商店街はなぜ活性化出来ないか

 新年度、心ならずもW 新しく当業界に参入された方も多いと
思います。商店街はいつまで経ってもなぜ活性化出来ないのか、
至極当然、かつ、ある意味新鮮な問題意識を抱いてWebを探索中に、
当サイトに逢着された方もおいでになると思います。

 業界新規参入の皆さんに、これから業界をわたっていくための
基本となる知識を提供するのがこの記事の目的です。

 もちろん、長年業界に棲息しながら「なぜなのか?」考えた
ことの無い人や、考えても答が出てこない人wにもあらためて
確認したい知識のはず、ぜひ批判的に検討してください。

 「活性化」という言葉は、ご承知のとおり、地域、都市、各種
組織などさまざまな対象、分野において頻用されています。
使用される文脈からすると、「術語」「専門用語」なのですが、
どこの分野でもこれまでほとんど定義されずに使われています。

 文脈からすると、"何か手を打たないと、このままではまずい"
状況に陥っていると認識された状況を打開するための取り組みが
「活性化」ですが、定義が共有されていないために、活性化とは
「活性化という冠のついた事業」に取り組むこと、というのが
一般的な状況です。

 「活性化に取り組んでいる各現場及び支援に当たる研究企画
部門において活性化という専門用語がきちんと定義されていない」
ということです。

 活性化に取り組まれている現場では、「活性化」について、
ほとんどその意味を共有する作業を行わないまま、「活性化」
事業を起案し、推進するという傾向が大勢を占めています。
(まさかと思う人は、Web上で「活性化の定義」を検索して見よ)

 これは大変なことでありまして、主観的には当該組織などが
直面する問題状況を打開するための事業に取り組んでいるはずが、
実際には状況の打開にはまったく関係の無い作業に終始している
というケースも少なくありません。

 この点、本論の対象である「商店街活性化」もまったく同様で
あり、取り組みの長さからいえば、昭和40年代から活性化の
冠を付せられた事業が多種多様にわたること、成果がほとんど
挙がらないばかりか、取り組んでいる間も商店街の「活性化
(の取り組み)が必要な状況」はさらにどんどん悪化している、
ということでは「活性化」を定義しないまま活性化に取り組むと
録なことにはならない、状況悪化スパイラルに陥るという
「モデル」にもなろうかという存在です。

 商店街はなぜ活性化出来ないか?
その最も根本的な原因は「商店街活性化とは商店街がどうなる
ことか」が関係者に共有されていない、「商店街活性化」が適切に
定義されていないところにあります。

 以下ではまず、当欄の過去記事から「活性化」「商店街活性化」
の定義を紹介した上で、あらためて「商店街活性化」の取り組みの
現状を分析し、なぜ活性化出来ないのか、その原因を明らかに
した上でこれから向かうべき方向への初期作業を提案します。

 まず、当欄2月20日の記事の冒頭を引用します。

※引用スタート * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

まず「活性化」とは:

 対象である地域、街区、組織などが何らかの理由で存続が困難な
情況に陥っている、もしくは陥る可能性が高くなっている場合に
適切な対策を講じることで、存続可能な条件を作り上げること。
※引用終わり* * * * * * * * * * * * * *

これが当社が考える「活性化」の定義,
キーワードは「存続可能性」、活性化=「存続可能性の再構築」
です。
➀このままではいずれ存続が難しくなるので、
➁適切な施策を講じて存続可能な条件を作り出すこと

 活性化とは"存続が危ぶまれる"という状況認識のもとで取り
組まれる持続可能性を構築する戦略的施策のこと。
状況的にイケイケという局面で取り組まれる拡大・成長施策
(たとえば"販売促進")と活性化とは主体内外の状況認識が
まったく違います。
このことを理解せずに取り組まれる"活性化"は失敗する可能性が
極めて高い。

※引用スタート * * * * * * * * * * * * * * * *

 商店街活性化とは:

商業集積としての存続が危ぶまれる情況に陥っている、もしくは、
陥る可能性が高い商店街に、適切な施策群を講じることで持続
可能性を再構築すること。
将来にわたって、商業集積として持続可能な条件を構築すること

※引用終わり * * * * * * * * * * * * * *

 「活性化」の定義を商店街活性化に援用すればこうなります。
ここから「活性化」の課題は、環境が大きく変化しているなかで
あらためて商店街を存続させるにはどのような施策が必要か"
という問題が立てられることになります。
さらに遡って、当該商店街が活性化が必要な状況に陥った原因も
明らかにしなければならない。
原因が分からなければ対策は考えられない、当然ですね。

さて、「商店街活性化」を定義しないまま、「活性化事業」と
銘打って取り組まれている事業は多種多様ですが、その実体は
「販売促進」のための事業がほとんどです。

販売促進とは何か?

※引用スタート * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 一方、販売促進とは:

小売業、商業集積が現在直下の販売実績を上げるために取り組む
手法のこと。
販売促進は、現在の業容を前提に、すなわち、品揃え・提供方法・
提供環境などに基本的に問題が無いとき、もっぱら目先の売上げ
を確保、アップするために使われるノウハウです。

※引用終わり * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

販売促進とは、
1.来店する動機が起きていないお客に来店を訴求する、
2.(特定のアイテムに対して)購買意欲が起きていない
お客に購買意欲を喚起する
ために駆使されるノウハウです。

 販売促進が成立する条件は、
1.来店動機を持ったお客が来店すれば必ず満足する
2.販促を掛けている商品を吟味するお客は必ず満足する
ということ。
これが満たされないと、販売促進の目的は達成されません。
販売促進の目的は売り上げを実現することですから当然ですね。
お客が来店さえしてくれれば、必ず売れる・売ってみせる・
そのための準備は万全、という前提で取り組まれるのが販売促進
です。
逆に言えば、お客が“買わずにはおれなくなる”ような準備・
仕掛けが施されて無ければ販売促進は効果が得られない、
ということですね。

 さて、“商店街はなぜ活性化出来ないか”という標題のもと、
長々と「販売促進」について述べてきたのは他でもありません。
商店街が“活性化”を目的に掲げて取り組んでいる活性化事業の
ほとんどが“販売促進”のための事業に他ならないこと、
したがって、いくら事業に取り組んでも活性化の実現には
一歩も近づけないことを明らかにするためです。
いくら上手に“販売促進”と組み立てても、その結果が街の
商業集積としての活性化=持続可能性の再構築にはなりません。

 さらにもう一つトンデモないことがありまして。
〇間違って「活性化策」として取り組まれる「販売促進」では
販売を促進することが出来ない、ということが起こります。

つまり、活性化策として花火促進事業に取り組んでも活性化は
出来ず、それどころか、販売促進=一時的な売り上げ確保も
実現出来ない、ということです。

 さらにもっと悪いことには.
上手に来店促進イベントを仕掛ければ、おイベント目当ての
お客がたくさん来てくれることでしょう。
しかし、この人達に“購買”を促す仕掛けが出来ていなければ、
売り上げは発生せず、―もちろん、商業集積としての持続可能性
の再構築にはもともと無縁― 期待していることは何一つ実現
出来ないばかりか、来街したお客に“イベント以外で来街する
必要は無い”ことを確認させるだけに終わります。
結局、時間とお金を掛けて“街の開門行き先としての至らなさ”
を広く告知していることになります。

 活性化策のつもりで販売促進に取り組むと、活性化が出来ない
ばかりか当面の販売アップも実現できず、事業に取り組んでいる
間も街のショッピング空間としての陳腐化・劣化・空洞化は
容赦なく進むばかり・・・。

 というのが活性化=ショッピング行き先としての再構築に
取り組むべき時に、間違って販売促進(たった今の売り上げを
確保する)に取り組んでいる商店街の現状です。

 商店街はなぜ活性化出来ないか?
もはや答は明白ですね。
 
 “活性化に取り組むべき時に、販促に取り組んでいるから”
これが答です。

 ちなみに、一店逸品、百縁商店街、まちゼミという一部で
「商店街活性化三種の神器」などとふざけられているのは、
全部“この企画でお客を呼べばプロパーの商品が売れる”という
“風が吹けば桶屋が儲かる”発想、活性化とは縁もゆかりも無い
販売促進です。

 以上、縷々書いてきましたが、新年度幸か不幸かW 商店街
活性化を担当することになった各位におかれては、昭和40年
代以来連綿として取り組まれて来た“活性化”が関係各方面の
努力もむなしくなぜ実現出来なかったのか、しっかり総括して
から執務に臨んでいただきたいと思います。

 あらためて“何を為すべきか”についても、当サイトで
しっかり提案していますので、勝負してください。

 折から、補正予算を原資に“賑わいを創出して商店街を活性化
しよう”という企画が処々方々で立てられているようですが、
あらためて、“活性化と販促は根本的に目的が違う”ことを
銘記した上で、本当に街の活性化を実現していくためには、
何に取り組むべきか、しっかり考えていただきたい。

 ちなみに。
日本経済の将来を左右する地場小売商業の活性化、その集積
する商店街の活性化が、活性化と販促の区別もつかない理事長
さん達の手に握られている、というのが現下我が国喫緊の課題
である「経済成長」が陥っている現状だということはほとんど
理解されていません。
そうした中で、「キラリ」に取り組み繁盛実現に精を出して
いる商業者有志と彼らと手を携えて商店街活性化を推進する
ごく少数の関係者だけが ―目下のところ― 我が国経済活性化
実現の希望だということはいうまでもありません。

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    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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