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「コンセプト」とは何か

※16年7月の記事を再掲
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  ふだん、何気なく口をついて出る よく分かっているようで、あらためて考えてみると実はよく分からない、 という言葉が意外とあるものだ。
特にカタカナ語などの場合、ふだん誰もが使っていて今さら「どういう意味?」と聞くことがはばかられる言葉もありそうだ。
とりあえず、雰囲気で使っていたりするわけだが、中にはそういう使い方しているととんでもないことが起きるという言葉がある。

  「コンセプト」などがその例。誰もが特に意味を確認することもなく使っているが、英和辞書を引いてみると「概念、考え方」などと素っ気なく説明されている。概念? 考え方? あなたはどういう意味で使っていますか?
今日は誰もがいつも使っていながらあらためて意味を考えるとよく分かっていないかも知れない「コンセプト」について、スーパーマーケット(以下SMと略記)を例にして考えてみたい。

 私にとってコンセプトは簡単、コンセプト=定義という意味で使っている。
SMのコンセプトとは、SMの定義ということである。例えば小売業の「業種業態事典」というものがあるとして、その事典でSMについて説明されている内容がSMのコンセプトということになる。

 試しにSMのコンセプトらしきものに挑戦してみると、「主婦(というか夕食調理担当者ですね)が夕食の献立材料の調達に行き、同時に済ませたい買い物・用事もワンストップで出来る店」というようなことになる。家庭での夕食の献立材料を調達に行く、主婦としての業務用の買い物であり、時間も支出も合理的に切りつめたい、という購買動機のもとでやってくるのがSMということになる。
 この来店動機=期待を満足させ、さらにこの時、お客から見て一緒に・ついでに済ませた方がいい買い物、用事(家庭用消耗品の補充やクリーニングなど)も一緒に済ませられるテナントミックスを構成しているのがSMだ。

 新しい仕事・問題への取り組みは、まずその定義=コンセプト作りから始まる。コンセプト作りの難しさは、それが表現しようとする対象となるコトやモノを「過不足なく」表現する、ということである。
SM関連の商品で例えば食材全般となれば「市場」になるだろうし、「主婦の買い物」全部に対応しょうとすれば「量販百貨店」になってしまう。
ちなみに「ワンストップ」とは「レジを1回通る」ということである。

 最近、さかんに報道されている、量販百貨店(ジャスコ、イトーヨーカドー)の危機は、創業時点ではSMチェーンとしてスタートした企業が、SMの役割=コンセプトを理解していなかったために、いつの間にか「沢山売れるものならなんでも売る」というコンセプトの「量販百貨店」に変化してしまった、ということに根本的な原因がある。もちろん「量販百貨店」はアメリカのGMSとは似て非なる業態であり、SMが日本的に「進化」した形である。

 国小売業の新業態は、顧客の生活・購買行動の変化によって既存の業種・業態との間に発生したミスマッチを解消する=ビジネスチャンスとして創
造されて登場する。この場合、新業態は顧客の生活や購買行動を基準にして既存の業種・業態との違いをはっきり出す、ということは当たり前のことである。コンセプトの重要性は特に強調される必要も無いが、日本の場合、新業態はほとんどが米国の表面的な模倣という例が多かったので特に注意が必要である。

 米国でコンセプト主導で展開されていたSMを日本に輸入するに際して、表面だけ、ハードを模倣してみたらタイミング的にぴったりだったので大ブレイク、衣料、家電などなど、扱ってみたらこれらも飛ぶように売れた。その結果、「沢山売れるものならなんでも売る」店になってしまったということである。
 今さら元には戻れないし、「沢山売れるもの」とか無くなったし・・というのが日本型GMS=量販百貨店の現状である。(ちなみに米国のGMSといわゆる日本型GMSとは似て非なる業態である)このような苦境にあえぐ量販百貨店がある一方、SMのコンセプトをキッチリ守ったところはSM業態の充実を目指して健闘中である。

 コンセプトは言ってみればビニールの風呂敷のようなもの。対象をキッチリ包んでいるから外から形が分かる、透明だから中味も分かる、というよう作らなければいけない。対象の中身をキッチリ、過不足なく包む簡潔な短文で表現するのがコンセプトである。対象となるモノやコトに基本的なレベルの問題が発生した時、コンセプトに戻って考えれば解決策や進むべき方向が見えてくる、という役割を果たすことが出来るのがコンセプト、また、解決策を考えるときの基準もやはりコンセプトである。コンセプトが問題解決
のスタートであり、ゴールであるということになる。皆さんの回りにあるコンセプト、果たしてこんな役割を果たせるかどうか、一度チェックしてみられたら如何だろうか。

 もう一つ大切なことがある。それは、コンセプトは顧客志向であるべきだ、ということ。われわれが住んでいるこの社会は言うまでもなく分業社会である。分業社会とは「誰もが誰かの役に立つことを通して自分の目標達成を実現する社会」(つまり分業社会のコンセプト)という社会だ。分業社会で自分の目標を達成したかったら、その目標を達成する鍵を握っている人に「達成に向けて行動してもらう」ということが大切になる。他人の動き如何で目標が達成されたりされなかったりするのだ。
 言い換えれば目標を達成するためには、相手に目標達成に協力してもらうということ、それも相手が自身の目的を達成するために動くプロセスがそのままこちらの目的達成に貢献する、という関係を作り上げることが大切である。(これがマーケティングの本当の意味・考え方)

 したがって、コンセプトも「顧客志向」で作らなければいけない。
例えば「献立材料を調達に来るところ」というコンセプトからは、お客の活をよく知り、その不満や不便を解決する新しい提案などがいくらでも生まれて来るだろう。他方、「沢山売れるものならなんでも売りたい」というコンセプトからは、昨日までの売れ行きや他店の状況などを参考に手を変え・品を変え・値段を変えて、ということしか出来ない。お客の生活や購買行動の変化に対応してこちらが変化する、しなければ目標達成は出来ない、という問題意識が無いために、お客の生活の変化、買い物に対する期待の変化などには気づくことさえないかも知れない。

  いい(悪い?)例が某量販百貨店の「生活百貨店」という「コンセプト」、生活百貨店っていったい何? 生活に必要なもの全般を売る? 沢山売れる生活用品を売る? あるいは「時間消費」というキャッチフレーズ。時間は好むと好まざるとに関わらず消費される。消費される時間は、「節約」したい時間と「堪能」したい時間に区分されるのだ。

 繰り返しておこう。コンセプトは、こちらの目標達成の鍵を握る顧客・相手が自分のために行動する、その行動がそのままこちらの目標達成への貢献を実現する、という関係を作り上げることを目指して、そのレベルで役立つ方向で作ること。 目標を達成するには鍵となる相手(顧客)のこちら側に対する期待をよく知り、その期待に応えられる仕組みを作ること。
コンセプトはこのようなわれわれが目指すの相手への貢献の簡潔な表現である。

  コンセプトを作るということは、対象や言葉について大変敏感であることが要求されるし、もちろん対象となるコトやモノについてはもちろん、その前後左右についても十分な知識を持っていることが望ましい。だがこれは十分条件ではない。コンセプトつくりは「勝てば官軍」、どういう手法で作ってもよい。
 ただし、出来上がりはここで述べたような「役に立つ」内容を備えておくことが必要である。したがって日ごろから対象に関係のある知識・情報を沢山持っておく、必要に応じてそれらの知識や情報が自然に湧き出てくる、ということが望ましい。(このあたりはいわゆる「能力開発」のテーマ、そのノウハウについては近くホームページ上で講義する)
 ひとつ皆さんもコンセプト作りに挑戦されてみては如何だろうか。あるいはコンセプトつくりを既に手がけておいでの方は今回述べたことを念頭にもう一度見直してみることも意義があるかも知れない。

 言葉の定義などにあまりこだわり過ぎるのは良くないことだが、少なくとも「コンセプト」という言葉をここで述べたような「概念」として活用すると、ビジネス上で大変有意義であることは間違いない。是非おためしあれ。 

 最後に「コンセプチュアライザー」という私の自称している肩書きについて説明しておきたい。これを名乗っているのはたぶん日本で私だけだと思うが、「問題の解決にあたって、解決された・望ましい状態をコンセプトとして定義し、現時点から望ましい状態 に至るまでのシナリオを作る」という役割を担う人のことである。私の場合は、プロだから「要請により、他人の」と頭に付くことになる。
ちなみに「戦略」とはこのシナリオのことである。戦略という言葉もこれまた使う人の数だけ意味が代わりそうな万能語である。
次回は「戦略」について考えてみたい。

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