通行量という迷妄

※迷妄(めいもう)物事の道理に暗く、考えが誤っていること。(岩波国語辞典ver3)

 商店街の年中行事の一つに「通行量調査」があります。
調査の目的は、
①商店街を取り巻く環境の変化によって
②商店街への来店者数が変化していることを
③確認する
というところにあります。

①商店街以外にSCなどの商業施設が進出した
②商店街の各個店の顧客がそちらに吸引されている
③その結果、街に買い物に来る人が減っており、通りの通行量も減っている
という仮説のもと、環境変化の前後における通行量の変化を調査するわけですが、さて、この調査で出た結果をもとに何らかの対策が講じられるかといえば、“そんなことはない”というのが通り相場です。調査が終わり報告書が作られますが、書かれていることは“影響が明らかであり、適切な対応策が必要である”ということだけ。これが結論でありまして、これにて「対策事業」は一件落着、というのが毎年飽きることなく繰り返される通行量調査の実態。

 もともと、調査の目的は、
①商店街以外へ買い物客が吸引されていることを確認し、
②対応策を考え、実行するための「合意形成」を図る
ところにあります。
 通行量の減少=商店街以外の商業施設へと「買い物行き先」を変える人が多くなっている、ということですから大至急対策を講じなければならない。商店街の通行量減=商店街ぐるみでの客数・売り上げ減を確認して“街ぐるみでの対策を講じる”ためのきっかけ、というのが通行量調査の意義ですね。

 ところが実際の調査では、
①通行量の減少=大型店などの影響を確認する
という第一段階はいいのですが、その次=対応策を考え、実行する、という本来の仕事に向かわずに、「一件落着」となっているところが多い。言うまでもなく、百回通行量調査をかさねても“商店街の現状を改善するためには何に取り組むべきか”というもともとの問題の解決策は出てきませんからね。
 
 通行量調査などしなくても、SCの賑わいぶりを見れば商店街への影響は明らか、問題は“なぜ商店街のお客はSCに行くようになったか?”ということを考え、“お客にこちらを向かせるには何を為すべきか”と自問、解決策を考え・実行していかなければならない。通行量調査はこの作業の一環として「問題情況把握」を共有するために行われるものであって、それ以上でも以下でもありません。調査に先行して「やるべきこと」が決まっているのが商店街の通行量調査の特徴です。

 ところが、商店街が直面している課題が理解されていない(本当の問題は、SCの登場により商店街の「買い物行き先」としての魅力が陳腐化したこと)という、本来あってはならないレベルの問題意識のもとで行われる調査からは、

①SCが登場した結果、通行量が減ってしまっている
②通行量を増やすにどうしたらよいか?
というとんでもない・倒錯した方向に話が曲がっていきます。
これが、今日世間を騒がせている「通行量を増やす」という取り組みの原型です。

 新商業施設の登場によるお客の商店街離れ~その結果としての通行量の減少 という因果関係を無視して、通行量が減ったから客数・売り上げが減少した、もとに戻すには通行量を増やさなければならない。
という本末転倒が生じると、以後の取り組みは“通行量を増やすには”という問題意識に即して、「あの手この手」が考えられます。
“住む人・来る人を増やせばよい”ということで、マンション建設、病院誘致、コミュニティ施設の整備、交通手段の改善などなど・・・。

 近年の流行は、「商業事情」を無視した“商店街の活性化は通行量増加から”という通行量一本槍の横行です
 言われてみれば、商店街全盛の時代、自店も繁盛していた当時、確かに通りには人があふれておりました。繰り出す販促手法も大当たりしたものです。当時を思い出して“そうだ、通行量さえ増えればうちの店だって打つ手はいくらでもある”ということで、「通行量増加」が商店街の共通目標になります。

 悪いことに。
こんな商業者の繰り言を聞いた評論家さんが、“通行量が多い=活性化されている街”などとおべんちゃらを言い、そのあげく“商業はまちの花、活性化するためには住む人来る人を増やせ”などと言い出し、
これを聞いた
①商店街の長老:過去の店前の賑わいを思い出し、
“そうだそうだ”
②往時の商店街の景況を知らない若手:高名な指導者が言うのだから間違いないだろうと、「自分のアタマで考える」プロセス抜きで
“そうだそうだ”
ということで、
商店街の活性化は通行量の増加で実現する
という蒙昧がはびこることになったわけです。

全国一律、どこの街でも同じ方向を向いたわけですから、ことさらどっかの街が飛び抜けて ? だったわけではありません。

“住む人・来る人が減ったから商店街が空洞化した、活性化するには住む人来る人を増やさなければならない”という本末転倒、理屈などとはとても呼べない理屈をもって「住む人来る人の増加」を目指しているわけですが、商店街が空洞化したのは、“周辺に住む人来る人が減った”からではありません。

 いくら人々が郊外に移住しようが、勤め先が郊外に変わろうが、これまで同様「買い物行き先」が商店街以外になかったとしたらどうか?
はるばる、商店街まで買い物に来るはずですね。
考えてみれば、SCが郊外に登場したとたん、商店街に住んでいる人たちも一斉にSCに買い物に行くようになったのであhなかったか?

商店街に買い物に来る人が減ったのは、お客の行動範囲内に“商店街よりも魅力のある(と、お客が評価する)商業施設が登場したから”というのが実際に起こっていることです。
それを勘違いして“人通りが減ったからお客が減った”として「通行量を増やす算段」に走ったことが長期に渡る不毛な道への第一歩でした。

繰り返しておきますと。
「商店街活性化は通行量の増加で」というトンデモな方針は、通行量調査の結果として導き出されるものではありません。
商店街の通行量の減少は、
“商店街の買い物行き先としての魅力の衰弱”が原因で起きます。
「魅力の衰弱」は、商店街の買い物行き先としての陳腐化から。
「陳腐化」は新しく登場した商業施設と商店街(個店)を比較した結果として、個々の買い物客のアタマのなかでの判断です。

商店街の通行量の減少は、従来の買い物客が
“商店街は私の買いもの行き先としてふさわしくなくなった”
と判断し、行動する結果として起きています。

このことに目をつぶって“通行量さえ増えればなんとかなる”というのは、原因と結果を取り違えたトンデモな話です。

これは、“イベントで人を集めればなんとかなる”というこれまたありがちな話と直結しています。

“人を集めるのは組合の仕事、集めた人をお客にするのは個店の仕事”というのは、多くの商店街のリーダーさんたちの決めセリフです。
「集めた人」、すなわち「店前通行量」を「入店・買上客」にしないと商売繁盛・商店街活性化は実現しないのですが、“通行量が増えればなんとかなる”といった程度の考え?しかない人たちが
“店前通行量を入店・買上客にする”という技術を持っているはずがない。
もちろん、「商業はまちの花」論を唱える学識経験者さんも持っていません(聞いたことがないでしょ?)

商売を繁盛させたかったら、人を集めるのではなく、お客が集まる店に皮っていかなければならない。至極当然のことでありまして、ウソだと思う人は、自店のお客に聞いてごらん(笑

 当社は平成9年の創業以来、一貫してこのことを提唱してきましたが、ようやくそういう機運が広まってきたようです。
残念ながら、まちによっては「時既に遅し」というところも少なくありません。
10年前ならほとんど例外なく復興出来たのですが・・・。

 個店・自店の発展を目指す人、このままでは困る人が率先して“通行量頼み”という状況をうち破っていかなければならない。
うちのまちは通行量が減っていない、というところも肝心要の「売り上げ」は確実に減っています。ウソだと思うなら商店街で働く「従業員数」の推移を見よ、誰もが認める「繁盛店」でさえ従業者数は激減しているではないか。

 商店街の凋落、はじめはなかなか目に見えませんが、見え始めたらアッという間に空洞化します。

 一日も早く「活性化への道」を選択し直すことが必要であり、そのためのシナリオを作り、動かさなければならない。

今現在、全国ほとんどの商店街が共通して直面している課題です。

「通行量調査」は、以上のような問題意識を持ったうえで、活性化への取り組みを大転回させるという目的をもって取り組む場合に限り、効果を期待することが出来ます。
効果的な通行量調査、やりたい人は当社に相談を。

通行量に限らず、従来の調査手法には「トンデモ」が多いですからね。

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