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「商店街商業」から脱却せよ!

●「商店街商業」とは

現在、商店街で営まれている大多数の商業のことです。

特徴は、
1.「立地の通行量」をあてにして出店した
2.伝統的な川上主導型の専門店である
3.見よう見まねでやってきた
4.隣近所との連携・相乗効果は、あまり期待できない
というところ。
つまり、商店街立地に見切りをつけて郊外に移動したフリースタンディングの専門店と異なるのは立地条件だけ、ということですね。

商店街の「集積としての行動」は、
5.共同施設事業、共同経済事業に取り組んでいるが、その内容は個店の経営活動の補完という位置づけであり、集積全体としてのデスティネーションを向上させることにはほとんど取り組まれていない、
という状況です。

●商店街全盛時代の小売業とは

教科書によれば小売業とは、
①消費財を
②他から仕入れ、またはみずから製造して
③最終消費者に販売する
という仕事です。

時代や取扱商品によってその基本的な経営課題が変わります。

1.「モノ不足~モノ不足~差別化」という時代:
メーカー、問屋から「売れ筋」商品を如何に仕入れるか
つまり、「川上」の情報、つきあいが業績を左右する

2.「モノ余り~ラグジュアリィ志向」という時代:
お客の好みに合う商品を如何に集荷するか
つまり、品揃えのお客とのマッチが決めて

商店街が生まれ・発展した時代というのは、まさしく、「1」の時代、メーカー、問屋と上手くつきあうことが商売繁盛の秘訣でした。
特に、小売業の経営理論といった体系的な知識・技術はなく、経営ノウハウは、先代、先輩、取引先から教えられる「商売の秘訣」など、見もう見まねプラス実践で蓄積しました。
他に方法はありませんでしたから、他の方法をとる競争相手もいませんでした。

出店者は、
1.戦前からの家業の継承者
2.復員して開業
3.その後参入
というところがほとんどだと思います。

特に「経営理論の研修」という機会は無かったと思います。
現在もありませんけどね(W

それでも商売が出来たのは、
1.モノ不足からスタート、
2.お客の生活・ショッピングの経験が貧弱、お店の言いなりで買い物をしていた。
3.商店街以外に競争相手がいなかった

という条件がそろっていたからです。この時期はいわゆる「売り手市場」でしたからね。よく、「○○商店街の店は殿様商売をしている」と言う風評がたつ根拠はこのころのビヘイビアかも知れません。

余談ですが、最近、消費者懇談会を傍聴しましたら、
「商店街のお店では、どうしてお客の私のほうから第一声を“すみません”と掛けないといけないのか」大型店ではそんなことはありませんよ、とキビシ~イ質問が出ていました。

それはともかく。
この時代、商業者は勉強しようにもチャンスがありませんでしたし、勉強しなくても売れましたから、このまま行けたら万々歳でした。


●今どきの小売業

時代は変わって、商業者は勉強しようと思えばいくらでもチャンスがあり、勉強して「商店街商売」から脱却=店づくりの転換に取り組まなければ「明日がない」という状況です。

もちろん、この状況は外からは見えませんし、まあ、今日勉強したからといってたちまち売り上げが急上昇する、ということも考えられず、ついつい一日延ばしになるわけですが、他方、お店の業績は着実?に落ちていきますから、これは望んでいない「即身成仏」、お店を生きながらミイラにしているようなものです。

商業者たるもの、どこかでしっかり勉強する機会を自ら求め・作ることが必要です。
このことは、「ロードサイド型商業集積」とやらに立地しているお店にもあてはまることです。
ロードサイダ型集積は、「後から生まれた商店街」、車が多く通るところは好立地、という「店前交通量」頼みの発想はかっての商店街止まったく一緒ですからね。

そうそう、商店街で「活性化事業」に取り組むにあたっては、「これをロードサイドでやったら効果があるだろうか?」と我が身と置き換えて考えてみられることをおすすめします。ロードサイドで取り組んでも効果が無い、と思われる事業は、商店街でやっても効果がないと思います。
「思考実験」、お金も時間もかかりませんからやってみてください。

ロードサイドでやっても効果がないとはっきり分かる事業に皆さんが取り組むのは、暗黙のうちに商店街を「物販機能プラスアルファ」と考えているからかも知れませんね。「街並みの魅力」、「ふれあい」などはまさか当てにしていないでしょうが、「暗黙」のうちに何かがあるとそれははっきり「甘え」ですからね。

よれよれになりましたが、
全盛期の商店街に立地していたお店は時代環境にピッタリ適合していたから繁盛することが出来ました。幸か不幸か、当時はお客も未熟、お店は勉強よりも「よい立地&よい仕入先」を確保することが大切、それで商売が出来たのです。当時は「商店街商業」こそ時代の花形だったのです。

今日、それが出来なくなったのは「時代が変わった」からですね。
「商店街商業、あんたの時代はよかった」とジュリーなら言うかも知れませんが、「あんたの時代」は終わったのであり、昔、時代に適応して商店街立地を作りあげてきた皆さん、あるいは皆さんの先代・先輩、時代が変われば商売の方法も変わるのが当たり前、あなた、今から創業するとしたら、今の業種業態で今の立地に出店しますか?

出店しませんよね、もちろん。
だとするならば、立地、お店の規模はそのまま、お店の中味は変えないと商売にならないのは当たり前でしょう。
これが「商店街商売からの脱却」が必要な、どこから見ても・全く当たり前の理由です。

●商店街商売の三頼主義

「三頼主義」とは、

1.品揃えは問屋に頼り
2.集客は店前通行量に頼り
3.商品管理は「売れ筋」に頼る
このうち、いま~これからも頼りに出来るものがありますか?

昔はこれでも立派な専門店として通用しましたが、時代が変わるととてもこういう商売は通用しない、ということですね。
今どきのお客さんは、皆さんのお店でのべつ買い物をしているうちにどんどん知識・経験が豊富になり、モノを見極める力がつき、自分の好みがはっきりしてきた、買い物行き先? どんなアイテムであれ、行き先の2店や3店なら「顧客名簿」に乗ってるわよ(W という人ばっかりですからね。

三頼主義、いくら工夫を凝らしても元が元ですから、絶対通用しません。
○○の時代は良かったなぁ、とぼやいても何の足しにもなりません。
三頼主義から脱却、ラグジュアリィ対応を目指し、試行錯誤を武器に未知の領域を踏み渡っていく、目指すは唯一、商店街商業革新の道です。

●成立条件

商店街商業は何故成立したか?

これははっきりしています。
1.時代背景:モノ不足からモノ普及~差別化というニーズに支えられた高度成長期
2.競合条件:マイカーが普及する以前、中心市街地に都市機能が集中しており、人々が離合集散する都市唯一の場所だった
3.理論・仮説に基づいて組み立てられた小売業が登場していなかった

つまり、中心商店街が都市の消費購買力のファイナルデスティネーションとして並ぶもののないポジションを占めていたわけです。

商店街が生まれ、発展した時期、お客=地域住民は、生活~ショッピングの経験が少なく、所得も相対的に低く、交通手段も限られてていたため、この時代の小売業は「売り手市場」でした。

小売業の好立地は「人が集まっているところ」であり、非商業系の集客施設の「門前」に商店が出店し、その成功が後続出店を呼ぶ、というパターンで「商店街」が自然発生~成長しました。

注意しなければならないのは、非商業系集客施設の集客力を当てにしたのは商店街が形成される初期段階、全盛期には自力で集客する力を持つようになっていました。つまり、商店街の全盛、まちは「物販機能」としての力で集客していたのであって、けして非物販集客施設の集客力に依存していたのではありません。

●成立条件の消滅

高度成長期以後の商店街は、「非・物販集客施設」の集客力ではなく、自分たちの「物販」という機能でお客を集めていました。
このことは、何らかの集客施設の「門前町」という立地にある商店街の場合も同じように当てはまります。全盛期、商店街は寄り合い所帯ながら自分たちの力でお客を「わざわざ」買い物のために呼び寄せていました。もちろん、当時、あなたのお店も一役買っていたわけです。

当時のお客の買い物行動は、「買い回り」と呼ばれ、商店街のなかを自分の条件に合う商品を探し回って買う、というパターンでした。
(もちろん、現在のお客は「買い回り」をすることはありません)
大きな商店街ほど品揃えが豊富、自分の条件に合う商品に巡り会う可能性が高い、ということでお客は「一番商店街」に集中しました。

このような条件は現在全く消滅しています。

●現代の「地域一番」商店街

ご承知のとおり、郊外のSCです。
我が国のSCは、量販百貨店が「核」、サブテナントは「たくさん売る力を持った店」ということでありまして、全体のコンセプトは「量販」です。

これは、もちろんかってのいわゆる「一番商店街」のいいとこ取り、全店、店前通行量頼みの露店型ショップ、お客からみたライフスタイル対応のデスティネーションなどは、ぜんぜん、全く無い、というのがその本性、これは全盛期の中心商店街まんまではありませんか(W

『中心市街地基本計画』のなかには、「郊外型SCと一戦交えてやる」と勢い込んでいるところもあるようで、これはとんでもない見当違い、機会があればおやめになるよう忠告したいものです。
中心市街地は、郊外型SCなどとの競合を意識しても、勝ち目はありません。
郊外のSC、中心市街地・商店街が目指すべき方向とは商売の構造が全く異なるものと考えるべきです。

「地域一番商店街」のまねはしない・・・・、つまり、商店街商売からは足を洗う、ということですね(W

●一見商売

一見(いちげん):はじめて対面したこと
一見客(いちげんきゃく):はじめてのお客

店前通行量をあてに商売を考えるということは、
①買い物ニーズをもって来街したお客に入店してもらい
②品揃えのなかからからデスティネーションを発見・買い上げてもらう
という商売になります。
商店街の全盛時代、とおりに人が溢れていた時代は、来街者のほとんどが「買い物目的」ですから、この人たちを店内に導入し商品をピックアップしてもらう、入店客は生活・買い物経験をそれほど積んでいない人たち、という構造でした。

つまり、街に来たお客を自店のお客にする、という営業のカタチ=一見客を主体にした商売だったわけです。はじめに店前通行量ありき、というのは、一見客を想定した商売=一見商売ですね。

店前通行量を対象にした商売は一見客相手の商売。
これは独特の商売でありまして、いってみれば縁日の露店の商売。
まあ、今日では郊外のショッピングセンターで部分的にのみ成立する「際物」商売です。

お客から見た「一見ショッピング」とはどのような購買行動でしょうか?

●一見商売の構造

店 舗:入りやすく・出やすい作り、店頭にワゴン、安さを強調して客足を止め入店を誘導、など

商 品:お客が「どこで買っても特に問題はない」と考えている商品、流行品を含む。

接 客:セミセルフ。セルフで選択、サイズその他の質疑くらい

サービス:特になし。

顧客管理:特になし。

その他:
※お客の源泉は店頭通行客。店頭でコンセプトを展開、入店を訴求することが勝負。

※基本的にお客は「一見」ということで、リピートにつながる仕組みはほとんど無い。あっても量販店の仕組みのパクリ程度。

※衣料品では「シュンのスタイルを低価格で」というニーズに対応

※上手にやるにはそれなりの工夫が必要。商店街の各店の現状は、もちろん、このレベルに達していない。

●デスティネーション

①決まった買い物行き先を持たない
②「ラグジュアリィ」・「こだわり」を持たない部門の商品・
③とりあえず、「人並みでいいや」という商品の購入

というところでしょう。

そうしますと、

①ついでにいろいろ買い物・用事が出来るといい
②価格は抑えめ
③時間と手間もとられたくない

などが課題になります。

他方、一見客=はじめてのお客でも、「一見商売」向きではないデスティネーションの場合は「一見商売店」では満足できません。

どういうデスティネーションかといえば

1.日頃は行きつけの店があるが今日は目先を変えて楽しみたい
2.今までのパターンから脱却、この分野の生活を堪能したい

ということです。
この場合、「一見客」は、特定のラグジュアリィショップの「潜在顧客」ですね。商店街(に立地する個店)再生の鍵は、このような一見客を「愛顧客」に変身させていく「店づくり」の実践です。
一見客でもこのデスティネーションの場合は、一見商売店では対応できません。

店頭通行量頼みで繁盛してきた商店街のお店の多くは、現在でも全盛時代の「店頭通行量」頼りの店づくりをしています。
ワゴンに安物、という店頭演出をしている店はちょっと極論すれば、すべて、「主観に関わらず」、「一見商売」をしているのだ、と言うことになります。

ところが、現代の一見客のニーズは、上で見たように相当絞り込まれていまして、商店街の皆さんの昔ながらのやり方は、ぜんぜん通用しないのです。
いまや「一見ニーズ」は、郊外のショッピングセンターが一手に引き受けておりまして、SCはこの客相があるおかげで成り立っている、といって過言ではありません。SCのサブテナントのほとんどは「露店型営業」です。

店頭にワゴンを出して年中セールっぽいことをしているお店は、ショッピングセンターに出店すると良いかも知れませんね。
もちろん、商店街立地でそういう演出をすることは、商売としては失敗するほかありません。

このあたり、しっかり確認してくださいね。

●単年度単発事業

こうして改めて考えてみますと、来街者数増大=店前通行量の増大を目的に取り組まれている商店街の単年度単発事業がもはやその効力を発揮できないことの本質的な理由がよく分かります。

このような施策に取り組んで効果が期待できるのは、現在進行形の「一見型商店街」=郊外型ショッピングセンターだけですね。
その理由、もはや説明の必要は無いでしょう。

商店街、そこに立地する各個店にとって、「街に来る人を増やす仕組み」づくりは、やればやるだけ徒労が増えるだけ、ということがよくお分かりいただいたことと思います。

商店街が人を集めればそれらの人たちがあなたのお店の買い物客に変身してくれる、ということが期待できる時代ではありません。第一に入店客の予備軍である「一見客相」が集まらない。
第二に、通行量の乏しいまちなかで「一見客」ねらいの店頭演出のお店、イベントで集客したお客がショッピング気分をそそられて思わず「衝動入店」してしまう、などということは有り得ない、ということです。

デスティネーションを作っていない個店、商店街は、単年度・単発事業に手を出してはならない、と言う理由が十分お分かりいただいたことと思います。
もちろん、単年度でなくても、単発でなくとも、デスティネーションが作られていない段階で集客事業(ハード&ソフト)に取り組むことは、デスティネーションづくりという肝心要の仕事をサボルことですから、「してはいけない」ことですね。

このこと、けして生半可な気持ちで受け取らないようにしてください。
デスティネーションづくりへの挑戦は、個店にとっても商業集積にとっても最重要課題、いかなる理由があろうとも、この課題をそっちのけで「集客事業」などに取り組むと、その分だけ確実に活性化が遅れることになります。

皆さんは、「モールへの転換をめざしますか?」それとも「不可能と分かっていながら、一発芸で商店街商売を続けようとするんですか?」と問いかけられているのでありまして、もちろん、答えは皆さん自身がお決めになればよろしいことですが、昔と違って行政やTMOなど街区外の関係者の思惑もありますからね、もちろん、内部と外部、どっちがどうということではありませんが・・・。

どっちがどうであろうとも、商店街再生を目指すからにはやるべきことははっきりしています。
とりあえずは、商店街商売の維持存続を目指す動きに対して「ちょっと待った!」といえるかどうか、でしょう。

商店街商売からの脱却、商店街及びそこに立地する個店が生き延びる・繁盛を再生する方向はこれしかありません。
(この稿は続きます)


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  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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