通行量という指標の再考

中心市街地活性化基本計画、商業の活性化の達成状況を評価する指標として多くの都市が「通行量の増加」を掲げています。
二つの考え方がありまして、
1.通行量を増やせば商業は活性化する
2.商業が活性化すれば通行量が増えているはずだ

 1と2では同じ通行量を指標としていても取り組みが大きく異なります。

 1の場合。
通行量を増やせば商業は活性化する、という考えですから、商業活性化施策は、「通行量を増やす施策」ということになります。
空地・空店舗等を離床した非・物販集客施設の整備、居住施設の整備、交通機関の整美、観光施設・資源の整備、イベント、などなど。

 おそろしいことに。
こういうことに取り組んでも商店街の通行量は増えません。
たまに“2割アップした”という話が聞こえてきますが、それがどうした、売り上げアップにはまったくつながっていないのであります。
したがって、もちろん、商店街の空洞化は深刻化するばかりですが、“まだ通行量の増加が足りない”と「成果無き増加策」に一所懸命です。商店街が活性化しないのは通行量が増えないから、と思いこんでいますから無理もない。

 この路線の破産は内閣府が認めています。
“通行量が増えないのは、小売販売額の増加や空店舗の減少が見られないから、当たり前”というのが「総括レポート」の概要です。

 この路線を取ってきたところは、一日も早く“基本計画の見なおし”が必要です。このことの理解が市内関係各方面に共有され、見直しの機運が醸成されない限り、“通行量の増加”にいくら取り組んでも「壮大な無駄」に終わります。間違いなく。

 悔しかったら、通行量と商店街活性化の因果関係をきちんと説明していただきたい。通行量10&アップなどと掲げていますが、
○通行量が10%増えたら商店街の何がどうなるのか、説明していただきたい。
○皆さんの「通行量の皮算用」には、“商業者の自助努力による通行量の増加”は、ただの一人も想定されていませんが、そんなもんですか?

 次に2.の場合。
 商店街が活性化すれば通りの通行量は増える。活性化の進展を見るには通行量を測ればよい、というのが2の立場です。
商店街の賑わいと通行量との関係は確かにそう理解されますが、ここに難問がある。
この場合、「通行量の増加」は商店街の販売額アップなどの結果として実現するのですから、「販売額アップ=繁盛店を作る」のための施策を講じなければならない。

 さあ、ここで問題。
“繁盛店を作るには何を為すべきか?”
この路線を取っているところはこの問題を解決しなければならない。商店街においてわき目もふらずに繁盛店づくりに邁進する。でもどうやって?

 というところで、「既存個店のシャッターの内側の課題」を直視し、その解決に取り組めない商店街活性化は、ゼッタイに成功しないのであります。

 さらに。
取り組みがスタートして成果が挙がり、繁盛する店が現れ始めても、それが「通行量の増加」として確認されるまでにはタイムラグがあります。特に、今どきの繁盛店は客数アップよりも客単価のアップの方が先行します。
繁盛=通行料増と一足飛びにはいかないのです。
つまり、だれの眼にも「通行量の増加」が明らかになったときは、既に活性化という問題は解決しており、ことさらに「通行量」などを測って核にする必要は無いのではないか。

 ということで。
 果たして、商店街の活性化を指標として「通行量」は適切だろうか? そもそも通行量が指標として適切だと言い出したのは誰か?
どういう根拠に基づいて言い出されたのか?
今となっては調べても詮無いことかも知れませんが、転ばぬ先の杖、二度と騙されないためにはこれまではどうして騙されたのか、振り返っておくことが必要です。

 私の知る限り、公的に「通行量」が指標として取り上げられたのは、総理府が行政評価の一環として取り組んだ「中心市街地活性化」の検証においてです。このとき、活性化が進まないのは“目標が数値化されていないから”と指摘し、目標の「例」として“通行量”が他と共に例示されたときですね。もちろんこのときもどうして通行量が目標になりうるのかという説明は行われていません。

 総理府に先立って「通行量」を称揚したのは、もちろん、藻谷氏を始め、いろんな人がいます。しかし、この人たちのうち、誰一人として「商店街活性化と通行量の関係」を説明している例はありません。

 ここにも中心市街地・商店街活性化の取り組みの至らなさの証拠があるわけで、ここまで来るともはや、“こんなデタラメで活性化が出来るはずがない”ということでは衆目が一致、こういうデタラメではない、きちんとした取り組みに変われば活性化できるのかも知れない”と「希望の元」になるかも知れません。
これまでしっかり取り組んできたのに活性化できない、というのでは夢も希望もありません。

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