暗黙のご了解

「暗黙のご了解」
 定義:ある特定の集団、組織のメンバーにとって「当たり前」と見なされて
いること。
 あまりにも当然のことなのでいまさらその内容について疑ったり、議論する
ことさえはばかられるようなことがら。

 商店街における「暗黙のご了解」は、「商店街活性化とは活性化事業に取り
組むことである」ということ。
 変な話だが、商店街活性化とは商店街が活性化することではなく、 「その
ための事業」とされている事業に「取り組むこと」なのである。ホントに不思議
な話であるが、商店街の現状を理解するには、そう考える他はない。

1.商店街活性化とは商店街がどうなることをいうのか、当社をのぞき誰も
定義していない。(我々を除き)

2.活性化事業への取り組みはしょっちゅう、至る所で行われているが、活性
  化に成功した、という話はほとんどない。

3.いい加減、「活性化事業の取り組み方はおかしいのではないか」という声
  が挙がりそうなものだが全然気配がない。

4.今日も活性化事業への取り組みが行われており、明日からはまた新しい
  活性化への取り組みがスタートすることだろう。

 という状況から考えられるのは、上述のとおり、「商店街活性化とは、活性化
事業に取り組むことである」という暗黙のご了解があると考えれば納得がいく。

 このような、ふと我に返って考えれば何とも信じられない暗黙のご了解、どう
して発生するのだろうか?
 それにはちゃんとした訳がある。

 活性化事業がスターとしたころ、事業の目的は街区内に進出してきた大型店
への対抗策だった。アーケード、カラー舗装、イベント、スタンプ事業等々、活性
化事業の定番はすべて大型店の施設、販促の見よう見まねで「規模のメリット」
に集団で対抗する、という立て前で始められたものである。

 結果的にこれらの事業は大型店対策にはならなかったが、隣接する商店街と
の域内競合の武器としては効果があり、大型店の核的機能も大きくはたらいて、
結果的に地域一番商店街の位置に着くことが出来た。
 つまり、このころ、商店街活性化を目的に活性化事業に取り組めば商店街に
その効果が現れたことから、商店街活性化=活性化事業に取り組むことという
短絡的理解が暗黙のご了解として成立したのである。

 暗黙のご了解の恐ろしいところは、暗黙のご了解がたしかに成立する条件が
消滅した後も、暗黙のご了解だけは人々の心の中に生き残り、肝心要の状況
で「暗黙のご了解」として猛威を振るうことである。

 今日、活性化事業に取り組めば取り組んだだけ成果が得られる、という条件
はとっくの昔に消滅している。対抗しようとした域内の大型店はすでに郊外型
SCの前に敗退し、活性化事業で蹴散らして地域一番商店街の位置に着いた
隣接商店街はとっくの昔に消滅してしまっている。

 つまり、いまや活性化事業が事業として効果を挙げられた条件はすっかり
無くなっているのである。

 にもかかわらず、暗黙のご了解のもと今日も明日も事業が続けられている。
いい加減で「活性化事業では活性化は出来ない」という声が挙がって良さそう
なものであり、一声上がればたちまち活性化事業はおじゃんになってしまうの
だが、寂として声無し。何故か?

 もはや、誰も活性化事業に何の期待も期待もしていないからである。
 組合執行部とは商店街の店主のうち、商店街のお世話をすることになって
いる人たちのことであり、それ以上でも以下でもない。
 執行部を押し上げている商店主の皆さんは「商店街で商売をしている以上、
出来るだけ事業などのおつきあいはしていかなきゃ」という考えであり、自店
の活性化=売り場としての活性化にその事業が貢献するなどということは
ハナから全く期待していない。

 ということで、暗黙のご了解のもと、誰も何にも期待していない活性化事業
が今日も明日も取り組まれる・・・。
 これこそが「暗黙のご了解」の恐るべき結果である。

という、しょ~も無い情景を見るのは飽き飽きしていますので、活性化事業
の垂れ流しか、「得意客生成機構」の革新か、断固として選択をしなくては、
と考える今日この頃です。

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