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承前・商店街活性化の計画作成

 昨日は、これまで作られた『中心市街地活性化基本計画』などによる
活性化の取り組みが成果を挙げられず、そのため商店街の空洞化は
さらに進んだことなどを動機として“計画は自分たちで作る”傾向
が増えていることを取り上げて、それが“無謀”であることを指摘
しました。

 今日も引き続きもう少しこのことを考えてみたいと思います。
もともと計画作成を外部に委託したのは、計画作成に必要な能力が
地元に準備されていないことが理解されていたからです。
一般に計画作成には、当該計画が解決しようとする問題及びその問題
が起こっている関係のある範囲について専門的な知識が必要です。
分野によらず「専門家」と見なされる人たちは、その専門分野に
ついて問題を解決する能力を持っている人を意味します。

 計画は問題を解決する実践に先立って、実践の筋道、具体的な
取り組みを定めるものですから、専門家たるもの自身の専門分野に
ついては当然、計画を立てる能力を持っているわけです。

 「商店街活性化」についてはどうでしょうか。
専門家は、その専門とする分野に於いて発生する、発生すると予想
される問題を解決する知識・技術・ノウハウを持っており、それを
問題に直面している人に提供することを職業にしています。
建築方面で言えば、設計家、建築業、大工業、左官業など多くの
分野に別れてそれぞれ専門家がいますが、これはもちろん専門職
として事業機会が潜在していることが前提になります。
それぞれの地域に予測される問題の種類やその多少によって地域に
存続可能な専門職能の種類やその数がおおむね決まっていたのが
これまでの地域社会です。
多くの事業機会があればそれに伴って多くの専門家が生まれ、
経験を積み、切磋琢磨を繰り返すことで問題解決能力は向上して
いきます。
競争相手が多い地域ほど優れた専門家が存在している確率が高い
という可能性が高い。

 「商店街活性化」という問題についてはどうでしょうか。
これは一定の地域で繰り返し、数多く起こる問題ではありません
から、なかなか専門家が育ちにくい・存在しにくい分野です。
端的に言って、相当規模の都市で相当数の商店街があればそこには
商店街活性化の専門家がいる、というような状況ではありません。

 したがって、「商店街活性化」という問題が起こった場合には、
問題解決に習熟している活性化の専門家を招聘する、というのが
従来の手法でした。
この招聘した専門家が作成した計画がうまく機能せず、計画した
事業に取り組んでも商店街が活性化しない、という事例が自分たちの
商店街ばかりでは無く、全国的に多くみられるところから、専門家に
対する不信が生まれ、その結果“計画は自分たちで作る”ということに
なって来たわけです。専門家が作った計画が成功していればこういう
話は起きなかったのだということを覚えておいてください。

 さて、これまで「商店街活性化」という問題にどう取り組んで
いけば良いのか、これまで活性化のための計画を作る必要が無かった
ために、計画作成に必要な知識・技術・経験を持ち合わせていない
商店街活性化に携わる皆さんが、計画作成の必要が生じた時に、
部外から専門家を招聘するというのは理にかなったことです。

 ところが、招聘した専門家の専門能力に問題があったために、
彼が作った計画では活性化を実現出来なかった、というのが全国
ほとんどの商店街、中心市街地でこれまでたくさん起きている“問題”
です。問題を解決するために取り組んだことが問題を解決する
どころか、かえって問題を大きくしてしまいました。
もちろん、専門家に委託して作った計画が役に立たないという事態は
我が街ばかりでは無く、広く全国多くの都市・商店街で起きている
ことですから、専門家一般に対する不信が起こるのは当然です。

 “もはや専門家は当てにならない、計画は自分たちで作る”
という取り組みが生まれるのはこれまた当然のことかも知れません。

 しかし、“専門家が当てにならない”と“だから自分たちで計画を
作る”という方針の間には、本来ならしっかり判断しておかなければ
ならない重要な問題があります。
それは“自分たちは商店街活性化を実現する計画を作る能力を備えて
いるだろうか?”ということです。
もともと自分たちだけでは作れないという自覚に基づいて専門家を
招聘したのですから、“自分たちで作る”という以上、“自分たちで
作ることが出来る”ようになったことを確認しておかなければ
ならないはずですが、この確認はどのように行われたか?

 このとき、参照されたのは既存の(専門家に委託して作成し・実践
が挫折した)計画でした。
既存の計画を吟味して“この程度なら自分たちで作れる”となった
訳ですね。
で、この“役に立たなかった計画”をお手本に見よう見まねで作った
というのが“自分たちで作った計画”の正体です。

 既存の計画―これまでの実践の評価もなければ、新しい“活性化”に
取り組んでいくために必要な前提作業などへの配慮も無いまま、
もっぱら“失敗した先行計画”のパターンを踏襲したうえで、
自分たちで“鉛筆をなめた”程度、事業メニューが多少入れ替わった
だけ、という“自分たちで作った計画”が『基本計画』から『活性化
事業計画』まで目白押しというのが実状でしょう。
それも当然、失敗した計画を下敷きにしているのですから。

 問題は、招聘した専門家が専門家の名に値する所要の計画作成能力
を持っていなかった、全国的に計画が挫折しているということは、
商店街活性化を指導する専門界隈の能力がその程度だった、と
いうことを意味するわけで、有効な計画を作ろうと思うなら、
このあたりをシビアに総括したうえで、あらためて所要能力を見積もり
果たして自分たちがその能力を持っているか否かを判断しなければ
ならなかったのですが、もちろん、“自分たちで作れないから
専門家に手伝ってもらったが、良くなかったので自分たちだけで作
ることにした”という思考プロセスですからなにをか況んや、
ということですね。

 ちなみに、中心市街地活性化基本計画、『整備改善活性化法』
当時の作成第一号は、『彦根市中心市街地活性化基本計画』でした。
当時の計画作成のキモは「中小商業高度化事業構想”をどう描くか
ということでしたので、同市における法施行から計画作成までの
あまりの早さにピックリ、さっそく調査に出かけたことを思い出し
ました。ヒアリングしてみますと、高度化事業構想の内容は法制定に
先立ち、大店法緩和の代案として制定されていた「中小商業活性化
基金」によって作成が奨励された「商店街活性化構想」に各商店街
ごとに“計画”した高度化事業をそのまままとめて記載した、
TMOは商工会議所が“調整機能”として引き受けるというもので、
高度化事業構想の起案に苦慮していたわれわれはそのあまりの安直
さに唖然としたものでした。

 認定基本計画では、一号認定の青森・富山両市の計画がその後の
認定基本計画のパターンを決定づけた、といわれますが、その遙か
以前、旧法時代に第一号基本計画として作成された彦根市の計画が
このパターンの淵源であり、その作成の経緯から見れば新しい
『整備改善活性化法』に基づく「中心市街地活性化基本計画」
という“新しい革袋”に“商店街ごとに企画した活性化計画”という
“古い酒”を入れてしまった、ということです。
もちろん、これは法律や「」都市計画や商店が活性化に習熟した
“専門家”の主導によって行われたわけですね。

 このところ毎日のように書いているように、商店街活性化とは
“大型店の進出に対応して事業機会を確保する”ことを目的に
事業を企画、実践していかなければならなかったところ、もっぱら
商店街の希望する事業を列挙、製本して“活性化のための計画”と
したわけです。この頃商店街が持っていた“活性化策”とは同業種間
競争や商店街間競争の手段としての“販売促進手法”が主体だった
ことから、活性化計画の中身も“販売促進事業”一色になった
というわけです。

 このあたりの反省をする力の無い商店街が招聘した見よう見まね
を専門とする専門家の指導で作った計画ももちろん販促事業の
オンパレードでした。
“ポスト大店法時代、商業集積が乱立する時代に商店街の事業機会を
再構築する”という商店街活性化という取り組みの使命を理解すること
なく。安易に計画作成の専門家を招聘して“販促事業”のあれこれを
記載してもらったことのツケが商店街の空洞化のいっそうの進展
というわけです。

 このあたりをきちんと理解すれば、専門家の選定を間違えた結果、
役に立たない計画(補助金獲得には役だったかも)が出来上がり、
だが販促事業の取り組みで新しい事業機会の再構築が出来るはずも
無く、個別事業の成否に関わらず商店街の空洞化は進展の一途。
この状況の吟味もせずに“計画は自分たちで作る”というのは、
当社などから見れば“片腹痛い”、“チャンチャラおかしな話”です。

 昨日も書きましたが、商店街活性化の計画を作るという作業には
商業活性化に関する専門的力量の他に“計画を作る”という仕事に
必要な専門能力が必要です。
このあたりについては、本来なら都市計画関係の専門家の守備範囲
ですが、残念ながら一号以来の基本計画の現状を見ると、期待する
ことは出来ません。

 ということで。
“ポスト大店法時代の商店街活性化”=商業集積乱立時代に商店街の
事業機会を再構築する、という目的を本気で達成しようとするなら、
再構築を実現する取り組みを計画できる専門家を確保することが
喫緊の課題、自前で作る、というのはとんでもない方向音痴だという
ことが分かっていただければ幸いですが、さて。 

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  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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