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小売業の立地理論

小売業にとって「立地」とは何か?
「立地」はなぜ「移動」するのか?

 中心市街地の空洞化⇔活性化を考えるに当たっては、小売業の立地について理解していることが大前提になります。
"商店街を活性化するには通行量を増やせばよい"という考えは、"小売業にとってよい立地とは通行量の多い場所である"という立地理論から導かれています。
この立地に関する経験則は、商店街全盛当時なら、誰でも自分の見聞として確認することが出来ました。
今となっては間違いだったということが“その気になって”観察すれば誰の目にも明らかなのですが、すでに脳内に装備している「立地理論」は適切な観察を妨げます。

 今日は、ちょうど10年前に考えていた小売業の立地についての私どもの理解を確認してみましょう。
当時発行していたメールマガジン『コンサルタンの眼』からの引用です。

「小売業の立地」

   小売業関係の皆さんと話していると、今でも時々「いい立地=人出の多いところ」という前提での話を聞くことがある。元はといえば我が国には、「小売商業論」とか、「小売業マーケティング」というレベルの学問が成立していない。実務でもつい先頃まで150坪クラスのスーパーマーケットの店舗運営技術をもって「小売業の原理原則」と称して結構商売にしている人たちがいたくらいである。

 この「学問」として成立していないというか、知識が学問のレベルまで体系化されていない、ということは我が国商業の発展、消費者の利害ひいては国民経済の発展ということに、とてつもないマイナス効果を及ぼしているのだが、今日はこのことにはふれない。いずれHPで詳しく考えてみたい。

 立地の話。お店の経営にはいうまでもなく経営側とお客側という二つの立場が大きく絡んでいる。お客の立場で考えてみれば、極端な話、自分に必要なお店はうちの近く、思いついたらとりあえず、さっさといけるところにあるというのが一番いい立地である。これはいわゆる最寄り店であろうが買い回り店であろうが変わりはない。そうでしょ?

 ところが出店する側はそうはいかない、それなりの売上げを確保するために必要な客数などを考えながら出店場所を決めることになる。このとき昔は、人通りの多いところ=好立地という「理論」が成立していた。何故かと言えば、その当時は全国規模でのもの不足、人がいさえすれば、人=ものが欲しい人という等式が成り立つという時代だから、人通りが多いということは、いろんなものが欲しい人が集まっているということであり、そこに店を出せば他のところに出すよりも絶対有利、すなわち好立地、ということが成立した。

 人通りの多いところというのは第一に、近くに来訪目的になる施設などがある、ということであり、第二に、交通アクセスがそれなりに整えられている、ということである。中心商店街などは、①駅やバスセンターに近く、②観光・宗教・行政その他の来訪目的になる施設が周囲に点在している というような条件がそろっているうえに成り立っているところが多い。事実そういう場所は、軒を連ねている小売店がそろって繁盛し、他の街の同業者などからうらやましがられたものである。かくて、人出の多いところ=小売業にとって好立地という通説というか理論が作り上げられた。

 このようなかっての常識が成り立つ大前提が崩れ去る変化が起こった。
 
 変化とは何か?第一に、買い物行き先の多角化。昔だと、近隣型商店街、地域型商店街、広域型商店街などといって、ある特定の地域に住んでいる人たちのそれぞれの買い物目的に応じた行き先というのはほぼ決まっていた。車社会の到来は、このような一住宅地:一買い物行き先というこれまでのあり方を大きく変えてしまった。自分の気に入ったお店まで行きたいときに行ける、という状態が出来上がっている。
 
 第二に、業態店(*)の出現である。業態の出現は、店の数が多い=買い物目的を達成出来る可能性が高い、というこれまでの常識を大きくうち破った。近い・遠い、店数の多少よりも、そこに行けば必ず買い物目的を達成できる、という店づくりが圧倒的に優先されることになったのである。それはそうであろう。われわれが買い物に行くのは行くことが目的ではなく、買い物目的である
生活材料を入手することなのだから。業態の出現で全ての小売業は顧客の来店目的達成という課題に店づくりのトータルで勝負しなければならなくなったのである。

 小売業はとりあえずどこに立地するかということよりも前に、どんなお客のどういう購買行動をビジネスチャンスに選ぶかということを決定し、品揃えをはじめ来店目的となる条件を整備する、というトータルでの店づくりを考えなければならなくなっている。立地は、①商圏内の潜在顧客にわかりやすく、②潜在顧客の移動手段で来店できる、ということが必要条件である。ひと頃、ひと通りが多い=好立地という前提から、車立地=車両通行量の多い幹線というおばかな考えがまかり通っていたが、大間違い。まあ、分かりやすいということではOKですが、大渋滞とか帰りに右折できないとかいうデメリットもあって立地ではないということが定着してきたようだ。
 こんなことも立地についての原則論を理解していればラクショーでクリアだったんだけどね。

 日本一の利用客数を誇るJR新宿駅の東口に立地しているカメラのたしかさくらやかヨドバシカメラ、どっちかだったと思うが、ひと頃は坪当たり売上げ全国ナンバー1だった。さすが東口といわれたものだが、別に日ごろここを通る人たちが対象層顧客だったわけではない。①潜在顧客にわかりやすく、②手持ちの移動手段でアクセスできる、という新しい立地論で言えば、潜在顧客は関東一円に分布しているわけで、この人達が共通してわかりやすく・アクセスしやすい=東口ということで好立地だったわけ。

【2】用 語◆*「業態」について

 業態についてはとんでもない誤解・偏見がまかり通っているので要注意。
 コンサルタントでも業態=購買頻度別品揃えなどと、一店でも業態店を見ればたちまち嘘だと分かるデタラメを平気で書く人がいる。
 業態とは、お客の生活をいくつかに切り分けてそのうち特定の分野についてワンビジット(1回の来店)で必要な全ての買い物・用事が済ませられるような商品構成・サービスを作り上げている店のこと。

 例:スーパーマーケット:主婦(の役割を果たす人)の献立材料の調達とそのときに一緒に済ませた方が合理的な買い物の対象(家庭用消耗品など)を品揃えしてワンストップ(1回のレジで会計が終わる)で提供する。

 ホームセンター:住宅をセルフで維持・改善する、というニーズをテーマに道具、材料、資材を品揃えして、ノウハウなども合わせて提供する。

 どちらも品揃えは、生活局面対応であり、購買頻度ではないことを確認していただきたい。
   
引用終わり*********************************

当時はPOP理論なども開発しておらず、今読み返してみるとほほえましい限りですが、それでも。当時この程度の立地についての理解があれば、「通行量の増大」が中核課題・数値目標に掲げられることは無かったはずですね。

 立地はなぜ移動するか?

 今や答はハッキリしておりまして、旧POPから新POPへお客が移動するから。
お客はなぜ移動するか?
新の方が旧よりも買い物行き先としてベターであると評価するから、ですね。

 ちなみに旧立地理論(通行量)では、立地移動は説明できません。

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