活性化と販売促進

 商店街では同じような意味で使われることが多いようですが、
本当は両者はまったく違います。

 まず「活性化」とは:
対象である地域、街区、組織などが何らかの理由で存続が困難な
情況に陥っている、もしくはその可能性が高くなっている場合に
適切な対策を講じることで、存続可能な条件を作り上げること。

 商店街活性化とは:
商業集積としての存続が危ぶまれる情況に陥っている、もしくは、
陥る可能性が高い商店街に適切な施策群を講じることで持続可能性を
再構築すること。
将来にわたって、商業集積として持続可能な条件を構築すること

 一方、販売促進とは:
小売業、商業集積が現在直下の販売実績を上げるために取り組む
手法のこと。販売促進は、現在の業容を前提に、すなわち、品揃え・
提供方法・提供環境などに基本的に問題が無いとき、もっぱら
目先の売上げを確保、アップするために使われるノウハウです。

 売上げが落ちた=業容と消費購買行動の間に何らかの問題が生じた
場合は、販売促進は役に立ちません。
ちなみに、マーケティング関係の辞書を見ますと、
販売促進:①一般的な意味では、需要を増大させるために行われる
全ての種類のマーケティング活動、時には需要創造あるいは
需要刺激と呼ばれる。②協議には,広告とセールスマンシップを
除いた上記の活動の全てに適用される。そこに含まれるものは、
使用者によって異なるが、
プレミアム
展示会
富くじ(ビンゴなど)
・・・以下略

 こうして見ると、販売促進は企業の恒常的な業務の一環で、
あることが分かります。

 他方、「活性化」の方は、経営存続が危ぶまれる状況に陥った
状況に対応するための施策を意味しており、したがって、
順調な経営を続けている企業や商業集積が取り組むのは専ら
販売促進であり、彼らが「活性化」を云々することはありません。

 ところが。
商業集積としての機能が陳腐化―劣化―空洞化している,または
その虞が強い商店街が「活性化策」として取り組んでいるのは、
上記の定義からすると「販売促進」に分類されるメニューばかり、
これでは活性化出来ないのも無理はありません。

これは個店でも言えること、お客に「買い物行き先として不適切」
と評価され、客足が遠のいているお店が「販売促進」に取り組むと
お店の内外は“荒れ放題”になってしまいます。
商店街の各個店の“見た目”が全盛期とは見間違えてしまうほど
陳腐化、劣化しているのは、活性化に取り組まなければならない
状況で販売促進に取り組んだ、という誤った路線の結果です。

 大店法以来、商店街が取り組まなければならなかったのは、
激変した経営環境に対応して所属する各個店の業容改革を推進
することでしたが、実際に取り組まれたのは販売促進だった、
そしてそれが今に至ってもなお継続している、というところに
今日の「商店街活性化」が直面している課題が現れています。

 課題とは言うまでも無く、“問題を正しく・直視すること”
です。

商店街活性化論の要件

 昨年、新書部門でベストセラーになった
新雅史『商店街はなぜ滅びるのか』(光文社新書)
については、手にとってみられた人もあったことと思います。

 takeoもその一人ですが、あまりにもひどい内容にびっくり、批判する
までも無いだろうと思いつつも、ツイッターでその正体を剔抉しました。
ところが新氏、先日西日本新聞に登場、『再生へ商店街は何をすべきか』
と題してくだらない“提案”を行いました。
くだらない上に先の著書で言っていたこととはまったく話が噛み合わない
“これまでの活性化の常識”的な提案です。
あらためてツイッターで批判しましたので興味のある方はどうぞ。

商店街活性化、陳腐な提案が繰り返され、現場に採用され、挫折して・・・
ということが繰り返されていますが、そろそろ終わりが近づいています。
商店街に陳腐な提案を受け入れ実行していく力が乏しくなって
います。
もはや、“活性化と冠を付ければ何でもあり”というパターンの事業は
許されません。商店街は自業自得かも知れませんが、商店街が消滅すると
地域経済が立ちゆかなくなります。
一日も早く、正しい活性化への道につかなければならない。

正しい商店街活性化への道とは?
その、見分け方を考えてみたいと思います。

第一に挙げなければならないことは、
大店法制定以来、40年にわたって取り組まれて来た商店街活性化の現状を
どう総括するか、ということ。
取り組みの歴史を無視して行われる提案はその時点で失格です。
経緯的に見れば商店街活性化の目的は、“大型店が主流となる趨勢の中で
中小小売商業が集積する商店街の事業機会を確保する”ということです。
この一点を見失っている“活性化策”は全てアウト。

第二に、(第一について述べた上で)
郊外型商業集積が主流を占める小売業界において、中小小売業が集積する
商店街が優位的に担うことが可能な事業機会を定義すること。
これが発見できなければ、郊外型商業集積からの顧客奪還は不可能です。

第3に、“第二”で明らかにした事業機会を商店街が獲得するシナリオ
を作ること。商店街の自力及び調達可能な経営資源で実現出来なければ
絵に描いた餅ですからね。

そして第4に、商店街活性化という課題は、都市がその経営資源を集中
して取り組まなければならない課題であることを示すこと。
これまでの取り組みがことごとく挫折していることを見れば、もはや
絶対的に劣化している商店街(商業者)に自己責任として活性化せよ、
といったところで実現出来ないことは明らか、都市の経営課題として
取り組むことが必要ですが、なぜ、都市(行政)が商店街活性化に取り
組まなければならないのか?
疑問の余地無く明らかにし、関係各方面に“そうだその通り、都市の
経営課題として活性化に取り組もう”という機運が盛り上がって来なければ
ならない。

大店法以来の活性化の地取り組みの歴史を顧みれば、これからの活性化の
取り組みにおいて、第1~第4の要件は当然備えておかなければならない
条件です。

活性化とは思いついた「事業」に“活性化”という冠を付けて補助金を
獲得してくることだと考えているリーダーさん達は、自分たちが取り組む
事業が商店街劣化の趨勢に対してなんの効果も発揮出来なかったことを
直視し、第1~第4の要件を肝に銘じつつ、出直さなければならない。

既に正しい“活性化への道”を選択、実践中の皆さんへ。
ご承知のとおり、“繁盛への道”は全国幾多の商店街が同時多発的に
その道を歩み始め、短期間で成果を挙げることが必要です。
もはや、旧態依然の取り組みに“それぞれの勝手”と傍観することは
許されません。傍観すればそれだけ目的達成が遠くなります。

旧態依然の活性化の取り組み、提案に対しては明確に批判していくことが
肝要です。
もちろん、当サイトは新氏的活性化の提案に対しては、これまで以上に
厳しく批判して参るつもりですが、一番効果的な批判は言うまでも無く、
正しい活性化への道を選択した商店街・個店が実際に繁盛すること、
皆さんの実績無くして活性化への道が普及することはありません。
皆さんの使命は極めて重要ですが、真剣に繁盛店を目指せば実現出来る
ことでもあります。

あらためて、キラリ輝く繁盛店づくり、一心不乱に邁進して参りましょう。

大分県の商店街活性化 点から線、線から面へ多元的に展開

 大分県、県内各地の「キラリ輝く繁盛店づくり」の取り組み、
いよいよ本格的な運動になっているようです。

 平成21年度以来これまでに取り組んだ都市は、7市(14市中)
8商店街に上ります。先行取り組んだ商店街の結果を視察、慎重に
検討して採用、成果を修めて次の商店街に取り組みを推奨する、
というプロセスで拡散しています。

 今年度から取組中の商店街相互の視察交流が活発に展開され、
やる気やノウハウの交換が行われています。
取り組んでいるお店を一店一店じっくりと視察、店主の話を聞き、
こちらからもショッピング客の立場で気づいたことを伝えると
いうことで、従来ありがちの視察先の理事長さんの話を聞いて
後はとおりを歩くだけ、という視察とは異なり、帰ったらさっそく
うちでもやってみようというヒントがたくさん得られる、繁盛店
づくりにいっそう意欲が湧く視察だそうです。

10店舗訪問するとまるまる一日の行程ですが、それぞれのお店で
話が弾み、楽しみにしていたショッピングの時間が足りないとか。

 一方、同じ市内でまだ取り組んでいない・取り組みを検討中の
商店街の有志が既に取組中の商店街で取り組んでいるお店を訪問、
実際に取り組んでいる内容や成果を見たり聞いたりするという
取り組みも始まっています。
同じ町内でも他店に出かけることさえはばかられるというのが
商店街ですから、こちらはなおさら信じられないかも知れません。

 取り組んでいる人は、皆さん自店の取り組みに自信満々のうえ、
“あなたもぜひ取り組むべきですよ”と熱心に勧めます。
前述のように、商店街界隈の常識からはとても信じられない話
ですが、大分県では当たり前の話になってきました。

 「キラリ」の点から線・線から面への展開、大分県では県下
全域に拡大しようとしています。
視察・調査希望は、同県商業・サービス業振興課へどうぞ。

 「キラリ」福岡市、山梨県などの取り組みはあらためてレポート
します。
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  • Author:有限会社 クオールエイド
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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