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商店街活性化 問題はニーズと対応のミスマッチ

 任意の都市の『中心市街地活性化基本計画』を見ますと、中心市街地・商店街に対する地域住民の要望として“魅力ある店舗の集積や品揃えの充実”が上位にランクされています。また、商店主に対するアンケートにおける「商店街の課題」についても同じことが上位に入っています。
 つまり、消費者も商店主も商店街の問題点として“魅力のある店舗が少ない”、“品揃えが充実していない”ことを挙げているわけで、両者の問題意識にズレはありません。

 また、たびたび紹介しているように、中活法に基づいて作成された閣議決定『中心市街地の活性化に関する基本的な方針』では、“中小小売商業の競争力の根幹”として“業種揃え・店揃えの最適化”が提唱されており、すなわち、問題意識としては消費者、商店主、スキームの三者がぴったり合致しているわけです。

 ところが活性化のための施策という段階になると、この共通する問題意識はいつの間にか全く問題にされなくなり、代わって、“通行量の増加”などが取り上げられ、その増加量が数値目標として掲げられています。

 是非皆さんに自問自答していただきたい。
商店街の通行量が増えれば、“魅力ある個店の集積”や“品揃えの充実”が実現に向かうでしょうか?
もちろん、そんなことはありません。
通行量増加に取り組んだ結果如何に関わらず、商店街に魅力ある個店が増えたり、品揃えが充実したりすることはありませんから、結局、消費者の商店街に対する要望は実現されず、その結果、商店街が買い物客を呼び戻す、商業集積としての繁盛を再生するという課題はいっこうに解決されません。解決されないどころか、多くの商店街では施策に取り組んでいる間も着実に劣化~空洞化が進んでいます。

 通行量が増えると街は活性化する、佐世保市・四ヶ町商店街を訪れてその通行量の多さに驚いた藻谷浩介氏が主張したことで有名になった“理論”ですが、もちろん、理論としての根拠はありません。常日頃「データ」参照が得意な藻谷氏ですが、通行量の増大と活性化の関係については、何一つデータを示していないことはよく知られています。
後は、商店街を花にたとえて、商店街は街の花、花が咲くためには根である居住人口、茎である就労人口、葉である来街人口が増えなければならない、という「商業はまちの花・論」があるだけです。
もちろん、この説に比喩の他に根拠が示されているわけでもありません。

 ということで、どうして課題としての“魅力ある個店の集積”や“品揃えの充実”が目標としての通行量の問題にすり替わったのか、確たる理由は分かりません。謎です。
ただ、一つ言えることは、魅力ある個店の集積や品揃えの充実のような個々の店舗のシャッターの内側の改革改善を必須とする取り組みよりも“通行量の増加”の方が、取り組みとしてはずうっと楽だ、ということです。
通行量が選ばれたのは,もしかすると“楽そうに見えたから”かも知れません。

 しかし、実際に取り組んでみると「通行量の増加」は大変難しい目標です。商店街がイベントなど特別の日では無い、普通の日の通行量を増やすには、街の魅力を向上させる以外にありません。商店街の魅力とは“魅力ある個店の集積や品揃えの充実”が本命です。

 こうして見ると、通行量の増加という目標は、魅力あるまちづくりに取り組んだ結果として実現されることだ、ということになります。
このことは内閣府による基本計画フォローアップの報告に指摘されている“通行量という数値は、様々な取り組みの成果として実現するものだ”とも符合します。
通行量を増やせば街が活性化するのでは無く、“街の(買い物行き先としての)魅力が向上すればそれにつれて来街者が増え、通行量が増える”のです。

 皆さんの基本計画あるいは商店街活性化事業計画において、通行量と街の魅力との関係はどう考えられているでしょうか。
この際、あらためて確認してみられることをおすすめします。
ついでに、住民の商店街に対する期待や商業者の問題意識も確認してください。そして商店街活性化の取り組みが実現すべき目標が「魅力ある個店の集積や品揃えの充実」すなわち、“買い物の場としての魅力の充実”であることを確認してください。

 新しい目標の達成は難しく感じられるでしょうが、しかし、これを目指さない限り、街にお客が戻ってくることはありません。
まっすぐ“買い物行き先としての魅力づくり”の取り組みに大きく舵を切り替えるべき時です。

 9月2日開催のセミナーでは、商店街の現状ありのままからスタートして最長3年の取り組みで“魅力ある個店の集積・品揃えの充実”を実現する軌道を構築する方法と方向を提案します。
これまでの活性化の取り組みに疑問を感じておられる人は是非ご参考まで、受講されることをおすすめします。
 
通行量増加策から買い物行き先としての街の魅力へ、抜本的な方向転換をしない限り、商店街が買い物の場として再生されることは無いのだと言うことを肝に銘じてください。

 しかし、ぶっちゃけ、誰か本気で通行量が増えれば商店街は活性化する、と信じてその実現に取り組んでいる人がいるのでしょうか?
いないような気がしますよね。

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  • Author:進化する売場研究会
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