プレミアム商品券の廃止を勧告する

 当社は一貫して現在全国の商店街で取り組まれている「活性化事業」
の多くは「販売促進事業」の域に止まっており、それらの事業を
何年続けても、あるいは類似事業に何度取り替えてもけして商店街を
活性化することは出来ないことを縷々説明しています。
 残念なことに、依然として手を変え、品を変えて同工異曲の
「活性化事業」が続けられています。

 ご承知のとおり販売促進とは、顧客の来店及び購買に何らかの
インセンティブを提供することで来店頻度、買上点数の増加を実現
しようとする小売業の営業手法です。

 販売促進施策が成功するには、販売促進に先立って来店目的となる
店づくりが実現されていることが絶対条件です。
そうしないとせっかく取り組んだ販売促進が“販促ハンター”
の格好の標的にされ、販売促進は成功したが本来の目的である繁盛の
維持・拡大にはつながらない、という結果に終わります。
お金と労力の浪費。費やしたものはゼッタイに戻りません。

 商店街の場合もまったく同様、一部の関係者の間で“商店街活性化
の三種の神器”などと言われている一店逸品、百円商店街、まちなか
ゼミナールなどはその代表格ですね。

 マップづくり、空き店舗活用事業などもその範疇に入ります。
お金を掛けて立派なマップを作っても、わざわざ出かける価値のある
お店(商品を買い上げ、持ち帰って生活に取り入れる価値のある商品
・サービスを提供する)が揃っていなければ文字どおり絵に描いた
餅に終わります。
作成している間は高揚しますが、作り終わったとたん、成果を云々
するまもなくお蔵入り。

 空き店舗活用事業。
「活用」とは空き店舗がどうなることか?
賃貸料や内装費を補助して出店にこぎ着けても、今どき補助金を
当てに商店街立地に出店しようという人に所要の力量が備わっている
ことはあり得ず、補助金の切れ目が営業の切れ目。

 ということで、商店街活性化を本当に実現しょうと思うなら、
販売促進事業からきれいさっぱり足を洗い、自店の繁盛実現を通して
商店街活性化を実現していく人材の育成に最優先で取り組むべき。
第一、販促事業のリーダーさん達の店舗自体、事業に取り組んだら
繁盛した、という事例があるのかないのか、ウェブ上で確認すれば
一目瞭然ですね。

 プレミアム商品券について。
地域の商店街でのショッピングを促進することで商店街の活性化を
実現するという趣旨ですが、これも売場の状況(品ぞろえ・接客・
環境)は従来のまま、100円で110円分の買い物が出来る、という
インセンティブで来店促進買い上げ促進を実現し、商店街愛顧客の
増加を目指す、という趣旨ですが実現出来ません。

 どうして断言できるか?
品ぞろえ・接客サービス・店舗環境がまったく改善されていない
お店に110円に釣られて来店したお客が買うものと言えば、日頃定価
で買っている買い物(消耗品の補充・買い換え・当用など)に
限られます。
 せっかくの機会だからラグジュアリィなショッピングを、と
思っても売場が用意されていませんから。

 結局、商品券を発行しなければ110円で売れた商品を100円で売る、
というおよそ算盤勘定が命のはずの商業者にあるまじき取り組み。
どうして可能かと言えば、行政の支援が付いているからという
ケースが多いようです。

 行政的には、結果的に地元住民の地元消費促進につながる、
という大義名分があるとされているのでしょうが、購買が増えたり
外部への流出が阻止出来るわけではありません。欲しいものが地元に
なければ、商品券が使えなくても買えるところまで出かけます。

 当初は商店街の販促支援として導入されたプレミアム商品券、
使える店舗が商店街に限られていては思ったように購入されず、
余ってしまうことから「進駐小売業」でも使えますよ、と流通
範囲が自治体圏内の全域に拡大される。
こうなるともはや「商店街活性化」という冠は外れます。

 残った大義名分は“域内消費の促進”ですが、進駐小売業の販促に
公金を投じることがどれだけ“域内経済活力の向上”という上位目的
の実現に貢献するのか、ちょっと考えれば誰にも分かるとおり、
せっかくの都市の歳入が直接進駐小売業の売場を経由して流出する
だけ、ですね。

 プレミアム商品券の発行をもって“商店街活性化事業に取り組んで
いる”と関係各方面が錯覚している間も商店街の空洞化、個店売場の
陳腐化・劣化は着実に進みます。

 商店街活性化=内発的な力で持続可能なショッピングゾーン
としての再生を本気で追求しようとするなら―都市経営上の重要な
戦略課題です― 一日も早くこのような販売促進事業を廃止すべき。
代わって、商店街のショッピングゾーンとしての再生という上位目的の
実現に、自店の繁盛実現を通じて迫っていく“人材育成”に全力
(時間とお金)を集中すべきです。

 プレミアム商品券発行事業を廃止して人材育成事業へ、正真正銘の
商店街活性化の実現に向けた方向転換が始まっています。
もちろん、他の“販売促進事業”についても同様です。

 あなたの街の活性化の取り組みは、今のままで大丈夫ですか?

キラリ成果報告会・豊後高田市昭和の町

 大分県 商店街魅力ある店づくり支援事業、本年度取り組まれた
3市・3商店街の成果報告会、3日連続で執り行われた報告会の
おおとりは豊後高田市“昭和の町”です。

 昭和の町は、10年前に“地域の人たちが商店街でショッピングを
楽しむ光景を観光資源に”というコンセプトのもと、空き店舗率
40%という状況から活性化に取り組んできた有名な商店街です。
現在では空き店舗はほとんど目立たなくなっていますが、取り組み
以来10年を経て各個店の売上げも不振気味、あらためて個店
レベルに磨きを掛け昭和の町を活性化しようという趣旨で取り
組まれました。

 ちなみにtakeoは、10年前に昭和の町の構想を知ったとき、
趣旨は大変結構だが、中身を実現するのは難しい、実現するには
クオールエイド流の支援が必要だろうと思ったことでした。
今回、その機会が到来しました。

 報告にもありますように、すでに取り組みが始まって間もない
にも関わらず、地元のショッピング客と観光客との店内での交歓が
普通に見られるようになりました。
観光目的で来街されたお客さんに“うちのまちにもこういう商店街が
あればいいのに”と感じてもらえるようになれば大成功、事業の
成功で実現への確実な一歩が踏み出されました。

 報告では参加者それぞれの取り組みの動機、取り組みの内容、
最中のエピソード、成果、今後の抱負などが語られました。
共通していたのは、厳しい状況に陥っていながら脱出するすべが
分からなかった、藁をもすがる思いで事業に参加したということ。
半信半疑で取り組んでいるうちに、ゆくてが見えるようになった
ということ。機会を提供された県・市・商工会議所への感謝の言葉。

 取り組みの成果は別途Web上でご紹介します。
皆さんの報告を視聴されると、昭和の町が目指す活性化実現の方向が
ラグジュアリィ・モール=時間堪能型商店街を目指していることが
ハッキリ理解されることと思います。その意味で昭和の町は、
交流人口の増大を掲げる全国商店街に先駆けたモデルになること
でしょう。

 報告会は最後に永松豊後高田市長(代)、野田豊後高田商工会議所会頭、
安部大分県商業サービス業振興課長ご来賓三氏による総括・激励
をいただいて終了。
 皆さん、取り組みの労をねぎらい、成果を評価し、今後ますますの
発展と街全体への波及を期待され、全力をもって支援・協働していく
という力強い励ましをいただきました。

 先だって講師講評では当社最近の知見をご披露しました。

 本日はあらためて昭和の町を一周、みやげなどたくさん買い込み
途中日田市に立ち寄ます。先週10日岡崎市のおかざき商人塾から
休日返上で続いた出張が本日をもって終了します。

「観光商業」への一視点

 再掲です。
 元記事は2001年12月、当時発行していたメルマガ:http://utun.jp/Gb
 ほとんど訂正の必要が無いのはどういうことか。

***************** 

 仕事柄、各地の『中心市街地活性化基本計画』を見ることが多い。ほとんどといって良いくらいの計画に地活性化のためのメニューとして「歴史と文化・景観の活用」というテーマが掲げられている。中心市街地を産業立地と して再生させる、という視点から見ると、中心市街地に散在する歴史的な 「資源」その他を利用して観光来訪スポットを作って集客しようという「戦
 略」である。つまり、中心市街地の各種資源、例えば土蔵・白壁作りなどの 古い建物群を修復して展示・物販・飲食施設として改造・提供することで広 域から観光客を吸引する、中心商店街への回遊を期待するというわけである。
  果たして成功するだろうか。

  あるモデル的な観光商業の事例では、(数年前の数字だが)年間集客数: 120万人、売上高:6億円となっている。つまり来街客一人あたりの購買単 価は500円ということになる。これは「観光商業」で活性化を目指す構想を 持っている都市にとって、大変重要な数字である。これを基礎にすると、 年商3,000万円の観光商業を成立させるには、6万人の新規の来街者が必要
 だということになる。店舗が2軒になれば12万人。どうしてこのような膨大 な客数が必要なのか。

  中心市街地に新設される観光資源は多くの場合、お客(ツアー会社)から 見れば周囲の観光訪問地とセットで周遊する「回遊型観光スポット」、「双 六観光(命名・タケオ)」型の観光地、というものが多い。
  「双六観光」=周遊観光とは、広域で名所旧跡巡りを軸に周遊ルートを設 定し、格安料金でのバスツアー、という旅行エージェントお得意の観光パタ ーンである。日帰りまたは1泊2日で出来るだけ多くの観光スポットを走り 回る。一つのスポットの滞留時間は1時間程度ということになる。

  双六観光の収益構造は次のようになっている。
  (1)参加客の料金は超低額に設定して集客し、
  (2)全行程でのお客の消費を自社の収益機会に仕立てることで低料金を補填する。

  つまり、行程中お客が散財するあらゆる機会が自社の収益につながるようなシステムを作ることで超低料金を成立させている。行程中の食事の場所、移動結節点での土産購入などお客が散財する機会については、立ち寄る施設を決めて「協定」を結んでおり、施設の売上げからマージンを受け取る、という仕組みが作られているのである。マージンは10~15%という高率であり、協定施設の経営構造(商品構成その他)を規定する。お客は、食事、買い物など自分たちの散財機会がすべてツアー会社のリベート確保の機会となるように設計された仕組みの上を移動しているのである。

  お客は自分の好きな場店で自分の気に入るものを買いたいと考えている、
 ところがそれではエージェントは経営が成り立たないのである。なるべく協定施設で買い物してもらう(=なるべく他の施設の土産店では買わせない) ために細々とした涙ぐましいノウハウを使うことになる。極端な例では、吉野ヶ里遺跡が一般公開された当時、バスツアーのお客を現地の協定を結んでいない売店に入店させないように、域外の観光物産館業が社員を派遣してピケを張った、という有名な話がある。

  さて、新設される中心市街地の観光スポットは、多くの場合、双六観光の対象となる程度の規模であり、またエージェントと協定が結べない条件にあることが多い。
  このことから施設経営上の様々な問題が生じてくる。

  第一に、協定を結んでいない観光施設は、バスツアーが設定している散財の仕組みからはみ出す部分を対象に売上げを作らなければならないということである。前述のようにツアー会社としては協定外の施設ではお客にびた一文使ってもらいたくない、というのが本音だから、協定外の観光スポットに立ち寄る前には、車内でなにがしかの手だてが講じられることも珍しくない。
 特に食事については、確実に協定施設を利用することになるから協定外の観光スポットにバスツアーが食事時間に訪れるということはあり得ない。

  第二に、滞留時間という問題もある。物販施設の売上げとお客の滞留時間の相関については周知のところだが、「双六観光」の場合、あるスポットに到着したとき、添乗員・ツアーコンダクターの最大の関心事は、「スケジュール通りにここを出発すること」である。このためのノウハウもいろいろあるようだ。なかなかお客が自由にお店をショッピングして回る、という時間はない。必要な人だけが行き当たりばったりで土産を購入、次のスポットに向かうことになる。
観光スポットが吸引したお客がスポットの周辺の商店街へ回遊するなどということはあり得ない。

  第三に、最近の観光客の購買動態としては、いかにも「観光土産」という体裁・仕様のものよりも帰宅して日常生活で活用できるもの、地元の人たちから支持されている商品などが好まれているということ。お客の事前の情報収集も徹底しており、有名観光地に連袂している名物土産店も売れる店、売れない店が際だってきている。観光に行くたびに互いに隣近所に土産を配る、という風習も過去のものとなっている。しこたま買い込む客もスポットそれぞれで買うことになるから一カ所あたりの購入は知れたものである。
  このような理由が重なって双六観光の各スポットでの消費は少量低額となる。

  ということで冒頭の客単価500円が結果するわけである。
 観光商業を目指す場合は、このからくりをよく承知し、「にもかかわらず、こうすれば中心市街地全体の活性化が実現する」という戦略を講じることが必要になる。
  新しく観光スポットを作ってペイさせていくためには、スタートから少なくとも数10万という新規の集客が見込めないと土産屋さえ成り立たない、ということである。新たに「歴史と文化」で10万単位の集客力のある施設を開設する、ということはこのご時世、とても民間ペースでは不可能であり、勢い、公設民営3セク方式になるわけであるが・・・。
この施設が成立したとしても、中心商店街の活性化につながるかというとこれは全く別の話である。

 新設する観光スポットで吸引したお客を中心商店街へ回遊させる、この来街者数の増加を当てに個々の店舗が商売を組み立てることで活性化を実現する、というシナリオだが、これは、はっきりいって無い物ねだり・絶対に実現できない。

  イベントで集めたお客が個店の入店・購買に結びつかないのと全く同じ理由で、観光客は、中心商店街の店に買い物目的で立ち寄ることはない。観光スポット訪問の場合、来街目的・消費購買目的ともに中心商店街が対応しようとしている購買目的とは全く異なっている、ということである。中心商店街に於ける観光客の購買行動は(土産品を除き)、衝動買いということになる。
 衝動買いとは、「買う予定がなかったのに商品を見たとたん欲しくなって買ってしまう」というパターンの買い物である。活性化が必要な店で期待できる購買パターンではないのだ。
  また、観光客の購買パターンに対応する業態への転換を目指す、という方向もなかなか成功しない。先にも述べたように客単価500円である。30店舗の観光商業が成立するにはどれだけの集客が必要になるか。

  もう一度確認しておこう、観光スポットで集客したお客の購買額は500円、この客相を対象にして最低3,000万円の売上げを確保するためには、1店舗あたり6万人の新規来街客が必要である。数十店規模の商店街の戦略として採用できる話ではない。
  先行事例の場合は、三セク(経営陣は無給)で・空き店舗・アルバイト活用という方式を採用しているから成り立っているのである。駐車場その他の観光地に付属する施設はもちろん新設しなければならないが、これもコストパフォーマンスは良くないことは明白である。

  もう一つ。最近、長崎街道など、かっての「○○○街道」を街道沿いの地域が連携して地域活性化に活かそうという企画が多くなっている。これも上記の分析を援用すれば、「街道」のうち宿泊拠点を持っている都市の一人勝ちになる。宿泊が主体となる温泉地の場合、日帰りを含む客単価が(私が承知している事例では)8,000円程度に跳ね上がる。6億の売上げは75,000人の来訪で可能である。ショッピング自体、宿泊客と日帰り客ではこれはもう桁違いなのだ。

  はじめに紹介したのは、地元で「黒壁」と呼ばれていた伝統的建造物を利用して観光スポットを作った事例である。一部で「中心市街地活性化のモデル」 といわれて全国から視察団がひっきりなしに訪れているらしいが、ここの課題も客単価の低さと地続きの中心商店街への回遊が実現しないこと。観光・交流人口における「宿泊」の重要性に着目してそのノウハウ確保のためもあって他地域の「黒船」企画との連携を模索していることは知る人ぞ知るところである。

  「商業観光」を目指す場合は、宿泊の可能性を十分見極める、条件を整備する、ということが大きな条件になることは間違いないが、この場合、問題はさらに大きくなる。果たして中心市街地の観光スポットが宿泊を伴うほどの滞留性を持つ資源であるかどうか、ということである。宿泊が大事といわれてホテルと併設したからといって、もととなる目的がなければお客は添乗員にせき立てられながらひたすら「上がり」を目指すのである。

  観光商業を志向する中心市街地にとって、以上は必ず一度は十分検討しクリアすべき課題である。
成功事例とマスコミで取り上げられる、土蔵白壁造りを土産店に改造し、エプロン姿のおばさんが道行く人に漬け物その他の試
食を勧めている、という光景を見るたびに、嘘だろー、もー終わりだろーと思うのだが、まあ、よく続くことである。
  観光スポットになる位の施設である。かっては地域でも進取の気概に富んだ人物たちが作った周辺を圧倒するような施設であったろうものである。安易に漬け物売りなどに利用したのでは、ご先祖さまが草葉の陰で泣いているのではないか。

  私は何も中心市街地の活性化策として開発される観光資源に可能性が絶対にないといっているわけではない。「成功事例」と喧伝されている事例の中身はこんなものではないか、ということであり、「観光商業」に中心市街地の活路を見出いだそうとする場合は、少なくとも以上のような点については十分検討しておかなければいけないのではないかと提起しているのである。

  もちろん、私どもは日ごろから、中心商店街にはラグジュアリィニーズに対応するショッピングモールへ転換することで、これまでにない繁栄を獲得するチャンスに直面している。成功のおぼつかない商業観光などへの関心はすっぱり断ち切って、地域の生活のいっそうの充実に寄与することを事業機会とする商店街商業の再生を目指すべきである、と主張していることはご承知の通りである。
有限会社クオールエイド
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  • Author:有限会社 クオールエイド
  • 【キラリ輝く繁盛店づくり】
    お客に見える店づくり―見える化をテーマに【個店の繁盛】から【商店街活性化】、【中心市街地の商業集積としての再構築】まで一貫した取組を支援します。
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