「因果」による説明

 ものごとを説明するにあたってはよく「因果関係」が使われます。因果関係による説明は、
①○○であれば□□である
②○○である
③故に□□である
という形の説明です。

例えば、
①通行量が多くなれば街(店)は繁盛するようになる
②通行量が多くなっている
③街は繁盛している
というように。

このように、状況を説明するのに「因果関係」についての知識を用いるのを「前向き因果」というのだそうです。
因果関係から、条件~結果と進んでいく説明ですね。

前向きがあればもちろん「後ろ向き」もありまして、例えば、通行量が増えていても街(店は繁盛していないとすれば、
③街(店)は繁盛していない
②通行量は増えている という状況から
“①通行量が増えると街(店)は繁盛する”という因果関係(についての知識・理論)が偽りだということが分かります。

 このように、現状からスタートして条件~原因へとさかのぼって因果関係をチェックするのことを「後ろ向き因果」と呼ぶのだそうです。
(以上、参考:『ブレイクスルーのために』)

 あることについての因果の説明が正しいかどうかを判断するには、その因果関係が正しければ絶対に起こらないであろうことを想定し、それが現実に起こっている事例はないか、探してみればよろしい。

 例えば。
“通行量が増えれば街(店)は繁盛する”
という理論があったとして、その真偽を確かめるには、
“通行量が増えても繁盛していない街(店)がある”
という実例をたったひとつ挙げればよい。
「反証」のことですね。

もしひとつでもそういう事例があれば、
“通行量が増えれば街(店)は繁盛する”
とは言えないことになります。
通行量と繁盛の因果関係はウソ、否定されたことになります。

 こういう作業は、自覚してあるいは無意識のうちに誰もがやっていることですが、どういうわけか、商店街活性化とか中心市街地活性化のように、たくさんの人が関係する仕事での計画つくりなどでは、因果論などを考慮すれば問えも理論と呼ぶには値しないインチキ理論がシャアシャアとまかり通っています。

 このところ、連日のように取り上げている内閣府の『基本計画フォローアップについての報告』には次のように述べられています。

 “通行量に関係する目標数値については、他の目標数値に関する取り組みの効果全般の影響を受けるところ、特に③(小売業販売額・空店舗)の目標数値に関する取り組みの効果の影響を受けることもあり、比較的厳しい状況にある”(『報告』P4)

 つまり、『報告』において「通行量」は、
“他の目標数値、特に小売業販売額・空店舗に関する取り組みの効果の影響を受ける”
とされており、
“通行量が増えれば街は繁盛する”
という因果関係(理論)は否定されています。

 これは大変重要なことでありまして、これまでの
“通行量が増えれば街は活性化する”という因果理論に基づいて作られている「商店街活性化策」は、その根拠を失ったわけです。
最もその気になれば『報告』に依らずとも自分の「アタマと眼」で見破ることが出来たニセ因果論だったのですが。

 “通行量が増えると街は活性化する”という理論がフォローアップによって破産したとすれば、活性化の取り組みは一分一秒も早く
新しい理論を装備して、新しい「活性化への道」を構想しなければならない。

 発表された内閣府中心市街地活性化推進室の『フォローアップに関する報告』が提起しているのはまさにこのことですが、さて、関係各方面のうち、このことに着目、迅速に対応策を検討しているところが何カ所あるでしょうか。
もちろん、中には『報告』とは無関係に新しい「活性化への道」の構築に着手している都市もありますが、少なくとも「フォローアップ報告」を提出した都市の中にはそういう自律的な動きは見あたりません。

 しかし、あらためて『報告』を精査、自都市の計画~実践の状況が他都市の計画~実践の報告と軌を一にするものであることに着目すれば、今、真っ正面から取り組まなければならないのは、“活性化の取り組みを導いてきた理論の破産”であることは明らかだと思いますが、如何でしょうか。

 明日の公開セミナー、県、市行政からの受講者がこれまでになく多いことは、状況の一端の現れでしょうか。

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