「トンデモ本」の批判はなぜ必要か

 当ブログではこれまで新雅史『商店街はなぜ滅びるのか』(光文社新書)、久繁哲之介『商店街再生の罠』(ちくま新書)をトンデモ本だと批判しています。
商店街活性化界隈に於いてトンデモ本とはどのような類いの本を指すのか。
①商店街活性化とは商店街がどうなることか、もっとも基本である用語を定義しないまま、活性化を論じている。
②広域商圏に多種多様な商業集積が立地している中で商店街を活性化するには、それらの集積との関係を理解したうえで商店街が目指すべき集積としての方向とそれを実現していく方法を提示しなければならないが、その作業は全く行われないまま、個別具体的な施策を紹介したり提案したりする。
③商店街活性化を真剣に論じるなら、上記2項は“あってはならない”のですが、知ってか知らずか、全く無視して好き勝手を書いている。
というのがトンデモ本です。
「活性化」を定義していないため、その言説の内容を客観的に検討することが出来ない、という特徴を持っています。

 普通なら捨て置いてかまわない類いの本ですが、世の中にはいろんな人がいて、トンデモ本を―ちゃんと読んだのかどうか分かりませんが―、良書である、誰もが思っていることをはじめて書いてくれた、眼からウロコが落ちた、などと持ち上げる人が出てきます。
それを読んだ人がその尻馬に乗って“良書”、眼からウロコが落ちた”と褒めそやす。たちまち“商店街活性化関係者必読の本”になり、“著者は商店街活性化関係の専門家”はては“第一人者”とまで言われるようになる。

 そうすると、自力思考=自分の頭で考えるという作業を担当領域で省略しょうとする担当者が「世評」を真に受けて専門家扱いする、その輪が次第に拡がって押しも押されもせぬ専門家の一丁上がり。そうすると、上記①~③のような言説が商店街活性化論として罷り通ることになり、提唱されていたトンデモな話がいつの間にか商店街活性化の基本となってしまったりする。行政の施策もこういう怪しい言説に依拠して企画されたりすることになります。

 こういう状況は、商店街活性化という問題領域に於いて出来るだけ早く改善しなければならない。
問題解決学では、問題解決とは①+を増やす機会を発見活用する、②ーとなる脅威を発見対処することです。
「商店街活性化」をめぐる状況には、+=活性化を導く適切な理論を構築する、-=トンデモ理論を淘汰する という二つの領域に課題があります。+を増やせば-が減る、という単純なものでは無く、トンデモがはびこっていると適切な活性化への道を構築する作業が遅れ、さらに、トンデモの蔓延を眼にした新人が、“商店街活性化業界はこの程度の知見、能力でわたっていくことが出来るのだ”と理解して“この程度”の“専門家志望者”が続々参入、トンデモの普及に給油することになりかねません。というか現在既にその傾向は確実に拡がっています。

 当社は、既に独自の「商店街活性化への道」を提唱、“+の増加”に取り組んでいますが、先述のとおり「適切な方法と方向」を提唱しても“トンデモ”がはびこっているところではなかなか賛同者を広げることが出来ません。トンデモがはびこるのはトンデモを受け入れる状況が出来上がっているためですから。

 トンデモの批判は、適切な“活性化への道”の提唱と車の両輪として行わなければならない。そうしないと「適切な方向と方法」が採用され、実績を挙げ、その効能効果を実証する機会が広がりません。当社がトンデモを批判するのはこのような理由からです。

 したがって、批判に当たっては“考え方の相違”“もっと穏便に”などということは考えられません。批判するのはその言説を完膚無きまでに論破し、業界から放逐するためであり、併せて、同じレベルのトンデモが装いを変えて出て来ることを防止するためですから、この目的を達成するため、批判は鋭く、ぐうの音も出ないように徹底的に行わなければならない。

 そういうレベルの本がトンデモ本であり、われわれが―暇に任せて―トンデモ本の撃滅を目指す由縁です。
判官贔屓が多い業界では“そこまで言わなくても”とか“同業者の悪口・・”という声も聞こえないわけではありませんし、もちろんいくら暇とは言え、トンデモにかかずらうのは正直あまり面白い作業ではありません。
しかし、やるべきことはやらなければならないし、作業の性格上、徹底的にやらなければならない、ということで、相手の言説をノックアウトするまでやる、というのが趣旨です。
“見苦しい”と感じられる方はスルーしてください。

 表見、生産的とは見えない作業ですが、上述の通りトンデモがはびこると正論が道をふさがれます。
読む方も書く方も面白く無い話ですが、何とか面白くなるよう工夫したいと思います。

 なお、取り上げるトンデモ本は文字どおり氷山の一角、中でも特にトンデモぶりがひどく、かつ、“眼からウロコが落ちる”=世上高評価を得ているものを標的にします。世評を得ている=その分トンデモ度が高い、という傾向もありますから、厳しい批判も受け入れられやすいだろうという読みも。

 とりあえず、久繁哲之介『商店街再生の罠』批判の続きは、掲示板【商店街起死回生】に移行して続けます。
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