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商店街・経営理論の水準

商店街活性化で前提にされていることの一つに、
「商店主はみんな商売のプロである」
ということがあります。

プロ=それで生計を立てている、ということでは確かにプロですが、他方、プロ=これからもずっとこの道で生計を立てて行く/行くことが出来る=これからも繁盛を続けられる、ということでは果たしてどうでしょうか?
 このように考えてみますと、プロとは、環境が変わってもちゃんと期待されている仕事が出来る人、というように定義することも出来そうです。これは経営者だけでなく、お客の条件にあわせて買い物の支援が出来ること=販売員さんなどにも言えることですね。

 プロとは:
①基礎となる能力を持ち
②状況の変化に応じて能力を応用・発揮できる人
のことですね。
この定義を用いるならば、環境の変化に対応できない商業者が果たしてプロといえるのか?という過激な疑問が生じたりするのであります。

 さらに言えば、状況に応じて能力の現れ方を自在に変える、ということができるには、
①基礎能力を持っている
②状況の変化を見極める
③状況の変化に対応する能力の使い方を工夫する
ということが必要です。

 業績の低迷にあえぐ中心商店街立地の個店の苦境の原因はどこにあるのか。

その1:基礎的能力は装備されているか
 ここでいう基礎能力とは、商売のイロハといったことではなくて、当社がいう店づくり3点セット、すなわち、
①品揃え
②接客サービス
③店舗内外の環境演出
についての基本的な知識・技術を装備しているかどうか、ということです。3要件とも業種・業態が変わり、ねらっている客相が変われば具体的な現れ方が変わります。当然です。
しかし、3つの要件とも、小売業であれば、あるいは専門店で有れば、当然備えておかなければならない、基本となることがあるはず。
それを持っているかどうか、ということです。

次に。
環境の変化をどのように理解しているか?ということ。
これも大切なことです。

三要件の基本・・・環境の条件・・・有るべき店づくり というように店づくりとは、環境の変化に対応して三要件の具体的な現れ方を変えていくことですから、
①店づくりの基礎を理解している とともに
②環境の変化を適切に理解している ということが大切です。
この二つがそろってはじめて今という時代のお客の生活ニーズ、買い物行動に対応する店づくりが可能になるわけです。

 とするならば、業績が低迷しているお店は、対応が出来ていない
・不十分だということであり、その原因は、
①店づくりの基本を修得していない
②環境条件の変化を適切に把握していない
のいずれか、あるいはその両方にある、ということになります。

 売れない原因、それは、
①小売業の基礎理論を持っていない
②環境変化を適切に把握していない
のいずれか、あるいは両方が原因となって、お客の生活ニーズ、買い物行動に適切に対応出来る店づくりが出来ていない、というところにあるわけです。
では、その原因は、ぶっちゃけ、どこに有るのか?

●商店街のヒミツ
 結論を先に言ってしまえば、商店街の現状は、
①小売業経営についての基礎理論を備えていない
②目下進行している環境の変化を適切に把握していない
 という二つのことが同時に作用してもたらされていることではないか、というのが私の判断です。
なぜそう判断できるか。

 第一に、商店街のみなさんの創業以来の足跡を考えてみればこのことは明らかです。
創業以来今日まで、みなさんは「小売業経営に関する理論」を修得する機会がありませんでした。また、実務の経験もそれほどいろんな業種・売り場を経験したことも有りませんから、自分の経験を基礎にみずから理論を組み立てる、ということもなかなか出来ませんでした。
 多くの商業者が先行する同業種あるいは異業種のお店の店づくりの「見よう見まね」+問屋・メーカーなど川上からのリテイルサポート=小売店支援で開店しています。
さらに、開店以後の経営は、問屋、売れ筋、店前通行量を頼りにした従来型経営プラス販促アイデアの試行錯誤ということで繁盛店を作り出してきました。
当時はそれが可能でしたからね。当時の状況とは、
①もの不足・買い物行き先不足という時代
②中心商店街は、最後の買い物行き先、ここで買わないと後がない。
③店前通行人は、もの不足、ものが欲しい人ばかり
という時代です。
 極論すれば、焼け跡闇市、店頭にものさえ並べておけば売れたという時代からの右肩上がりの線上に商店街全盛時代が到来した訳ですから、一般論など基本的な勉強はしなくても店頭さえ知っていれば商売は繁盛しました。
勉強などしなくても売れましたし、勉強する暇はないし、何よりも「勉強する機会」もありませんでした。
年に一、二度、会議所、組合主催の講習会にお義理で参加して「初心に帰る」ことが出来たらそれで商売が成り立ったわけです。

 以来、今日まで、小売業の基礎理論を本格的に学ぶ機会は一度もないまま、現在を迎えています。
商店街のみなさん、その多くは「もの不足・店不足」時代に誰ともなく作り出し、広がっていった当時の繁盛店の経営ノウハウしか持っていない、ということです。
これは大変なことですね。

 さらに、環境の変化をどう理解するか、ということ。
小売業にとって環境の変化とは、お客の生活の変化、購買行動の変化です。目に見えているとおり、商店街繁盛時代とは全く変わってしまったお客の行動をどのように理解すればよいのか?
これまた「理論」がなければ理解することは出来ませんが、商店街のみなさんが国民のライフスタイルの変化・消費購買ニーズの変化・買い物行動の変化をきちんと理解するために必要な理論的な枠組みを装備する機会もその必要性の自覚も(大勢としては)有りませんでした。

 ということで。
経営理論なく、環境変化の理解もない、という状況で「店づくりの転換」に取り組み新しい繁盛を実現する、とった経営課題に取り組むことが出来るはずがありません。
ここに、商店街商売が全国・全業種・枕を並べて不振のどん底に陥っている真の原因があります。
このことを直視し、具体的に対策を講じる以外に商店街が活性化されると言うことはありません。

●試行錯誤と出たとこ勝負
 試行錯誤とは、理論に基づいてしっかりした仮説を立て、仮説に基づいて考えられる行動をとることでより効果的に結果を得ようとする方法です。
当社が提案している「繁盛店づくり」は、それぞれのお店が仮説に基づいて「対策」を講じる、その結果を評価して次の段階に進んでいく、という試行錯誤法です。
・失敗したら・・・二度と同じ失敗は繰り返さない、
・成功したら・・・成功して理由が分かり、今後応用が可能
というメリットがあります。
 他方、出たとこ勝負というのは、「何でもいいからやらないよりやった方がまし」という「世間の合い言葉」を採用してやってみるということ。
・成功した場合:なぜ成功したのか分からない。
・失敗した場合:なぜ失敗したのか分からない。
つまり、今後の参考にはならない、ということです。
 この違いは表面、見た目よりもずっと大きいですからね。
試行錯誤の場合、
理論について相当の信頼性があることが前提・・・確認作業
仮説について相当の信頼性があることが前提・・・確認作業
と踏まえて「対応策」を考えるわけですから、この過程で「対応策」の効果は相当練り上げられることになります。
さらに、この作業は知らず知らずのうちに本人の「問題解決能力」を向上させます。
重要なことは、なぜ成功したか/失敗したか、その理由を他人に伝えることができる、ということです。この場合、他人には「将来の自分も含まれます。

 出たとこ勝負の場合
勝負の一手を選ぶための作業は決まっていません。たとえば、先行事例、占い、思いつき何でもありですね。
出たとこ勝負で能力がアップするということは無いのです。
手法を重ねていくことはこの差がどんどん広がっていくことを意味します。
もちろんこちらは「なぜ成功(失敗)したのか」その理由を他人(未来の自分を含む)に伝えることが出来ません。

 商店街ぐるみで繁盛店づくりに取り組む場合、試行錯誤法で取り組まなければならない理由がここにあります。
試行錯誤法に基づく実践だけがその結果(成功にせよ失敗にせよ)を次の試行に活用することが出来ます。
このことは、「先行事例に学ぶ」時に忘れてはならない態度です。
成功事例にせよ、失敗事例にせよ、事例から学ぶにはその事例がどのような目的を達成するために、どのような理論・仮説に基づいて取り組まれたのか、ということを理解することがきわめて大切です。


●商店街全盛時代の経営理論
 商店街全盛時代の経営、その依って立つ仮説を作ってみますと。
当時の経済・社会的特徴は、
①生活財普及の時代
②所得向上の時代
③余暇増大の時代
④競争過小の時代
⑤消費者未熟の時代
⑥消費人口漸増の時代
ということだったと思います。

このような時代背景であったから、
①立地(店前通行量)に頼り
②問屋情報に頼り
③自店売れ筋頼り
という構えで商売を繁盛させることが出来ました。
これが当時の商売の「王道」だった、といえるかも知れません。
 問題は、当時の商売のあり方・業容が、上記のような経営環境を前提として成立した「時代限定的・成功の方程式」だったということを忘れ、「普遍的・成功の法則」であるかのように位置づけていたこと。つまり、経営環境が変われば店づくりも変えなければならない、ということが「役に立つ」レベルで身についていなかった、ということです。
その名残りは今日もなお、店づくりのあちこちに居座っています。

 当時の経営は、ご本人たちが意識していた/いなかったは別として、店づくりとしてはその環境に適応していました。
ただ、店づくりが「仮説」に基づいている、という理解がなかったことがその後の環境不適応の原因です。
つまり、その時々の「店づくり」は仮説に基づいているものではなくく、「生きた商売のあり方」として「実地」に根ざしている、と考えられたわけですね。このような「理屈」と「実際」を区分する考え方はなにも商業に限ったことではありませんが、「もの作り」のように仮説と実際が離れては成り立たないところとは異なり、人と人との交渉が主である小売業では、より強く「理屈と実際は違う」という思いこみが残っているのかも知れません。

 いずれにせよ。
商店街全盛時代の経営ノウハウは、当時の誰かが「仮説」として考案し、店づくりに採用してみたところ「うまく機能した」という「創意工夫」から始まっています。その背後には「仮説」=「こうすればこうなるはず」という仮説があったことはいうまでもありません。
この「仮説」が、成功しやがて「商売の実際」と位置づけられ、環境条件が変化して「仮説」が性行ノウハウとしては成り立たなくなっていても相変わらず生き続けている、というのが商業界の現状ではないでしょうか。


● 大・転・換
 商店街の経営環境・昔と今
上述のとおり、当時の経済・社会的特徴は、     
> ①生活財普及の時代         
> ②所得向上の時代         
> ③余暇増大の時代         
> ④競争過小の時代         
> ⑤消費者未熟の時代        
> ⑥消費人口漸増の時代       
> ということだったと思います。 

これらの趨勢は今やことごとく転換というか、文字通りひっくり返ってしまいました。
①消費財:もの余り/気に入る商品は少ない
②所 得:停滞・漸減・二極分化
③余 暇:活動領域の拡大
④競 争:激化・店あまり
⑤消費者:成熟・買い物行き先使い分け・買い控え
⑥人 口:漸減・少子高齢化

 古き良き時代の経営方針は、 
①立地(店前通行量)に頼り      
②問屋情報に頼り           
③自店売れ筋頼り           
ということでしたが、もちろん、もはやこのようなかっての「繁盛の秘訣」はことごとく通用しなくなっています。
 問題は、当時の商売のあり方・業容が、上記のような経営環境を前提として成立した「時代限定的・成功の方程式」だったということに気がつかず、時代限定の「成功」だったノウハウを「普遍的・成功の法則」であるかのように勘違い・位置づけたこと。つまり、経営環境が変われば店づくりも変えなければならない、ということが「役に立つ」レベルで身についていなかった、ということです。
 環境の変化に伴う業績の低下が漸進的だったため、「今日からは抜本的に方針を変えなければならない」というきっかけが無かったわけで、放っておきますとこの傾向は現在~将来も、たぶん、ずうっと続きます。

 商店街のみなさん、この間、けして手をこまねいていたわけではありませんが、着手した対応策が「時代の転換」への対策、というレベルでは無かった、というところに問題がありました。もちろん、これはひとり商店街立地の商業者に限られたものではなく、今をときめく?郊外型SC立地の商業者の多くにも共有されていることは、当サイト常連の皆さんにはすでに常識ですね。
以上のような状況については、少なくともTMO推進体制の中核を担う人たちは理解しておくことが必要です。 もちろん、このような状況を突破していく方向&方法についても。
理解は対応策とセットになっていないと単なる「知識」に終わってしまいます。
 また、個々の商業者の皆さんは、自分のこれまでの経営が、
①特定の時代環境においてのみ有効な商業経営手法の 
②「見よう見まね」を基本とする経営だった
ということをきちんと自覚、「転換」に対応しうる経営の基本を確保する、ということが必要です。

 中心市街地活性化、本当に実現したいならこのあたりを避けたまま前進することは出来ません。すなわち、ここで述べていることをヌキにしたまま、個店が新設の核施設に入居したり、郊外立地へ移転したり、SCテナントとして脱出したりしても抜本的な改革にはなりません。このとは特に声を大にして申し上げておきたいと思います。
 商店街の究極の問題は、直面している課題と採用されている解決策との間に大きなギャップが存在しており、かつ、そのことが自覚されていない、というところにあります。
このことは、いくら声を大にして言ってもけして声が大きすぎると言うことはありませんが、@商店街の味方 にしか言えないことかも知れません(笑


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進化する売場研究会

  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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