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[商人塾]全国サミット レポート

去る9月29~30日商人塾発祥の地といわれる大分市で開催されました。
その一部始終を所感を交えつつレポートします。
まず、大会次第をアップし、その内容をレポートします。
(文中敬称略)

第一日目
◎開会式
 ○挨 拶 佐々木寛大分県商店街振興組合連合会理事長
       広瀬勝貞大分県知事
◎基調講演
○「不況と競走を乗り切る変化対応経営の実践哲学」 
  ~いま店と企業に真に問われているものは何か~
  講師:㈱セブン&アイホイールディングス 
     代表取締役兼CEO 鈴木敏文
◎講  演
○「商売の原点と創造」
 ~生き残りをかけて商業者がいま心すべきものとは~
  講師:豊の国商人塾塾頭 緒方知行
◎パネルディスカッション
 ○「志高き商人たれ!商人としてのあり方」
  ※パネリスト
  アトリエカズ・おたる織物㈱代表取締役 寺岡和子 
  協同組合松江天神町商店街理事長 中村寿男
  豊後高田市「昭和の町」運営協議会会長 安部谷次郎
  豊の国商人塾塾生 渡邉正太郎
  日本政策投資銀行地域企画参事役 藻谷浩介
  ※コーディネーター
  豊の国商人塾塾頭 緒方知行
◎交流会(参加せず・省略)
 
第二日目
◎開講挨拶
 全国商店街振興組合連合会理事長 桑島俊彦
◎講  演
 講師:㈱石見銀山生活文化研究所 取締役所長 松場登美
◎全国商人塾討論会
○「商人塾の現状と行方 君たちの志を問う」
  ※パネリスト
  愛知県商店街振興組合連合会青年部長 鶴田伸也
  四万十市商店街振興組合連合会理事長 友永幸雄
  鶴岡銀座商店街振興組合 三井雅子
  中小企業庁商業課企画官 朝稲秀男
  ㈲はんだ商店代表取締役 飯田孝徳
  ※コーディネーター
  多摩大学教授 望月照彦

◎エキスカーション:商店街視察(参加せず・省略)

◎鈴木さんの基調講演
テーマ:「不況と競走を乗り切る変化対応経営の実践哲学」

●状況
○不況、好景気と見方が分かれているが、各種景気指標を見れば好 景気である。ただし、
小売業についてはおしなべて業績が低迷している。
○対応を考えるには、「世の中をどう見るか」ということがカギ。
①消費飽和:1980年代初頭から「もの」の普及が飽和化している。
②選択消費時代、既存業種・業態のノウハウが通用しなくなっている。
③「専門家」「専門技術」など過去の「専門」が役にたたない。
④過去の成功体験が役に立たない、それまでのポストからはずす。
⑤もの余り、「衝動買い」の時代にどう対応するか
※直面している課題は企業の大小を問わず共通している。
●これからの繁盛づくりは
①経験でものを考えるな 経験を咀嚼するより変化の方が早い。
②マーケットの変化を見極めないと生きていけない
③マーケットは一律ではない、ローカルなニーズに対応せよ
④競争相手は、同業他社ではない、お客の変化だ
⑤繁盛するためにはお客を見続けよ
といった内容でした。

●さらに「変化対応経営」の実践を提唱するということで、
①もの不足~普及が課題であった・量販店全盛時代の経営ノウハウは、「消費飽和」の時代には
役に立たず、むしろマイナスである。
②対応するためには、変化を見極めなければならない。
「お客の変化」を注視せよ
という提言が行われました。

◆所感
 当サイトの常連の皆さんにとっては、あらためて自分の時代認識と同じような認識をトップ企業の
経営者が共有している、ということが確認された、ということになります。対応の方向としては、
変化を見極める/お客の変化を理解せよ、ということで、まずはここから始まるということは当然
ですが、問題は、「お客の変化を見極める仮説を立てる」ということです。
 お客の変化、具体的な観察を羅列してもしょうがない、観察結果を仮説(理論)としてまとめ上げる
ことではじめて「対応の方向」を考えることができるようになる。
この作業を経過しないままで取り組むのでは「変化への対応」をものにすることは難しいと思います。

 トップ企業の「理論武装」の取り組みはどうなっているのか、このあたりの話が聞いてみたかった
ですね。
「変化対応」と言えば、「変化に対応するための理論」の構築が先行する、というのが理論重視派・takeoの立場です。

◎緒方さんの講演
テーマ:「商売の原点と創造」
注:緒方さんは、㈱商業界出身、現在、雑誌2020AIMを発行されていま   す。我が国流通業の栄枯盛衰をずっと見てこられた方です。

●商業者を取り巻く状況
○前世紀末、隆盛を誇った「流通5大グループ」は今どうなっているか
○シャッター通りになったのは商店街だけではない、SCもシャッター通りになっている。
○このまま行けば「商業自滅の時代」、マクロ環境のせいにせず、お客の支持を構築せよ
○SCに商圏を席巻されるのは商店街の怠慢が原因である

●今後の指針
○イノベーション=自己革新、つらいが取り組む以外にない、創意工夫せよ。
○お客のわがままをチャンスにせよ
といった内容でした。

◆所感
 講演ということもあって、「わがままをチャンスにする」具体的なアプローチなどについて、つっこんだ提案までは開陳されませんでした。
 鈴木さんの講演とも共通することですが、環境の変化(規制消費の飽和)の理解と対応の基本的な方向(変化した顧客ニーズに対応する)については、もはや多くの関係者が共有しているのではないでしょうか。
問題は、「対応する」とは具体的に何をどうすることなのか、というレベルにあるわけで、これまでの商売のあり方を否定し、「こっちの方向に舵を切れ」ということを具体的に提唱することが「商人塾」に期待されていることではないかと思います。
 「創意工夫」の必要なことはおっしゃるとおりですが、問題はどこに向けて何をどう創意工夫するのかというところにあると思われます。
もはや「心がけ」のレベルではない、「心がけ」をもって何を実践していくのか、というところへの提言が参加者が一番望んでいるところではなかったか、と、これは日頃の私自身の問題意識もあって、考えてしまいました。

◎パネルディスカッション
テーマ:「志高き商人たれ!商人としてのあり方」
「志高き商人」各位を全国から招聘、その志を聞くという企画です。

●寺岡さん:北海道小樽市で手織り和風を基調としたファッションを立 ち上げておられる人
●中村さん:松江市天神町商店街の活性化のリーダー。高齢者向けの  「買い物の場」「パスタイム」としてのまちづくりに成功している事 例を発表されました。
●安部さん:豊後高田「昭和の町」の取り組みについて。
  まちづくりにはライフサイクルがあり、寿命は10年くらいだと思う。 自分たちの取り組みは5年目で正念場を迎えており、今後とも挑戦の 姿勢をもって取り組んでいきたい。
●渡辺さん:大分の地場特産であり、自社の主力商品である魚の干物を 活かした活性化への取り組みについて。

◆所感
 以上は、各地でまちづくり・地域振興に携わっている皆さんの取り組みの現状報告でした。志と言うことではそれぞれ明確に掲げられておりますが、もちろん志を具現化するには商人の、というかビジネスとしての、というか「あり方」が問われるわけでありまして、パネラーの皆さんはそれぞれ、自らの「あり方」を報告されたと思います。
 これらの報告を集約するとどうなるのか?
集約するには「集約する視点」が必要であり、それが「商人としてのあり方」だと思うのですが、では今回のサミットが標榜する「商人としてのあり方」とは何か?
ということが問われる訳で、これについてはレポートの終わりに考えてみたいと思います。

●藻谷さん:
  言わずと知れた中心市街地活性化、地域活性化の専門家です。どうしてこの人がこのテーマのパネルディスカッションの、コーディネーターとしてならまだしも、一パネラーとして参加することになったのか、正直、不思議な気がします。
藻谷さんは、少子高齢化の進行が全国的に進展すること、現在進展している地方のみならず、今後は大都市においても急激に進展すること、これを絶好のビジネスチャンスとして活用することが課題である、というお話でした。
藻谷さんのお話は、講演として独立させた方が参加者には意義があったのではないかな、と思いました。

◆所 感
サミットは、「環境の変化に如何に対応するか」というそれこそ規模を問わず全国の商業者が直面している課題に指針を提起する、ということよりも、「商人塾の理念」の普及・継承ということに主眼をおいて展開された、という感想を持ちました。
この感想は二日目の催しにも共通するところです。


◎ 二日目 開講挨拶
 全国商店街振興組合連合会理事長 桑島俊彦
○挨拶の中で、世田谷区の連合会が取り組んでいる「商店街加入促進活動」について紹介されました。 商店街に参入しているチェーン店などの組織加入を促進しようと言うことで、同区では条例が制定されたそうで、この動きは都内各地に波及しているとのこと、会員減少に悩む商店街にとっては耳よりの話です。

◎松葉さんの講演
 ●松葉さんは、ご夫君とともに石見銀山・太田市大森町で実家の呉服店をもとに新しいファッション関連のビジネスを起こされました。
http://www.gungendo.co.jp/
 スローライフ・時間堪能という方向性をビジネスとして見事に成功された事例ですね。是非たずねてみたいと思います。


◎ 商人塾討論会
いよいよ、メインディッシュ。
テーマ:「商人塾の現状と行方 君たちの志を問う」
 討論は、
①商人とは何か
②商人塾・スタートの経緯
③商人塾で何を学ぶか
④21世紀の商人塾とは
という流れで、参加者がそれぞれ自分の思いを発表する、という形式。

①商人とは何か
●鶴田さん:お客の喜びを自分の喜びとしたい
      画廊経営
●友永さん:お客様の問題解決に貢献する存在
      化粧品店経営
●三井さん:お客の笑顔
      台所用品店経営
●朝稲さん:行政の立場から
      ※まちづくり三法の見直しを進めている
      ※活性化の対応としては
      ①コンパクトシティの推進
      ②賑わい創出
      ③個店の魅力づくり を進めていく
●飯田さん:人の役に立てたらいいな
      酒屋経営
②商人塾の現状について
●鶴田さん:安城商業塾
      ○講義を約50時間実施、これを踏まえて各店ごとに「店づくりの転換」に取り組んだ。
      ○「店を閉めてでも受講する」を合い言葉に取り組んだ
      ○現在、第二期生を募集中
      ○一期生の感想は取り組んでよかった。二期生を集めるのは難しいが実施する。参照:http://www.anjo-tmo.jp/

●友永さん:なかむら商人塾
      ○TMOの提案によりスタートした。「まちづくり」に向けた商人塾というところが特徴
      ○輝く個店が軒を連ねる商店街を目指す取り組み
      ○取り組みの結果業績が好転している店が出始めた
      ○今年は2年目、一期生も引き続き添加に取り組んでいく
      ○二期生は、中心市街地に限定せず市内全域から募集

●三井さん:岩手県鶴岡銀座商店街振興組合
      ○商道館という勉強会組織が昨年まで活動したが、今年、中止になった。
      ○現在は「次世代あきんどの会」という組織で頑張っている。
      ○商店街を一個のデパートに、という方向で取り組んでいる
      ○旧世代との意識のギャップがある。古い成功体験からの脱却が商店街の課題だ

●朝稲さん:中小企業庁
      ○施策の新しい方向として
      ①人材育成:創業等支援事業など
      ②チャレンジショップ事業の拡充

●飯田さん:豊の国商人塾
      ○「豊の国商人塾」の秘密は、ボランティアと感動にある
      ○商人塾創設者、塾頭の後ろ姿をみなが前進していきたい
      ○「商人道」「如何に生きるべきか」という話は一切しない、商売を通じて自成せよ
      ○「商人として今、地域で何ができるか」を追求していく

③今後の抱負(商人塾への期待)
●鶴田さん:自分の人生を豊かにする機会 お店の姿は自分の姿、自分が変わっていく以外にない
      ○理論~仮説~実践~検証というサイクルを回していく
      ○ビジョンを設定し、実体化する取り組み
 ※求められる商人塾:人の役に立って、魅力あるエリア、市民にとって無くてはならぬまちを作っていく実践の場

●友永さん:素直で勉強好きな商人を育成する
      他流試合(仲間との交流)の場、交流の中でズレを修正する
 ※求められている商人塾:本物商品、本物商店を作っていく場
●三井さん:商売は人と人とのつながりづくり     
      ○町も店もコミュニケーションの場と心得て磨いていく
●朝稲さん:多様な人との交流の場、五官を研ぐ機会として活用してもらいたい
      ○他地区商人塾とのネットワークの構築も課題
●飯田さん:「学ぼう商人塾魂」
      ○人として、商人として如何にあるべきか?
      ○「商人文化の継承」
●コーディネーターによるまとめ
 ①いよいよ「商人塾の時代」が到来した
 ②21世紀、人材のインキュベーターを担うのが商人塾
 ③商人塾は地域の問題解決センターである     
 ④自立した商人塾のネットワークを構築しよう
 ⑤商人塾の本質は、「野生の力」であり、「野生の苗床」だ
 二日間で学んだことをしっかり活用して、新しい商人塾運動、ネットワークの構築を目指していただきたい。

◆所感
 5名のパネラーのうち、
 愛知県商店街振興組合連合会青年部長 鶴田伸也
 四万十市商店街振興組合連合会理事長 友永幸雄
のお二人は、クオールエイド流商人塾の塾生です。ご承知のとおり。
発言内容をチェックしていただくと、お二人の発言内容を他の人の発言がはっきり違うことが見て取れます。
 我が商人塾は、「目的不問、儲かりたかったらこうしてみたら」というレベルからスタートします。けして「商人道」や「商人としてのあり方」を立てて、その実践・修養の場として「商人塾」に取り組むわけでありません。
また、だからといって単なる「ノウハウ修得の機会」でもありません。
環境が激変する中で商業者としてあり続けるには、という問題意識を共有する人が集まって、
①対応する方向と方法について学び、
②自店の業容転換を構想し、
③試行錯誤を繰り返し転換を実践していく
③仲間との交流で転換をより確実、より加速する
というのがクオールエイド流・実利追求商人塾ですね。
 ということで、奇しくも最後の討論では、従来型の商人塾vs革新的商人塾という対照が見られました。元気がよかった、展望がありそうだ、というのは我が二商人塾の方だった、というのはひいき目でしょうか(笑
 さて、サミットは場所を変えながら続けていく、という方向が打ち出されました。
続けるのは結構なことですが、どうせ開催するのであれば、何のための交流か、ということをもっとシビアに突き詰めることが必要ではないでしょうか。
もちろん、商人塾自体も、この厳しい時代、想定する参加者のどのような問題意識と切り結ぼうとするのか、参加者に何を約束するのか、という根元的なところから考えてみることが必要ではないでしょうか。

 ということで、駆け足で報告しましたが如何だったでしょうか。
なお、今後ともさらにシビアに検討してみたいと思いますので、興味のある方はクオールエイドのサイトでおつきあいください。
http://www.quolaid.com/cgi/tmo/wforum.cgi?no=1087&reno=no&oya=1087&mode=msgview&page=0
 商人塾は、商店街活性化を推進していく上で「起死回生」の働きが期待されています。期待に応えうる内容をどう作り上げていくのか、それぞれの商人塾が重い課題を突きつけられていると思います。

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  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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