自慢と自満

 高水度自慢率漸増の法則。
①水商売とは、喫茶店、ビアホール、居酒屋、レストラン、料亭、スナック、バー、クラブ、キャバレーなどの総称である。
②水商売には「水(みず)度」というものがあり、それは①の順所で高くなっていく。
③水度が高くなっていくにしたがって、そこで交わされる会話の自慢度が高くなる。

ドーダとは何か?
ドーダとは自慢である
人に誇りうるものである
と同時に、人に羨まれるものである

 自称西荻窪学派―ドーダ学の鼻祖・東海林さだお氏は、“社会はドーダで成り立っている”ことを喝破しています。
:東海林さだお『もっとコロッケな日本語を』文春文庫
ドーダ=“どんなもんだい”です。

 創唱者のフィールドワークについては、上記の本を求めていただくとして。

“ドーダ理論は世界最強のグランドセオリーだ”という惹句を引っさげて登場したのが『百貨店を発明した夫婦』でおなじみの鹿島茂さん。
“ドーダとは自己愛に源を発するすべての表現行為である”
という「加上的・方法としてのドーダ」を駆使して幕末~明治初期のあれこれを解明しています。

鹿島茂『ドーダの近代史』朝日出版社

“社会がドーダで成り立っている”ならばそこから“歴史はドーダで説明できる”は地続きです。

①水戸藩はなぜ尊皇攘夷派を輩出したか
③大政奉還~江戸開城をめぐる徳川慶喜VS西郷隆盛の死闘
④西郷隆盛の変身と西南の役
を軸に、当時の情勢・経緯を解明しています。
もちろん、話は登場人物相互のドーダのやり取りです。

 中でも出色なのが江戸無血開城に至る駆け引きでありまして、これはご承知のとおり、西郷VS勝海舟による頂上会談で決着しますが、これに先立って勝との共同謀議をもって山岡鉄舟が静岡に赴き、西郷と直談判をします。これが首尾にいったからこそ、西郷・勝会談に至るわけですが、疑問は“はて、山岡は何を材料に西郷を説得したのだろうか?ということですね。
 山岡は勝から書簡を預かっておりまして、もちろん、この書簡が大きな役割を果たすわけですが、そこには何が書かれていたか? 
表見、大したことは書かれていないのですが実は・・・。 

 和平の条件などを書き連ねた書簡を送れば直談判にこぎ着けられる、という状況ではなかったのでありまして、では何が西郷の方針を転換させたのか。謎です。
というか、この謎をモノの見事に解明してしまったのが、恐るべし、ドーダ学、一体山岡鉄舟の駿府行きは何だったのか?
鹿島流による解明は読んでからのお楽しみ。

 方法論的ドーダ学による西郷の後半生の分析にもうならされます。幕末、テロリストの親玉だった西郷が戦争末期から「人間が変わった」のはなぜか?
そこには実は山岡鉄舟との静岡における談判の体験が大きな影響を及ぼしているのだ・・・。

 ということで、興味が湧いた人は是非、『ドーダの近代史』をば。

 さて、ドーダ学によれば人間の表出行為はすべて“ドーダ”、“どんなもんだ”である、ということで“人間は自己愛の塊だから隙あらばドーダしたいと考えている”というのがドーダ理論のエッセンスです。
遠く異朝をとぶらへば(ドーダ!)、これはヴェブレンの「顕示的消費」に連なっていることはすぐ分かる。

 社会・歴史学方法論としてのドーダ理論、その解釈力は歴史法則主義、民族主義、家族主義といった既存のグランドセオリーに勝るとも劣るものではありません。

 で、いよいよここからが本論でありまして。

 わが「ラグジュアリィ」は「ドーダ」なのか、それともドーダ(自慢)ではない、周囲にはお構いなしの純粋自己満足(自満)というジャンルが有るのか無いのか。
ということで、興味のある人は是非、どこかに意見をどうぞ。

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