通行量増大は入口か出口か

 商店街活性化と言えば “通行量を増やす” ということで、そのためには「住む人・来る人を増やす」ソフト&ハードの事業が繰り返し取り組まれています。その結果、現場はどうなっているかと言えば、先月の総務省の「行政監視評価報告書」にあるとおり、超対象になった全国44都市の中心市街地において目標が達成されいない、という状況です。
高市総務相は、関係省庁に対して目標を達成出来なかった原因の調査と今後の対応策を求めています。

 我々は、全国唯一の専門家として、関係各方面に先駆けて原因を解明し、対策を提案してみたいと思います。

 さて、「通行量の増大」については、『中心市街地活性化基本計画』及び『商店街活性化事業計画』において活性化実現の『数値目標』とされています。ご承知のとおり。
ところが、商店街活性化の取組における通行量の位置づけが国と商店街ではまったく違います。位置づけが違うと取組の内容も変わります。ここがうまく行っていないことが全国全都市目標未達の共通の原因です。

それでは国と商店街それぞれの上位目的である「商店街活性化」における「通行量の増大」の位置づけを見てみましょう。

1.商店街
  商店街の位置づけは、商店街活性化に取り組む前提条件、いわば入口として通行量の増大が位置づけられています。
商店街活性化、個店の業績向上にはいろいろ解決すべき課題があることは分かっているが、現在の通行量では何をしても効果が出ない。ますは通行量を増やすことが先決だ、という立ち場です。
通行量が増えないと施策を講じても効果が出ない、と考えられています。通行量増大は商店街活性化の取組の大前提、いわば『入り口』ですね。

2,国、自治体
 こちらの立場は、商店街は通行量が減って困っている。通行量を増やせば、即、事業機会が増えるので商店街は活性化するだろう、というところ。各個店の売場などには問題がなく、通行量が増えれば増えた通行量がお客になるので商店街は活性化する、という考えですね。いわば『出口論』です。

実際に通行量増大に取り組んだらどうなるでしょうか?
答えは上記レポートにあるように,『未達』ですね。活性化の手段として通行量増加に取り組んでいるのに通行量が増得ません。
したがって、当然、目的である活性化・経済活力の向上にはほとんど近づけないわけです。
どうしてこういう結果になっているのでしょうか?

原因は、「通行量増大」という目標の位置づけにあります。
入口論=取組は通行量増加からスタートする
出口論=取組は通行量を増やせば成功する
ということで、実際に取り組まれる事業は、「来街者を増やす事業」です。集客イベント、コミュニティ施設の設置、マンション建設等々、「街を人が通る」と思われる事業が取り組まれます。
この事業はなぜ所期の成果を挙げることが出来なかったのか?
どう改善すれば商店街活性化に直結する通行量の増大が実現出来るのか?

まず目標未達の原因を考えて見ましょう。

入口論の場合:

1.来街者増大に取り組む
2,通行量が増える
3.増えた通行量を対象に事業を仕掛けて行く
ところが、1は実行しても2につながりません。イベント目的で来街した人はイベントが終われば次のイベントまで来街する目的がありません。来街イベントを繰り返してもその都度商店街の得意客がふえ、日常的に商店街を回遊するお客が増える、ということは起こりません。
入口論には、一過性の来街者が街の得意客になり、街を回遊する、その結果通行量が増加する、という仕組みは作られていないのです、
その結果、取組はいつまで経っても「来街者を増やす事業」を繰り返すばかり、蓄積がほとんど出来ないため、3への取組は手つかずのままです。また、若し、2が実現すればそれを対象に3の取組が出来るか、といえばそれも期待出来ません。そういう取組は用意されていませんから。
「住む人・来る人が増えれば街は活性化する」といったのは藻谷浩介さんですが、もちろん、これは革新的な話でも何でも無く、昔から商店街ではよく聞かれる言葉、その分、藻谷説は枯れ野に燃え広がる野火のように拡がりました。
しかし、商店街活性化は「住む人来る人を増やせばまりは活性化する」といった単純な話ではありません。
「もの余り・店あまり」の今日、人を集めればもの売れる、商店街は活性化する」ということは実現出来ません。
イベントに来る人はみんな、商店街以外に買物行き先を持っている人ばかり、この人達がイベントに来たからといって明日から商店街のお得意さんになってくれる、というのは考えにくい。
結局、通行量を増やすには、来街者を増やすだけではなく、それと併行して来街者が商店街の得意客になってくれる仕組みを作らなければならない、ということになります。


出口論の場合。

出口論の前提になっているのは、
1.商店街の各個店の「売場」としての機能はよくできており、特に問題は無い。
2.問題は客数が不足していることだ。
3.来街者を増やし、店前通行量を増やせば業績は向上する
という考えかたです。
「地域商店街活性化法」の趣旨も、「来街者の増大を図り中小小売商業者・サービス業者の事業奇貨の増加を図る取組を支援」とされています。事業機会が増えればそれを獲得する能力は既に備わっていることが前提になっています。

両論の誤り
既に明らかだと思いますが、商店街側は通行量増大が活性化のスタートと考え、行政は通行量を増やせば街は活性化する、と考えて「通行量の増大」を目指して「住む人来る人を増やす、「来街者の増大」に取り組んでいるが、通行量の増大は実現しない。
なぜでしょうか?

あらためて「通行量」を考えて見ましょう。
目標にされている通行量は、当日、所定の時間中に商店街の主要ポイントを歩いた人の数です。
来街者すなわち、まちを訪れた人の数ではありません。
商店街の通行量とは「イッテの時間内に街なかを回遊していた人の数」
です。したがって、一人の人が長く滞在してあちらこちら回遊すると、「「来街者1」が「通行(回遊)者3、5」になります。
通行量増大は、来街者増大では無く、回遊者増大であり、それを実現するには「来街者増大プラス回遊機能の向上」に取り組むことが必要です。
入口、出口両論には、「回遊機能の向上」に取り組むという問題意識が薄かったようです。その理由は既に述べた通りです。

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