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カント的自力思考

 サイトの【理論創発コーナー】に『カント「啓蒙とは何か」を読む』というスレッドがあります。
考えようとしたのは、「自力思考」ということでした。

 「啓蒙」とは“蒙を啓く”ということで、誤ったり、ためにならない知識や考え方を払拭することを意味します。誤った知識やためにならない考え方を身につけている人は、みずから努力してみずからの蒙を啓かなけれならない。
カント的・『啓蒙とは何か』的「啓蒙」が意味するところです。

 ところがわが国の「啓蒙」は、幕末・明治にかけて怒濤のように押し寄せた「進んだ文明」の一環として輸入されたという事情もあって、“遅れた考えを矯正する”、“進んだ知識・考えを持つものが、遅れているものを善導する”という意味合いで用いられて現在に至っています。

 この「啓蒙思想」には、度し難いものがありまして、右も左も科学も宗教も、みんな進んでいるものが遅れているものを指導する、というカントが厳しく論難した立場のものたちが「啓蒙」を自称しています。
客観的には噴飯であり、しかし、主観的にはホントに困ったことですね。
「進んでいる」と自覚している人大杉。
「遅れている」と自覚している人も。

 自力思考とは、“自分が責任を負わなければならないことについては自分で考える”ということです。これだけでは自称啓蒙派も“その通り”と賛成するわけですが、問題は「自分で考える」の方法にある。もちろん、自力思考には能力も技術も必要ですが、まずは「方法」を知らなければならない。

 カントさんは啓蒙のための技術的な方法として「公的言論」への参加を提唱しましたが、その究極の目的は“自分が責任を負わなければならないことについては自分で考える”ために必要な能力を修得することでした。何も公的言論の場で交わされている議論を取捨選択、そのどれかを選択するためではありません。
「言説を批判的に検討する」とはどういうことか、具体的な言論の場での応酬を見聞することを通じて理解・修得させることを目指したわけです。カントさんにとって啓蒙とは、進んでいる人が遅れている人を善導する、といったアホなな話ではなく、「未成年者(自力思考能力を駆使できない条件の下にある人)」が「後見人」の指図から自由に、自分のことについては自分の能力を使って考える、という生き方の実現を目指すものでした。
そのためには、何であれ提出された主張を「批判的に吟味する」能力が必要です。

 「公的言論」に関わることで、「議論の技術」を理解し・修得すること。これがカントさんが私的立場を離れて「公的言論」に参加することを提唱し、関係方面に「言論の自由」を要請した所以です。
その究極の目的は「私的領域」で「自力思考」をあやつる能力を身につけることでした。
われわれにとって“自分が責任を負わなければならないこと”は私的領域でおこることであり、“・・については自分で考える”ことがもっとも必要なのは私的領域においてです。

 ということで、カント『啓蒙とは何か』昔読んだ人・読まなかった人を問わず、あらためてお奨めします。

※ご承知のとおり、「自力思考」は【理論創発コーナー】をはじめ当社サイト全体の通奏低音のつもりです。
「中心市街地活性化への道」という都市経営上の課題にとり組む「公的言論」の場として「公的利益」の実現に貢献することを目指しつつ、個々の参加者はそれぞれ私的利害に直結させながら、読み・考え・書くことにより、自力思考能力の向上を目指す、という重層する目的を立てています。
読み・考えるだけでなく「書く」ことによる効能効果についてはあらためて書いてみたいと思っています。

 ROMも有効ですが、言論への直接参加はさらに自力思考能力の向上発達に効果があると思いますので、自力思考の趣旨にご賛同の皆さん、ふるってドシドシ議論に参加してください。
あなたの参加がその分必ず議論の効果を高めます。

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