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中心市街地活性化・3つの潮流

 中心市街地活性化、法律が施行されてからすでに7年が経過しましたが、なかなか活性化に成功した、という話が聞こえません。昨秋は総務省から「中心市街地はなぜ活性化できないか」、これまでの取り組み方について厳しい総括が出されるなど、これまでとは異なる趣向の取り組みが必要になっていることが誰の目にも明らかになっています。
 「まちづくり三法」の見直しも始まっており、その方向には大いに関心を持っています。いずれにしても、中心市街地、特にそこに立地する商店街については、自力で新しい「商業機能」として再生する以外に活性化することはできません。
商店街は、「ものが売れてなんぼ」、その盛衰を決めるのはもっぱらお客であり、お客の支持を得ることが出来る店づくり・まちづくりが出来るか否かに掛かっているのでありまして、商店街を法律などで保護することはとうてい出来ない相談です。

ということで、商店街は全盛期とは打って変わった環境のなかで新しい繁盛を再構築したかったら、街を「買い物の場」として再構築する以外に方法はありません。最近の商店街活性化の取り組みはどうなっているか、概観してみましょう。

 商店街活性化の取り組みは大きく3つの潮流に区分することができそうです。

その1 にぎわいづくり~店前通行量アップ~人口アップねらい
その2 「魅力ある個店づくり」:一店一品,単品の魅力でお客を集めて・・・・
その3 商業集積としての魅力づくり~ショッピングモールとしての再構築

それぞれの取り組みについて、思考実験を加えて検討します。


●その1 にぎわいづくり~店前通行量アップ~人口アップねらい

 最近ではご存じ、「コンパクトシティ」論の流行と相まってとみにもてはやされている潮流です。「活性化への取り組みには目標数値を掲げなければならない」「目標数値は来街者数の増加が適切だ」という、ちょっと考えると「なるほど」、しかしよく考えてみると「なにそれ」という話ですが、「コンパクトシティ」と相まってにわかに勢いづいている考えです。
勢いづいていますが、中身は、商店街の「古きよき時代を忘れられない」皆さんの主張と変わるところはありませんで、一言でいえば「人が多ければものが売れる」という恐るべき迷信に基づく主張。

○支持するのは商店街の「夢よもう一度」派の皆さん
 面白いことに、この考えが地域で受け入れられる条件としては、「遅れた商店主」の存在が不可欠です。すなわち、「人が増えれば商売のチャンスが生まれる」という単純素朴な考え方が通用するという基盤があってはじめて「人通り・人口が多ければものが売れる/居住者は根・来街者は茎・そして商業は街の花、人口が増えれば商業は活性化する」といったたとえ話が評価されるわけです。
 ただし、この評価は「遅れた」考えに基づいており、増えた人口/人通りと郊外型商業集積との関係、言い換えれば活性化を目指す中心市街地商業と郊外型商業との関係などについては全く検討されていない、あたかも郊外のショッピングセンターなどははなから存在していないかのような物の言い方/考え方です。
 このようなとても理論とか提唱とか呼ぶこともはばかられるような主張プラス商店街の「昔は人通りが多くて繁盛した・夢よもう一度」という支持者という勢力で「中心市街地活性化」の方向と方法が決定=合意形成されると、とんでもない結果に至ることが予測されます。

○「人が多くなれば街は活性化する」
 懐古趣味商業者と「商業に関する理解」に乏しい指導者の二人三脚があってはじめて選択される「方向と方法」ですが、もちろん、活性化が実現する可能性は万に一つもありません。以下、簡単に検討してみましょう。

 結局のところ、「とおりを歩く頭数を増やせば商店街は活性化する」、「活性化のためには居住者・来街者を増やせばよい」というのがこの潮流の主張ですが、この主張は、
①地域商業を取り巻く環境が大きく変化、従来型の商業機能が空洞化している中で、
②中心市街地立地の商業機能を再生・活性化する、という課題への取り組みにおいて、
③商業者の「環境変化への対応努力」の有無に関わりなく活性化を実現することを目指す
という中心市街地活性化の「方向と方法」を意味しています。

 買い物行き先があり余っている今日、果たしてこういう発想で活性化を実現できるものかどうか?
中心市街地に住んでいる人&これから住む人たち、どうして空洞化著しい中心市街地で買い物をしなければ行けないのか? みんな、今まで通り郊外のショッピングセンターに行くに決まっています。
普通のアタマを持っていれば、人が増えれば商店街が活性化する、などということはけしてあり得ない、ということが分かるはず。

 この路線を主張/採用している人たちは、
①中心市街地は空洞化しているが、それは環境が変わったからでも、買い物行き先が増えたからでも無い。
②空洞化は人通りがへったから、人通りを増やせばまた繁盛するようになる。
という、二つのことを前提にしている訳です。

 問題は、この路線を採用している人たちが、
①この路線を「活性化の方向と方法」として主張するには、上記の①及び②を論証しなければならない ということが分かっているか?
②分かっているとしたら。
 どうして論証作業を行わないのか? (特に専門家及び素人を自称しながらこの主張を売り歩いている人たち)
③分かっていない人たちは、
 人が増えるまでの間、どうやって暮らしを立てていくのか?
昔はよかった=人通りが多かったから、という誤った思い出から抜け出せない商店街のみなさん。

 ということで、この路線は提唱者から商店街のみなさんまで、たぶん、自分でもちょっと考えてみると、「どうしてこういうことを言ったり、信じたりしているのか」訳の分からないことを考え・信じて動いていらっしゃるのではないか?
 
○あの手この手
 「人が増えればものが売れる」と信じていますから自動的に、
 ・景観を整備すれば人が増える
 ・マンションを建てれば人が増える
 ・学校を誘致すれば人が増える
 ・イベントをすれば人が増える とゆ~ことになり、そ~ゆ~ことに取り組みたがる。
 こ~ゆ~ことを主張する人はすべて、「商業」、「小売業」が果たしている社会的役割が分かっていない、ということを自白しているに等しい。

 ・景観を整備すれば・人が増えてものが売れるか?
 ・マンションを建て・人が増えるとものが売れるか?
 ・学校を誘致して・人が増えるとものが売れるか?
 ・イベントをやって・人が増えるとものが売れるか?
と胸に手を当てて考えてみるとよい。
どういう商品が、どういう店で、なぜ売れるようになるといえるのか・・・?
周りにあるのは「活性化」が必要なショボい店ばかりのはずだが・・・

 あの手この手の集人・集客、いくらやっても中心市街地活性化を実現することはできません。分かり切ったことですね。
他の立場の人はいざ知らず、「在庫が回転してなんぼ」の商店主が今どき、こういう話にころりと騙されるようでは活性化の実現は夢のまた夢に終わります。
現実に自ら望んでそういう運命に陥ってしまっている商店街もけして少なくありません。その一端はクオールエイド社のサイトで紹介しています。


●その2 一店一品~単品の魅力でお客を集めて・・・・
 平凡な品揃えを買ってもらいたいという、いわば「羊頭狗肉の法」

 商店街の魅力は詰まるところ「魅力ある個店の存在だ」ということで、魅力ある個店を作るには=一店一品運動による魅力作りだ、という大昔に流行った手法に先祖帰りする話。

 考えてみましょう。そもそも「中心市街地活性化」という集積ぐるみの活性化への取り組みが提起されたのは、従来の「点や線単位の取り組みでは活性化が難しくなっている」という認識に基づいてのことです。
 とするなら、「中心市街地活性化」の取り組みは、従来の点(再開発ビル)や線(商店街)単位の取り組みを超えたものでなければならない。(そうしないと活性化はできない、というのが『中心市街地活性化法』制定の趣旨です)

 では、一店一品って「点や線での取り組みを超える」内容を持っているか?ということが評価のキモになりますが、ひとまずそのことは措きまして、「一店一品運動」の中身を考えてみるところからスタートしましょう。

○一店一品のバリエーションは、
 ①一品の良さ・魅力で来店を訴求、来店したお客に品揃えを買ってもらう
 ②一点を売り込むことを通じて、「マーケティング」の重要性を再確認、「意識改革」をして店づくりに取り組む契機にする
 ③各店から一点を集めて新しい販路を作る
などがあるようです。

①について。
 これは「できない相談」といわなければならない。
 これまで、品揃えがミスマッチのため遠ざかっていたお客が、品揃えから抽出した・これまでアピールが不足していた「一品」の魅力で来店し、一品を購入したとしましょう。そのついでに「他品」を購入する、という購買行動が期待出来るでしょうか?出来ませんね。もし、他品も売れる、ということなら「品揃えはOK」だったということであり、問題は宣伝・告知にあったのだ、ということになり、「効果的な宣伝広告」が課題だった、一点一品は品揃えをアピールする手段でしかなかった、ということになります。 
 一店一品運動に取り組むレベルのお店の品揃えが戦でさえすれば売れるようになる、ということは考えられませんから、①の可能性は限りなく低い。

②について。
 品揃えから一品を選択、工夫を凝らしてこれを「売れ筋」に仕立てることで、商品がよければ売れる」ことをあらためて体験、店づくりの改革に取り組む契機にする、という段取り。ありそうな話ですが、成功させるのはなかなか難しいと思います。
そんなことがもし出来るのなら、一品、また一品と時間をかけずにさっさと全体の改革にはじめから取りかかれるはず。

③について
 当初の目的であった「魅力ある個店づくり」を逸脱、話がとんでもない方向にぶっ飛んでしまっています。状況の進展に伴い方針が変わる、初志はどこへやら状況次第でどんどん目的・目標が変わっていく、やってはいけない取り組みの典型です。

 ということで、一品を集めて売って何がどうなるというのか?
その結果、参加した各店の店づくりはどうなるのか?
と考えれば、あまりにも当初の志とはかけ離れてしまった方向です。

○ご注意
 この路線は、これまでハード/ソフトの事業にまじめに取り組んできたところが最終的に陥りやすい陥穽です。
 いろいろやってきたが、活性化に近づけない。
原点に戻って「魅力ある個店づくりだ」「売れる店づくりだ」と言うことで、ここまではいいのですが、「作り方」が分からない。
そこで記憶の底からいつかどこかで聞いた「一店一品」を思い出し、子細の検討もしないまま採用してしまう・・・。

○問題点が二つあります。

その1 一点販促の彼方に「繁盛するの図」を描けるのか?
    一点が売れる、二点目が売れる、三、四・・・というように既存在庫に候補があるものでしょうか?
    拡大しないとすれば、新たな商品を導入することになるが新商品選定の基準は何でしょう?

その2 一点一品で来店したお客が商店街を回遊、他店のお客になる、というシナリオはどう描くのか?

 如何ですか? 結構な問題でしょ?
この二つの問題にはきちんと答えを出しておくことが必要です。
    
○羊頭狗肉・その手法
 一店一品運動に参加する店舗は、
 ①業績低迷中
 ②抜本的な改革が必要 という状況にあるわけですが、
 商店街全盛時代~現時点の状況の変化を考えれば、
 ①環境変化の理解
 ②環境条件の理解
 ③隣地環境の把握 
などをきちんと行った上で、現在の立地/規模/陣容で成立する業容を構想する、という作業が不可欠です。そのためには、なにはさておき、「作業に必要な理論・技術を装備する」ということが大前提になります。その結果として「何をどうすべきか」と言うことがわかる。

 ところが「一店一品」の場合は、
 ①立地、店舗規模、業容は現状のまま
 ②個店を取り巻く環境変化の把握、技術の修得などは省略
 ③既存店内在庫から「一品」を抽出
 ④販促をかけることで集客
 ⑤一品を二品、三品・・・と拡大していく
という、勉強無し、転換無しのお手軽路線ですからね。
 これで活性化・繁盛が実現できるのならホンットに言うことなし、当社もさっそく乗り移りたいところです。が、しかし。
 ①「一品」はほんとうに集客ツールとして役に立つのか?
 ②二品、三品と拡大していく候補アイテムが店内にあるのか?
 という疑問が起こる。

 ①について。
  一品とは:A・当店だけが取り扱っている商品 &or お客の支持を他に優先して得られるであろう商品、ということでしょうが、果たして当店にだけしか在庫がない商品でお客の支持を優先的に得られるというおあつらえ向きのアイテムが存在するだろうか? という疑問が生じますね。
 さらにそういうぴったりの商品があったとして、

 ②について
   一品に続く商品が店内在庫から発見することができるか? という疑問が生じる。もしあるとすれば、どうして最初からそうした「商品群」を一括してアピールしないのか? という疑問が起こる。
  もし二品、三品目の候補が無かったとしたら、新しく仕入れ・集荷することになるが、それならば、どうして最初から「一品を中心にした品揃えの改革」に取り組まないのか? という疑問が湧きます。

 もちろん、これらの仕事に取り組むには「店づくりの転換」に必要な知識・技術の修得という段階を踏むことが必要であり、一品から入って勉強抜きで「転換」に取り組むことはできません。
どこかの段階で必ず「勉強」をしなければならない。
「一店一品」にこだわるかぎり、「一品」という羊頭を掲げて従来通りの在庫という狗肉を売ろうとすることになりますが、店あまり/もの余りの今日、狗肉が売れるはずがありません。

○魅力ある個店づくり
 中心市街地活性化、多くの都市で既存の基本計画以下のスキームでは実現できないことが明らかになって来ました。取り組みを続けている間も街の空洞化は確実に進展しています。
 これではならじ、初心に帰って、ということで。
やはり個店が大事だ、個店が活性化しないと街の活性化はあり得ない、という「半分だけ正しい」総括を行い、「これからは個店の活性化だ」ということですね。
問題が二つあります。

 第一に、これまでの取り組みをどう総括するのか?
これまでの取り組みは「ダメだった」ということで済むでしょうか?

 これまでの取り組みかの教訓は何か?
その教訓は新しい(?)「魅力ある個店づくり」という方向を選択するにあたって、どのような役割を果たしたか?
今度こそ間違うことはない方向だ、と胸を張れる根拠があるか?
などなど、考えてみるべきことがいろいろあります。
もし、こういうことを考える手間暇を惜しんで選んだ「魅力ある個店づくり」だとすれば、またもや「こんなはずではなかった」ということになりかねません。

 第二に、個店の活性化のシナリオをどう描くのか?
「魅力ある個店」どういう手法で進めていくのか?
なぜそその方法を採用するのか?
ということはしっかり詰めておかないと、「個店レベル」の取り組みの場合、「取り組んでみたがダメだった」では済みません。

 第三に、取り組みをどう拡大していくか?
スタート時点から街ぐるみで取り組むというのはなかなか困難でしょうが、それでも取り組みは拡大していかないと中心市街地活性化にはつながりません。
個店から街全体へ、繁盛を拡げていくシナリオが必要です。


●潮流その3 正真正銘・活性化への道
 商業集積としての魅力づくり~ショッピングモールとしての再構築

 クオールエイド社が提唱している方向です。
 ①中心市街地所在の商業機能の再生を
 ②まず第一に既存個店の繁盛再現を柱に取り組み
 ③平行してその他の事業に取り組む
ことによって実現しようとするものです。

既述の2つの路線と異なるところは、
①既存個店の取り組みがきわめて重要である
②やればやっただけの効果がある
ということです。

①については説明する必要はないと思います。
②について。
 つまり、この路線を採用し実践に参加した個々の店舗は、「業容転換」に取り組むことによって、自店の繁盛を実現できる可能性が高い、ということです。

 事業に取り組む個店にとってこのことはきわめて重要です。
うちは一所懸命取り組んだが、よそがサボったために活性化できなかった、骨折り損おくたびれ儲け立った」ということがありません。「人出作り」や「一店一品」と大きく異なるところ。
 この路線については、クオールエイド社のサイトに詳しく展開しておりますのでご面倒ながらそちらを参照してください。

※このところ、中心市街地関係の記事が続きました。明日は趣向を変えて「企業にとって戦略とは何か?」お楽しみに。

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プロフィール

進化する売場研究会

  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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