中心市街地活性化は経済活性化の緊急課題

 ということで、2002年のメルマガの記事です。

******** 引用スタート *********

No.33 2002/9/20 (Fri)

中心市街地の地価低落が止まらない。

 平成10年、『中心市街地活性化法』が制定され、行政課題として中心商店街の活性化がクローズアップされたときの問題意識のひとつは、まさにこの地価続落対策だと私などは理解した。各都市ごとに策定されている『中心市街地活性化基本計画』には「都市経営」原資生みだし戦略としての中心市街地-中心商店街活性化の「必要性」が明記されているはずである。(というか、「されていなければならない」!)

 都市経営原資のほとんどは交付金プラス地方税である。
地方税は住民税と固定資産税。ひも付きでないお金としてはこれだけしかない。行政が郊外SCを誘致しようと躍起になるのは、当該地域の地価を高騰させて固定資産税収入を増やすため。何のことはない、進出することで地価を高めて担保力を高めて次の出店を準備する、という大手小売業と似たような発想だった。

 このような手法、こと歳入アップ手法として見る限り高度成長期~バブル期にはOKだった。小売業やビジネス需要を主体に中心市街地もしっかりしており、地価は上がりっぱなしだったからである。

 バブル崩壊後、中心市街地の地価は全く下げ止まらない。これに引きずられる形で全面土地安。業績不振プラス資産価値の下落がいわゆる「不良債権」を発生させ、我が国の経済を奈落に向けて追い込んでいることは周知のところである。
「構造改革」は、不良債権を切り捨てて(つまり不良債権の集積である中心市街地を見捨てて)金融機関を身軽にさせて、新しい投資機会に注力させる-新しい経済成長のスタート、というシナリオだがそうは行くか(笑)。
 成熟社会とは、ものがあふれている社会、お家芸であるもの作りでは身過ぎ世過ぎが難しい世の中である。製造業は成熟社会を支える基盤ではあるが、まず陽の目を見ることはないだろう。生命活動の基礎である食料確保に直接関わる農業が工業化社会においてそうであったように、ポスト工業社会では工業製品は「あって当たり前」なのだ。ここは熾烈なコスト競争の戦場であり、うちのコストがどれだけになるかは、競争相手がどういうコスト構造でやっているか、ということで決定される。銀行融資なんかでは後れをとってしまう。

 GDPの6割以上を占める消費が伸びないことが経済低迷の根本要因である。低迷の経済原因としては、生活の将来に対する不安が消費を控えさせている、という観測が主流であるが、今年のゴールデンウイークの海外渡航者は史上最高、消費マインドが冷えているわけではない。

 消費が伸びないのは、「新しいアリフスタイルの提案」がほとんど行われていないところに原因がある。誰もこれまでどおりの生活にこれまで以上にお金をかけたいと思っている人はいない。むしろそこにはなるべくお金をかけずにすませ、もっと自分らしい、自分が価値を認める分野にお金とエネルギーを廻したい。
 幸いなことに、生活必需品については飽和状態の中で価格競争が進み、低価格で入手することが可能になっている。もちろんこれは一方では輸入代替や消費財メーカーの国内脱出など、製造業の事業機会を蚕食するものである。しかし、考え方によっては、それらの既存分野は海外に任せ、新しい事業開会があればそちらに対応応する、否応なく対応せざるを得ない、というピンチ=チャンスに遭遇している、と考えることも可能である。そして、このチャンスは、中心商店街を顧客向け窓口とする、新しい製・流・販の再構築がなければ確保することが出来ない、「ラグジュアリィニーズ対応」という課題にある。

 このチャンスについては、一度で論じられない。これからしばらく考えていきたい。
結論をキーワード風に言っておくと、これからの我が国経済活性化は、「ライフスタイルの革新」を目指すところから実現される。もはや製造過程の革新や新製品の導入などで経済が上向くことは難しい。
 成熟社会の新しいライフスタイルを提案・支援する産業、「ラグジュアリィ&時間堪能」ニーズに対応する産業がどんどん生まれてこなければならない。これは付加価値というより価値創造だから収益性が高い。大企業よりも小回りの利く中小企業向けのビジネスチャンスである。もちろん小資本でスタート可能だから新規起業も発生する。前向きの資金需要も発生する。

 このような「ラグジュアリィ提案」を提供する場として中心商店街の再生が緊急の課題である。郊外のSCは、このような革新的消費産業の担い手にはなり得ないことは既に既刊号で論じているとおり。中心商店街が「ショッピングモール」に生まれ変わることでこの事業機会を獲得するシナリオについて、詳しくはクオールエイド社のHPをご参照いただきたい。http://www.quolaid.com/

 中心市街地が活性化する=産業立地として脚光を浴びる、ということが実現すれば、業績不振や後継者難などで空洞化している商店街への事業用地需要が高まって来る中心市街地に所在する不良債権は好転するし、新しい資金需要も発生する。
中心商店街における消費需要の拡大は、中小企業を中心とする消費財産業の設備投資へと波及していく。かくて、我が国経済はラグジュアリィレベルに到達している個人消費に対応することで、新しい成長へのステージに立つことが出来ることになる。

 中心市街地活性化=中心商店街活性化は、だめな商店街を救済しよう、ということでは絶対にないのである。中心商店街の活性化は、 ①我が国の消費財産業の活性化、②中心市街地を中心とした不動産の資産価値の再確保、③設備投資にたいする資金需要の再興など、混迷する我が国経済再構築、起死回生の戦略なのである。
また、④財政難に苦吟する地方都市再生に向けた都市経営原資の確保 という点からも必ず実現しなければならない、最重要経済課題なのである。

 「ものが売れなければ商店街ではない」という言葉があるが、同じ論法で「作ったものが売れなければ製造業ではない」、「お金の借り手がなければ銀行ではない」ということも言えるだろう。この段階に至った成熟社会において「ものを売る」ためには、ライフスタイル革新という半潜在的なニーズへのチャレンジが必要である。

 「中心商店街活性化」が組合や会議所の仕事ではなく、行政自ら取り組まなければならなくなった背景には、日本経済及び都市経営上の大きな問題がある、ということは明白である。しかしながら、このような側面からの問題把握は私どもが見た限りでほとんどの都市で行われていない。
 私が腰の重い商店主を「脅してもすかしてでも」活性化に取り組まなければならない、と主張しているのは中心商店街の活性化が上記2つの我が国経済の課題の解決に不可欠だということを踏まえているのである。

 商店街に繁盛店が続出する-空き店舗に出店が相次ぐ-空き地に店舗が建つ、という、良いことづくめスパイラルに大きく転換する舵きりが必要である。
中心市街地活性化=中心商店街活性化は、現在、我が国が直面している諸々の問題が凝縮、現れている商店街を新しいライフスタイルを堪能するために不可欠な商業機能へと再生させることによって解決する、という戦略課題なのである。

********* 引用終わり **********

 2002年、この記事が書かれた当時、ラグジュアリィに進路をとっていれば、失われたもうひとつの十年はなかったわけです。
今日に至っていろいろと見方はあると思いますが、わが国経済の成長シナリオはラグジュアリィ路線一筋、他には無い、というのが今も変わらぬ当サイトの見立です。

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