『地方創生ビジョン』

 「地方創生」、ひと・まち・しごと創生総合戦略の作成、目星はついて
いるでしょうか。

 都市が直面している課題を一括し、対応の方向を示して施策を準備
する、という我が国の都市政策は、バブル崩壊以来、活性化、再生、
改革、創生とめまぐるしく改称しながら進められています。
その結果はといいますと、ご承知のとおり、ほとんど所期の成果を挙げ
られていない、それどころか、国債の脅威的な増加に明らかなように
事態はなおいっそう悪化するばかりです。
何が原因でしょうか?

 その一因は、国の施策方針そのものにあると言わなければならない
ではないか。活性化、再生、構造改革、創生と前向きのスローガンは
掲げられるものの、その内容というか、どの方向に向かって推進して
行くのか、という国、都市が目指すべき方向・ビジョンが確立されて
おらず、改革・活性化の取組が目指す方向が分からない。

 このことは、中心市街地活性化の現状に明らかです。
中心市街地を活性化しなければならない、という課題は国―都市―民間
関係者に共有されていますが、活性化を実現しようとする取組が目指す
べき「方向と方法」が示されていない。

 このことについては、これまで国の方針は「方向と方法」の選択は
都市に任せる、という立場と認識していました。
その上で「活性化への道」を提案していたわけです。

 われわれが提案している中心市街地活性化への道は、
□方 向:「時間堪能ニーズ」の受け皿として地場商業者が集積する
      中心商店街を再構築する、
□方 法:キラリ輝く繁盛店づくり・活性化への5つの階段
というもの。
この「方向と方法」は、郊外に盤踞するチェーン型商業からの顧客奪還を
目指すもので、中心商店街のみならず都市内外の地場商業者全体の再生
への道となるものです。
皆さん既に十分ご承知のところですね。
地場小売業が繁盛を再現すれば、都市経営上最大の課題である域内資金
循環が再起動します。地方金融機関も助かります。

 地場小売業とチェーン小売業双方の特性から、この「奪還」は国内
消費財産業の流通チャネルの活性化をもたらします。
商店街の繁盛が川上に波及し、日本列島の消費財産業再生への期待が
生まれて来る。
「時間堪能型ニーズ」が新しい事業機会だと認知されれば、それに対応
する新しい事業に挑戦する個人・企業が簇生する。
文字どおりの「革新」です。

 われわれが実践する「キラリ輝く繁盛店づくり」は、“時間堪能型社会
への緩やかな移行”というビジョンのもと、「ラグジュアリィ=堪能ニーズ」
の受け皿として個店―商店街を再構築するというものです。
 国が『TMOマニュアル』で提起している“ショッピングモールとしての
再構築”は、実は
□形 式:ショッピングモール
□内 容:時間堪能型ニーズ対応
という方向で、郊外型モールと異なる機能を担いながら、モールを始め
チェーン型小売業から顧客を奪還する、という戦略を持たないと、モール
の物まねに終わります。物まねでは本物に対して勝ち目がない。

 われわれが提唱する「キラリ」は、時間堪能型社会への緩やかな移行
という社会全体が実現すべきビジョンと共にあることをあらためて確認
していただきたい。ビジョンあっての繁盛実現。
業種業態、立地・規模,経験など一切不問で所期以上の客数・客単価
業績の好転を実現する個店が輩出しています。

 中心市街地活性化について、国がビジョンを示していないことを奇貨
として「キラリ」があるわけですが、同じことが「地方創生」に置いても
採用出来るかと言えば、どうでしょうか。
状況のいっそうの深刻化とキラリの普及スピードを考え合わせるととても
同じ戦略は取れません。

 国が、地方創生のビジョンを示さなければならない。
現在のスキームでは、
1.国が地方創生総合戦略を策定する
2.1を踏まえて都道府県が都道府県版の地方創生総合戦略を策定する
3.2を踏まえて都市がその地方創生総合戦略を策定する
という段取りが示されています。

 戦略を決定するにあたっては、それが目指す方向、ビジョンが確定
されていなければならない。戦略とは目指す方向に進んでいくための
シナリオですから、方向・ビジョン・目標が確定していないと建てることが
出来ません。

 国の総合戦略=ビジョン提示はまだこれからですが、これまでの経過を
見ると、ビジョン―どこに向かって進むべきか―が示されるかどうか、
疑問を持たざるを得ない状況です。

 県・市ではさっそく総合戦略作成の準備が始まっていると思いますが、
1.どこに向かって進めば創生が可能か
2.そのためには何にどう取り組むべきか
あらかじめ「方向と方法」を定めないまま、事業を羅列すると中心市街地
活性化と同じ轍を踏みます。

 計画や戦略を作成するにあたっては、実現を目指すビジョンや目標を
決めておくこと。
計画についての常識ですが、いつも申し上げているとおり、我が国には
『計画原論』という「学問分野が未発達のため、これまでずっと「計画
まがい「や、「戦略まがい」しかありませんでした。

 “事業あってビジョン無き地方創生”とならないように。
国―都道府県―都市に共通する戦略課題は、地場商業の活性化、
地場商業が集積する商店街―中心市街地の活性化であることは、
当サイト常連のみなさんいは常識だと思いますが、全体の趨勢は
如何でしょうか。国がこれまでに出している文書には「地場商業」、
「中心市街地活性化」の文言は見当たらないようですが、これを
外して“域内経済循環”のシナリオは描けませんからね。

当欄では引き続き地方創生が目指すべき「方向と方法」関係の論考を
発表していきたいと思います。
状況が極めて厳しい折柄、全知全能を傾けないと『地方創生総合戦略』
をものにすることは出来ません。
これまで以上に気合いを入れて取り組みましょう。

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