専門家選定能力は大丈夫?

 6月下旬、内閣府地域活性化推進本部による認定中心市街地活性化基本計画の推進のフォローアップの状況に関する報告が公開されました。

 昨年、20年度分が公開されたとき、当社はその分析を行っています。さらに、それを踏まえて取り組みの支援指導にあたる「専門家」についても考察しました。

特に、中心市街地活性化、とりわけ中核課題である商店街の活性化が一向に進展しないのは、計画の作成から実施段階まで、指導支援に当たる「専門家」の能力に問題があるからだ、として、専門家を招聘するにあたっては、「選定能力」を高めることが重要だと指摘しました。
以下、再掲します。
指摘している専門家の実態は、今日も依然として続いています。
ということは、中心市街地の状況は悪化することはあってもけして活性化の実現に接近することはない、ということになりますが、あなたの中心市街地は如何でしょうか?

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Date: 2009-04-06 (Mon)

 中心市街地活性化をはじめ、都市が直面している様々な問題の解決には専門家の参画が必要とされ、いわゆる学識経験者・プランナー・タウンマネージャーなど専門家が招聘されることが通常です。

 さて、招聘する専門家に期待していることは何でしょうか?
いうまでもなく、解決しようとしている問題の解決に貢献してくれること、ですね。さらにその貢献の内容としては、中心市街地・商店街活性化という問題について
①問題解決策の案出の支援
②問題解決プロセスの支援
という大別・二つの異なるレベルの作業についての支援です。

 招聘しようとする専門家はこれらの作業の支援が出来る能力を持っていることが必要です。その能力とは、
①問題が起きている領域についての専門的な知識・技術と
②②を活用して問題解決策を案出する能力 と
③関係者に問題解決策を売り込み、その気にさせる能力
に分けることが出来ます。

 一般化すると、①専門的な知識、②推理能力、③統率力ということですね。

 中心市街地・商店街活性化など、「都市経営」上の問題の特徴は、
①利害関係者が多く、かつ、利害の内容が多様である
②関係者に共通する「価値」が存在しない
ということで、これは企業やNPOなどとは大きく異なるところですね。このことを理解していない場合、企業経営や既存組織あるいはNPOの経験者などが中心市街地活性化の音頭を取れるかというと、それは?です。

 さて、中心市街地活性化という問題情況では、関係者の利害の多様性ということから「合意形成」という課題が存在するわけですが、これについても「専門家」の支援が期待されます。

 合意形成における専門家の仕事は、
①問題の定義を共有する
②解決策を決定する
③組織を編成する
という「合意形成の三段階」をリードすることですが、その前提となるのが「専門的な知識」です。

 上述したように、中心市街地活性化の支援者として招聘される専門家は、
①中心市街地活性化の実現に必要な知識・技術
②応用能力
③統率力
が必要ですが、なかでも問題は「中心市街地活性化に必要な知識」です。これは、装備しているだけではなく、必要により関係者に修得させなければならない。合意・統率の基盤ですからね。
したがって、専門家は、
①知識技術を持っており かつ、
②それらを関係者に共有させる
能力を有していなければならない。

 特に、中心市街地・商業の活性化という問題領域では、
①従来から蓄積されてきた知識・技術・経験に基づく取り組みが成果を挙げられない
②問題情況は悪化するばかり
というなかでの取り組みが一般的であり、専門家の作業は相当なものになります。一から組み立てるのではコストパフォーマンスが成立しません。

 という状況が、中心市街地・商業活性化における「専門家」が直面している状況です。

 この状況において、専門家は何をしているか?

 ということが問題でありまして、だれにとっての問題かと言えば、もちろん、関係者全体にとっての喫緊の問題です。

 このところ毎日のように取り上げているように、多くの都市の中心市街地・商店街活性化の取り組みは、「歩行者通行量」や「空店舗」という「対症療法的問題設定」、すなわち

①歩行者が減っている・・・歩行者を増やそう
 居住者を増やそう・・・・マンションを建てる
 来街者を増やそう・・・・来街目的を増やす

②空地空店舗が増えている・空地空店舗を減らそう
 空地を減らそう・・・・・建物を建てよう
 空店舗を減らそう・・・・使用者を招聘しよう

 つまり、何故通行量が減ったのか、何故空地空店舗が発生しているのか、という原因には遡及しない、現に目に見えていることに反応するという、つまり、「対症療法」に終始しています。

 せっかく専門家を招聘しておきながらどうしてこういう羽目に陥るのか?

①招聘した専門家の能力がそのレベルだった
②専門家が面倒くさがって、現場の要望のレベルに合わせた
という可能性が考えられます。
どちらの場合も、専門家の仕事は、関係者の空気を読み「落としどころ」を作って提案するという役割で、専門家=発声者ですね。

 専門家が本来果たすべき役割を果たせないことのツケは、その原因が何であれ、やがては招聘した側に帰結するのでありまして、専門家はある日、契約期間が終了して現場を去ればそれでおしまい。
後は地元で取り繕う以外にありませんが、さて、気を取り直してもう一度トライできるでしょうか。トライするとしていったい何をどこからどうやり直したらよいものでしょうか。

 といった問題にこれから否応なく直面していくことになるわけですが、フォローアップ作業などを見ていますと、今さらながらに“専門家選定の重要性”が痛感されるのでありまして、同時に専門家の選定に関わる都市側の基礎体力のあり方が懸念されるところです。

 フォローアップ作業が一段落したこの時期、従来的な対症療法からの脱却が喫緊の解題であり、これは特に現場常駐の専門家・タウンマネージャーさんの活躍が期待されるところですが、実態はさてどうでしょうか。
引用終わり****************************

念のために再言しますと、以上は昨年のフォローアップ時点の記事であり、今年のものではありません。
昨年、上記の指摘を行ってから今日まで改善措置が取られたかどうか。漫然と記事を読み流した人の中心市街地では状況はさらに悪化しているはずです。

 他方、「専門家の能力のミスマッチ」という問題を関係各方面で共有することが出来た都市は、しかるべき是正措置を講じています。当社が知る限り、少なくとも一つの都市で基本計画の見なおし作業に於いて「専門家の選定」に従来では考えられない方法が採用されています。

 今年度の内閣府の報告では「基本計画の見直し」が推奨されています。ご承知のとおり。
もちろん、“どのレベルで見直すのか”という問題がありまして、例えば数値目標についていえば、
①数値目標を達成状況に合わせて下方修正する、というのも見直しですし、
②理論武装をやり直し、その上で目標を設定し直す
という見直しもあります。

 いずれにせよ、「専門家」の指導支援を仰ぐことになると思いますが、今度こそは選定作業を適切にしないと、計画期間の経過からももはや後がありません。
手っ取り早いのは、選定について当社のアドバイスを受けることですが、「その気に」なれるかどうか、あなたの能力=胆力が問われているのかも知れません。

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