中心市街地活性化の根本問題

 中心市街地活性化法は、平成10年制定から18年の改正を経て、現在(26年3月)再び改正作業が行われています。中活法のスキームで活性化に取り組む都市は、あらためて『中心市街地活性化基本計画(以下「基本計画」)』を作成し直すことになります。

 この機会に、これまでに作られた基本計画のほとんど(従って当然御市の計画も含む)が内包する根本的な欠陥を指摘しておきたいと思います。
この欠陥はスキームの欠陥ではありませんから、法が改正されることで改善されるということはありません。
しっかり吟味して対応策を講じないとこれまでの計画と同じ轍を踏むことになります。
以下、中心市街地活性化、とりわけ中心的な課題である「商業の活性化」を中心に論じます。

 まず最初に指摘するのは、作成されている基本計画に「関係者の能力問題」についての言及が全くないこと。能力問題とは、①関係者は活性化を実現するために必要な能力を持っているか ②持っていないとすればどんな手段で能力を確保するか という二つの問題です。

第一の問題:必要な能力持っているかどうか。
 これを判断するには、「活性化を実現していくにはどんな能力がどの程度必要か」を理解しておくことが必要です。まずハッキリしているのは、『大店法』以来商業者の自助努力はほぼ連戦連敗だったこと。その結果が都市経営上の課題としての商店街空洞化として現れています。商業者の従来的な自助努力では商店街は活性化出来ない、これが大店法以来の取組の帰結、当然後継スキームである中活法による取組はこのことを前提にしなければならなかったが、果たして実状はどうだったか?

 次に、計画している諸事業の成果を活性化に結びつけるには、商業者が取り組まなければならない課題があります。事業の成果をシャッターの内側・個店の売上げに反映させることです。そのためにはどのような能力が必要か?
その能力を商業者は持っているのかどうか。持っているとすれば、その能力はこれまでなぜ活用されなかったのか?という問題が浮上します。(使われなかった、あるいは使い方を間違った結果として個店―商店街の現状がある。)

 『大店法』制定以来、全国の商店街で取り組まれた施策は多種多様、今日『基本計画』に計画されている活性化のための事業は、法制定以前に既にどこかの商店街で取り組まれたものがほとんどです。
 したがって、基本計画に記載されている事業群を100%完遂してもそれだけで活性化の実現につながるとは思われません。今まで出来なかったのにスキームが変われば可能にある、などと考えることはできませんからね。

 要するに、関係者は活性化を実現するために必要な能力を持っていない、能力が不足している、ということが『基本計画』の作成に着手する時点での状況ですから、「能力」を獲得する」ための事業に取り組む、そのための事業を計画することが不可欠だった、しかし、作られている基本計画を見るとどこの計画にもこの重要な事業はまったく経計画されていない、ということです。したがって、

 第二に、計画的に獲得しなければならない能力とはどのようなものか?

 ところが、第一の問題がスルーされていた以上、この問題が意識されることはありません。「関係者の能力向上のための事業」はまったく計画されていない、という基本計画の実体が物語っているところです。
通行量が増えれば、それを自店の入り込み客―買上客―常連客に転化する能力を商店主たちが持っているとでも?

 能力の向上という努力を抜きにして活性化が実現出来るか? 
出来ないことは活性化法以前の多種多様な取組の結果、その集大成としての商店街の現状が雄弁に物語っているところですが・・・。

 どんな事業に取り組んでもその成果をシャッターの内側に反映させ、商店街全体の商業集積としての持続可能性を構築する=真の意味での商店街活性化を実現するために必要な能力が備わっていない以上、個々の事業は成功してもその結果として活性化の実現に接近することは最初から不可能だったわけです。
 これは大変重要な指摘です。

 中心市街地の活性化が進展しないのは『基本計画』を作成した後の環境の変化が想定外だったので活性化を実現出来なかった、とか、あるいは計画していた事業の進捗状況が予定より遅れたため活性化が進んでいない、といったありがちな弁解ではなく、そもそも活性化を実現するための基本課題への取組がまったく計画されていなかった、ということですからね。
このことから見えてくるのは何か?

 そもそも「中心市街地・商業の活性化」という問題を的確にとらえることが出来ていなかったということであり、結局、基本計画作成に関わった人たちは、外部から招聘された専門家をはじめ、全員、計画作成に必要な識見・技術を持っていなかった、ということになります。
そうですすよね?

 そして、恐ろしいことに。
改正法に基づいて作成される新・基本計画のプランニングを担当するのもこれまで同様の「識見・」技術」レベルの専門家・担当者だとなれば、これはもう作成する前から定まっているも同然で、従来の基本計画がたどった轍を繰り返すことを覚悟しなければならない。

 今回の法改正にはいろいろ意見があると思いますが、それより何より、一体自分たちは『基本計画』を作成するために必要な能力を持ってだろうか、今現在は果たしてどうか、冷静に判断してみるべきであり、もちろん持っているはずがないのですから、適切な支援を確保するにはどうしたら良いか、ということが今すぐ取り組むべ最重要課題だということになります。

 繰り返しますが、従来程度の能力のレベルのまま、改正されたスキームに則ってもう一度計画を作ればよい、ということは絶対にありません。先行都市の計画に見よう見まねで追随する、という方法はもはや通用しないのだ、と観念しないと活性化に接近する計画を獲得する道は開かれません。

法改正に伴い『基本計画」の改定を目指す全国・全都市が直面している・しかし誰も気づいていない大問題です。

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