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タウンマネジメントのコスト

 企業の中期計画などの実現可能性を判断する作業において、業種や規模を問わず重要なことは、計画の遂行に必要な教育訓練計画の妥当性を検証することです。
第一に適切な計画が立てられているか、
第二に、予算措置が確保されているか。
両者が揃わないと計画は画に描いた餅に終わります。

 このところ読む機会が多い『新・中心市街地活性化基本計画』ですが、期間を通じて取り組まなければならない「教育訓練(以下、より本質的な「能力の転換」)」についてほとんど計画されていないのはどういうことか?

 達成目標を「店前通行量」に絞り込み、人口・人出増大作戦を展開する、というほとんどの計画に共通する路線からすると、勉強の必要など全く関知するところではない、ということかも知れません。 しかし、以下の検討するとおり、能力の転換抜きで活性化を実現しようというのは、木に登って月を取ろうとする仕業、当サイトにご縁がある都市は、是非、能力の転換の要否について、もちろん、商業関係者のスキルの水準について思いをめぐらしたうえで、「シャッターの内側の転換」の必要性の有無を判断していただきたい。
 当サイトとしては、もちろん、商店街で何ごとかを為そうとするなら、商業者の理論的・技術的水準のアップは、イの一番の課題であると考えています。

 新『認定基本計画』で目に付くのは、「街を一個のショッピングモールに見立てる」というアプローチが遅ればせながら、いくつか登場したことです。しかし、登場はしたものの、内容はきわめて不十分、ショッピングセンター(SC)の運用の表面的なところを移植しようとするレベルにとどまっています。
たとえば「空き店舗の活用=テナントミックス」とか、「ナショナルチェーンの誘致」とか。

 SCの実務に学ぶとすれば、その第一は、オペレーションにコストを投じていること。
経営計画を達成するためにはテナントミックスをベストの状態に維持し、適切な販売促進を行うことが必要です。当然のことながら、マネージャー以下、SCのスタッフはSCのオペレーション要員であり、その給与・教育訓練費はSC単体から見ればコストです。
 まちづくり三法改正の影響、ショッピングコンプレックスの登場とSC企業を取り巻く環境は大きな変化を迎えており、要員の再教育は戦略課題になっているわけですが、特に「未知の環境変化に対応するための教育訓練の計画的実施」は、最重要課題です。

 SCでさえ不透明な先行きに対応する新しい取り組みを必要としているわけですが、この時期に取り組まれる中心市街地・商業の活性化において、能力の転換はどう位置づけられているか?
計画を見る限り、はなはだ心細い。

  「ショッピングモール」という文言は散見されても、「見立て」をするからには見立てを実現していく能力が必要であり、この能力は、意識的に開発する以外にありません。
 さらに、「既存商業者の能力の転換」を推進するための取り組みは「中心市街地をショッピングモールに見立てる」という方向を選択した場合はもちろんのこと、そうでない場合も回避することが許されない課題、「店前通行量の増大」を入店客に転換し、売り上げ増大に結びつけていく(これが商業の活性化!)ためには、「業容(店づくり)の転換」は必須課題であり、取り組んでいくためには知識・技術の転換が必要であり、計画的・体系的な取り組みは必須です。

 新しい基本計画では商業者の能力の転換についてどう計画されているか?
ここをチェックすれば、計画の成功の可能性を判定することができます。能力の転換が適切に計画されていることが即「成功」を保証するものではありませんが、もし、計画が不適切・不十分な場合は、間違いなく「失敗」という結果が現れる。

 能力の転換を含む中心市街地・商業活性化の推進に当たっては、マネジメントが必要であり、それを担うのがTMOであり、TMOを核に構築する「TMO体制」が推進組織です。
これを立ち上げ、所要の能力を装備し、業務を遂行していくためには、当然ながらコストが掛かります。
 この原資をどう確保するのか? 
基本計画段階で必ず決めておかなければならない。お金が無くても取り組める、というような甘い話では無いはずです。
ということで、このあたりの手配の有無も“基本計画の可能性”を判断するときの重要ポイントですね。

 さて、能力を転換する施策の展開は、「商業の活性化」を実現していく上で見て見ぬ振りが許されない重要課題ですが、自前のTMOがその能力を十分に備えているということは期待できません。あるつもりかも知れませんが、当サイト各所で論じている「業容転換」について商業者に対し、①その気にさせる ②適切な勉強の機会を提供する ③取り組みを通じて成果を確保していく、というレベルの取り組みを推進する力は無いはずです。
 もしあったとしても、恒常業務優先、この取り組みに主力を向けることは不可能でしょう。

 能力の転換に当たるスキルを中心に外部からの支援を確保することが、TMO体制成功の秘訣だと思いますが、問題が二つありまして。
①この必要性を関係者の共通認識とすること と、
②適切な支援者を確保すること です。

如何ですか。どちらもなかなか難しい問題ですよね。
しかし、これをクリアしないと「ショッピングモールとしての再構築」はもとより、「増大する(はずの)通行量を利用した繁昌再現」も画に描いた餅に終わることは必定です。

※イヤ、「一店逸品運動がある。教育訓練は一店逸品運動で大丈夫だ」と思っている皆さんのためのスレッド

 当サイトの常連各位にはあまり関係のない話かも知れませんが、新スキームでは商業の活性化についての施策が(表見)乏しいところから、“やはり個店の活性化が原点だ”“個店の取り組みなら一店逸品、だってあそこもここも取り組んでいるし”となることは確実?
今年は一店逸品が大ブレイクしそうで、結果として逆の意味でブレイク=崩壊してしまうのが活性化実現への取り組み。だって、逸品に取り組んだりしていると、「取り組んでいる」ことになってしまい、他の仕事は手に付きません。
逸品ってダメじゃん、と分かったころには「活性化の女神」は通り過ぎている。

 とまたもや余談が弾んでしまいましたが。

 中心市街地活性化・タウンマネジメントにはお金が掛かるわけでありまして、なんですか、数ある基本計画の中には、区画整理、再開発事業には数十億を掛ける計画を立てているにも関わらず、中身の「業容革新」「テナントミックスの最適化」に必要な能力の転換を推進するためのコストは全く計上していないという、恐るべし、高度化事業スタート時点当時の取り組み、もちろん今となっては大きな「欠陥」を内包している取り組みを今後もずう~っと継続していこうとしている都市がけして少なくありません。

 認定に当たっては「商業者の能力の転換」がどう具体的に計画されているか、という点をシビアにチェックしなければならないはずですが、これまでのところフリーパスのように見受けられます。「能力の転換」への取り組みを「数値目標」として立てる、という必要は無いのでしょうか。活性化には能力の転換が必要だ、と考えるならこれは一大事です。

 これから計画を作る所は、「能力の転換の必要性」を力説し、適切な「転換計画」を立てることが、「実現への道」であると同時に「認定」達成への切り札として関係各方面にアピール出来るようにしていただきたいものです。
「認定への道」は「活性化への道」でないと意味がありませんからね。

※先に紹介した「教育再生会議への七つの疑問」のレトリックを「中心市街地活性化をめぐる議論」に応用して議論の深化を目指したいと思います。
クオールエイドサイト・【都市経営】コーナー

 新スキームで重要な役割を担って登場した「活性化協議会」ですが、ネット上にアップされている基本計画を見ますと、協議会にスキームで割り振られている以上の役割を期待している都市があるようです。
「基本計画に定めていない必要な仕事はすべて活性化協議会へ」という姿勢が見えたりします。

 活性化協議会への期待はすこぶる大きいわけですが、果たして実際の協議会はよくその期待に応えることが出来るでしょうか。
計画作成のプロセスや、計画への意見活動に伺われるその実態を見てみましょう。
いうまでもなくこの作業は、協議会に関する議論にとどまらず、活性化を推進していく体制の「あるべき姿」を論じて問題意識を共有する都市の取り組みに貢献することを目指すものです。

 TMO担当者さんには切実な問題のはず、皆さんの参加を期待しています。

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  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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