再開発ビルは何故成功しないのか

□はじめに

 多くの都市の中心市街地活性化基本計画には 「核施設」 の
整備が計画されています。中心市街地の集客核であり多くの場合、
商業施設です。
量販大型店(GMS)が撤退した空店舗のリニューアルや公共
機関との複合ビルの場合もあります。いずれも当該施設が広域から
集客、中心市街地全体への回遊を創出して一挙に活性化を実現する、
という計画でした。

 ところが、ふたを開けてみると、施設への集客は出来たものの、
施設外への回遊はほとんど起こりません。当て外れ。
そうこうしているうちに肝心の集客核からも客足が減り、業績は
次第に悪化、低迷するようになります。いろいろと手を打たれるの
ですが、なかなか効果が挙がりません。

 そうこうしてるうちに、
郊外や隣接する自治体にモールなどが進出するとさらに落ち込みが
ひどくなり、核店舗が撤退、執行部交代、債権放棄、あれよあれよ
という間にお荷物になってしまう・・・。

 都市の規模や施設の規模を問わず、どうしてどこの街の核施設も
同じような運命をたどるのか?
その原因を明らかにして、新しい繁盛を実現していく対策を提案し
たいと思います。

□余 談
 しかし、ただ、あーですよ、こーしたらいいですよ、だけでは面白
味に欠けるので,どこか、どなたか、“うちが実験台に上がってもい
いよ、本当に活性化出来るのなら”という手は挙がらないでしょうか。

 クオールエイド流繁盛店づくり、お金は掛けない。計画は立てない
・新規のお客は欲しがらない、三点セットで立ち直らせるという企画
です。
ちなみに「キラリ」はこれまでも、百貨店、商業ビル、エキナカモール
など「中心市街地の核店舗」で取り組まれています。


□なぜ再開発ビルは軒並み失敗続きなのか?
 結論から言いますと。
 計画した人(グループ)が、商業についての知識を持っていなかった、
今どき中心市街地に「商業核」を新設するにあたっては、必ず持って
おかなければならない知識を持たないまま、漫然と建設に取り組んだ、
ということです。
これが失敗の最大の要因、全国の開発事例=失敗事例に共通する
原因です。

 多くの事例では活性化策に取り組まれていますが、その取組は、
上記の失敗要因に気づかないまま、要因に対する対応を講じられない
レベルで進められていますから、いくら注力しても効果が挙がりません。

 せっかく作った核施設、中心市街地の核店舗として機能させるには
何をどうすれば良いのか考えます。
問題に直面している人は、お付き合いいただくときっと得るものがある
はずです。


□「集客核」について

 商業関係で“核”“核店舗”と呼ばれる施設については定義がありま
せん。核店舗に限らず、小売業界の専門用語はあまりきちんと定義し
ないまま使われている例がほとんどです。
 もちろんw、商店街、中心市街地界隈で流通している商業用語、専門
用語も定義されいません。定義されていない言葉を使った考察で、原因
が複雑で大勢の人が関係している問題の解決策を考え出し、実行して
目的を達成することは難しい。
第一に、解決策が“見た目”レベル、問題の現象的な部分に対する対症
療法位しか考えられないでしょうし、その対応も何のために取組むのか、
関係者が共有することはなかなか出来ないと思います。

 専門用語の定義、難しく考えることはありません。
この言葉で何を言い表そうとしてるのか? ということ。
商店街、中心市街地関係の専門家さん達が使う“専門用語”、果たして
ちゃんと定義されているかどうか。直接聞いてい見ては如何でしょうか。

 さて、“核店舗”について。
これは「商業集積」において特別の地位を占めている店舗のこと。
特別の地位とは、その商業集積全体を代表している、象徴する位置に
ある店。その商業集積が対応するショッピングニーズの中心部分に
対応している、商品(売場)構成、サービス、店内環境を実現している
店舗のこと。
核店舗は, その店・売場をみればその商業集積がねらっている消費
購買行動が理解出来る、という特性を持っています。

 計画的に作られる商業集積の場合、核店舗を導線の中核に据え、
その周囲にサブテナントを配置するという形が一般的です。
サブテナントとは、核店舗が象徴するデスティネーションを補完する
店舗、売場です。

 集積類型が同じ商業集積の場合、核店舗は大体同じ業態になり
ますから、余り独自性を発揮することは出来ません。いたずらに売
場を拡大するとマネジメントの効率が低下します。
集積間競争に勝ち抜くにはサブテナントの充実が不可欠です。


□核店舗のテナントミックス

 もう少しテナントミックスの原理について説明しておきますね。
中心市街地,商店街にとっても重要な概念、タウンマネージャー
さんでこの概念をここで説明する内容で理解しておかないと役割を
果たすことが難しくなります。

 さて、核店舗(ここでは百貨店・DMS)といえども単体で成立して
いるわけではありません。
同業種・同業態間の競争は、どちらが業態としてのデスティネー
ションを(消費購買行動からみて)実現しているか、を巡って行わ
れます。
というか、同業間の競争なら「差別化」でいけます。
差 別化とは:
1.同業他店がやっている「よさそうなこと」は全部採用した上で
2.他店がやっていないことをやる
という昔の経営手法ですね。

 同業間競争の場合、特にどちらも「見よう見まね」で作った業容です
からどうしても似通ってきます。目隠しして店内に入って目隠しを取ると,
どこの店にいるの分からない,といわれるくらい。
この点、核店舗の関係者にはよくわかっていますから、自社内部の努力
による差別化は困難となれば、後はテナントで勝負しなければならない。
競争相手が持っていないテナントをどうリーシングするか。
これが百貨店、GMSの競争戦略・経営持続戦略としてのテナントミックス
の基本です。
核店舗を撤退に追い込んだモールのテナントミックス戦略も「ご当地初
登場」のテナントをの宣伝に頼るなど余り変化はありません。

 ということで、以上を踏まえて「中心市街地の新核店舗」の考察を続け
ます。


□ 核店舗のテナントミックス (2)

 本来、テナントミックスは、核店舗が構築している業容をいっそう充実
せる、補完強化することが目的です。競争=お客の消費購買行動への
対応です。

 百貨店やGMSが細かな顧客ニーズの変化に対応することは業容の
特性から難しいと言うこともあって、テナント=専門店の力を活用して
集積としてのデスティネーションを作る、という方向が主流ですが、この
手法もろとも郊外のモールに敗退した、というのが中心市街地から核店
舗消滅の事情です。

ちなみに、同じ手法で勝利しているかに見える郊外のモールも内実は厳
しく、ここに中心商店街起死回生の道が見えているのですが、その話は
また後ほど。


□中心市街地の集客核

 中活法において中心市街地とは「都市中心部の商業街区+アルファ」
をいいます。ここを間違うと、ものの見方考え方、施策、全て間違う可能
性がありますから要注意。
ちなみに、今大きな問題となっている地方創生に関わるコンパクトシティ
指向には、中活法のスキームは対応していません。
よくよく吟味してみること。

 さて、中心市街地的商業集積の核と言えば、昭和の頃は百貨店か量
販百貨店、それにトレンディ服飾系のテナントビルと決まっていました。
ところが空白の二十年、平成に入るとこれらが揃って“核機能”を喪失、
業績不振ーリニューアル―業績不振という「負の連鎖」にはまり込み,
相次いで撤退に追い込まれたことは周知のところです。
 核店舗が撤退すれば、その集客力に依存していた「買い回り型商店
街」はたちまち通行量激減、閑古鳥が闊歩する事態に陥ります。

 中心市街地活性化は、低迷する中心商店街を活性化することを使命
として制定されたことは、改正前の法律の正式名称が、「中心市街地に
おける市街地の整備改善と商業等の活性化の一体的推進に関する法
律」だったことに明らかです。

 状況からして
商業等の活性化を任務とする中心市街地活性化基本計画に掲げられた
商業等の活性化のための事業の筆頭は、「中小小売商業高度化事業」
(現行法も)。その目指すところの第一は、中心商店街に集客核を再建
すること。

ここまでよろしいですか?


□課 題

 中心市街地・中心商店街に新設する集客核の課題とは。

 従来、自他共に認める中心商店街の核店舗=百貨店等が退出した
後を引き受けて集客の核となる施設の業態・業容は如何にあるべき
か?
前提条件の第一は、百貨店や量販百貨店(以下「GMS」)では話に
ならない、ということです。
だって、従来しっかり地域に根を張っていたはずの店舗群が総退出
せざるを得ない、「地殻変動」が起きているわけですから。

ちなみにこの地殻変動は、核店舗のみならず、それを取り囲んで立
地する商店街群全体にも同様に深甚な影響を及ぼしていますが、
この地殻変動が全く理解されていない、
今日に於いてもなお、というのが大問題。

新に核店舗を計画するに当たっての作業は、
1. 既存核店舗を総退出せしめた「競争環境の変化」を的確に理解し、
2.その理解の上に新に計画する
 「核店舗」の業態・業容を計画立案する
 という創造的なものです。さらに、
3.核店舗として、商店街の各個店が構築すべき「新しい繁盛への道」
 のモデルとして,
繁盛を実証し、ノウハウを構築し街なかに普及するという役割を持ち
ます。
 スキームに於いて「核店舗の整備」が高度化事業構想―タウンマネ
ジメントの根幹に据えられたのは以上2つの理由からです。

 中心市街地活性化推進の核となる「核店舗」への期待と課題は以上
のとおりですが、
実際の取組に於いてこの期待と課題はどう理解され、計画に反映され
たか。


□ 計画されたこと

 中心市街地活性化基本計画における核店舗の整備は、
1.新設
2.大型店が撤退した後の建物を再利用
という方法が一般的ですが、
計画するに当たっては、どちらの場合も、
1.商店街既存の各店舗が撤退に追い込まれた原因の究明
2.これから商店街の核となり得る店舗が具備すべき要件
などについて、検討された形跡はありません。
これは大変重大な問題。

本来なら、
1.新規に開設する核店舗はなぜ“核店舗”としてふさわしいか
  説明した上でさらに
2.核店舗を整備した効果を獲得するには商店街全体・既存各個店
  はどんな自助努力が必要か?

よいう二点を基本計画上に明らかにして、

3.商店街・各個店が核店舗を中心に再構築していくデスティネー
  ションを定義し、それを実現して行くシナリオを描き、
4.各段階をクリアしていく行動・事業を計画する
これが中心市街地活性化基本計画の任務です。

 実際はどうであったか?

 核店舗の果たす役割を踏まえた業容の構築・・・・無し
 商店街とともに構築していくデスティネーションの定義・・・無し
 商店街・個店の努力が向かうべき方向・・・無し
 取組のための体系的な施策・・・無し

 という無い無い尽くしで取り組まれたのが核店舗の整備、これ
で核機能を期待するとか、商店街活性化の牽引車とか言われて
もですね・・。

開設してみたら、案の定、核機能は愚か自店の経営継続もまま
ならない状況のものが多い。
この原因をもう少し詳しくみていきます。


□ 商店街の核店舗

 中心商店街が当該都市の〈ファイナルショッピングゾーン〉だ
った頃は、郊外の商業集積は影も形もありませんでした。当時、
商店街の核店舗は前述のとおり、地方百貨店か量販百貨店、
あるいは両者並立でした。当時は商圏内に比肩できる集積は
無かったので、商店街立地の大型店=商店街の核店舗、と
いう認識でよかったのです。
実際、両業態とも当該商店街が標的としている消費購買行動
に適合した店づくりでした。

 このことから、核店舗=大型店舗、百貨店や量販百貨店の
こと、という俗説が生まれました。ところが、郊外型商業の発展
と共にこのような「核店舗」は郊外のショッピングセンターとの
競合に敗北します。
(その経緯はあらためて後で詳しく)

 郊外型商業が全盛を極める時代には、商店街立地の百貨店、
量販百貨店はそれらと太刀打ち出来ず総撤退を余儀なくされ
ました。
撤退後には大型の空き店舗が生まれ、これを利用して新しい中
心商店街の核店舗を設置しよう、というのが多くの都市で創られ
た基本計画の目玉です。

 この「核店舗」整備計画がよろしくなかった。
「核店舗」なら百貨店か量販百貨店(当時でいえば、ダイエー、
ジャスコ、イトーヨーカドー、サティなど)と思い込んでいたので、
打診しますが、もちろんいい返事はありません。
みんな、郊外に出店しているのですから当然ですね。
当てが外れましたが、建物の建設は既に進んでおり、何とか
埋めなくてはならない。

 そこで招聘されるのがSC企業経験者たるコンサルタント
さん。
テナントリーシングの経歴を買われてタウンマネージャー
に就任した人もいます。

 大きな箱にテナントを入れ込む作業が始まります。
当初は、地元初登場のチェーンショップとか条件を挙げて
いますが、募集が難航するにつれて、条件を甘くせざるを
得ない。
なにしろ、中心市街地の大型店に出店しようという奇特な
企業はそう多くありませんから。

 オープン当日のテナントミックスを見ますと
「郊外型SCの二番煎じ」的なレイアウト―テナントミックス
が出来上がっています。
期待していた地元の消費購買行動はがっかり。


□ 核店舗の低迷

 せっかく新設した核店舗ですが、期待したような“核機能”
を果たすことは出来ません。
新施設が広域からお客を集客する
集まったお客が街なかを回遊する
既存商店街全体が潤う、
という周知の活性化シナリオが機能しません。

既に述べたように「核店舗」の内容が
【各種大型店が退出した中心商店街の集荷客】
にふさわしくなかったからです。

 その結果、中心市街地の回遊性の再構築どころか、
新設した施設自体の業績が計画を大きく下回り、運営
に支障が生じている店舗が続出する状態です。
もちろん、中心市街地全体の活性化を牽引するという
当初の期待は全く果たされないまま。

こういう状況に陥っているケースは、珍しくありません。
(※その情報はネット上で調査すれば数多く出てきます)

 せっかく設置した核店舗ですから何とか存続させたい
と施策を講じますが、成果が挙がりません。
その原因は、【中心市街地に必要な核店舗】についての
検討が不十分だったことが第一です。中心市街地の集客
核である大型店が退出した、大変だ、代わりの大型店を
誘致しよう、という【対症療法】が間違でした。

 先にも述べたように、既存の大型店が退出したのは
(郊外に開設したショッピングセンター等の影響により)消費
購買客から見た【来店目的】が陳腐化し、中心市街地まで
わざわざ出かけてくる魅力を感じなくなったことが原因です。

 その後に類似の施設を持ってきても同じ運命をたどること
は容易に想像されるところ、実際に大きな期待のもとに苦労
を重ねて開設した店舗の多くが同じ運命をたどりました。

 さらに。
低迷する施設を何とか活性化すべく、あれこれと施策が追加
されますが、低迷の根本原因である店舗内容(業容)が中心
市街地の核店舗に求められる要件を備えていない以上,, 不足
していると思われる条件をいくら追加(加上)しても、焼け石に
水、です。

 今現在、中心市街地には活性化の取組に失敗したがために
新に生じた問題というものがあり、この存在がいっそう活性化の
実現を遠ざける要因となっています。

 これは核店舗に止まらず、非・物販施設や、駐車場なども含み
ます。共通しているのは、中心市街地の【来街目的の充実】とい
う基本問題の解決に失敗した、あるいはその問題への取組を放
置したまま、補完事業に注力したことです。
いずれも【中心市街地活性化】とは何がどうなることか、という根
本問題を誤って理解していたことに起因します。
なぜ誤解したのか、ということまで遡及するとたいへん根が深い
問題です。

以下、稿をあらためまして。

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プロフィール

有限会社 クオールエイド

  • Author:有限会社 クオールエイド
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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