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「活性化」に欠けていた「ハート」

1.商店街活性化、なぜ成功しないのか

全国・全都市・全商店街で数十年に渡って取り組まれているにもかかわらず、成功事例は数えるほどしかありません。なぜか?

 『改正中心市街地活性化法』のスキームでは、はじめて「中心市街地活性化」が定義され、
①都市機能の増進 と
②経済活力の向上 とされました。

 ちなみに、商店街が集積として担っている「小売機能」は、どこからみても立派な都市機能の一つであり、特に「三要件」に合致する中心市街地=商業街区にとってはもっとも基本的な機能です。中心市街地における都市機能の増進といえば、小売機能の「増進」を除外しては考えられないわけですが、如何でしょうか。

 さらに。
活性化の定義のもう一つ、「経済活力の向上」について。
中心市街地に立地している都市機能で、その活性化に取り組むことが「経済活力の向上」に直結しているのは、第一に小売業であり、すなわちその集積としての商店街ですね。

 では、「商業の活性化」とは商業がどうなることか? これは未だに定義されていません。本来ならそれぞれの基本計画で「わが中心市街地における商業の活性化を次のとおり定義する」というように定義すべきでしたが、定義している例はこれまた数えるほどしか無かったのです。
どうして活性化できなかったのか?
答は簡単、「活性化とは街がどうなることか」定義していなかったからです。「活性化」を定義しないまま「活性化」に取り組んできた、これがこれまでの取り組みの実状です。

(1)「商店街活性化」とは商店街の何がどうなることか、誰も定義していなかった

 全国・全都市・全焼店街でこれが定義されないまま、従来的な活性化事業が計画され・推進されたわけです。

 もう少し掘り下げておきましょう。
実は、『整備改善活性化法』のスキームが登場して、従来からの施策と大きく変わったことは、「TMOの設置」のみであり、その他の施策は『商店街活性化ビジョン』時代とそれほど変わっていません。
ということは、ここで大事なことは、「これまで多年取り組んできたが、成功しなかった「商業活性化」について、総括し、一体「商業の活性化」とは商業にどのような状況が生まれることか、という「定義」を行うことが必要だったのではなかったか?ということです。

商業の活性化とは? 商店街の現状・関係者が願っていることを忖度すれば、「商店街活性化」とは、
 ①事業に取り組んだ結果、
 ②繁盛する個店が続出し
 ③街全体が「買い物の場」として繁盛すること
つまり、商店街における「商業活動が活性化される」ことだと思います。

 この定義は「活性化事業」が始まって以来今日まで、一貫して妥当な定義だと思います。
この定義が無かった。したがって、計画された事業も、『商店街活性化ビジョン』当時から商店街ごとに取り組んできた事業とほとんど変わりませんでした。

次に。
(2)三者三重・同時並行の間違った取り組み
①個 店:全盛期~現在まで「間違った試行錯誤」の繰り返し
②組 合:「個店には問題はない」ことを前提にした「販売促進」の繰り返し
 高度化事業という名の施設整備が中心だった(成果は不問)
③TMO:「買い物の場」づくりに直結しない「補助事業」主体の取り組み
  高度化事業をはじめ、個店レベルの業容・活動の革新には踏み込まない事業展開

 ということで、これもおおむね過去の組合単位で取り組んできた事業の欠陥というか、不足を踏襲しています。

 「高度化事業」については、このところ何度も書いていますが、消費購買ニーズの高度化、競合する商業集積の機能の高度化に対応して「ショッピングデスティネーション」としての位置を維持拡充して行くためのトータルの取り組みの一環であること、高度化事業単独ではけして目的を達成できないことは、当時も今もこれからも同じです。
もちろん、これは高度化事業にかぎったことではありません。
商店街活性化のための事業は、常に業容三点セット、トータルでの取り組みでないと成果を挙げることが出来ません。
このことは個店であれ商店街であれ変わりはありません。


2.仏作って魂入れず

 取り組まれた個別事業はと言えば、成功したものもあれば失敗したものもある。どちらかといえば、個別事業のレベルでは整斉と実施され、つつがなく終了したものが多かったと思いますが、その結果、街全体がどうなったか、ということが問題でしょう。

 たとえば、景観整備を目的とするファーサード整備事業に取り組んだ商店街は、景観整備という直接の目的は達成されますが、では景観整備はなんのために取り組んだのか、という上位目的との関連をチェックして見ると、「繁昌創出」という最終目的の達成にはほど遠いわけですね。
そうすると当然のことながら、にぎわい・繁昌とはほとんど縁のない街や個店の情景が続くことになる・・・・。

 「こうすれば買い物環境はもっと良くなる」という事業には種々取り組んできたものの、買い物行き先としての商店街にとって肝心カナメである、「売り場」づくりが進められていなかった、という致命的な欠陥があるわけです。
特に来街・来店・買い物目的である「欲しかった商品を買って帰る」という行動の対象になる・品揃えと消費購買ニーズとの間にギャップがあり、さらにその上、提供しているサービスや店内外の環境もぱっとしない、という状況があれば、お客に「買い物行き先」として評価・使ってもらう、ということにはなりません。

 こういう状況は、組合ごとに事業に取り組んでいた当時からよく見かけられたことでありまして、「環境を整備し人を集めるのは組合の仕事、集まった人をお客にするのは個店の仕事」といったことが執行部ではよく言われていました。
しかし、「個店の仕事」はどう進めるべきかということが執行部各位を含めて分かっていなかった、これがかっての商店街単位の「取り組みを続けても空洞化が進む」大きな原因だったと思います。

 新しい取り組みでは、従来の事業経験などにこだわることなく、「買い物行き先としての魅力」をどう作っていくか、ということに主眼をおいた取り組みが必要だったのですが、昔取った杵柄、これまでの事業ならこれまでのやり方がある、ということで進められてしまった、ということでしょうか。

 結局、いろいろ取り組んでは来たが、お客から見て「買い物して持って帰る」商品を揃え・提供するという肝心のところが手つかずだった、ということ。“仏作って魂入れず”ということですね。
旧スキームでは知らず知らずのうちに、従来の取り組みが踏襲されてきましたが、今度はきっちり「魂」を入れた取り組みにして確実に活性化を実現しないと、次の「やり直し」機会は無いかも知れません。

 各種事業に取り組むにあたっては、必ず、個店の「売り場の革新」、「業容革新」への取り組みを計画・推進すること。

 これが出来るか否かに商店街活性化の成否が掛かっています。
中には、既存商業者には期待しない、外部からの誘致に賭ける、という計画もあるようですが、それで街が「買い物の場」として活性化することは期待出来ません。


3.ハード、ソフト & ハート

商店街のにぎわい創出のための事業といえば、これまで
ハード事業=共同施設事業
ソフト事業=共同経済事業
ということに決まっていました。

 このところよく言われるのが、“これまでの取り組みはハード事業に偏っていた、これからはソフトに注力しなければならない”ということ。
そうだ、そうだった、ということで、販促イベントや一店逸品などに取り組むことになりますが、その結果は先行事例を見れば一目瞭然、成果が挙がることはありません。

 一店逸品の成功事例としては静岡市の取り組みがよく引用されているようですが、
①どうしていつまで経っても静岡だけなのか?
②静岡市の取り組みとその他の取り組み、どこが違うのか?
といったことはあまり問題にされていないようです。
ポイントシステムの成功事例がいつまで経っても烏山、というパターンと相似、どうしてそう言うことになるのか、原因は分かっていますがここでは省略。

 ハード、ソフトと分類される事業はいずれも上位目標を達成するための手段として取り組まれます。当たり前のことですが。
上位目標をきっちり定義しないまま取り組まれる事業は、ハードであろうとソフトであろうと、個別目先の「達成」だけ、上位目標の達成に貢献することは出来ません。

 これまでの取り組みに欠けていたのは何か?
ハード&ソフトを貫く、「ハート」が欠けていました。

 にぎわいは、“お客の目的達成に貢献することを通じて繁昌を実現する”という基本姿勢に基づいて取り組まれる店づくり・商店街活性化の取り組みがお客から評価され、支持される結果として、はじめて生まれる店内、通りの情景です。

 皆さんの意欲に基づく取り組みが「店づくり」として結実し、それがお客の「生活をもっと豊かに」という思いに届いたとき、はじめて「買い物の場としてのにぎわい」が生まれます。
ハード&ソフトの取り組みは、ハートを実現する手段だということをあらためて肝に銘じておきましょう。ほれ、「ハー(ド&ソフ)ト」で包まれていないとものの役には立たないのが商店街活性化事業です。

 肝心の「何を実現するための取り組みか」ということがキモに銘じられていない場合、どんなに大規模な事業でもその結果「繁昌店が増えた・軒を連ねるようになった」ということにはなりません。
全国各地のハード&ソフトの取り組みの結果がこのことを証明しています。
これから取り組まれる事業も「何のための取組か」という目には見えない領域・ハートの領域がしっかり固められていないと同じ轍を踏むことは確実です。

 取り組みは上位目標ありき、ハートあってのハード&ソフト事業です。もちろんここでいう「ハート」とは“心構え”などのことではなく、最終的に達成を目指す“「お客さんに支持されるショッピングの場」といういまは目に見えない目標”のことです。

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  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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