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商店街活性化事業と「事業」一般の基本原則

「事業」には共通する目的がありまして、それは、事業の外に事業に
先立って存在する目的の実現に貢献する、ということです。
つまり事業には必ず「上位目的」があり、事業はその目的実現に貢献する
ことを目的に企画され、取り組まれる訳です。

 「事業の最終目的は事業の外に事業に先立って存在し、事業の成果は、
事業が終わった後、事業の外に上位目的の要請を達成し得たか否かで
評価される。」

 事業と上位目的との関係は、事業にとって「宿命」とも言うべきもの、
個別事業は常に上位目的を念頭に、その実現にもっとも効果・効率的に
貢献することを目指して取り組まれることが必要です。ところが。

 商店街活性化の場合、個別事業と上位目的である「商店街活性化」
との関係はどのように理解され、組み立てられているでしょうか?
あらためて考えて見ますと、心細い限りです。

 商店街活性化は、長年にわたって全国においてさまざまの事業が取り
組まれていますが、それらの事業は取り組みの基本である「上位目的
達成の手段」として適切に位置づけられているでしょうか?
たとえば、「通行量増大のための事業」はどうでしょうか。
「コミュニティ施設の整備事業」はどうでしょうか。
「商店街活性化3点セット」はどうでしょうか。

 これらの事業は明らかに「商店街活性化」の実現を目的に取り組まれて
いるわけですが、それぞれの事業は、それが目的としている成果を挙げる
ことで本当に商店街活性化の実現に貢献するのかどうか、果たして単独
個別事業が「成功」すれば、着実に商店街活性化の実現に近づいて行く
ものかどうか、あるいは、事業の結果を商店街活性化に結びつけるために
当該事業と前後して取り組まなければならない事業はないのか、ある
とすればそれはどう取り組んで行くべきか、といったことはあらかじめ
きちんと検討した上で事業が推進されているのかどうか?

 さらに、そもそも上位計画である「商店街活性化」とは商店街にどの
ような状況が生まれることを想定しているのか、商店街活性化はどう
定義されているのか?
という大問題がありまして、上位目的を適切に定義しておかないと、
それを達成するために必要な手段としての事業を適切に企画・推進する
ことは出来ません。

 といった、事業と上位目的との関係という、いわばほんの初歩的な
基本原則を踏まえて商店街の活性化のための事業を吟味してみますと、
「商店街活性化」とは街がどうなることか、きちんと定義したうえで、
それを上位目的において個別事業に取り組む、という原則を実行している
商店街は殆どありません。これは個別商店街だけでは無く『中心市街地
活性化基本計画』においてもまったく同様です。

 上位目的が定かで無いにもかかわらず、取り組まれる活性化のための事業とは?

 上位目的が無いと言うことは、それがどんな内容の事業であれ、
それだけ孤立していることになります。
事業の目的は何か?どこに見いだせるのか?
どこにも見いだせません。

かくして、取り組まれる事業は、それ自体が目的であり、かつ、
商店街にとって意味のある事業ということになりますが、上位
目的設定の必要性さえ自覚できない関係者が活性化が必要な商店街
が取り組むべき「単独事業」を思いつけるわけが無い。
このような理由から商店街が個別に取り組む活性化策は、その昔、
商店街が繁盛していた当時、取り組んで成果の挙がっていた「販売
促進事業」の焼き直し、ということになるわけです。
もちろん、やっているご本人達はこの間の経緯についてまったく
自覚していないのですが。

 したがって、取り組まれる事業は、取り組むこと自体が自己目的
化した、取り組むことに意義がある、やらないよりやった方がいい
という恐るべき弁解付き。
もちろんこんな事業ならやらない方がよっぽどましですね。

(続く)

推奨図書

 2冊紹介します。

1.エドワード・リード『経験のための戦い』
  ㈱新洋社(2010.3)

前にも一度紹介したと思います.
著者は“経験”の側に立って誰と戦っているのかと言いますと、
「大衆」及び「エリート」、両者の複合体と戦っています。
著者が擁護する「経験」とは何か?

 これは“日常生活そのもの”ですね。生活が大衆とエリートの
連合軍によってめちゃくちゃにされている、というのが著者の
立場です。

参考①:ホセ・オルテガ・イ・ガセット『大衆の反逆』
  ②:クリストファー・ラッシュ『エリートの反逆』

 著者が拠って立つのはプラグマティズム、即ち、日常生活

価値を置く、という思想的立場、全ての行動を生活に引きつけ、
生活にどのような結果をもたらすか、という視点で判断すると
いうまあ、当たり前の視点ですが、実際はなかなかそうはなって
いません。商店街活性化だって、アナタ、「コミュニティの担い手
などという、商業者個々の店舗経営・生活から逸脱した抽象的な
スローガンに乗っかってますし。

 著者については、あらためて詳しく紹介したいと思いますが、商店街活性化もこれからはどういう思想的立場に立つのか、
ということが極めて大切になります。
当サイトはもちろん、ものが売れなければ商店街では無い、
儲から
なければ商売人では無い、という“生活密着”の立場です。


2.藤井総『プラグマティズムのための作法』
  ㈱技術評論社(2012.5)

 ご両人とも「社会的実践」のあり方について、“具体的な生活を
重視した取り組み”、“生活に立脚した実践”を強調しています。

 従来の取り組みが、漠然として抽象的な「目標」を掲げ、したがって、
実践も抽象的なレベルに終始しているのに対して、取り組み全体の
目的を
明確に確立し、目的から目標に、目標から手段へとブレイクダウン
が出来る、そういう性格の・生活や日常の営業活動にしっかり
基礎を据えた計画を作り、効果的な事業を企画することが可能に
なる、「方法論」レベルの立場です。

 特に藤井さんの本は、京都大学大学院工学科の先生で、土木
計画から「まちづくり」まで、研究者、学識経験者として関わら
れた実際の経験の総括に立って書かれていますので、非常に教わる
ことが多いと思います。
ぜひ、ご一読ください。

 「目的・目標」を持つこと。
 中心市街地・商店街活性化の取り組みがいくら取り組んでも成果
が挙がらない根本の原因は、取り組みが自分の仕事、自店の繁盛
実現のための仕事という位置づけが出来ていないこと、位置づけ
が出来るところまで事業の目的・目標が明確になっていないことに
あります。

 自分の仕事、自分のこととしての活性化の取り組み、となる
ように取り組み全体を見直すことが必要です。
これはひとり商業者に限ったことではなく、立場や所属を問わず、
関係者全てに共通する課題です。

注・藤井先生は、『列島強靱化論』などが評価されたのでしょうか、
現在、内閣官房参与の重職にあられます。

 先生の持論「列島強靱化」は、果たして我が国の全体としての
「持続可能性」を再構築できる質をもっているかと言えば、それは
疑問です。これだけでは地域経済の循環性再構築という問題意識が
欠落しているのではないか。

 国が借金して土木工事中心に地域にばらまく、が、元請けが
ピンハネ、地元に残ったなけなしの所得もチェーンストア経由で
回収する、ということなら、国土強靱化は高度成長路線と軌を一
にするものでは無いか? というあたりについては、あらためて
考えるとして、
今日は、「日々の生活に根ざした実践」、日々その成果が生活上に
実感出来る実践を不可欠とする中心市街地・商店街活性化関係の
各方面の皆さんにぜひ、「プラグマティズム」の導入を期待して
ご紹介するものです。
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進化する売場研究会

  • Author:進化する売場研究会
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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