商店街活性化と繁盛店づくり

 商店街の通行量が増えれば、そこに立地する中小商業者の事業機会が増えるということで、多くの商店街で取り組まれている活性化事業のほとんどが「通行量の増大」を目的としているものであることは、今さら指摘するまでもありません。
ところが。

 この路線を推進している商店街には、今、二つの結果が現れています。

その一 なかなか通行量を増やすことが出来ない。イベントなどの催事があれば人出が増えるのですが、イベントが終われば元の木阿弥、とおりは一昨日のたたずまいに戻ってしまう。

その二 通行量は増えたが事業機会として活かすことが出来ていない。非物販の大型集客施設などを整備した結果、その施設を目的に来街する人は増えたが、買い物客の増加にはつながっていない。

 いかがですか。さらにそれぞれを敷衍しますと、

その一について。

 つまり、通行量の増大を目指して諸般の事業に取り組んでいるにも関わらず、通行量は減少するばかり、という商店街が圧倒的に多い。このことは、例えば、Webにアップされている各都市の新中心市街地基本計画の年度総括などをみますと明らかです。
 ほとんどの商店街の通行量が減少傾向からの脱却に成功していないわけです。
 
その二について、
 通行量が増えた商店街でも個店の繁盛にはつながっていないということです。通行量の増大=事業機会の増大と考えるならば、増大した事業機会を活用できていない、ということになります。シャッターの外側における状況の変化を自店の商売にプラスとして活かすことが出来ないのです。
イベントなどで活性化に成功した、といわれる商店街の多くに共通する現状だと思います。

 以上のことから分かること。
通行量の増大に取り組んでいる商店街は、通行量の増大に成功している・いないに関わらず、立地する中小個店(大型店も)の業績は以前として低迷していること、おそらくはさらに悪化しているであろう、ということですね。

 これが「通行量増大」を目的とする商店街活性化策に取り組んでいる商店街が直面している現状だということをあらためて直視しなければならない。
問題を直視しないで解決することは出来ませんからね。

 現下の商店街の状況でもう一つ大事なことを指摘しておきましょう。
それは、
“全体としての衰退傾向にも関わらず、ちゃんと繁盛している個店(群)がある”ということ。
全体としての商店街は大変な状況に陥っているが、にもかかわらず、繁盛しているお店がある、ということです。

 そういうお店を観察してみますと、きちんと「お客にとっての来店目的」を作り上げている、というところが共通しています。
“この店があるからわざわざこの街まで出掛けてくる”ということですね。お店の全体(品揃え・サービス・環境)が、お客から見て「買い物行き先」として愛用するにふさわしい業容を作り上げているわけです。
こういうお店は、商店街が通行量増大施策に取り組み、通行量が増えるとその成果を享受することが出来ます。
日頃からきちんと「わざわざお客が来てくれる」店づくりをしているところには、「通行量増大」の御利益があるわけです。

 他方、日頃お客が来ていないお店には“わざわざ出掛けるに値する”来店目的がありませんから、いくら人出が増えても「わざわざ」入店する動機となるものが提供されていないわけで、もちろん、入店客は増えません。
お試しに入ってきたお客も何も買わずに出ていってしまいます。

 以上をまとめますと。
1.通行量増大に取り組んでも通行量は増えないことが多い
2.通行量が増えても入店客は増えないことが多い
3.通行量に関係なく繁盛している店があり、通行量が増えるとさらに繁盛する
4.通行量の変化に関係なく、多くの個店の業績は低迷悪化の一途を辿りつつある
ということですね。

 これらのことから言えるのは、
1.通行量増大策は、商店街活性化の切り札ではない
ということであり、さらに
2.「来店目的」を提供できない個店は外部環境がどう変わっても低迷悪化のスパイラルから脱却することはできない
ということですね。

 一方、商店街全体の状況に関わらず、「来店目的」を作り上げている個店は、しっかり業績をキープしていることを考えれば、個店レベルの「来店目的」の整備こそが個店の繁盛~街の活性化の基礎であることは明らかです。

 これは“コロンブスの卵”でありまして、「繁盛する店づくり」に取り組んでいないお店は、店前の環境がどう好転してもその成果を事業機会として享受できない、ということを意味します。
商店街に新たな「事業機会」を創出しようとする試み(通行量増大もその一つ)は、事業に先立ち、または事業と平行して各個店の“わざわざ出掛けるに値する店舗”たる「来店目的」を作る仕事に取り組まなければならない、ということですね。

 これまで「通行量の増大は組合の仕事、増えた通行量をお客にするのは個店の仕事」と言われてきましたが、他の目的で歩いている通行者を自店のお客にするには相当の「来店目的のアピール」が必須条件であり、これは商店街立地の多くのお店がこれまでの経営経験だけではとうてい実現出来ない仕事です。
このことは、通行量の増大に成功していると言われる数少ない商店街に軒を連ねる個店のファサードを見れば一目瞭然です。

 ということで、商店街を活性化する、すなわち、商店街をあらためて「買い物の場」として活性化したかったら、なにはさておき、そこに立地している各個店の売場を「わざわざ出掛けるに値する買い物の場」へと改革改善しなければならない。
先述のとおり、これを「各個店の仕事」というわけにはいきません。百貨店、ファッションビルなどが軒並み不振に陥っている状況に於いて、“通行量を増やしてやるから後は自分で頑張れ”といわれても、何をどうすればよいのか、分かっており実際に実現できる人はほんの少数でしょう。
そもそも、今どき、売り上げアップを目的に「店前通行量の増大」だけに打ち込んでいる商業施設が、商店街以外に、ただの一つでもありますか?

 ということで、ホンキで商店街活性化に取り組むにあたって喫緊の課題は、
“売れなくて困っている個店を繁盛するようにすること”
であることに間違いはありません。
間違いは、“通行量を増やせば繁盛するようになる”という答えの方にあるのでありまして、これは商店街の実際に目をつぶっている人だけが口に出来るトンチンカンです。

 正しい取り組みは、「シャッターの内側の問題をシャッターの外側の取り組みで解決することは出来ない”という小売業の原則をキモに銘じて「シャッターの内側」の「買い物の場としてのあり方」の改革改善を組織的・計画的に推進すること。
個店の問題情況には強弱濃淡がありますから、「全店揃って一斉に」というわけにはいきません。緊急性の高い店、意欲のある店が率先して取り組み、成果を挙げることで他へ普及させていく、という進め方が現実的です。

 さて、以上については当サイトの創設以来の主張であり、耳タコ状態の人も多いのですが、本論はここから。

 新法(地域商店街活性化法)によって設立された㈱全国商店街支援センターについては、既に何度か紹介しています。
支援する事業の目的に「来街者を増大する」という冠が付いていることから、利用にあたっては相当の企画が必要だということを申しあげています。

 このほど発表された「個店研修事業」は、この範疇を超えておりまして、“全体の一割の店が繁盛すればその商店街は活性化する”という「仮説」に基づいて、商店街に繁盛店を作り出そうという、これまでは「個店の仕事」と見なされてきたレベルについて専門家を投入して支援を行うという、これまでに類を見ない画期的な施策です。

 さっそくの活用が望まれますが、10年来、商人塾事業などに取り組んできた経験を持つ当社からみると、この制度を活用して所期の目的を達成するためにはクリアしなければならない課題がいくつかかあるようです。

 それらの課題の検討を【商店街起死回生】で行います。

1.多くの商店街にとって喫緊の課題だが簡単には取り組めない
2.簡単に取り組むと成果を挙げられない
というのが「繁盛店づくり」です。

新法関連の記事:
『地域商店街活性化法』
『㈱全国商店街支援センター』
『新法と支援センターを活用する』

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