商店街は地場産業として活性化を目指す

 地場産業とは:ウイキから引用しますと
“一定の範囲の地域において、ある特定の業種の地元資本の中小企業群からなる企業群が集中的に立地している産業のことである。”
その特徴は、(ウイキ)
“一定の地域に集積していることにより、産地卸が発達するなど集積のメリットが発揮され、技術・技能、労働力、原材料などの経営資源を活用し、互いに切磋琢磨しながら生産・販売活動を行ってきたことに特徴がある。
元々は当該地域に産する原材料を活かす生産形態であったが、次第に他地域から原材料を移入し加工するものも多くなった。また、販路も地域内需要に限らず、地域外への販売を志向し、藩や当該地域の経済を潤した。
 戦後現れた、大企業をピラミッドとして下請企業・協力企業群からなる裾野を形成する企業城下町的な産業群は通常「地場産業」とは呼ばない。ただ、「地域産業」という場合、これらも含む。
 狭義では、製造業を指すが、広義では農林水産業や観光サービス産業も含めることがある。”
引用終*********************************

 この説明は地場と産地を区別していない辞書などに比べ、適切です。

ウイキさんの説明に対する不満は、
1.「地場(ウイキが定義する“地場”の要件を満たしている)小売業」はなぜ地場産業から外すのか。
2.地場産業の一大特徴である“付加価値の裁量”という経済的側面への言及が無い。
という二つ。

 以上を踏まえて「地場産業」を定義してみると。
1.業  種:不  問
2.企業規模:中小零細
3.資本形態:地  場
4,特  徴:集  積
ということで、地域に立地する所産業の中から商店街に集積している小売商業を除外する理由はないと思われます。

 当サイトは、商店街立地の商業を「独立自営小売商業」と呼ぶことがありますが、このように要件を限定すると小売商業の一部は明らかに他の「地場産業」と共通する特徴を持っており、ことさらに地場産業と区別する理由は無いのではないかと言うことです。

 地場産業の地域経済における特徴は、彼らが創出する付加価値のほとんどが地域内で環流するということです。
その地域経済に及ぼす影響は、地域振興の代名詞ともなっている「工場誘致」と比べてみると明白です。工場誘致の場合、当該工場が産出する付加価値は、本社に帰属、地域に「還元」されるのは給与、税金などその一部です。
(ただし、下請け企業の創出、技術のトリクルダウンなどの効果があることは言うまでもありません。)

 地場産業の場合、付加価値のほとんどが地域内で裁量支出されるということは何を意味するか?
地場産業が稼いだ「粗利」が地域内で環流する、ということです。
給与や税金以外に、営業経費、設備投資といった支出が域内で行われます。地域内でお金が環流するわけです。
地盤産業が活性化すれば域内でのお金の回り方が早く・大きくなり、その影響は地域内でいろいろな方面へ波及していきます。
その結果、地域内の企業に「信用」が生まれ、経済が成長発展していく、というシナリオを描くことが出来ます。

 地域の所得の相当の割合が「消費購買」という方向で費消されます。この消費購買の受け皿を誰が事業機会として駆逐しているか、ということが地域経済、地域経営上の重要な着眼点になります。

 本日・本欄のテーマです。

 商店街を地場産業ととらえたとき、その特徴は「顧客」にあります。小売商業の顧客は、いうまでも無く“商圏内で生活する人々の消費購買”です。小売業の事業機会は、地域で生活する人々の生活に必要な材料を提供すること、当サイトがいつも申し上げているとおり。

 これを地域経済というレベルで見ますと、小売商業の売り上げは、地域で働いている人々の「所得→支出」に起因します。小売商業は、商圏内に居住する人々の“生活のために費消する所得”を対象にPOPを設営、売買差益の確保を目的に活動します。

 さて、“地場産業”の定義に着目すると、小売商業は大きく二つに分けることが出来ます。
地場小売業と非・地場小売業です。
この二つ、商圏内の消費購買を対象にしているという営業構造では何の差違もありませんが、「地域経済に及ぼす影響」ということになるととても同列には論じられない違いがあります。

 端的に言って
1.地場小売商業が生み出す付加価値(粗利)のほとんどは、地域内で環流する(「地域裁量付加価値」と命名)。
その支出先は域内事業者であることが多く、その所得は消費購買として小売商業に環流します。
 
これに対して
2.非・地場小売商業(店舗)が生み出す付加価値のほとんどは、もっぱら当該店舗を出店している域外の本社・本店によって運用される(「地域流出付加価値」と命名)。
ここで回収された所得は即日域外の本社本店に送金され、そこの裁量で再投資される訳です。

 どちらの場合も、原資となっているのは商圏内で人々が確保した所得ですが、その地域経済に及ぼす影響は、買い物行き先の店舗が地場商店か非・地場企業の出先店舗かということで雲泥の差が生じるわけです。
どういうわけか、これまでこの差違はあまり都市経営上の問題としては意識されていなかったようです。商業施策ももっぱら中小商業者の事業機会の確保というレベルにとどまり、地場小売商業の消長が地域経済に及ぼす影響というところまで掘り下げた位置づけは行われて来ませんでした。
(その結果として中小商業・商店街活性化政策に大きな齟齬が生じているわけです。)

 “入るを図って出るを制する”とは都市経営においてもよく言われるところですが、「虎の子」である住民所得の“消費購買”という形での域外流出=非・地場大規模店舗による回収を手をこまねいて見ているようでは“都市経営”に本気で取り組んでいるとは言えません。

 地域自立を目指して都市を経営する、という立場を目指すならば、入るを図って出ずるを制する、という地域振興の基本を商業部門にも導入し、「地場産業としての商店街」を活性化することで住民所得の域内環流を拡大し、地場に対する信用を拡大し経済発展の原動力とする、という戦略目標を立て、その実現を目指すことが喫緊の課題です。

 商店街・中心市街地活性化は、以上のような文脈において、すなわち、地域経済の活性化(所得機会の拡充・生活環境の充実につながる)という上位目的実現における地場産業の役割を踏まえ、さらに地場小売業の特徴をしっかりと理解したうえで取り組まれることが重要です。

 地域経済活力向上発展の担い手としての商店街、という位置づけのもと、経済機能としての商店街・個店の活性化=ショッピングの場としての機能を再構築すること、これを無視した取り組み、たとえば“コミュニティ機能としての充実”“イベントで賑わいづくり”などでは本当の意味での活性化(都市機能の拡充・経済活力の向上)を実現することは絶対に出来ません。
効果の上がらない取り組みを続けている間中、住民の所得は“消費購買力の流出”という形でダダ漏れですから、せっかくの取り組みも本来の趣旨に照らせば何の効果も生まれないません。非商業分野の所得が拡大しないなかで消費はダダ漏れという状況が続けば地域経済は縮小再生産です。

 ということで、行政の皆さん。
地域経済の活性化という至上命題のもと、企業誘致が大事だというのはその通りでしょうが、一方、せっかく確保した所得が“非・地場店舗”経由で域外に日々流出している、という事態を放置していたのでは、せっかくの企業誘致の効果も関係者以外・地域全体への波及効果ということではあまり期待できません。
この点、「公共事業」も同様でありまして、最終的に地場小売商業の付加価値創出段階に貢献することが出来てはじめてその効果を満喫することが出来るというものです。

 企業誘致も公共事業も大切ですが、“出るを制する”消費購買支出を如何にお金の域内環流に結びつけるか、ということは都市経営にとって喫緊の課題であり、ここにこそ
“なぜ行政が商店街・中心市街地活性化に取り組まなければならないか”という一部の人々の長年の疑問に対する答えがあるわけですね。

 さらに、
“郊外型小売商業=非・地場商業集積全盛の時代において空洞化している商店街をどうしたら活性化できるか?”
という問いへの解答としては、その方法と方向を当サイトが提唱しており、すでに各地の都市・商店街においてその実践がスタートしています。ご承知の通りです。

 都市経営のマネジメントにあたる行政にとって、商店街・中心市街地活性化とは:
住民福祉の拡充・所得機会の確保という二大領域の成否を左右する課題である“地場産業としての商店街活性化”について、個別商店経営者の意欲・能力がどうであれ、“脅してもすかしても”繁盛店づくり、点から線・面への展開という形で実現していかなければならない・戦略課題であることがご理解いただけたでしょうか。

 ご理解いただけたら即刻、これまでの取り組みを総括して新しい「活性化への道」を歩まなければならない。“極論すればそうかも知れないが・・”などと言っているうちにせっかくの経営資源が箸にも棒にもかからなくなってしまうかも、ですよ。

コメントの投稿

非公開コメント

有限会社クオールエイド
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
ご案内
こちらは、コンサルタント・ファーム、有限会社クオールエイドのホームページの別館です。 商店街・中心市街地活性化関係の業務を中心に展開しています。 ご利用法について。 当ブログには、当該部門について、他では入手困難な情報をたくさん提供しています。 「ブログ内検索」で抽出、ご利用ください。 各種掲示板、ホームページ過去記事などは左欄の目次からアクセスできます。 引き続きよろしくお願いいたします。
プロフィール

有限会社 クオールエイド

  • Author:有限会社 クオールエイド
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
ブログ内検索
アクセスカウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
月別アーカイブ