■「コンパクトシティ」の陥穽

Q社サイト、掲示板【都市経営入門】の記事から【保存版】2005/09/30(Fri)付け

引用スタート:

都市機能を中心部に集約・集積することで、運営コストの軽減及び相乗効果を発揮させる。
特に、中心市街地ににぎわいを創出し、街区の活性化を実現する。

いいことばかりのようですが。

はたしてそうでしょうか?

これはきちんと考えておかないと必ず将来必ず禍根を残します。


■「集約」すれば活性化?

コンパクトシティは、スローライフすなわち時間堪能型社会志向という文脈で構想しないと、
期待はずれになること必定です。

つまり、新しい時代への過渡期にある(どこに向かうかはたぶんに我々の指向如何による)、
という認識を持ち、変化=事業機会へのチャレンジの一環ないしそのための場づくり、
という視点が無いと、単なるハコものの移動に終わってしまいかねません。

都市機能をコンパクトに集積することで自動的に活性化への道が切り開かれるわけでは
ありません。このことは声を大にして指摘しておきます。



●ありがちな取り組み

機能が集積することによる相乗効果、ということも語られるはず。

第一に。
単独で十全に機能を発揮し得ないものを集積、もたれ合わせたい気持ちはやまやまなれど、
本来の機能が劣っているもの同士、補完しあえることはありません。

たとえば、立て替え時期を迎えている総合病院を「中心市街地活性化のために」都市中心部に
建設する、という話が近くのまちで起こっていますが、
①狭隘な中心市街地でこれから先ずうっと地域の治療センターとしての機能を果たし続けて
 いけるのか?
②行政の広域化が進む中で、中心市街地がほんとうに好適立地なのか?
といった疑問がたちまち生じます。

もちろん、
③病院が中心市街地にやってくれば街が活性化するというのはほんとうか?
という根本的な疑問もある。

昔、病院があるときは病院通いの人が大勢買い物に来てくれたのに、病院が引っ越したら
お客が少なくなった、もう一度病院を呼び戻したい。
というのは、かって近くに病院が立地していたお店の繰り言ですが、中心市街地活性化と
いう文脈で主張され・計画されるハコもの移入は、おおむねこの繰り言の域を出ていない
のではないか?

病院あるいはその他の施設が中心市街地に引っ越してくると、どうして街が活性化する
といえるのか? 
これはきちんと考えておかないと、もしこと思惑と異なったら大変ですからね。
集約化に要する経費を「他の用途に使ったら」ということも考え合わせなければならない。

特に、広域合併などでサービス範囲が広域化していくとき、「中心市街地活性化」のための
方策としてコンパクトシティを目指す、というのは考えられない選択肢です。
申し上げたように、コンパクトシティは、スローライフ、時間堪能という新しいニーズに
都市ぐるみ対応する、都市マーケティングという視点からアプローチしないと、成果を
挙げることができません。
無駄な投資に終わるだけでなく、肝心の中心市街地を再起不能に陥れることになりかねません。



■賑わいという「阿吽語」


「阿吽語」についてはこちら

「賑わい」
「賑わいづくり」など、これからどんどん多くなってくることが確実ですが、ちょっと待った。

賑わいとは何か?何がどうなることか?
その結果街は、中心市街地活性化はどうなるというのか?

といったことは、きちんと自分のアタマで考え、納得してから取り組まないと、大変なことに
なる可能性が高い。
後ろを向いたら誰もついてきていなかった。
特に商店街は蚊帳の外だった、というのはこれからの「賑わいなんとか」に必ず起こることです。

そもそも賑わいとは何か?

二つ意味がありまして、一つは「商いが賑わう」=「お店、商店街が富み栄えること」
もう一つは、「人・ものが集められて活気があること」

「法」の趣旨(中心市街地の商業集積の活性化)から言えば、もちろん、賑わい=繁盛
でなければならない。

ところが近年、繁盛と賑わいを区分し、賑わいを作り出せばその結果として街・店は繁盛する、
という考え方がはびこるようになりました。この場合、「賑わい」は「人出」のことです。
この文脈で考えられている「賑わい」とはすなわ地「人出」のことであり、「人出」を作れば、
街・店は自ずと繁盛するようになる、と仕掛け人方はおっしゃいます。

これは全くおかしな話でありまして。
今から如何におかしな話であるか、ということを疑問の余地なく説明しますので、納得できたら
「中心市街地活性化のための賑わい創出」などというウソ八百に惑わされぬようにしていただきたい。

つまり、中心市街地活性化の手法としては、「賑わい創出」などは金輪際、採用しないようにして
いただきたい、ということです。


●人を集めると何がどうなるか

人が来るとものが売れる、街は賑わう(繁盛する)ようになる、という短絡から、さらに。
人が来ることが賑わいである、ということになり、「賑わい創出事業」などと銘打って「人出を
増やす」事業が取り組まれている。

私はですね、なにもですね、「人出を増やす」こと自体にですね、反対しているわけでは
ありませんからね。
①「人出」を増やせば
②「人出」が「買い物客」に変身する
③商売繁盛、街が賑わう
という段取りのうち、②はあり得ないだろう、したがって②から③には行けないだろう、
ということを批判しているのであります。

人が増える=居住者、来街者が増えれば街は活性化する、という一部(とは限らないか)において
流布され・信奉されているデタラメをそのデタラメが生まれた根拠にまで遡及して徹底批判、
少なくとも「理論的には全くのデタラメ」であることを論証しておきたいと思います。

サイト常連の皆さんに取りましても、「人出路線」は「わははは、バカがまたいってらぁ」てな
ぐあいで済まされる他人事ではありません。
人出はすべてを癒す、まずは人出から、という取り組みを試みる現場が少なくならない限り、
「人出対策」メニューが無くなることはありません。
何しろ、「中心市街地活性化」を目的に総合病院を中心市街地内に建設する、といった恐るべき
構想が打ち上げられたという事例もありますからね。

もちろん、こういう人集め事業をいくらやってもそれが中心市街地活性化を牽引するなどと
言うことはありません。
中心市街地活性化は、所在する都市機能が再生しない限り無理、都市機能=商業機能は人出が
増えれば再生される、というような代物ではありません。

ということをあらためて論証したいと思います。

引用終了。

関連の考察は、Q社掲示板【都市経営入門】及びその【保存版】を参照のこと。

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