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商店街活性化 取り組みの蹉跌

             (*蹉跌=つまづき転ぶこと)

 クオールエイドは、これまで約30都市の新・旧基本計画に目を通しています。
それらに共通しているのは、「状況分析」の不徹底です。このことは、当社がこれまで読んだものに限らず、ほとんどの基本計画に共有されている欠陥であると推測されます。
 
 状況分析の不徹底とは何か? それは、「商業の現状分析」にあります。基本計画では、中心市街地の小売商業の現状がおおむね次のように分析されています。

1.経営環境の変化
(1)モータリゼーションの進展
(2)競争条件の変化(集積間競争の激化)
(3)消費購買行動の変化
(4)中心市街地の人口の減少
(5)都市機能の配置の拡散

2.商店街の対応

3.空洞化の現状
(1)空き店舗の増加(店舗の減少)
(2)小売販売額の減少
(3)通行量の減少
(4)イベントなど販促活動の陳腐化
(5)高齢化・後継者難

 如何ですか。ぶっちゃけ、「3」的数字を並べただけでは、分析の名に値しないのでありまして、これらの数字・結果はなぜもたらされているのか、分析すべき問題は別のところに厳然としてありました。

 このことに気づかず、あるいは気づかぬ振りをして看過し、「3」的状況がもっぱら「シャッターの外側だけ」に起因するものであるかのようにみなして活性化策を企画した、ここにこそ、全国各地の取り組みがほとんど躓き、所期の成果を挙げることが出来なかった究極の原因があるのではないか?

 環境変化及び空洞化は、もちろん、ある日突然起こったことではありません。
特別の事情があった場合を除き、変化は漸進的でした。
すなわち、変化には対応策を講じることが可能であったし、実際、商店街組織(以下「組合」)は、さまざまな環境変化に対応するため、多様な支援制度を利用しつつ対策を講じてきました。それにも関わらず・それらの取り組みを含んだ結果として、「空洞化」という現状が到来しているわけです。

 つまり、「1 経営環境の変化」と「3 商店街の現状」との間に、「2.商店街の対応」があったのですが、これが所期の成果を挙げることが出来なかった・・・。

 ここが重要でありまして、商店街(組織・個店)はけして手を拱いていたのではない、各種支援制度を活用しつつ、対策を講じてきたにも関わらず、現状に至っているのだ、ということを率直に認識しなければならない。
このことに注目すれば、「なぜ成果が挙がらなかったのか?」という解明すべき問題に直面することになります。

 ところが、ここをあっさりと“点や線の取り組みだったから成果が挙がらなかった”とか、“人口減、都市機能の拡散がある中で商業施策だけに偏していた”などといった「総括」で済ませたため、対策としては従来型施策の「面での取り組み」、「人口増大施策・都市機能の集約化」が目論まれている、というのがおおかたの都市の“新しい”取り組みではないでしょうか?

 点や線の取り組みではなぜ成果が挙がらないのか、人口減や機能拡散が発生していない都市においても中心市街地の商業の空洞化は起きているがそれはなぜか、といった点は全く考えられないまま、新しいスキームへの“飛び移り”が始まっているわけです。

 問題はどこにあったのか?
あらためて自問自答しなければならないのは、これまで事業に取り組んできた、中心市街地に立地する商店街、各個店は、環境の変化に適切に対応しうる能力を持っていたかどうか 、ということです。
環境の変化は、来街・来店客数の減少、業績の悪化として目に見える形で経営を直撃します。店主以下の関係者は、当然、業績禍福をめざし対応策を講じるわけですが、にもかかわらず、業績の悪化・低迷が改善されることはなく、状況がより厳しい店舗から廃業していく、残っている店舗の将来も不透明きわまりない、というのが多くの商店街立地の現状実態でしょう。

 環境の変化に対応しようとしたが、的確な対応が出来なかった。その結果、活性化への取り組みの真っ最中も空洞化が着実に進展する・・・。
問題はまさにここにあるのでありまして、ここを見逃せば、打つ手を間違ってしまいます。多くの『基本計画』がそうであるように。

 問題は、個々の経営がこれまで営々として作り上げてきた、店づくり(品揃え・サービス揃え・環境整備)の技術では、環境の変化に対応することが出来ない、対応すべき変化と対応能力にミスマッチが生じている、ということです。
 いうまでもなく、商店街は「都市及び周辺住民の買い物の場」という機能を受け持っているわけですが、具体的にその機能を果たすのは個々の店舗の「売り場」です。
この売り場を作る技術が(環境変化の結果としての)消費購買行動の変化に対応できない、というところに大きな問題があるのです。
このことを指摘し、原因を分析し、対策を講じている基本計画はほとんど皆無とではないでしょうか?

 対応不能(能力と課題のミスマッチ)はなぜ起きているか?
 これは商店街の歴史を考えれば、よく分かります。
多くの商店街が発展し、全盛を極めた時代は、高度成長期の中期頃です。わが国全体が「もの不足」から離陸しようとする時代、「もの不足・店不足」という状態から脱出することが国家的課題である時代のことでした。詳細は書けませんが、「商品を並べさえすれば売れた」時代から「品揃えの差別化」「新製品をいち早く仕入れたものが勝ち」という時代の間が商店街の全盛です。

 繁昌の秘訣は、①人通りの多い立地 ②面倒見のいいメーカー問屋とのつき合い ③売れ筋情報のキャッチ ということでした。 この三つを実現するのに、今日のような「業容」的発想は必要なかったのです。
 「立地に頼り、問屋に頼り、売れ筋に頼る」 すなわち当社のいう「三頼主義」・「商店街商売」です。
(詳しくは文末URLの記事参照)     
 この経営ノウハウは、「もの不足・店不足」という時代から「もの普及(~差別化)・店舗増大」という時代に限って通用したもの、「もの余り・店あまり」といわれる現在では全く通用しません。問題はここから生まれています。

 商店街における商業機能の空洞化は、消費購買行動の変化に対応するために活用する経営ノウハウが、端的に言って「時代遅れ」になっていることが原因で起きています。
もし、空洞化が「人口減」や「都市機能の拡散」が原因で生じているのだとしたら、そういう現象が起きていない都市では空洞化は起きなかったはずです。しかし、一部の商店街を除き、ほとんどの中心市街地の商店街が、人口や都市機能の動勢に関わらず空洞化しています。商店街の空洞化は、人口や都市機能云々では説明できません。

 もちろん、郊外型商業の急速な進出ということがありましたが、それは単に立地の好悪ということで見るのではなく、「商店街商売」では郊外立地の「新業態」に対応することが出来なかった、と見ることが必要です。

 逆説的にいえば、商店街を取り巻く環境の変化、結果としての業績悪化は、漸進的に進みましたから、「経営能力の抜本的な改革」の必要性が自覚されることが無かったのではないか? もちろん、「商店街商売」が転換すべき「方向と方法」も誰からも提案されていませんでしたし。

 こうして、現在、商店街に立地する多数派の店舗の経営能力と活性化を実現するために必要な能力との間に大きなミスマッチが生じています。目下起きている環境変化は、開業以来駆使してきた商店街商売のノウハウでは絶対に対応できない、従って、「買い物の場」としての商店街の活性化、すなわち、個々の売り場の業容革新は、個店の自発的な自助努力に任せていたのでは、いつまで経っても実現することはありません。もちろん、シャッターの内側の各種補完施策が実を結ぶことも無いのです。

 中心市街地活性化法制定以来、全国で推進されてきた取り組みが、今にいたって「やり直し」が必要になっているのは、施策立案の前提となる、実態の的確な分析、特に小売機能を担う個店の経営能力の水準についての冷徹な評価が出来なかった、というところに根本原因があります。このことに気づかないまま作り直される基本計画は、これまで同様、蹉跌への道をたどることが約束されているも同然ではないでしょうか。

 ミスマッチを直視すれば、商業活性化策は大幅に改革されることになります。
不思議なことに、これまでに認定された「新基本計画」では「活性化施策の革新」はほとんど見られません。それは、「従来の取り組みが蹉跌した根本原因」が未だにつかまれていないからです。
活性化の実現は、「環境と対応能力(努力)のミスマッチ」を直視し、対策を講じることから生まれません。
このことを、一点の疑問もなく納得し、関係各方面共有の問題意識とすること。
今、もっとも優先して取り組まなければならない課題はここにあると確信していますが、あなたは如何ですか。

※当社は一貫してこのミスマッチを直視し、これまで支援するご縁のあった、都市、商店街にはそのことを直言し、また対策を提案してきました。当社の「商人塾」はこの問題を解決していく方向で提案されている唯一の方法だと思います。

※「商店街商売」については次の記事を参照してください。

商店街商売から脱却せよ・その1

その2

※おなじみ『商店街の七不思議


※引き続き“いますぐ取り組む局面打開の方法”をアップします。


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  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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