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商店街とイベント

もの余り、という商業を取り巻く状況については、このたびの「商人塾全国サミット」(*)においても基調認識となっており、すでに定着しています。

(* 「商人塾全国サミット」:去る9月29~30日、商人塾発祥の地といわれる大分市で開催された。内容については後日アップします。)

では「環境適応業」と言われる小売業において、「もの余り」への対応はどのように考えられているか?
と考えてみますと、あっと驚く、これが、全然・全く・無いのであります。

消費ニーズは多様化し・個性化している、十人十色から一人十色へ、などといわれるだけ、では多様化し、個性化し、一人十色化しているニーズにどう対応するのかということになるとほとんど答えは提案されていませんね。(ただし、当サイトをのぞく(笑 )
皆さん、「もの余り時代」というキャッチコピーにはくれぐれもご注意。もう一度しっかり中身を詰めなおさないと、「こんなはずじゃなかった」的結末を迎えることになりますからね。

なかには、もの余り時代だ、もの売りでお客を集めることはできない、イベントで集めよう などという素っ頓狂な意見が出てきたりする。

あるいは、エラソーに、「商売ばかり考えるのではなく、市民の皆さんと一緒にまちづくりに取り組む中から活路を見いだそう」などという、単純思考の私などにはとても理解できない立派な意見も出てきたりする。

ということで。
もの余り時代の集客戦術・イベントについてもう一度考えてみたいと思います。思いっきり否定的に書きますので、「物言わぬは腹膨るるわざなり」、反論、悪口、何でもどうぞ。


○イベント再考

イベント、英英辞典を引いてみますと、「起こることが待ち望まれている出来事」とあります。
(ちなみに、外来用語について、暇な人は英英辞典でチェックされることを推奨します。もともとの意味を知ると、意外と「知恵のもと」になったりします。国語辞典との差異なども分かって面白い。お勧めです)

イベントが起きることを望んでいるのは誰か? 
もちろん、イベントに出かけてくる人ですね。
イベントの元来の意味は、「(ある人たちにとって)わざわざ出かけて楽しむ・日頃は体験できない出来事」ということです。
二つの要因が含まれており、
①わざわざ出かけて楽しむ
②日頃は体験できない
という性格を併せ持っているのがイベントです。あらためてこうして分析してみますと、ほとんど私たちが使っているニュアンスであり、異存のある人は少ないと思います。

商店街のイベントといえば、これはもう、伝統的に「売り出し」ですね。
お祭り、期末、シーズンオフなどなど、機会を捉えては「大売り出し」「在庫一掃・棚ざらえ」、「せいもん払い」などなど、物売りをイベントに仕立てて提供してきました。

その昔、イベントを提供されるお客にとって、商店街が提供する「大売り出し」は、
①わざわざ出かけて楽しむ
②日頃は体験できない
ことでしたから、近郊近在に住む人たちから圧倒的な支持を受け、人出最高・売り上げ最高、という成果をもたらしました。
今は昔のお話です。

つまり、プレ・もの余り、家庭にも個人にも欲しくてたまらないものがいくらでもあった時代、「もの不足時代」には、
①日頃欲しくてたまらないが価格的に二の足を踏んでしまう商品が
②3割引、5割引で提供される売り出しは、
わざわざ出かけて楽しむ・日頃は体験できないイベントだったわけです。

皆さんがきれいさっぱりお忘れになっているのは、イベント全盛時代、イベントにあわせて売り出しをやればドンドンものが売れた、昔はイベントの威力はすごかった、と考えている人があるようですが、これは間違い。
昔、イベントとは「抽選付き大売り出し」の抽選ではなく、売り出しのほうでした。抽選などは二の次、お目当ては3割引・5割引場合によってはそれ以上の割引でものが買える、ということでした。

したがって、
ものが普及し、「差別化」がアピールされるになり、果ては「もの余り」と時代環境が変わって来るにつれて、「イベント」の威力が衰えてきました。
皆さんは、抽選の景品をより豪華に、あるいはよりたくさんの当選者を、などなど目先を変えて来ましたが、誰も気がつきませんでしたが、ここでイベントの内容が大きく変わってしまいました。
従来のイベント=「ものを手に入れる=買い物」のレベルは相変わらずの状態、すなわち、もの余り、飽和状態のお客に、見放された商品を買ってもらうための「仕掛け」として「物売りではないイベント」が考えられることになりました。
すなわち、「ものを売るイベントに人が集まる」から「イベントで集客してものを売る」という逆転が生じたのです。

すなわち、もの離れ状態のお客にものをを買わせることを目的にイベント、すなわち、「わざわざ出かけて楽しむ・日頃は体
験できない」催しを仕掛ける、というように変化したわけです。
これが物販機能集積としての全盛期を過ぎた商店街のイベント、すなわち、現在取り組まれている商店街のイベントです。


○イベントの類型

 現在行われている商店街のイベントは、大別すると
①従来型の景品付き大売り出しに代表される「夢よもう一度」型。
 先にも書いたように、かっての売り出しは商品目当てだったことをすっかり忘れ、昔の売り出しが成功したのは「抽選」プラス割引セールだったから、と勘違い、今でもそれが通用すると思っている。あるいは通用するとかしないとか考える前に今までやってきたから今度もやろう、という省思考・省努力の成果です。
あのですね、当時、割引でものが売れたのは、「定価でも買いたい商品が安くなっている」、「定価だと手が出ない商品が安くなっている」ということが「イベント」そのものだった、ということですからね。
現在は、定価で売れないお店が割り引きセールをしてもお客を呼ぶことはできない、というシビアな時代、割引セールが威力を発揮するのは「定価でもどんど売れる商品が割り引きセールにかけられたとき」に限るのです。
 ここに、もの不足時代ともの余り時代の大きな相違が現れている、と考えなければならない。

②もの余り時代、もの(物販)では集客できない、(物販以外の)魅力的なイベントを提案し、イベント目当てで集まったお客に買い物してもらおうという「エビで鯛を釣ろう」型。
 (ある人たちにとって)魅力的なイベントを企画すれば、人は集めることができます。ただし、忘れてはいけないのは、イベントの中身です。
イベントは、それ自体が「わざわざ出かけて楽しむ・日頃は体験できない」出来事ですから、この出来事にあわせて集まった人たちは、イベントを楽しむことを目的に来街した人たちです。
つまり、来街した人の多くは、イベントを楽しむために来たのであり、買い物をするために来たのではありません。
ここに大きな問題がありまして。
イベントを仕掛ける側の思惑は、買う気のない通行客(つまりイベント目当ての来街者)に、まちなかのお店に入店してもらい、買い物をしてもらう、ことにあちます。いうまでもなく。
これは「衝動買い」つまり、街に来るときは買うつもりが無かったのに、ショーウインドを見たら思わず入店したくなり、中の商品を見たら思わず買ってしまった、ということが起こることを意図している訳ですね。
 お客は「もの余り」「もの離れ」している、という認識を持ちながら、「もの離れ」イベントで集めたお客に「衝動買い」を訴求する、ということですが、これは大変難しい。どれくらい難しいかというと、とても皆さんの手には負えないくらい難しい。(笑

③「まちづくり」の一環を担う商店街主催のイベント、について
 「もの離れ」時代を反映しつつ、「商売が先に立つのではなく・利害は度外視して」「市民と協力して」まちづくりの一環としてのイベントに取り組む、という「純正イベント型」。
大変結構なことですが、つっこみどころ満載(笑
第一に、「物販」を甘く見ていませんか? ということ。もの余り、もの離れ時代の物販機能の重要性は、たぶんもの不足時代に優るとも劣らないものがありまして、もの離れ時代にものが売れないということは、すなわち、社会経済の構造に赤信号がともる、ということを意味します。
このあたり、詳しくは当サイト内で「時間堪能型社会」を検索してください。
結論だけ書きますと、もの離れ時代にものを売ると言うことは、ものが作り出す意味を売ること、ものを生活を堪能するための演出財として提案するということ、つまり、ものを買うことが新しい「イベント」になりうる時代、これが今という時代なのです。

商業者にとって絶好の機会を迎えていながら、そのことに気がつかないばかりか、商売抜きのイベントに邁進、その結果、イベントは賑わうがお店は空っぽ、という皮肉な情景が起こっている。お客は非・物販のイベントになぜ集まるのか?それはもちろん、イベントがイベントであるから、「時間堪能」の機会を提供しているから、ですね。ここに新しいビジネスチャンスが眼前しているではありませんか。
ここを見逃してもの離れ対応イベントを主催、にぎわいを作って何がどうなる?(笑
 
 純正イベントを企画し、寝食を忘れて没頭して成功させる。内外からの評価は高く生き甲斐、やりがいを感じ高揚した数日を過ごすことができる・・・。
なるほど、一日、二日はそれでOKとしましょう。ではそれ以外の360日はどうするんですか? イベント以外の「恒常業務」である「物売り」がちゃんと機能してはじめて「」
皆さんがになっている肝心の「商業機能」はしっかり機能させる自信がありますか?
「商売が先に立つのではなく」「利害は度外視する」というのはまさか「逃げ」ではないでしょうね。


○まとめ

 ということで、まずは事業機会=このことを通じて社会の機能を分担し、事業の目的を達成しようとしている「物販機能」の現在~将来のあり方を構想し、自店・商店街の取り組みとしてその実現に取り組む仕事をそっちのけで「まちづくり」にいそしむ、などとはちゃんちゃらおかしい、と思うものであります。まあ、イベントに邁進している間に肝心の商業機能の空洞化などが進展しないよう、たまには軒を連ねるお店の外観・業容にも目配りを、と期待するものです。

店外の動きで「売り上げはついてくる」などというのは真っ赤なウソでありまして、
売り上げは「作らなければならない」し、作るのは主として「店づくり」、「業容転換」の取り組みであり、この孤独な取り組みによる以外に売り上げを確保していく方法は無いのだ、ということをあらためて商店街レベルで確認することが必要です。

 もの不足時代ともの余り時代、イベント一つ取り上げてもその効能効果に大きな違いがある、ということを考えてみました。ことはイベントだけではありません。
これまで、何となく「小売業の原理・原則」と言われ、考え、信じてきたことどもがすべて、「もの不足時代」限定の原理・原則だったということ、もの余り・もの離れといわれる現在の「原理・原則」は確立どころか、その片鱗も見いだされていないなかで、自分たちが仮説試行による「店づくり」として実現していく以外に方法はないのだ、ということをあらためて確認してください。

なお、「イベントによる街おこし」成功事例の視察などに行かれる場合には、是非、
①所期の目的の達成と平行して
②当記事の主張の可否についても検証してください。

イベントに限らず、今後の商店街活動のあり方、自店のあり方を考える上で得られることが少なくないと考えるものです。

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  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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