通行量を入店客に転換する?

 お気楽評論家さんたちが提唱する“通行量を増やして商店街を活性化する”という路線、言うは易く、でありまして。
そもそも商店街活性化とは“陳腐化している商店街を魅力ある買い物の場として再構築する”ことですから「売場の改革」抜きで実現できることではありません。

 ものはためし。

 店前を通っている人が入店客に「変貌」するプロセスを考えてみましょう。

①店舗に気づく “お、それらしい店があるじゃん”
②興味を持つ “フム、面白そうかも知れない”
③入ってみる気になる “ちょっと冷やかしてみるか”
④決 心 “時間もあるし、ちょっとだけ”
⑤入 店
というようなプロセスを経て、通行人が入店客になるわけですね。
(ちなみに、①~⑤はAIDCAです。)

 さて、このプロセスはもちろん店舗前面の路上で展開されるわけですが、各プロセスをさらによく見てみましょう。

①店舗に気づく
 通りを歩いている人にとって、店舗ファサードは正面を向いて歩いていてはよく見えない位置関係にあります。
進行方向を直視して歩いていては店舗ファサードを十分見分することは出来ません。なにがしか首を曲げタリしないと店舗を十分みることはできません。つまり、歩行者にとって「わざわざ見ないと店舗は見えない」のです。

 しかも、中小小売・サービス業の店前を通過するのに要する時間は(陳腐化著しい商店街の場合)ものの2,3秒しかありません。
2,3秒の間に、
①ー1 店に気づく
①ー2 もっとよく見ようと意識する
ということが行われなければならない。
これがあってはじめて変貌プロセスが始動するわけですが、

問い:どうすればこういうことが起こせるか?
答え:店舗ファサードが適切なアピール力を持つことで。

 通行量を入店客に変えるための第一歩は、店舗ファサードを適切に演出することです。
よろしいですか。店舗ファサードの演出で「わざわざ見てみよう」という気持を起こさせることが出来なければ、通行量は「通行人1」のまま、お客に変わることなく通り過ぎていきますからね。
この店も、次の店も、そのまた次の店も・・・・。

 通行量を入店客に変えるには、お店の側の努力が必要です。
第一の努力は「店舗ファサードの演出」。
ちらっと視界に入ったファサードの様子が関心を呼び起こし、もっとよく見てみようと歩行速度を緩めさせ、視線をファサードに指向、ショーウインドに近寄り、陳列されている商品群をチェックする・・・。

 ファサードの演出だけではダメ、ショーウインド(店外からの可視部分)に陳列された商品群の質感、陳列のセンス・・・・。
これらの総体が「フム」と感じられない限り、“自分にとって価値のある店かも知れない”という評価が下されない限り、入店という行動につながることはありません。

 如何ですか。
“商業振興策だけでは商店街は活性化できない”
“通行量を増大することで事業機会を増大しよう”
というシナリオが主張されたりしますが、通行量をお客に転化するということをホンキで実現しようと考えるなら、相当高度な「店舗作り技術」をもっていることが前提になります。今どきのお客を“その気にさせる”店づくりができなければ、いくら通行量が多くても、入店客は増えません。

 非商業活性化的事業に取り組んだ結果、通行量は増えたが入店客―売りあげは増えなかった”というありがちな事例は、「店づくり」を省略したままで通行量増大一辺倒に走った結果です。

 強調しておきますが、繁昌していない個店や商店街が店前通行量を増やすことで来店客アップ、売り上げアップを目論んでも上で検討してきたとおり、実現することは出来ません。
通行量をお客に出来るのは既に繁昌しているお店の特権、今からなんとかしなくちゃ、というお店には不可能なことです。

 ということで、通行量を増やせば事業機会が増える、増えた事業機会を活用することで商売繁盛、というシナリオは通用しません。
“通行量の増大”と目標に掲げている皆さんは、増大した通行量をどうやって「入店~買上客」に変えていくのか、この際、しっかり考えてみてください。
この作業は、あなたがどのようなポジションの人であれ、ご自分のため、ですからね。

 通行量神話を捨てますか、それとも活性化を諦めますか?
選択肢はこのように現前しています。

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