にもならないと思いますが、如何でしょうか。

 神田さんは商業活性化指導のプロを自認している人でしょうから、アウガの活性化はご自分のいわば正面課題、現状分析と活性化への提案は右から左へ出てくるはず。
タイトルからしても最低限「経営問題の原因」はきちんと解明しないと羊頭狗肉のそしりを受けることになる。

13.: 都心に進出可能な商業機能とは

 ありがちな計画は、大型店の抜け殻を有効活用するということで、その趣旨は、
①中心市街地全体の集客核・回遊拠点と位置づけ、
②大型商業施設を建設する
さらに
③建設にあたっては支援制度を目一杯利用する
ということも必ず付随しています。
というか、支援制度が無ければとても思いつけない企画です。

 既存小売企業(百貨店を含む)がビジネスチャンスとして中心市街地に出てくる、というケースが無いのは、
①既存の小売業種・業態類型で今さら中心市街地に出てくるつもりはない・・算盤が弾けない
②中心市街地立地に対応する小売業の新たなビジネスモデルを考えつかない
ということですからね。

 そういう時・所において、新たな集客核・回遊拠点を立ち上げるというのは、一筋縄でいく話ではありません。
もちろん、このことはアウガやエスプラッツなどの「失敗事例」の教訓ではありません。
①百貨店の場合:同業他社の撤退が相次ぐ時と所においてどういう成算があって出店するのか?
②GMSの場合:同業他社が郊外要地を占拠している時と所においてどういう成算があって出店するのか?
③SCの場合:同上
ということですね。

 このような状況は昨日今日始まった話ではありません。
バブル当時から兆候は出ており、平成に入って以来、中心市街地立地の大型商業施設の衰退趨勢は歴然としています。
つまり、旧整備改善活性化法当時、既に中心市街地に進出する大型商業施設の中味は、従来の常識を超えた理論をもって計画しないと、「大変なことになる」
と分かり切っていたのです。

 未だに抜け殻対策を考え中の都市も在るわけですが、ホント、よほど自信がある企画でないとミイラ取りがミイラになってしまいます。
実施に移る前にとりあえず、takeoの話を聞かれることをお奨めします。
“あんた、何でもっと早く教えなかった”などと後で悔やまないように。


14. : 都心商業街区の核店舗とは

 核店舗=アンカーストアとも言います。アンカーは錨です。
アンカーストアはいざというときにはこれがある、というわけで当該商業集積にショッピングに来たとき、万一、他にいいお店が無かったとしてもここに来ればとりあえず来店目的を達成することが出来る、というのが核店舗の役割です。

 もちろん、はなから核店舗目当てに来店する人もありますが、モールに軒を連ねるショップを対象にショッピングに来た人も、万一の時は核店舗があるからOK、ということ。
イオンモールのジャスコなどを思い出してください。
もっとも
ジャスコの業容はショッピングモールのアンカーが務まる内容とは思えません。
ジャスコさん、イオンモールでは浮いて(沈んで)いるわけですが、そういうことです。

 中心市街地の核と言えば、昔から百貨店と決まっておりました。
①最初から百貨店をめがけていく
②いいお店・商品が見つからなかったら、百貨店に行く
ということで「核=アンカーストア」の座を占めていたわけです。
だんだん
アンカー業務を果たせなくなったのは、ブランドショップが雑居するテナントビルに変貌したから。
ここに百貨店活性化の方向と方法があるのですが、どう活用するかはウデの見せ所ですが・・・。

 中心市街地の核店舗としてはこれまでのところ唯一の存在が百貨店ですが、上述のとおり、機能を果たせなくなって相当経ちます。百貨店の業績不振とはすなわち、中心市街地・商業街区の核店舗としての機能を喪失した結果ですからね。
誰も指摘していませんけど。

 ということで、核店舗=そこら辺で一番大きい店舗、ではありませんので、百貨店や量販セルフ百貨店の抜け殻にテキトーにテナントを入れて「核店舗」や「回遊拠点」を作ったつもりにならないように。

 青森市中心市街地の活性化、とりわけ衰退趨勢にある新町商店街の活性化を牽引する、という役割を背負ったアウガの業容はどうあるべきだったのか?

 というあたりが商業コンサルタントが示すべき所でありまして、アウガ的施設を新設するならば、最低限、こんなことは考えておかないといけませんよと提案するのが役割でしょうから、それが提案できなければわざわざアウガを取り上げて云々しても空しいだけではないでしょうか。 


15.: 百貨店の凋落

 もはや従来商業集積において「核」機能を担っていた百貨店、量販百貨店はその役割を果たすことが出来ません。
何故、果たせなくなったのか?
百貨店と量販百貨店とではその理由は異なっています。
量販百貨店については、後ほどあらためて考えるとして、ここでは百貨店の「核」の座からの凋落について考えてみます。

 考えて見れば、アウガは最初予定されていた百貨店の出店辞退という状況で計画された出店でした。
中心市街地活性化の核としての百貨店誘致の挫折を埋めるのがアウガの使命だった、アウガはその使命を果たすことが出来なかった、というのは大変象徴的です。

 周知のとおり、中心市街地の空洞化と時を同じくして、あるいはそれに先行して核機能としての百貨店の劣化が始まりました。
量販百貨店との競争戦略として打ち出された差別化・高級化路線の結果、百貨店はブランドショップが軒を連ねる「高級モール」化したのですが、もちろん、ブランドショップの集合が中心市街地・商業街区の「核」機能を果たせるわけもなく、モール化が進むにつれて(百貨店間競争)百貨店は来店客相を狭めて行きました。

>①最初から百貨店をめがけていく
>②いいお店・商品が見つからなかったら、百貨店に行く
という客相で成り立っていたものが、
①については、各ブランドショップの固定客
②については、機能の変化とともに急激に減少したわけです。

 もはや現在の百貨店の業容は、中心市街地・商業街区の核としての機能を果たすことが出来ないのです。
このことは、しっかり確認しておかなければならない。
百貨店が活性化を目指すなら、みずからが各機能を担っていた当時とは様変わりした中心市街地においてあらためて「核」としての存在を確立することが一つの方向ですが、実現するには「業容転換」が必要です。 

> ここに百貨店活性化の方向と方法があるのですが、どう活用するかはウデの見せ所ですが・・・。

 誰のウデを見せたらいいのか、という問題がありまして、なかなか大変です。

>  中心市街地の核店舗としてはこれまでのところ唯一の存在が百貨店ですが、上述のとおり、機能を果たせなくなって相当経ちます。百貨店の業績不振とはすなわち、中心市街地・商業街区の核店舗としての機能を喪失した結果ですからね。

 ということがご理解いただけたでしょうか?

 さて、問題は。
>  青森市中心市街地の活性化、とりわけ衰退趨勢にある新町商店街の活性化を牽引する、という役割を背負ったアウガの業容はどうあるべきだったのか?

 と言うことでした。
商業コンサルタントが「アウガ」を全国の中心市街地活性化という問題に関連して論じるなら、以上のようなことを踏まえつつ、「中心市街地・商業街区の核としてのアウガの「あるべき姿」を提案しなければならない。
そうすると青森市中心市街地、アウガの活性化に裨益することはもちろん、さらに同様の問題に直面している都市にとって大いに参考になるのですが、まあ、望むべくも無いところです。

 アウガ(新設商業施設)を含む青森市(に限らず)中心市街地・商業街区活性化の実践的な戦略については、ここでは述べないことにしますが、当サイトの常連さんたちにはお見通しでしょうね。

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