通行量の増大と業種揃えの最適化と

 どうも国の商業振興施策は混乱しているのではないか。

 ご承知のとおり、このところ、通行量増大にかかる施策が強力に推進されています。

 新設の地域商店街活性化法(以下「新法」)において、「商店街活性化事業」は、
“商店街振興組合等が(・・・)住民の生活に関する需要に応じて行う商品の販売又は役務の提供、行事の実施等の事業であって、これらの事業を行うことにより当該商店街への来訪者の増加を通じて、(・・・)中小商業者又は中小サービス業者の事業機会の増大を図るものをいう。”(法第二条2)
と定義されており、すなわち、
①商店街振興組合等が取り組む、商品の販売・役務の提供・行事の実施等のうち、
②当該商店街の来訪者の増加を通じて事業機会の増大を図るもの
が、商店街活性化事業とされています。

 新「法」における商店街活性化事業とは、
①当該商店街への来訪者の増加を実現することで
②通行量の増加を実現することで
③事業機会を増大するための事業
ということですから、明らかに、「通行量増大」系の施策体系だということになります。
施策には人材育成や個店の指導など新しい試みもありますが、厳密に考えるとこれらの事業も
①来訪者を造花を実現するための
②商品の販売・役務の提供・行事の実施に係わる
③人材の育成、個店の指導
に限定されることになりかねません。

 特に、「店前通行量の増大」こそが商店街活性化への道だと妄信しているリーダーがいる商店街の場合、「通行量増大」に関わる事業支援の拡充は、“われわれの路線の正しさが国に認められた”などと、従来的・成果の挙がらない方向への取り組みがさらに強化されることになりかねません。
 肝心の「来訪者の増加」を「事業機会」にするために不可欠の「個店のショッピングの場としての充実」については相変わらず手つかずのまま・・・・。

 
 他方、中活法のスキームはよく読んでみますと異なる方針に基づいています。

 ご承知のとおり『中心市街地の活性化を図るための基本的な方針』においては、“中小商業者の競争力の根幹”としての“業種揃え・店揃えの最適化”が強調されています。
さらに“これまでの活性化の取り組みが成果を挙げられなかった理由”としては“もっぱら整備改善などの「周辺事業」に”ととまったから、と総括されています。

 この総括を踏まえれば新しい取り組みは、
①競争力の根幹である「業種揃え・店揃えの最適化」を実現する事業に集中する。
②特にその中核を担う既存中小商業者・サービス業者の「転換努力」を強力に支援する
ということにならなければならない。
これはゼッタイに外してはいけない・今どきの商店街活性化を成功させる・基本中の基本です。

 いくら人通りが多くても、「業種揃え・店揃えの最適化」に取り組んでいなければ、
①ショッピング機能を充実した個店が軒を連ね
②ショッピング客が多く来訪、行き交っている
という「活性化した商店街」を実現することは出来ません。
肝心の「来街目的」である「ショッピング機会」が提供されていないのですから。

 商業者の事業機会とは、地域住民のための「ショッピングの場」を作り提供すること以外にありませんからね。

 ということですが、取り組みの現場は、中活法の施行と同時期に装いも新た(?)に登場した、「通行量原理主義・商業はまちの花」という妄説に振り回され、「来訪者の増加を図る事業」一辺倒になっていることは見られるとおり、当ブログでことあるごとに指摘しているとおりです。

 新法の「商店街活性化事業」の定義:“来訪者の増大を図るため組合などが取り組む事業”という条件が付きますと

①「商品の販売」とは、「空店舗を利用した農産物の販売」などの集客事業が想定されているのか?

②「役務の提供」とは、各地で試行された「商品の配達」や「訪問販売」のことか。

③「行事の実施」とは集客イベントのことだ

ということになるのではないか?

 ということで、新法は「中小商業者の競争力の根幹」であるはずの「業種揃え・品揃えの最適化(実現するには既存個店の業容革新・繁盛再生が不可欠)」への努力の集中という中心課題については一言も触れずに、(これに比べれば)周辺事業の一つでしかない「来訪者の増加を図る事業」に努力を集中しようということではないか?
ということが懸念されるのであります。

①アクセル&ブレーキといい
②所有と利用の分離といい
③来訪者の増加を図る事業といい
各地から寄せられる「成功事例」の情報を丸ごと呑みこみ、一般化する、という傾向があるのではないか。
ということも懸念されたりします。
 喧伝される各地の「成功事例」、もちろん、“競争力の根幹である業種揃え・店揃えの最適化”の取り組みとは一切無縁の取り組みですから、競争力の最適化とか繁盛店の続出という結果が伴う「成功」ではないことは見に行くまでもなく明らかでしょう。

 ご承知のとおり、商店街立地の個々のお店の実状は、これまでの取り組みの経験からすると、実効性が乏しいことが明らかな“来訪者の増加を図る”ための事業にその命運を託すわけにはいきませんから、知恵を出し、工夫を凝らして、なんとか“業種揃え・店揃えの最適化”の実現=各個店の業容改革の取り組みの方向へと「我田引水」していきましょう。

 併せて。
「中小業業者の競争力の根幹である業種揃え・店揃えの最適化」を中小商業者の自助努力・相互扶助の取り組みとして実現していく方法をどんどん普及させていくことが必要であり、
商人塾に参加している皆さん、
われわれの任務は重かつ大ですからね。

 道草を食っている暇はありません。 

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